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第10話の副題は「聖女試験」。姉のフローラが最後に口にする望みは、妹にとって一生のトラウマであり続けることだ。ところが妹のカロリーナは、回の冒頭で姉に会っても意外と普通だったと言っている。姉がいちばん望んでいるものは、始まって三分で失われていることになる。試験のほうも、二人とも聖女になるために戦ってはいない。点を目的にしていない二人が、そのまま点数表の1位と2位に並ぶ。




姉に会っても、何も起きなかった
第10話は、選定試験のあとの状況説明から始まる。カロリーナはマルコシアス帝国の代表となり、セレスティア王国の代表は姉のフローラに決まっている。
会場入りの前にエドが気づく
エドの第一声が「寒いのか」で、顔色が良くないと続く。返事が「大丈夫、もうすぐ聖女試験が始まるから緊張しているだけ」で、体調の話が緊張の話に置き換えられている。
試験は結婚式と同じ形で世界に流れる
補足として入るのが「お二人の結婚式の時と同様、魔道具を通して世界中に中継されます」だ。第4話の結婚式で使われた仕掛けが、今度は姉妹が並ぶ場に持ち込まれている。エドの返しは「さらに緊張させてどうする」だ。
姉が名前を呼ぶのは一度だけ
行き合ったフローラの言葉が「久しぶりねカロリーナ」「会えてとても嬉しいわ」「いつも妹がお世話になっております」だ。名前で呼ぶのは最初の一度だけで、あとは「妹」という呼び方に置き換わる。
カロリーナはその笑顔を見分けている
内心が「いつものあの笑顔のお姉さまだわ」で、そのあとに「でもエドには通用しないみたいね」が続く。笑顔の中身を知っている人間が、それを知らない相手には効かないところまで見ている。
再会は通せんぼでもあった
帝国側の返しが「ご家族との再会に水を差すようで申し訳ありませんが、我々は先を急いでおりますので、道を開けていただけると幸いです」だ。やわらかい言い方だが、中身は姉が通り道をふさいでいたという指摘になっている。フローラは「妹との再会についに舞い上がってしまって」と応じて下がる。
何も起きなかったことを本人が確かめる
エドの「大丈夫か」への返事が「平気よ」で、そのあとに「お姉さまに会えば、もっといろんな感情が湧き起こるかと思ったけど、意外と普通だったわ」が続く。理由として本人が挙げるのが「そばにエドがいてくれるおかげね」だ。
前日の風景が、この日の理由を先に置いている
場面はいったん前日に戻り、カロリーナが治療の練習をしているところが映る。
治療の礼を礼として受け取らない
傷が跡形もなく消えた相手が礼を言うと、返事が「治療の練習ができて、私の方こそありがたいわ」だ。助けた側が、助けられた側に感謝を返す形になっている。
今回は手加減がいらない
側近の見立てが「明日の聖女試験では神聖力の手加減をする必要がありませんので、選定試験よりは気が楽なのでは」だ。第8話で出された「選定試験では手加減をお願いします」という注文が、この回でようやく外れている。
それでも練習をやめようとしない
カロリーナの返事は「ええ、でも気を抜かずに頑張らなくちゃ」で、そのまま次の練習に入ろうとする。止めるのはエドのほうで、言い分が「頑張るのはいいが、休むのも大事だぞ」だ。
その場の全員が同じ側に立っている
「エドワードの言うとおりだよ」に続けて出るのが「カロリーナの神聖力の凄さは私が保証する」だ。締めが「エドワードだけじゃなくて、みんなが君を応援しているよ」で、部屋にいる全員が同じ側に並べられている。
ローブを褒める言い方
試験用のローブを羽織ったカロリーナに、エドが「よく似合ってる」「お前のためにデザインされたかのようだ」「本当に美しい」と重ねる。礼を言われたときの返しが「礼を言う必要はない」「俺はただ思ったことを口にしただけだ」だ。
開会式で規模と事情が示される
会場では「以上23名が今回の聖女候補になります」と読み上げられる。教皇の言葉も「短期間で聖女試験を開催できたのは皆のおかげだ」で、この試験が急ごしらえであることを主催者の側が認めている。
試験は「洗濯、もとい浄化」から始まる
候補者には三つの試験が課されると告げられ、第一試験の中身が明かされる。
司会が言い直す
説明が「これらのタオルの洗濯、もとい浄化をしていただきます」だ。神聖力を測る場の一つ目が、家事の言い換えとして口に出されている。
採点は一枚一点
制限時間は15分で「汚れたタオルを1枚浄化するごとに1点」と決まっている。力の質ではなく、枚数だけで並べる方式になっている。
カロリーナは条件をもう一度確かめる
開始直後の内心が「力を加減しなくてもいいのよね」だ。手加減という前提が外れたことを、始める瞬間に本人が言い直している。
