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雪崩から帆稀をかばい、高熱で倒れてしまった四季。人質に取られた遊摺部、思うように動けない仲間たち。羅刹学園の雪山修行は、印南と猫咲という二人の非常勤講師の前で、生徒たちそれぞれの弱さを映し出していく。人質の遊摺部を救うロクロと漣、帆稀が初めて語った姉との過去、そして姉と並んで歩くことを選んだ帆稀の一歩まで、第2話を場面ごとに一つずつ振り返る。




雪山に残された二人
『桃源暗鬼 ~日光・華厳の滝編~』第2話は、雪山の修行のなかで屏風ヶ浦帆稀が自分の過去と向き合う回だった。印南に立ち向かうロクロと漣、変身で生徒を揺さぶる猫咲。それぞれの戦いが進むなか、高熱で倒れた四季を前に、帆稀はずっと胸にしまっていた姉への思いを打ち明ける。最後に彼女が選んだのは、姉と並んで歩く道だった。
高熱で倒れた四季
雪崩から帆稀をかばった四季は、ひどい熱を出して倒れていた。大丈夫だったかと気づかう四季に、大丈夫でした、一ノ瀬さんのおかげで、と答える帆稀。けれど、そのまま意識を失ってしまった四季を前に、帆稀は、私がなんとかしなくちゃ、と自分に言い聞かせる。いつもなら誰かの後ろに隠れていた彼女が、初めて自分が動かなければならない場面に立たされていた。
一方で無陀野は、生徒たちの様子を見守りながら、ここで踏ん張れるかどうかが分かれ道だと口にしていた。無理と判断したら自分も動く、という言葉からは、突き放しているようでいて、生徒たちをきちんと見ている教官の姿が伝わってくる。助けに入らず、生徒自身に乗り越えさせる修行の厳しさが、冒頭からはっきり示されていた。
人質にされた遊摺部
前回、印南に捕まった遊摺部は、まだ囚われたままだった。この少年を救いたければ立ち向かってこい、と迫る印南に対して、ロクロの口から出たのは、よし、置いていこう、というまさかの一言。泣き叫ぶ遊摺部に、泣くな少年、君は一つ大きな経験をした、と真顔で語りかける印南のやりとりには、思わず吹き出してしまった。
けれど、かわいそうだよ、という声を受けて、漣は優しいダーリンのためにひと肌脱いでやるかな、と前に出る。シリアスな状況のなかに、こうした軽妙な掛け合いが差し込まれるのが、この作品らしいところだ。緊張と笑いの切り替えの速さが、雪山の戦いを重くしすぎない。
印南の教えとロクロの覚悟
漣とロクロは、二人で印南に挑むことになる。ただ、その戦いは単なる力比べではなかった。印南は戦いながら、まるで授業のように、生徒たちに言葉を投げかけていく。
欠点は人と人との架け橋
人生、自分の得意なことばかりではない。大事なのはそうであると理解すること、そして欠点を補い合える存在を見つけること。欠点は見方を変えれば人と人との架け橋になる。印南の言葉は、二人の関係そのものを言い当てているようだった。
頭痛もするし病気かも、と尻込みするロクロに対して、お前は何もしなくていい、私が全部面倒見てやる、と言い切る漣。弱気なロクロと、その弱さごと引き受ける漣。正反対の二人だからこそ成り立つ組み合わせなのだと感じた。
僕だけの時間
けれど、女の子一人に戦わせてかっこ悪いと思わないの、と言われたロクロは、かっこ悪いなんて心外だな、と立ち上がる。ありがとう、あとは任せて、と漣に告げ、「ここからは僕の時間」「いや」「僕だけの時間だ」と言い直す姿には、いつもの弱気な彼とは別人のような迫力があった。
印南は、君は靴底だ、と語りかける。一歩一歩足を進めて高みに登る、そうやってすり減った靴底の塵が君の汗だ、きれいな靴底のままじゃ前に進めないだろう。独特なたとえだけれど、すり減ることを恐れずに進めという励ましとして、胸に残る言葉だった。
第一優先はゴール
ロクロの一撃で隙が生まれた瞬間、二人は遊摺部を連れて逃げ出す。嘘ついてすみません先生、けど僕らの第一優先はゴールすることなので。正面からぶつかるふりをして、目的を見失わなかったロクロたちの判断が見事だった。
出し抜かれたはずの印南は、「けど それでいい!」と言い切る。目標を見失わず前向きに進む姿勢、協力して立ち向かう心意気、若者はそうやって成長していくもの。生きるとは成長し続けることなのだ。生徒の成長を心から喜ぶ印南の姿に、彼がなぜ壁役を買って出たのかが見えた気がした。
猫咲の揺さぶり
別の場所では、猫咲もまた生徒たちの前に立ちはだかっていた。触れた相手に変身する能力を持つ猫咲は、そのストックを使い切るほどの勢いで生徒たちを翻弄していく。
仲間の姿をした敵
仲間の姿に変身して襲えば、本物か偽物か必ず迷いが生じる。猫咲の戦い方は、力で押すのではなく、相手の心のすきを突くものだった。こんな修行じゃ強くなれねえと反発する声と、仲間に迷惑かけんな、と突き放す言葉。仲間をどこまで信じられるかが試される場面になっていた。
気が高ぶってて分かりやすかったな、もっと内に秘めろ、という言葉も印象的だ。戦いのなかで欠点を突きつけながら、最後には見逃してあげましょう、と引いてみせる場面もあった。非常勤講師たちは、生徒を倒すためではなく、鍛えるためにそこにいるのだと改めて感じた。
