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『アオアシ Season2』第2話の副題は「考える葦」。Aチームのレベルに打ちのめされたアシトたちの前に、ユース最高傑作と呼ばれるエスペリオンが生んだ天才・栗林が現れる。遊馬が言う栗林の怖さ、コンプリートしたサイドバックという言葉、そして10日間の壁の先にあった「その衝動を信じろ」まで、アシトが次のステージへ踏み出した一話を振り返る。




第2話の副題は「考える葦」
『アオアシ Season2』第2話の副題は「考える葦」。Aチームのレベルの高さに打ちのめされたアシトたちを、平や松永が夕食に誘う。そこに合流したのが、エスペリオンが生んだ天才・栗林だった。物腰の柔らかい栗林を、遊馬は「怖い」と言う。食事会でその言葉の意味を知ったアシトが、10日間の壁を前に自分のプレーと向き合っていく一話だった。
「終始子供扱いだった」
Aチームでの初日を終えたアシトは、「終始子供扱いだった」と悔しさをにじませる。それでも口から出てくるのは「すげえ」という言葉ばかりだ。先輩から笑っていると指摘されて、アシトは初めて自分が笑っていることに気づく。打ちのめされながら笑っている新人というのは、Aチームでもめったにいないらしい。
どれだけ差を見せつけられても、強い相手に挑めることそのものを楽しんでしまう。アシトのこの性質こそが、Season1から一貫して彼を前に進ませてきた原動力だ。Aチーム初日の悔しさと高揚が入り混じった表情に、これからの成長への期待が膨らんだ。
平と松永の先輩飯
個性がはっきりした一年生
「おごってやるよ夕食」と誘われた一年生たちは、メガ盛りの定食に箸を進める。上下関係のゆるいユースでは、こうした先輩飯はあまり見られないという。誘っていないのについてきた遊馬は、しっかり自分で払うように言われていた。
先輩たちの一年生評も面白い。誘っても来ない冨樫、ばかほど食うアシト、悩みながらも食う大友、食事も喉を通らない黒田、そしてついでに図々しい遊馬。同じ一年生でも、Aチームの衝撃の受け止め方がまるで違うことが、この短いやり取りだけで伝わってくる。
店のおばちゃんがいる食堂の温かい雰囲気も、この回の大切な要素だ。いっぱい考えて、いっぱい話して、いっぱい食べる。サッカーの厳しさと、それを支える日常の温かさが、同じ食卓の上に並んでいた。
4人のU18代表
「代表の中に入ったような衝撃」と口にする大友に、先輩たちはその感覚もあながち間違いではないと返す。3年の義経と山田、2年の桐木と高杉。エスペリオンからは4人もU18の代表に招集されていた。さらに、阿久津も代表候補に入ったという。
代表クラスがそろうAチームで活躍するのは至難の業だ、と大友が重く受け止める一方で、アシトは「ワクワクが止まらねえよ」と目を輝かせる。同じ事実を前にして、恐れるか楽しむか。アシトのこの反応に、先輩たちが「気に入ったぜ」と笑うのも納得だった。
そこへ、スポンサーから逃れてきた栗林が合流する。栗林の偏食は有名らしく、ちゃんと食事をするところを見ないと安心できないと、付き添いの人まで一緒にやってくる。橘の家族も同席することになり、食卓は一気ににぎやかになった。サインを頼まれたり、店のおばちゃんと久しぶりの再会を喜んだりする栗林の姿は、トップチームでプレーした天才というより、どこにでもいる気さくな先輩そのものに見える。だからこそ、この後の会話で見せる別の顔が際立ってくる。
天才・栗林の怖さ
「お前ならできるよな」
栗林は、周りがすごいと言うわりに全然普通の人に見える。とっつきやすそうで、いい人そうだ。ところが遊馬は、ちょっと話せば分かるが「怖いぜ」と言う。その言葉の意味は、すぐに明らかになった。
栗林はアシトの名前を覚えていた。オシム式パス回しを見ていたと言い、「お前だけだったな」と続ける。混乱したまま終わったほかの一年生と違い、アシトだけはどこに出せばいいのか分かっていた。ただ技術が追いついていないだけだと、栗林は見抜いていた。
そして栗林は、サイドバックを「コンプリートしてる選手世界的にもいないんだぜ」と言い、「お前ならできるよな」と言い切る。まだAチームでまったく通用していない新人に、世界を基準にした言葉を投げかける。その唐突さとスケールの大きさに、アシトは戸惑うばかりだった。
会話のテンポが妙な人
栗林の会話は、どこか不思議なテンポで進んでいく。アシトがどうしたら上手くなれるのかと尋ねると、子どもの頃に一番好きだったプレーは何かと問い返す。点を取ることだと答えるアシトに「いいなそれ」と言いながら、それでも視野を中心に考えろと伝えた。
遊馬がJ1でまだやりたかったのではないかと水を向けると、栗林は海外に生まれていたら食が合わなさすぎて、サッカーどころではなかったのではないかと返す。話がかみ合っているようで、どこかずれている。さらに、コップの水が倒れる前に栗林が動いていたことに気づいた周囲は、その反応の速さに驚く。穏やかな会話の中に、ぞっとするほどの才能がのぞく。遊馬の言う「怖い」の意味が、少しずつ見えてくる場面だった。