周囲の反応は一言で済まされる
見ていた側から出るのが「普通の浄化魔法じゃないぞ」だ。説明ではなく、常識の外に出たという一行だけで処理されている。
薬は、行き先が決まっていなかったほうの玉だった
フローラの側にも回想が置かれる。ジョナサン大司教がまだ捕まる前のことだ。
呼び出したのは大司教のほう
場所は国境近くの店で、フローラの第一声が「要件は何でしょう、ジョナサン大司教」だ。返事が「名を出すな」「私は今、帝国に目をつけられているんだ」で、渡す側がすでに追われている。
渡されたのは魔力を増幅させる薬
説明が「魔力を増幅させる薬だ」で、第8話でモニカに渡されたものと同じ種類になる。第8話の大司教は「モニカ嬢が失敗した時のために」よりリスクの高いほうを手元に残しており、渡す相手はまだ決まっていなかった。
目的はフローラを勝たせることではない
大司教が挙げた理由が「カロリーナ・ルビー・マルティネスが選ばれるのを阻止したいのだ」だ。そのあとに付く「これさえあれば妹に勝てるかもしれんぞ」は、目的ではなく誘い文句のほうになっている。
薬はすでに手元にあった
受け取るときの言葉は「一応、いただいておきます」で、欲しがって取りに行ったわけではない。この受け渡しは大司教が捕まる前の出来事なので、第9話で「たとえ禁忌に触れることになるとしても」と決めたとき、その手段はもう手の中にあったことになる。
飲んだ判断を本人は正解だと思っている
妹の浄化を見たフローラの内心が「あれを飲んでおいて正解だったわね」だ。薬に手を出したことを、この時点では自分でうまくいったほうに数えている。
副作用は試験の最中に出ている
回想が終わると、フローラの内心が「体のあちこちが悲鳴を上げている」に戻る。それでも出るのが「ここで引き下がるわけにはいかない」「どうなろうとカロリーナには絶対に勝つ」だ。
同じ薬で負けた人を視聴者は先に見ている
第9話では、モニカが同じ大司教から受け取った薬を試験の最中に飲み、それでも敗れている。薬を飲んでも届かない場面を一週前に見せておいてから、同じ手を姉に持たせている。
318枚と79枚
第一試験の結果が順位とともに読み上げられていく。
フローラは4位だった
発表が「第4位は、セレスティア王国の聖女候補、フローラ・サンチェス公爵令嬢」「浄化したタオルの数は79枚です」だ。薬に手を出したうえでの順位が、候補者23人の中の4位になっている。
カロリーナの数字は桁が違う
1位の発表が「浄化したタオルの枚数はなんと318枚」だ。姉のおよそ4倍の枚数が、手加減を外した最初の日の数字になる。
怒っているのは本人ではない
「どうしました、そんなしかめ面で」と聞かれたエドの答えが「リーナをいじめていた女が愛嬌を振りまいているんだ」「気分がいいわけがない」だ。本人が「意外と普通だったわ」と言った相手に対して、隣にいる人間のほうが腹を立てている。
笑顔の評価は帝国側でも一致する
続く一言が「表裏があるようにはとても見えない笑顔ですね」「あれには周囲の人間も騙されたことでしょう」だ。カロリーナが「いつものあの笑顔」と呼んだものが、外から見ても同じ結論になっている。
心配されることが、侮辱になる
第二試験は治療で、聖騎士の怪我を癒す。会場の広さの都合で、前半と後半の二組に分けて行われる。
点数は怪我の重さで分かれている
白は軽度の擦り傷で1点、青は生活に困らない程度の怪我で3点、赤は「神官たちにも治せなかった治療が困難なもの」で10点になる。腕輪を渡すかどうかを決めるのは採点者ではなく、聖騎士自身が完治したと判断したときだ。
フローラの治療はきちんと効いている
治療を受けた聖騎士の反応が「本当だ、痛みがない」「すごい、傷跡も全くない」だ。薬に頼って臨んでいても、目の前で人が一人治っていること自体は変わらない。
治した相手から心配される
腕輪を渡しながら聖騎士が言うのが「あの、大丈夫ですか」「かなり顔色が悪いようですが」だ。フローラの返しは「ちょっと貧血気味なだけですのでお気遣いありがとうございます」で、礼の形にして会話を閉じている。
二度目も同じことが起きる
三人まとめて治したあとにも「お体の具合が悪いのですか」と聞かれる。断ったあとに続く内心が「この体は持つのかしら」で、聞かれたことのほうが当たっている。
心配を侮辱として受け取る
そのあとに出るのが「試験中に人の心配」「私をバカにするのも大概にしてちょうだい」だ。気遣いを、余裕のある側から見下されたこととして読み替えている。
体を保たせたい期間の終点
続く独白が「もう自分の命に執着などないけれど、できることなら聖女試験が終わるまで持ってほしい」で、理由が「カロリーナの存在すべてを、私のすべてで否定するまでを」だ。持たせたい期間の終わりが、勝利ではなく否定に置かれている。
