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『夜桜さんちの大作戦 第2期 第2クール』第40話の副題は「ファミレス父子会談」。太陽に救われて帰宅した凶一郎を待っていたのは、弟妹たちによる容赦ないリクエストだらけの家族サービスデーだった。眠らない兄を休ませるための作戦、ファミレスで百が見せた歪んだ家族愛、そして父と戦うと決めた当主・六美の決意まで、第2クールの幕開けを振り返る。




第40話の副題は「ファミレス父子会談」
『夜桜さんちの大作戦 第2期 第2クール』第40話の副題は「ファミレス父子会談」。夜桜歴代当主をめぐる騒動は、百が愛する妻・零の復活を企んだ策略だった。太陽の万花繚乱で救われた凶一郎が帰宅し、兄妹たちによる凶一郎の家族サービスデーが始まる。そして六美のもとに届いた一通のメッセージが、父と娘の対話の場を用意することになる。第2クールの幕開けにふさわしい、笑いと緊張が同居した一話だった。
凶一郎の家族サービスデー
自分を犠牲にしようとした凶一郎を反省させるため、兄妹たちは「家族サービスデー」を始める。「みんなのための行動とはいえ、自分を犠牲にだなんて言語道断だ」と言い放つ二刃は、さっそく凶一郎に足を揉ませる。完全オフの日は肩と腰が楽だという二刃の言葉に、太陽が「あれ戦闘服なんだ」と驚くのもおかしい。
辛三は閉じこもりすぎた四怨を日光に当てていて、嫌五は「可愛い弟様に詫びのマッサージしろや」と凶一郎をあおる。ところが凶一郎は、オイルに浸した鋼糸を指先のように操り、嫌五をあっという間に骨抜きにしてしまう。七悪は新薬の味見を頼み、最後は赤ちゃんごっこまで始まる。弟妹たちの容赦ないリクエストに応え続ける凶一郎の姿は、まさに地獄絵図だった。それでも一日を終えた凶一郎が「精神的拷問に対する程よい訓練になったな」と涼しい顔で言ってのけるのだから、さすがは最凶のスパイである。
「六美がいるから俺は何でもできるんだ」
一日の終わり、六美は辛三と四怨に作ってもらった肩砕きガントレットで凶一郎の肩を揉む。天国が見えると言う凶一郎に、太陽が「それ見えちゃいけないやつ」と突っ込むのが楽しい。そんな穏やかな時間の中で、六美は父と話し合えると思っていたのに、もう何を考えているのか分からないと打ち明ける。
「私ってほんとダメだね」「お兄ちゃんがいないと何もできない」と落ち込む六美に、凶一郎は「逆だ六美」と返す。教え、守り、支えるつもりでいたが、本当は自分の方が勇気と誇りを与えられてきた。進むべき道を示されてきた。だからこそ頑張れるのだと。妹を溺愛する兄の、いちばんまっすぐな本音が聞けた名場面だった。
眠らない兄を眠らせるために
実は家族サービスデーには、もうひとつの目的があった。凶一郎は家族を守るために不眠術でほぼ常に覚醒していて、眠らせるにはたくさんの準備が必要になる。それこそ家族みんなで臨むくらいの。家族のために無理をする人だからこそ、無理にでも休ませないといけない。弟妹たちのリクエストは、すべてそのための作戦だったのだ。
ところが、ようやく眠った凶一郎の顔に、兄妹たちは次々と落書きを始めてしまう。日頃の感謝の言葉も書かれているのが、この家族らしい。太陽とサインしておけば罪をなすりつけられるかな、などと言い出す者まで現れる。いい話で終わらせないのが夜桜家だ。地の果てだろうと必ず見つけ出すと言わんばかりの凶一郎の怒りに、太陽が突然の寒気を感じるオチまで含めて、見事な流れだった。
ファミレスでの父子会談
夜桜スペシャル
六美が向かった先は、ファミリーレストランだった。太陽もついてきたことに、百は「夫同伴か」と笑う。遅れてやってきた百は、ドリンクバーで「夜桜スペシャル」を作ってくる。紅茶は凶一郎、二刃は緑茶、辛三はメロンソーダ、四怨はガラナ、嫌五はオレンジ、六美はコーラ、七悪はサイダー。子どもたち一人ひとりの好みを覚えている父の姿は、どこからどう見ても家族思いのお父さんだった。
肉のメニューを全種類頼み、サラダとパスタも全部持ってこさせる豪快さ。スパイ協会と協賛しているファミレスで絶対に安全だと言い、昔みんなでよく来た店だと懐かしむ。娘婿との挨拶をここでやってみたかったと「お嬢さんをください」「お前にはやらん」と一人で再現してみせる百は、ちょっとずれていて変だけれど明るくて優しい、六美の知る昔の父そのものだった。
「お父さんがわからない」
六美は「お父さんがわからない」と告げる。こうして見ていると昔の父そのものなのに、家族を苦しめたり痛めつけたりするなんてありえなかった父が、なぜ変わってしまったのか。それを知りたくてここに来たけれど、ますます分からなくなったと。
百の答えは、六美の問いとはまったくかみ合わない。変わったのはお前たちの方ではないか。あんなに優しい子たちだったのに、すっかり冷めた目で見るようになってしまった。家族がまた一緒になれる切符を持ってきたはずなのに、なぜ自分の愛が伝わらないのか不思議でならない。それでも「父さんはみんなを愛し続ける」「必ずみんなで幸せになろう」と言い切る。
