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『ダイヤのA actII -Second Season- 第2クール』第14話の副題は「決戦前夜」。あふれる闘志を内に秘めて昨年の雪辱を誓う青道と、3年連続の甲子園を狙う稲城実業の西東京大会の決勝戦が、いよいよ明日に迫る。降谷に後ろを託した沢村の言葉、稲実の決起集会、そして御幸が率いる王者の掛け声まで、決勝前の一日を場面ごとに振り返る。




第14話の副題は「決戦前夜」
『ダイヤのA actII -Second Season- 第2クール』第14話の副題は「決戦前夜」。夏の甲子園出場をかけた青道と稲城実業の決勝戦が、いよいよ明日に迫る。青道は昨年の雪辱を晴らすべく、あふれ出る闘志を内に秘めたまま、これまでどおりの練習を淡々とこなしていた。試合そのものが始まる前の一日を丸ごと描くことで、選手一人ひとりの思いを積み上げていく、第2クールの幕開けだった。
打倒稲実、一日だって忘れたことはない
冒頭から、青道の選手たちの胸の内があふれ出す。「俺たちはこの日のために」「3年間汗にまみれてきたんや」。打倒稲実、打倒成宮鳴。昨年の夏、あと一歩で甲子園を逃したあの日の悔しさを、「一日だって忘れたことはないぜ」という言葉が物語る。
「負けられねえんだよ」という一言に、この一年の重みがすべて込められていた。リベンジの舞台がようやく整ったという高揚感と、絶対に負けられないという緊張感。その両方が、決勝前日の青道を包んでいる。
エースへの言葉
前日の練習は、ほとんど会話もなく黙々と進んでいく。投球を終えたエースに、肩肘の状態や下半身の張りを確かめたうえで、エースの力が「必要なときはきっと来る」から、それまで「焦らず力を貯めておいてくれ」と声がかけられる。先発は降谷。それでも、試合のどこかで必ずエースの出番が来る。その確信が、短い言葉の中にはっきりと表れていた。
試合前ノックも「本番のつもりで決めるぞ」と、本番さながらの声が響く。いつもどおりの練習を、いつも以上の気持ちでこなす。それが、決勝を前にした青道の戦い方だった。
1年生だった頃の自分たち
ノックの合間に描かれるのは、今の3年生が1年生だった頃の回想だ。大阪から来た前園、千葉から来た倉持、右投げ左打ちの白州。初々しい自己紹介の一つひとつが、今の頼もしい姿とつながっていく。トスが強すぎると言われてしまう場面も、今となっては懐かしい思い出だ。中学時代は内野全般を守っていたが、高校ではキャッチャーに絞りたいと語る1年生もいた。それぞれが違う場所から、違う思いを抱えて青道の門をくぐってきたことが、短い自己紹介の積み重ねからよく伝わってくる。
回想には、ぶつかり合った日々も含まれている。「夏の悔しさをもう忘れたか」と厳しい言葉が飛び、前園が熱くなって止められる場面もあった。仲良く手をつないで同じ道を歩いていくことなどありえない。ぶつかりながら積み重ねてきた2年と4か月があったからこそ、今のチームがある。「今日が最後じゃない」「もう一度ここへ」「このグラウンドに戻ってこよう」という思いが、静かに胸を打った。
「安心して飛ばしていけ」
決勝の先発は降谷。沢村は降谷に「明日は初回から準備しとくからな」「安心して飛ばしていけ」と声をかける。降谷は「分かった」と答え、「必ず繋ぐから」と返した。
背番号1を争ってきたふたりは、ただのライバルではない。互いを信じているからこそ、全力で後ろを任せられる。ずっと競い合ってきたふたりが、決勝という大舞台でひとつのマウンドをつなごうとする姿に、この作品が積み重ねてきた時間の重みを感じた。かつては互いに背番号1を奪い合い、どちらが上かを競うことばかりだったふたりが、今は自然に「繋ぐ」という言葉を口にする。勝つために必要なのは、どちらか一人の力ではなく、ふたりの力を合わせることだと分かっているのだ。その成長こそが、青道の投手陣の何よりの武器になっている。
マネージャーたちも、変化球の割合をまとめたデータを手渡し、「みんなもちゃんと寝てよ」と選手たちを気づかう。さらに「夏休みはなくなるから」そのつもりでいて、と言い切る。勝って甲子園に行くことを当然のように信じている、マネージャーらしい激励だった。
東京のもう一つの決勝と、先輩からのエール
ニュースでは、東東京大会の準決勝の結果も伝えられる。鵜久森のエース梅宮が自らのバットで追加点を挙げ、決勝は帝東と鵜久森の顔合わせに決まった。全国各地で代表校が次々と決まっていく中、青道と稲実の決勝もいよいよ目前に迫っていることが、こうした周りの動きからも実感できる。
卒業した先輩からも電話が入る。「大阪で待ってるぜ」というエールに、甲子園は厳密に言うと兵庫県だと突っ込みが入るのは、いかにもこのチームらしい。先輩たちが果たせなかった思いも背負って、後輩たちは決勝に挑む。電話越しの短いやり取りが、チームの歴史の長さを感じさせた。
王者の掛け声
キャプテンらしさとは