妹もまったく同じことをしている
場面が変わってカロリーナの内心が「姉さま大丈夫かしら」「相当体調が悪いようだったけど」だ。姉がバカにされたと受け取ったのと同じ心配を、妹も同じ形で向けている。
カロリーナが落ちたくない理由
後半の部に入る前の内心が「もし試験に落ちたら、エドたちの努力が無駄になってしまう」「それだけは絶対に避けなければ」だ。聖女になりたいという言い方は、ここでも一度も出てこない。
治療の効果は生活の側で語られる
治った聖騎士たちの言葉が「視力が戻ることはもうないって言われたのに」「これでもう一度剣を握れる」「これでまた神にお仕えすることができるのですね」だ。数えられているのは点ではなく、その人が戻れる場所のほうになっている。
本人は点を数えていない
カロリーナの内心が「本部に所属する神官が治療できなかった大怪我」「試験に関係なく彼らの力になってあげたい」だ。採点上いちばん高い赤い腕輪を、採点と切り離した理由で選んでいる。
周囲は先に見抜いている
観戦している側の見立てが「もしかしたら妃殿下は、赤い腕輪の者たちを全員治すつもりかもしれません」で、エドが「もしかしたらじゃない」「絶対に全員治す気だ」と足す。根拠として挙げられるのが技量ではなく「リーナは優しいからな」だ。
時間切れでも手を止めない
「そこまでです」「皆さん手を止めてください」と言われても、カロリーナは残った相手への祈りを続ける。「時間外の治療はカウントされませんから」への返事が「ありがとうございます」「よかった」で、注意された内容とかみ合っていない。
結果は30人全員が赤
第2位はフローラで青が1個と赤が12個、第1位はカロリーナで「治療した聖騎士の数はなんと30人」「しかも全員赤い腕輪でした」だ。点を数えていなかった側の数字が、点を取りに来た側の倍以上になっている。
「ちっぽけで滑稽な復讐」
第三試験の準備が始まり、会場には見慣れないものが運び込まれる。
今度は泥水ではない
見ていた側の反応が「なんだあれは」「今回は泥水ではないんですね」で、「最終試験に用いるんだ」「きっと並大抵のものじゃないだろうね」と続く。中身の説明より先に、難度だけが告げられている。
中身は宝探しだった
説明が「水槽の中にあるペンダントを探し出し、外に出す速さを競っていただきます」だ。水槽のインクは「浄化魔法が効きにくい仕様」で、衣装や体に付いた場合は染みの大きさに応じて減点される。
カロリーナの方針は一行で決まる
内心が「それなら一気に全て浄化して透明にしてからの方が安全ね」だ。効きにくいと言われた条件を、量で押し切る前提のまま読んでいる。
フローラは効率のいい手を捨てる
内心が「本当はどこにあるのかを探って効率よく取り出したい」で、そのあとに「でもそれでは絶対にあの女に負けてしまう」が続く。安全に点を取れる手ではなく、勝てない相手に届く可能性のある手のほうを選んでいる。
妹の心配を先回りして止める
フローラが正面から言うのが「ご心配には及びませんわ、カロリーナ妃殿下」だ。この回で二度はねのけた心配を、三度目は相手が口を開く前に断っている。
聖女になる望みは自分で消している
理由の説明が「今さらどう足掻いても、私や他の候補者が聖女になることはありえない」だ。試験の途中で、目標そのものを本人が取り下げている。
狙いは肩書きを一つ削ること
続くのが「ならせめて第三試験の1位だけでも手にしたい」「そうすれば、全試験1位で通過した天才聖女という肩書きを、私の手で奪える」だ。勝ちたいのではなく、相手に付く言葉を一つ減らしたいという話になっている。
自分の復讐を自分で値踏みする
締めが「完璧令嬢と呼ばれた私の」「ちっぽけで滑稽な復讐よ」だ。第7話の副題に使われた呼び名を自分で持ち出したうえで、その持ち主の行いを自分で小さいと言い切っている。
試験が始まると、先に声のほうが届く
制限時間20分の合図のあとに入るのが「もうすぐそちらに行きます」だ。宝を探しに行くより先に、相手のほうへ向かうという中身になっている。
その気遣いを姉は罵倒で受ける
フローラの内心は、その相手を「お人よしで鬱陶しい女」と呼ぶ。続くのが「私のことなんて放っておいてさっさと取り出せばいい」で、この回で三度目の心配もはねのけられる。
最後の一行が姉の望みを明かす
締めくくりが「こっちは一生のトラウマになればいいと思っているのに」だ。ところが妹は回の冒頭で「意外と普通だったわ」と言っており、姉がいちばん望んでいるものは始まって三分で失われている。




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