『目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので』第2話の副題は「少女・ミミ」。路地裏で悪漢に襲われていた少女ミミを救ったヒロは、行き場をなくした彼女をクリシュナのクルーとして迎える。「一人にしないから」という約束、宙賊の大規模討伐、そして惑星の上の一戸建てという目標まで、新しい仲間を迎えて物語が大きく動き出した一話を場面ごとに振り返る。




第2話の副題は「少女・ミミ」
『目覚めたら最強装備と宇宙船持ちだったので、一戸建て目指して傭兵として自由に生きたい』第2話の副題は「少女・ミミ」。交易コロニーのターメーンプライムで、悪漢に襲われていた少女ミミを救ったヒロ。両親を失い行き場をなくしていたミミを放っておけず、ヒロは彼女をクリシュナの新たなクルーとして迎える。宙賊の大規模討伐への参加、そしてヒロが見つけた人生の目標まで、物語が大きく動き出す一話だった。
「俺の船に乗ってもらうか」
ミミをどうするのかとエルマに問われ、ヒロは少し考えたうえで「俺の船に乗ってもらうか」と答える。放っておけと言うエルマの提案はあっさり無視された。相談料と称して後輩にたかるエルマに、ヒロが最低だと返すやり取りも、すっかり定番になりつつある。
エルマは、ミミが船で役に立つスキルを持っているのかと問いただす。身の回りの世話くらいしかできないだろうと突き放したうえで、ヒロをからかうようなことまで口にする。それに対してヒロは、立場をかさに着て関係を強要するのはどうかと思うと、はっきり線を引いた。力を持つ側が、弱い立場の相手にどう向き合うか。ヒロのこの姿勢は、第2話全体を通して一貫している。
ミミが背負っていたもの
ミミは両親と第二区画で暮らしていた。両親は酸素関係のインフラの仕事をしていたが、事故で二人とも亡くなってしまう。さらにその事故の責任を押し付けられ、賠償金のために学校を辞めることになった。働こうにも仕事はなく、払えなくなってこの場所に流れ着いたのだという。
ここから出た瞬間に逃亡扱いで手配書が回る、とエルマは冷たく現実を突きつける。それでもミミは「何でもしますから」「お兄さんの船に乗せてください」と必死に頼み込む。ヒロは、まともな仕事のないこの場所で放っておけばどうなるかは子どもでも分かる、と心の中でつぶやく。引き金を引いたときには、もう決めていた。その一言に、ヒロという主人公の優しさと覚悟が凝縮されていた。
ミミの賠償金は、締めて50万エネル。ヒロはそれを現金でまとめて支払ってしまう。傭兵らしいやり口だとエルマが感心する一方で、ミミの着替えを見つくろったエルマはちゃっかり請求書を送りつけ、「甘えんな」とヒロを突き放す。最後に「あとは頑張りなさい」「ニュービー」と言い残して去っていくあたりに、エルマなりの面倒見のよさがのぞいていた。
クリシュナでの新しい生活
「ありがとうのほうがいいな」
クリシュナに乗り込んだミミに、ヒロは部屋を用意する。細かい船のルールは後で教えるから今日はゆっくりしてくれ、ただしブリッジには勝手に入らないでくれ、と。色々とすみませんと謝るミミに、ヒロは「そこはありがとうのほうがいいな」と返した。これから一緒に生活するのだから、遠慮はなしでいこうと。
料理を手伝うと言うミミを座らせ、ヒロは自分で食事を作る。宇宙にいると筋肉が落ちるからとトレーニングに向かうヒロの日常は、どこまでも気取らない。最強装備を持つ傭兵が、まずはひとりの少女の居場所を作るところから始めるという流れが、この作品らしい温かさを感じさせた。
「一人にしないから」
ところがその夜、ミミはエルマの入れ知恵もあって、大胆な方法でヒロとの距離を縮めようとする。そんなつもりはないと言うヒロに、ミミは自分にできるのはこれくらいしかないのだと打ち明ける。そうすればヒロは自分を捨てたりしないと思った、それは打算なのだと。
両親を失い、借金を背負い、居場所をなくしたミミにとって、自分の価値を示す方法はそれしか思いつかなかったのだろう。そんなミミに、ヒロは「大丈夫だ」「一人にしないから」と約束する。ミミが本当に欲しかったのは、捨てられないという安心だった。この場面は、ミミの切実さとヒロの誠実さの両方が伝わってくるものだった。
「新人でーす」
翌朝、ヒロはミミの装備をそろえに店を回る。こんなに高価なものをと遠慮するミミに、ヒロは「ミミはうちのクルー」「必要経費だ」と言い切る。傭兵ギルドで新人として紹介されたミミを見て、15年も傭兵を続けているのにそんな出会いはないと嘆く先輩傭兵の姿には、思わず笑ってしまった。
ヒロはミミをオペレーターとして育てるつもりで、ギルドから教材ソフトを受け取る。ミミが少しずつクルーとしての居場所を手に入れていく過程が、丁寧に描かれていた。新しい服に身を包み、ギルドに登録され、教材で仕事を学び始める。ひとつひとつは小さな出来事だが、行き場をなくしていた少女にとっては、新しい人生の確かな始まりそのものだったはずだ。
宙賊の大規模討伐
生きて帰るための作戦