その夜、仲間たちは御幸に、ようやくキャプテンらしいことを言えるようになったじゃないかと声をかける。一年かかってな、と茶化されて「うるせえな」と返す御幸。けれど本人は、キャプテンらしいということは、まだダメだということだろうと首をかしげる。
「しっかりせえキャプテン」「自信持て、ようやっとる」。仲間たちの言葉には、からかいと信頼が同じだけ混ざっている。自分がキャプテンとして何ができたのか分からない御幸と、それをとっくに認めている仲間たち。この温度差が、後の円陣の場面へとつながっていく。キャプテンを任されてからの一年、御幸は自分のやり方が正しいのかを問い続けてきたのだろう。その迷いを近くで見てきた仲間だからこそ、ようやっとるという短い言葉に、心からの労いを込めることができる。
スタッフの側では、守備力の高い麻生のスタメン起用や、成宮の配球の傾向が話し合われる。少ないチャンスをものにするには、バントや走塁、コーナーを織り交ぜた攻撃で揺さぶるしかない。春からずっと取り組んできた一球で決めるプレーを、今こそぶつけられる最高の相手だと考えよう。「我々が目指してきたのは全国制覇」という言葉に、指導者たちの覚悟もにじんでいた。
稲実の決起集会
一方の稲城実業も、決戦前夜を特別な時間として過ごしていた。夜のグラウンドに集まった面々は、これは大事な試合前の儀式だと言い張って決起集会を開く。山奥のグラウンドに毎日よく通ったと振り返る言葉からは、稲実の3年生たちが積み重ねてきた時間もまた、青道に負けないほど濃いものだったことが伝わってくる。
先輩から届いたメールには、3連覇を期待しているとあった。プレッシャーをかけてくれると苦笑しながらも、そこから逃げなかった先輩への信頼がにじむ。褒められると「死亡フラグみたいじゃん」とおどけつつ、「明日から毎日が伝説だから」と言い切る姿は、まさに王者そのものだ。3年連続の甲子園という重圧を背負いながら、それを楽しんでしまえる余裕こそが、稲実の強さなのかもしれない。去年の決勝で青道を破った王者は、今年も同じ場所で待ち構えている。青道だけでなく、稲実にも負けられない理由がある。どちらにも感情移入してしまう構成が、この決勝戦をさらに特別なものにしていた。てっぺんを取って絶対に監督を泣かせる、という宣言まで飛び出すあたり、稲実の3年生たちもまた、監督と共に歩んできた日々を大切にしているのだろう。
決勝の朝
決勝当日の朝、稲実打線のシミュレーションをしていたら全然寝られなかったと漏らす者がいれば、眠れないのは試合当日の日課だと答える者もいる。そこに現れたのは、気合を入れて頭を丸めてきた麻生だった。スタメンでレフトを任された麻生にとって、この決勝は特別な一戦になる。仲間たちにからかわれながらも、その姿には決勝にかける本気の思いが表れている。
舞台は神宮。気温は32度、スタンドは試合を待ちきれない観客で埋め尽くされている。じゃんけんの結果、青道が先攻、稲実が後攻に決まった。緊張しているのは3年生も同じで、3年になっても気持ちは高ぶり、楽しみですぐに目が覚めてしまうのだという。
「このチームはまだまだ強くなれる」
試合前、御幸は、キャプテンのもう一つの大きな役割として円陣を任される。久しぶりの王者の掛け声だ。御幸はその前に、どうしても言わせてほしいと前置きして、仲間たちに語りかけた。
キャプテンとして自分がチームに何をできたか、今でも自信がない。それでもこの夏もここまで来られたのは、みんながそれぞれ自立した心で野球と向き合ってきたからだと思う。「お前らと戦ってこれてよかった」「このチームはまだまだ強くなれる」。自信がないと正直に打ち明けたうえで、仲間への感謝を言葉にする。それこそが、前夜に仲間たちが認めていた御幸のキャプテンらしさだったのだろう。
そして響き渡る「俺たちが王者だ」。誰より汗を流したのは、誰より涙を流したのは。戦う準備はできているか。我が校の誇りを胸に、狙うは全国制覇。円陣で締めくくられる構成は、決戦前夜という副題にこれ以上なくふさわしい終わり方だった。昨年の雪辱を誓う青道と、3年連続の甲子園を狙う稲実。1年ぶりの再戦が、いよいよ始まる。円陣の声が神宮のグラウンドに高らかに響いた瞬間、この一年のすべてが決勝の一戦に向かって走り出したように感じられた。
試合のない一話が描いたもの
第14話には、試合のプレーそのものはほとんど出てこない。それでも少しも退屈に感じなかったのは、決勝という一試合に向けて、青道と稲実それぞれの選手やスタッフが積み重ねてきた時間を丁寧にすくい上げていたからだ。1年生の頃の回想、前夜のささやかな会話、眠れない朝、そして円陣。試合の前日にしか描けない感情が、一話の中にぎっしりと詰め込まれていた。
昨年の夏の悔しさを知っているからこそ、この決勝は青道にとって特別な意味を持つ。そして同じように、稲実にとっても負けられない理由がある。どちらが勝っても、どちらかの夏は終わってしまう。その残酷さを知ったうえで迎える決勝戦が、どんなドラマを生むのか。沢村と降谷のリレー、御幸のリード、そして成宮との対決から目が離せない。

















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