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六美の指示で百を追う凶一郎と太陽。太陽の拳は一度は届くものの、百との実力差は歴然だった。さらに桜坊に阻まれて百を取り逃がした凶一郎のもとに、スパイ協会会長・出雲灰から呼び出しがかかる。ゴールドランクが集う会議で突きつけられたのは、夜桜家追放の要望書だった。0点の採点、凶一郎を鎮めた灰、そして百の宣戦布告まで、第41話を振り返る。




作戦41「金級会議」は百の暴走が夜桜家を追い詰める回
『夜桜さんちの大作戦』第41話「金級会議」は、逃走する百を追う凶一郎と太陽の戦いから始まり、スパイ協会のゴールドランクが一堂に会する会議、そして百による協会への宣戦布告までを描いた回だった。家族を愛していると言いながら、その愛でいちばん家族を追い詰めているのが百自身だという皮肉。夜桜家が外の世界からも追い詰められていく展開に、物語が大きく動き出したことを感じさせる一話だった。
長男と婿との鬼ごっこ
六美の指示で百を追う凶一郎と太陽。百は涙を浮かべながら、「頼もしい婿までいる この幸せ!」と喜ぶ。家族がまた一つになったら、キャンプに温泉にゲームに、と遊びの予定を並べる姿は無邪気そのもので、だからこそ不気味だった。凶一郎は、太陽の体から出た花の成分を編み込んだ自分の糸が奴を斬ったと見抜き、お前の拳は奴に届くと太陽に託す。物理攻撃の通らない百に対抗できる唯一の手段として、太陽の存在がいかに大きいかが示された。
太陽の拳はついに百を捉える。「義理の親を殴るなんて…」とおどけてみせる百だが、そこからの反撃は一方的だった。予備動作が大きすぎる、八重は近接に弱い、ナイフの隠し場所が安易、空中動作も緩慢。次々と減点を告げ、格上を制圧したいなら殺しもやむなしで臨むべきだと言い放つ。そして「0点だ 100点満点中な。」。太陽の戦い方を冷静に採点する百の姿は、父親の顔をした教官のようでもあり、底知れない実力差を見せつけるものだった。それでも、百の指摘はどれも的確で、太陽の課題をはっきりと示してもいる。敵からの採点がそのまま成長の手がかりになってしまうところに、百という父親の厄介さと、太陽がこれから越えなければならない壁の高さが表れていた。
俺も採点してくれ、と迫る凶一郎には、いつだってほぼ満点のお前だからこそ正確に評価したい、だからまた今度じっくりと、とかわす。息子への愛情と、相手にしていない余裕。その両方がにじむ言葉が、百という男の厄介さをよく表していた。
桜坊と愛は必ず勝つ
そこへ現れたのが、前回の巨大な化け物だった。私は天才だ、大抵のことは一人でできるが、それでも手駒はあればあるほど便利だ、と百は語る。つぼみの体を利用して生み出された従順な弟たち。その愛らしい姿から「桜坊と名付けた。」。桜坊はまだまだ増え、ソメイニンがどんどん集まり、零が完全によみがえる。お前たちはずっと苦痛と悲しみの中を生きてきた、だから父として教えてやる、と語る百の言葉は、どこまでも自分の正しさを疑っていない。
そして百は高らかに宣言する。「愛は 必ず勝つ!」。その言葉に、太陽は真っ向から答える。六美は家族を守るためにあなたと戦うと決めた。「だから 俺も あなたと戦う。」。家族を守るために。婿として夜桜家に入った太陽が、六美の決意をそのまま自分の決意として口にする場面は胸が熱くなった。根性だけは上出来だな、と百は言い残し、桜坊を盾に逃げ去ってしまう。
スパイ協会の金級会議
会長・出雲灰からの呼び出し
桜坊を破壊して六美のもとへ戻ろうとする凶一郎に、スパイ協会会長の出雲灰から電話がかかる。俺は今、六美と10分以上離れてすこぶる機嫌が悪い、切るぞ、と凶一郎は取りつく島もない。けれど灰は、四怨から報告は受けている、そのことで話したいからすぐ協会に来てくれと告げる。それは六美に関係があるのか、と尋ねる凶一郎に、あんた何でも六美ちゃん基準だよね、と返す灰。関係ならある、という一言で、凶一郎は即座に向かうことを決める。
協会には太陽も呼ばれていた。俺は関係ないんじゃ、と戸惑う太陽に、僕が指名したんだよ、と灰。そこへ現れた二刃の「大丈夫だったかい?」に、六美たちは無事に家に着いたと聞いて、太陽もひと安心する。会議の前には、ゴールドランクたちの濃すぎる顔ぶれも次々と登場する。辛三の体つきに目を輝かせて触れようとする者もいれば、二刃に抱きつこうとする幼なじみもいる。「触らないでください」と困り果てる辛三の姿には思わず笑ってしまった。
百チャンネルと追放の要望書
10人のゴールドランクがそろうのは珍しい、という会議で最初に流されたのは、闇の動画サイトに数時間前に投稿された動画だった。「子どもたち 元気か~?」と手を振る百。父さんの頑張りを見てもらいたくてチャンネルを作ってみました、と語り、スパイ協会のシルバーランク、ブロンズランク合わせて100名を肥料にしたと明かす。裏社会の人間はいくら消費しても誰も悲しまないのがエコでいい、という言葉の軽さに、背筋が寒くなった。動画のコメント欄にアンチ夜桜の書き込みがあふれているのも、皮肉の効いた演出だった。