Jユースと高校の差
食事の席では、プレミアリーグの話題も出る。高校とJユースはよく比べられるが、「正直戦力面じゃJユースの方が抜け出てる」という。今年のプレミアリーグも、10チーム中、高校は3チームしか残っていない。それでも「とんでもない高校は本当にとんでもない」。首位のチームは今のところ無敗で、エスペリオンが次節で当たる相手も5位につけている。
Season1で戦った高校の強さを思い出すアシトたちにとって、この話は決して他人事ではない。Aチームの一員になったということは、こうした強豪と真正面からぶつかる立場になったということでもある。何気ない食卓の会話が、これから始まる戦いの厳しさをさりげなく予感させていた。
自分を全部フィールドに置いてきた男
栗林が言ったコンプリートの意味を、アシトはなんとなく分かっている。けれど、うまく言葉にできない。そこで遊馬が通訳を買って出る。攻撃と守備の両方のスペシャリストは、サイドバックの歴史上まだいない。超攻撃型のサイドバックも、守備に特化したサイドバックもいるが、その両方をコンプリートした選手は存在しない。栗林はアシトにそれを求めているのだという。
先輩の一人は、栗林を「思考を言葉にするのが追いつかないやつ」だと説明する。自分を全部フィールドに置いてきていて、究極的にはサッカー以外に興味がない。それほどサッカーを愛している最高の男だ、と。言語化を大切にするエスペリオンの中で、最高傑作が言葉にできない天才であるという皮肉が、この回のテーマに深くつながっていく。
10日間の壁と「その衝動を信じろ」
「いつ落ちるんだよ、てめえ」
栗林がユースに戻ってから10日がたっても、トップチームの意向で栗林はユースの練習に参加できずにいた。プレミアリーグの再開も迫るなか、アシトもまた10日間必死に練習を続けていたが、ついていくための糸口すら見つけられない。ミニゲーム形式では目も当てられない状態だった。
周りからは「いつ落ちるんだよ、てめえ」と冷たい言葉が飛ぶ。それでもアシトは、栗林の言葉を思い出していた。どこに出せばいいのかは見えている。見えているのに、Aの選手たちの速さについていけない。考えるのがエスペリオンのサッカーなのに、この人たちは考えてなんかいないのではないか。アシトはその違和感に、少しずつ手を伸ばしていく。
「もう一回だけ」
練習の最後に、オシム式パス回しが行われることになる。アシトは福田に、もう一度だけレギュラー組でやらせてほしいと頼み込む。ずっとディフェンス役をやるから、と。特別扱いはできないと言う福田に、足を引っ張ったらBに落ちるかと問われ、アシトは迷わず「はい」と答えた。自分から一番厳しい条件を選び取るところに、Aチームで生き残ろうとするアシトの覚悟が表れている。
最初のパスカットこそ決まったものの、そこからは思うようにいかない。息を切らすアシトに、阿久津の「休んでんじゃねえ」という怒声が飛ぶ。それでも福田は、アシトが何かを試していることを見抜いていた。根性だけで何とかしようとするなら遠慮なくBに落とすつもりだったが、明確に課題を持って挑んでくるなら見届けなければならない。福田がアシトに向けるまなざしは、厳しさと期待がいつも同じ分量で混ざっている。ただ根性を見せるだけではなく、考えて挑んでいるかどうか。そこを見極めようとする福田の姿勢に、指導者としての誠実さを感じた。
アシトはずっと、プレーを言葉にして考え、自分のものにするよう教えられてきた。けれどAチームの言語化は次元が違う。考えているけれど、考えていない。このスピード感の中で、いちいち考えていたら追いつくわけがない。考えることと、考えずに動くこと。その矛盾の答えを、アシトは必死に探していた。
人間は考える葦である
答えのヒントは、これまでにかけられてきた言葉の中にあった。考えて、考えて、考えて。するといろんなことが、いずれ考えなくてもできるようになる。そうしたら、ようやくそれが自分のものになる。考え抜いたものはすべて自分のものになっていて、頭で考えるよりも先に体が勝手に動き出す。だからこそ「その衝動を信じろ」。
衝動に任せて動いたアシトに、栗林は「グッド」と声をかけ、「それが次のステージだ」と告げる。副題の「考える葦」は、パスカルの言葉と、アシトの名前を重ねたものだろう。考えて考え抜いた先に、考えずに動ける自分がいる。言語化と直感という一見正反対のものが、実はひとつにつながっているという気づきは、Season2のアシトの成長の軸になっていきそうだ。
もちろん、直感が的外れになる時も多い。本当にこれでAで通用するようになるのかと、周りの見方はまだ厳しい。それでも、10日間何も見つけられなかったアシトが、ようやく一歩を踏み出した。最後に名前を尋ねられ、「変わった名前」と言われる場面も含めて、Aチームの中でアシトの存在が少しずつ認識され始めたことを感じさせる締めくくりだった。天才・栗林の言葉と、自分の中に積み重ねてきた言葉。そのふたつがつながった時、アシトはまたひとつ壁を越えていくのだろう。




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