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Aチームでベンチ入りを果たしたアシトが初めて体感する、高校年代最高峰のプレミアリーグ。相手は部員200名を誇る強豪・柏大商業。統制された高校サッカーの強さと、勝つより育つことを考えるユースの哲学がぶつかる中、ついにアシトの出番がやってくる。サッカー以前に人として強くあれ、持たされているボール、そしてピッチに立ったアシトまで、第3話を振り返る。




第3話「プレミアリーグ第7節 柏大商業高校戦」はアシトが最高峰の舞台を知る回
『アオアシ Season2』第3話「プレミアリーグ第7節 柏大商業高校戦」は、Aチームでベンチ入りしたアシトが、高校年代最高峰の舞台であるプレミアリーグを初めて体感する回だった。相手は選手権やインターハイで実績を重ねてきた強豪・柏大商業。ユースと高校サッカーという、同じ年代でありながらまったく違う文化を持つ二つのチームがぶつかる試合は、サッカーの奥深さを改めて感じさせるものだった。
Bチームからのエール
冒頭、Bチームの練習ではかつての仲間たちが躍動していた。お前たちが抜けて弱くなったなんて言われたくない、Bチームの状態は最高だ、という言葉は、Aチームに上がったアシトたちへのエールでもある。明日はプレミアリーグのベンチ入りだろう、と声をかけられたアシトは、「出られるわけないだろうけどね」と返されながらも、ベンチから見るだけでも相当勉強になると背中を押される。それでも、ベンチにいる限り出られる可能性もゼロではない。ちゃんと準備しておけ、という言葉に、アシトは力強くうなずいた。
Aチームに上がった仲間と、Bチームに残った仲間。立場は分かれても、互いを意識し合いながら高め合っている関係性が伝わってくる場面だった。アシトにとって、Bチームの仲間の存在は、どれだけ厳しい舞台でも踏ん張るための支えになっているのだろう。プレミアは高校年代最高峰の大会だ、という言葉どおり、この日のアシトはベンチからでも学ぶことが山ほどあった。その一つひとつが、後半の出番につながっていく。
プレミアリーグという舞台
会場に着いたアシトたちは、想像していた雰囲気との違いに戸惑う。観客は相手の応援団と保護者くらいで、多いのは記者ばかり。それも栗林目当てだろう、という声もある。高校年代の最高峰と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、お正月の風物詩である全国高校サッカー選手権だろう。けれどそれは高校サッカーの日本一決定戦であって、ユースは参加していない。高校とユースが1年間戦い、真の高校世代日本一を決める。それがプレミアリーグなのだという説明は、作品を見ている側にとっても分かりやすい導入だった。
相手の柏大商業は、選手権優勝1回、インターハイ優勝3回、部員数200名という日本屈指の強豪。アシトでさえ知っている名門だ。大人数の高校とはBの試合でもたくさん戦ってきたが、初めて味わうのはスタメン組の異様な圧力だった。200名の部員のうち、出られるのはわずか11名。ユースとは競争率が段違いで、選ばれた11名は背負っているものがまるで違う。その重みが、ピッチの空気そのものを変えていた。観客席からは、初めてのプレミアなのに栗林がベンチスタートであることへの戸惑いも聞こえてくる。調子が悪いのか、怪我なのか。取材に来た記者たちにとっても、栗林の不在は大きな関心事だった。ユース最高傑作がピッチにいないまま始まる試合は、それだけで独特の緊張感をまとっていた。
ユースと高校サッカーの激突
サッカー以前に人として強くあれ
柏大商業のベンチでは、スタメンに栗林がいないことに選手たちが苛立っていた。要するに舐めているということか、監督のことまで舐めているなら、と熱くなる選手たちを、監督が静かに諭す。「相手チームに敬意を払え」。そして「サッカー以前に人として強くあれだ」。くだらないことで熱くなるな、という言葉に、選手たちは一斉に返事をする。この一場面だけで、柏大商業がどんなチームなのかがよく分かった。
エスペリオン側でも、高校サッカーの独特さが語られる。あれだけの人数が、求心力のある監督の下で完全に統制されている。それもサッカー以前の根幹から。軍隊とまでは言わないが近いものがある、ここを抜けたら二度と見られない光景だ、という言葉には、高校サッカーへの敬意がにじんでいた。杉浦監督は高校サッカーで五指に入る名将で、選手権制覇2回、インターハイ制覇2回。鬼監督としても有名で、選手はまともに話せないほどだという。それでも、それだけの力があるからみんながついていく。ユースとは違う強さの形が、ここにははっきりとあった。
持たされているボール
試合が始まると、アシトはベンチから見るゲームスピードの速さに圧倒される。「すごいゲームスピード」、とんでもないレベルだ。プレミアリーグは毎週が全国大会のようなもの。球際でいっぱいにボールを奪いに来る泥臭いサッカーを、俺の大好きなサッカーだと評する声が上がるのも、この作品らしいまっすぐさだった。