行方不明者が続出し、実行犯が自ら犯行と動機を公開している。もともと九代目の夫として有名だった男の暴走で、夜桜家へのマイナスイメージは瞬く間に広がった。そしてとうとう、政府と警察に協会の一部を加えた連盟から、夜桜家の協会からの追放を求める要望書が提出される。夜桜家はいわば一つのスパイ組織であり、組織の不始末は組織で尻拭いしろ。過半数の賛成があり次第、共有資産の凍結が決まる、という厳しい内容だった。
凶一郎と灰
荒れる会議
ゴシップ誌の編集長でもあるゴールドランクは、スパイ名門一家のスキャンダルはすっごくそそられる、と追放に賛成する。一方で、二刃の幼なじみは、悪いのは百で二刃たちは関係ない、と真っ向から反対し、会議はいきなり決闘寸前の空気に。けれど本当の問題はここからだった。スパイ協会が夜桜の処遇を決めるとは面白い冗談だ、と凶一郎が静かに怒りを燃やす。夜桜家とあの男を同一視するとはあまりに愚かな判断だ、いたずらに夜桜追放を支持するなら相応の代償を払ってもらおう、と鋼の糸を張り巡らせる姿は、まさに最凶のスパイだった。兄妹たちが止めに入っても、凶一郎の怒りは収まらない。六美と家族を守るためなら、協会ひとつ敵に回すことも辞さない。その覚悟の深さが、かえって会議の空気を凍りつかせていた。
その糸を一瞬でほつれさせたのが、会長の灰だった。手が荒れているね、糸の食い込みがいつもより深い、共闘する家族を気遣った優しい糸使いの後だ。任務前の香水も一振り多い、六美ちゃんの好きなベルガモットだ。家族の問題に挑もうとする長男としての意気込みまで見抜き、理不尽への怒りはわかる、でも無駄な禍根を残して凶一郎の努力がふいになるのは嫌だ、と語りかける。言葉だけで凶一郎を鎮めた灰の観察力と、凶一郎への深い理解に、会長としての器の大きさを感じた。
3日以内の確保
落ち着きを取り戻した凶一郎は、一つの提案をする。百の確保はもともと既定路線、外野の雑音は封じておきたい。であれば、最速で百を捕らえればいい。具体的な期間を問われて3か月くらいかと思われたところへ、凶一郎は言い切る。3日以内に百の身柄を確保する、それならば文句はあるまい。いくらなんでもそんな短期間では、という声をよそに、面白いじゃん、やってみろよ、と乗ってくるゴールドランクたち。要望は3日後の期日まで保留となり、ひとまず会議は収まった。
百の宣戦布告
協会本部の爆弾
ところが、ゴールドランク限定のメッセージとして、百からの新たな動画が届く。この度は本当に申し訳ありませんでした、と涙ながらに謝罪したかと思えば、夜桜家への理不尽な弾圧は今すぐやめてください、さもなくば、と一転して脅しに変わる。桜坊がぎゅっと寄り集まったエネルギー体、いわば爆弾を協会本部に仕掛けた。爆発は約1時間後、半径100メートルが跡形もなくなる。謝罪どころか、まるで犯行予告だった。夜桜家に横やりを入れる者は昔から存在する、安全圏から見ているつもりだろうが私からも見えている、私の子どもたちに手を出すことは決して許さない。父親としての怒りを語る百の言葉は、もはや家族への愛というより執着そのものに聞こえた。
協会は街の地下に大きくまたがって存在する。地下鉄駅の壁の向こう、デパートのエレベーターの真下、よくあるマンホール。つまり協会は一般社会のすぐ裏にある。そこに爆弾を仕掛けたということは、社会全体を巻き込む無差別攻撃だ。止められなければ犠牲者に加え、協会の存続も危うくなる。家族のためと言いながら、家族の居場所ごと壊そうとする百のやり方には、怒りを通り越して恐ろしさを覚えた。協会に確認を入れても、職員からは何も変わりはないという答えが返ってくるだけ。侵入者の情報もなく、あの見た目にもかかわらず誰にも気づかれていないということは、桜坊は擬態している。混乱を敵に利用されないよう状況は伏せたまま、施設の出入りは自由にして、怪しい者を見つけ次第確保する。灰の判断は冷静そのものだった。限られた時間の中で、太陽たちの新たな任務が始まろうとしていた。残り57分、協会潜入作戦が幕を開ける。
第41話のまとめ考察
愛を語る父と家族を守る者たち
第41話を通して描かれたのは、愛という言葉の危うさだった。百は家族を愛していると繰り返し、零の復活と夜桜家の再生のために動いている。けれどその行動は、六美たち兄妹を苦しめ、夜桜家を社会から孤立させていく。愛は必ず勝つと言う百と、家族を守るために戦うと言う太陽。同じ家族という言葉を使いながら、二人が見ているものはまったく違っていた。
そして今回、凶一郎を止めた灰の存在も印象的だった。夜桜家の外にも、凶一郎の努力を見ていて、それを無駄にさせたくないと思ってくれる人がいる。家族の中だけで戦ってきた夜桜家にとって、ゴールドランクという外の仲間がどう関わっていくのかも、この先の見どころになりそうだ。残り57分の協会潜入作戦で、太陽たちは百の野望をどこまで止められるのか。家族を守ると決めた太陽の拳が、今度こそ百に届く瞬間を見届けたい。




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