悪意がまったくないからこそ、百の愛はどこまでも恐ろしい。百にとって家族を傷つけることは、家族を幸せにするための過程でしかないのだろう。食事を終えて、亡き妻に語りかけるように「美味しかったな」とつぶやく百の姿には、ぞっとするものがあった。
さらに百は、こうやって地道に命を集めてきたのだと語り、いずれ子どもたちも自分たちの努力を認めてくれるはずだと信じて疑わない。気づけば店には店員の姿もない。お釣りはお小遣いにするといい、と言いながら、と言っても店員がいないが、と笑う百の言葉が、何気ない一言のぶん余計に不気味だった。昔みんなで通った思い出のファミレスが、百の手で静かに別の場所へ変わっていたのかもしれない。
夜桜家当主の決意
「私たちはお父さんと戦う」
もう父に自分の声は届かない。何を言うべきかも分からない。それでも六美は、父の気持ちを理解したかったと伝えたうえで、その思いは家族を壊してしまうから受け入れるわけにはいかないと言い切る。なぜなら自分は夜桜家当主だから。「私たちはお父さんと戦う」「家族を守るために」。
前の場面で凶一郎の前で弱音を吐いていた六美が、父の前ではっきりと当主として立つ。兄に支えられていると思っていた六美が、実は兄を支える存在だったという凶一郎の言葉が、ここで形になったようにも見える。家族を愛しているからこそ、家族を壊す父とは戦う。その決意の重さが、静かなファミレスの空気の中で際立っていた。
百の弟と、じゃんけん
気がつけば、店は兄妹たちに包囲されていた。それでも百は余裕を崩さず、氷はかじる派だと言って席を立とうとしない。逃げられないと分かっているはずだと迫られると、確かに難しいと認めつつ「私だけならな」と返す。現れたのは、百が「私の弟だ」と呼ぶ巨大な化け物だった。
百が逃げ出し、凶一郎が後を追う。六美は太陽にも凶一郎と一緒に行くように頼み、「またいなくなったら嫌だしね」と見守りを託す。余計なことをと言いかける凶一郎に、六美は当主命令だと押し切った。
残った兄妹たちは、誰が相手をするかをじゃんけんで決め始める。結局はみんなで協力することになるのだが、未知の標的だからサンプルも欲しいとちゃんと分担を考えるあたりが、いかにも夜桜家らしい。緊迫した戦闘の中でもじゃんけんをやめない兄妹たちの姿に、思わず笑ってしまった。
心の中ではチョキのつもりだった、と負け惜しみを言う者がいれば、姉ちゃんはグーを出す率が高いと指摘する者もいる。命がけの戦いを前にしても、兄妹の会話はいつもの食卓と変わらない。けれどその軽さは、互いの力を信じ合っているからこその余裕でもある。じゃんけんで決めても、最後はみんなで協力する。家族サービスデーで凶一郎を眠らせた時と同じように、兄妹たちはいつも全員で一つの目標に向かっていく。その姿が、家族をばらばらにしてでも妻を取り戻そうとする百との違いを、はっきりと浮かび上がらせていた。
鬼ごっこの始まり
人間を養分にする敵
敵の特性は巨大化と吸収と高耐久。人間を養分にしていて、七悪を突いたことで体積とエネルギーが一気に増えたのは、一般人よりソメイニンが豊富だからだと分析される。まるで植物のような敵だが、だからこそ対策も立てやすい。体内を高速で移動する点が栄養の蓄積と成長の起点になっている核で、変異の激しい七悪の細胞を取り込めば拒否反応が出る。
七悪の再生力、四怨の分析、兄妹たちの連携が噛み合って、敵は回復できない状態へと追い込まれていく。根を潰された木は枯れるしかない。兄妹それぞれの能力が一つの作戦の中で生きる戦い方は、第2クールでも健在だった。
「久しぶりの鬼ごっこは」
一方、凶一郎と太陽は百を追い続ける。けれど百にとって、それは命がけの追跡ではなく遊びのようなものだった。追われながら「いやー楽しいな」「久しぶりの鬼ごっこは」と笑う百の姿に、凶一郎たちとの力の差と、百という男の底知れなさがにじむ。
家族サービスデーで見せた兄妹の温かさと、ファミレスで見せた父の歪んだ愛。同じ「家族」という言葉が、まったく違う意味を持ってぶつかり合う。家族を守るために戦う子どもたちと、家族を愛するがゆえに壊していく父。第2クールは、この親子対決を軸に進んでいきそうだ。百の弟の正体、凶一郎と太陽の追跡の行方、そして零の復活をめぐる策略がどこへ向かうのか、目が離せない。
第2クールの幕開けに描かれたもの
第40話は、前半の家族サービスデーで兄妹の絆をたっぷり見せ、後半のファミレスで父の歪んだ愛をじっくり描くという、対照的な二部構成になっていた。どちらも「家族のため」という同じ動機から生まれているのに、その結果はまったく違う。この対比があるからこそ、六美が当主として父と戦うと決めた場面の重みが増している。
笑いの中に兄妹の思いやりを込め、明るさの中に父の狂気をにじませる。夜桜家という家族の温度差を一話の中で丁寧に描き分けた、第2クールの始まりにふさわしい回だった。凶一郎と太陽がこの追跡で何をつかむのか、そして六美たちが父とどう向き合っていくのかを、引き続き見守りたい。




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