ボール保持率はずっとエスペリオンが上。けれど、それはおそらく持たされている。ミスらしいミスを一つもしない、数センチ単位で無駄のない柏大商業の守備に、エスペリオンの攻撃はなかなか決定機を作れない。前に出たと思えば、もう戻っている。互角に見える展開の中で、それでも試合を支配しているのはエスペリオンだった。お互いに一歩も譲らない、見ごたえのある前半だった。柏大商業の選手からは、相変わらずユース相手だと気合いが違う、という声も漏れる。お前らは強い、本当に強い。スコアレスだが得点の匂いはずっとそっちにしかない。普通ユースはもっと緩い雰囲気なのに、お前らは違う、目の色がこちら側だ。挑発とも賛辞ともつかない言葉にも乗ってこないエスペリオンの選手たちの落ち着きは、Aチームの格の違いを感じさせた。
そんな中、左サイドバックの平が負傷する。また癖になっているところか、という心配の声が上がる。さらにベンチでは、アシトが阿久津に、どうやって守備と攻撃を両立しているのかを尋ねる場面もあった。センターバックとして点を取られる気がしない守備、何度も攻め上がってもゴールが空いている感じにならない動き。けれど返ってきたのは、てめえとそんな話をしても仕方がない、というそっけない言葉だった。それでもアシトは、初めて阿久津とまともに話した気がすると感じていた。
勝つより育つ
ハーフタイム、平の交代をめぐって首脳陣の議論が交わされる。今日の試合展開に求められるのは、ボールを持たせて奪ってから一気に攻め上がる攻撃力と運動量。なら栗林一択だ、という声が上がるが、結論はすぐには出ない。ただ勝つという目的だけなら、先発で出していた。「ユースは勝つより育つことを考えなければ」。試合勘を鈍らせないためだけに栗林を出すつもりだった、という言葉には、勝利だけを目指す高校サッカーとは違うユースの哲学がはっきりと表れていた。4か月間チームから離れていた栗林を、一度も練習に参加させないまま早い時間帯から中心に据えることが、チームのためになるのか、栗林自身のためになるのか。そして、栗林を差し置いてここで行けると言えるベンチ要員がいないという現実。先発とベンチの格差は、1年生たちにもう少しやってほしかったという言葉とともに、アシトたちに突きつけられていた。
ロッカーの雰囲気も、Bとはまったく違っていた。みんないたって冷静なのに、全体をひりついた空気が覆っている。そんな中でアシトがこぼしたのは、「出てぇ。ピッチでこの圧力、味わってみてえ……」という本音だった。そしてついに、ベンチから声がかかる。「お前 行け」。一年の中では遊馬に次いでプレミアの舞台に立つことになったアシト。鼓動がすごいことになっている、まさか本当に出られるなんて、という高揚が、画面越しにも伝わってきた。
第3話のまとめ考察
ピッチに立ったアシト
サイドバックとしてピッチに入ったアシトに、先輩たちは余計なことをするなと釘を刺す。クロスだけは入れさせるな、攻めなくていい。前半で相手のやりたいことは分かった、ロッカーでみんなと話した、という言葉からは、Aチームの選手たちが自分たちで考え、試合を組み立てていることが伝わってくる。けれど、アシトは次にいつ出られるか分からない立場。これまでもわずかなチャンスをものにしてきたアシトにとって、プレミアだからとおびえるわけにはいかなかった。まずはゲームスピードに慣れる。そこから仕掛ける。その決意が、アシトらしい前向きさを感じさせた。柏大商業はボールホルダーがセンターラインを越えると奪いに来る。その基準が分かったところで仕掛けるが、半歩分パスが遅れてしまう。ベンチから見ていたゲームスピードと、実際にピッチで感じるスピードはまるで違う。その差を体で知ったことこそが、アシトにとって何よりの収穫だったのかもしれない。
後半、エスペリオンは先制点を奪う。柏大商業の監督は、基礎的な技術だけでも全員が自分たちをはるかに上回っている、と認めたうえで、選手が自分で考えてサッカーを変えてきている、これほどの臨機応変さは監督では指示できない、と称賛する。素晴らしいチームだ、と言いながらも、ただし付け入る隙はあるようだ、と見抜く眼光は鋭い。後半のエスペリオンは前半と動きがまるで違い、柏大商業の守備陣が浮き足立つほどだった。ハーフタイムに選手たち自身が話し合い、相手のやりたいことを踏まえて戦い方を変えてきたのだろう。監督の指示だけでなく、選手一人ひとりが考えてサッカーを変えていく姿は、第2話で描かれた考える葦というテーマとも重なって見えた。その隙とは、おそらくまだ経験の浅いアシトなのだろう。狙われるアシトが、この舞台で何を残せるのか。
第3話は、ユースと高校サッカーという二つの文化の違いを、選手、監督、そしてアシトの視点から丁寧に描いた回だった。サッカー以前に人として強くあれという柏大商業の信念と、勝つより育つことを考えるエスペリオンの哲学。どちらが正しいということではなく、どちらにも強さがある。その両方を肌で感じたアシトが、ピッチの上でどう成長していくのか。プレミアリーグという最高峰の舞台での挑戦は、まだ始まったばかりだ。




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