そこへ舞い込んだのが、宙賊の基地が見つかり大規模討伐が始まるという報せだった。作戦の指揮を執るのは、第1話でも登場したセレナ・ホールズ。小惑星帯に潜む宙賊を艦隊の砲撃で攻撃し、逃げる船を傭兵たちが追い詰めるという作戦だ。
ヒロは作戦の説明の場で、任意の撤退は認められるのかと質問する。死ぬまで戦えと後ろから脅されてはたまらない、と。セレナは、自分の名にかけてそのようなことはさせないと答えた。強さに慢心せず、退路を確かめてから戦いに臨む。ヒロのこの慎重さこそ、傭兵として生き残るための知恵なのだろう。さらにヒロは、宙賊が持っていた物資の所有権についても確認し、撃破した者のものになるという答えを引き出す。危険を避ける算段と、しっかり稼ぐ算段の両方を、作戦の前に済ませておく。ゲームで3000時間を過ごしたというヒロらしい、抜け目のなさが光る場面だった。
出撃前、ヒロはミミに仕事の確認をする。レーダー観測で敵と味方の動きを把握して注意を促すこと、通信手として情報を集め、船への通信に対応すること。そして最後にもう一つ、必ず生きて帰ること。初めての実戦に臨むミミにとって、何よりも心強い一言だった。
サーマルステルス
作戦が始まると、乱戦の中でヒロは次々と宙賊の船を落としていく。敵の中型艦に苦戦しているという報告を受けると、ヒロは正面から戦う必要はないと判断する。デブリだらけの宙域では通常のレーダーがほとんど役に立たず、代わりに熱源センサーが使われる。そこでジェネレーターを最低限まで弱め、捕捉されにくくして敵に近づいたのだ。
ゲームではサーマルステルスと呼んでいた技が、この世界でも通用する。ゲームで培った知識を、現実の戦場で冷静に使いこなすヒロの戦い方は、まさにこの作品の醍醐味だ。敵の9割が沈黙し、作戦は終了する。
ミミの初陣
この戦いは、ミミにとって初めての実戦でもあった。レーダーを見ながら敵の動きを伝え、撃墜を報告し、戦況が味方に優勢であることを知らせる。少し寒くなるけど我慢してくれと言われ、ジェネレーターを絞った船内で、ミミは懸命に自分の役目を果たそうとしていた。敵の中型艦を落としたヒロに思わず感嘆の声を上げる姿からは、怖さよりもヒロへの信頼が伝わってくる。
前の晩、自分にできることはこれくらいしかないと打ち明けていたミミが、翌日にはオペレーターとして戦場に立っている。ミミが自分の居場所を、自分の力で手に入れ始めた瞬間でもあった。ヒロがミミに求めていたのは、最初からこういう形で隣にいてくれることだったのだろう。
白い流星
作戦終了の直後、戦場に一隻の船が暴走しながら突っ込んでくる。高速移動に特化しているが扱いが難しすぎて、多くの乗り手が流星となって消えていったという、白い流星の異名を持つ船だった。制御が効かないと叫ぶその声に、ヒロたちは聞き覚えがあった。
第1話から先輩風を吹かせていたエルマが、思いがけない形で派手に自滅してしまう。救助のあとに請求を、と淡々と指示が出るあたりも含めて、エルマの残念さが際立つ場面だった。
惑星の上に一戸建てを
守るものができた
軍からの報酬と宙賊の賞金、回収した物資で、ヒロは大きく稼ぐ。欲しいものはあるかと尋ねるヒロに、ミミはもう十分よくしてもらっていると答え、逆にヒロの目標を尋ねた。
適当に面白おかしく生きられればよかったが、守るものもできた。どこかに落ち着ける場所が欲しい。そう考えたヒロは、宇宙空間では無重力や気圧の関係で炭酸がだめだという話を思い出し、「決めた」と宣言する。惑星の上に、庭付きの一戸建てを買うのだと。壮大な目標の理由が、炭酸を飲みたいからという肩の力の抜け方が、この作品らしくて楽しい。命を張った戦いのあとで、楽しそうに稼ぎを数えるヒロの姿も、どこか憎めない。
それでも、その目標の根っこには、ミミという守るべき存在ができたことがある。自由に生きたいと願っていたヒロが、誰かと一緒に暮らす場所を求め始めた。タイトルにもある一戸建てという目標が、ここで初めてはっきりとした意味を持った。
路地裏のエルマ
物語の最後、音のない場面で映し出されるのは、裏路地の暗い場所で壁にもたれて座り込み、酒を瓶ごとあおって酔っているエルマの姿だった。自滅した船の損害や請求を前に、何を思っているのだろうか。ヒロとミミの明るい未来と、ひとり酒をあおるエルマの対比が、静かで印象的な余韻を残す締めくくりだった。
先輩として振る舞いながら、どこか危なっかしいエルマ。そんな彼女がこの先ヒロたちとどう関わっていくのかも、気になるところだ。少女ミミを迎えたクリシュナの旅は、ここから本格的に始まっていく。第1話ではヒロとエルマの掛け合いが中心だったが、第2話でミミが加わったことで、船の中の空気はぐっと柔らかくなった。誰かのために稼ぎ、誰かと一緒に暮らす場所を目指す。最強装備を持つ傭兵の物語は、思っていた以上に温かい方向へ進み始めている。ミミがオペレーターとして成長していく姿と、ヒロが一戸建てに近づいていく道のりを、これからもじっくりと楽しみに見守っていきたい。












































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