帆稀が語った過去
帆稀の看病で、四季はようやく目を覚ます。ここまで運んでくれたのかと驚く四季に、帆稀はうなずく。時間はかかってしまったけれど、彼女は一人で四季をここまで連れてきていた。
自分を責め続ける帆稀
お前がいてくれてよかったよ、と言われても、帆稀は、もともと私のせいでこうなったんですし、と自分を責める。足を引っ張ってばかりで何もできない人間です。そんな帆稀に、こんなに頑張ってて超立派じゃん、なんでそんな自分を卑下すんだよ、と四季はまっすぐに問いかける。
帆稀の答えは重かった。私は全然立派じゃありません。姉一人救えない上に、一般人を殺した最低な人間です。彼女の自己否定の根っこにあった過去が、ここから語られていく。
言葉の針から守ってくれた姉
14歳の帆稀の耳に入るのは、家族からの心ない言葉ばかりだった。そんな日々のなかで、いつも彼女の前に立ち、言葉の針から守ってくれたのが、姉の澄玲だった。大丈夫、お姉ちゃんがいるから。その一言が、幼い帆稀にとってどれほどの支えだったかは想像に難くない。
家を借りられる年齢になったら、家を出て一緒に暮らそうね。「帆稀とならどこでも」と笑い、風呂とトイレは別の家がいい、と夢を語る姉。私もバイトたくさんする、と言う帆稀に、帆稀が学校に行って普通に楽しく過ごしてくれるほうがお姉ちゃんはうれしいな、と返す。妹の未来を誰よりも大切に思う姉のやさしさが、画面からあふれていた。
あの日まで
お姉ちゃんが大丈夫って言ったら、本当に全てが大丈夫な気がしていた。あの日までは。帆稀の語りは、そこで一変する。ある日、姉妹は大人たちの悪意にさらされ、姉を助けなければと思った瞬間、帆稀は鬼になった。その後のことは覚えていない。無陀野に出会うまで、身を隠して生きてきたのだという。
あの巨人は姉なのだと、帆稀は打ち明ける。あの姿は怒りの現れ、助けられなかった自分や、すべてのことに対する怒りが、姉をあんな姿にしたのだと。けれど四季は、そんなんじゃねえだろ、と言い返す。姉ちゃんは今でもお前を守ってんだろうが、死んだ後もずっと。帆稀が怒りだと思い込んでいたものを、守る力だと言い換えたこの言葉が、物語を大きく動かしていく。
姉と並んで歩く道
そこへ、二人を見つけた追っ手が迫る。熱でまともに動けない四季を抱え、帆稀は追い詰められていく。やっぱり私なんかじゃ、とくじけかけた彼女の前に現れたのは、姉だった。
横一列で歩いていこう
私がいつあんたを恨んでんのよ、怒ってんのよ、言ってみなさいよ。そう言い放つ姉に、だってあの時私、助けられなかった、と帆稀は涙を浮かべる。姉は、帆稀から自信を奪ったのは私かもね、と静かに語る。ずっと前に立って手を引っ張ってた、それが姉の役目だと思ってたけど、帆稀が一歩踏み出す邪魔をしてたのかな。
「だったら自信持ちな!背筋伸ばせ!」「これからは横一列で歩いていこうよ」。頼り、頼られる生き方をしなさい、あんたは一人じゃないんだから。守られる妹から、隣を歩く妹へ。姉の言葉は、帆稀を縛っていた後悔をほどいていくようだった。
一ノ瀬さんを救いたい
帆稀は今何をしたいの、と問われ、帆稀は答える。一ノ瀬さんを救いたい。大きな声で、と促され、もう一度はっきりと口にする。「一ノ瀬さんを救いたい」。いつもうつむいていた帆稀が、自分の望みを大きな声で言えた瞬間に、胸が熱くなった。
現れた血の巨人は、追っ手が規格外だと驚くほどの大きさだった。行こう、お姉ちゃん。姉とともに四季を連れ、帆稀はゴールへとたどり着く。おどおどしてると思ったらとんでもねえな、という言葉が、彼女の変化を何よりよく表していた。
まとめと考察
『桃源暗鬼 ~日光・華厳の滝編~』第2話は、帆稀の過去と、姉との和解を軸にしながら、雪山の修行に挑む生徒たちそれぞれの成長を描いた回だった。最後に、印象に残ったポイントを振り返っておきたい。
お前らがいてくれてよかった
すげえな、姉ちゃん、という声が上がるなか、四季は、お前らがいてくれてよかったよ、と帆稀に伝える。いつでも頼ってください、と返す帆稀の表情は、物語の冒頭とはまるで違っていた。ふもとにいたときとは変わったね、いい顔つきになったよ、という言葉どおり、自分を卑下していた少女が、仲間に頼られる側へと一歩踏み出した回だった。
どっかの誰かさんも喜んでんじゃないかな、また一歩階段を上がったな。そんな言葉で締めくくられたラストには、姉への思いと、帆稀の新しい一歩がやさしく重なっていた。
修行が映し出す生徒たちの弱さ
印南は欠点を補い合う関係を説き、猫咲は仲間を信じる心を揺さぶった。今回の修行は、単に体力や能力を鍛えるだけでなく、それぞれが抱える弱さと向き合わせる場になっているように見える。帆稀が姉と並んで歩くことを選んだように、ほかの生徒たちがどんな答えを見つけるのか、続きが楽しみだ。
重い過去を描きながらも、ロクロと漣の掛け合いや、印南の熱すぎる授業で笑わせてくれる。そのバランスのよさが、この第2話をとても見ごたえのある一話にしていた。




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