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ホテルでの襲撃を切り抜け、メインヒロインのリュディを救った友人キャラの瀧音幸助。ところがその選択が、原作ゲームにはなかった新しい展開と、予期せぬフラグの数々を次々に呼び込んでいくことになる。リュディたちとの共同生活の始まり、はつみ姉さんとの距離の縮め方、そしてカップ麺で思わず涙するリュディまで、第2話を場面ごとに一つずつ振り返る。




原作のリュディ
第2話「エルフの国からごきげんよう」は、ホテルでの襲撃を切り抜けた幸助が、リュディたちと花邑家で一緒に暮らし始めるまでを描いた回だった。思わぬハプニングが続くにぎやかな日常の中に、ゲームにはなかった展開への不安と、強くなるための決意がしっかり織り込まれている。
リュディ病患者
冒頭で語られたのは、原作ゲームでのリュディの姿だった。男性恐怖症、いや人間恐怖症のようなヒロインで、基本はとてもクールで他者への言葉が辛辣。私は誰も信じないって言ってるでしょ、もう話しかけてこないで、バカ。そんな彼女に罵ってもらうことに快感を覚えた紳士たちを、リュディ病患者と呼んでいたという説明には笑ってしまった。
とはいえ、あるイベントを経て付き合い始めると、でれでれになるうえに超尽くしてくれるようになる。プレイヤー以外の男性への対応はひどく、瀧音幸助に至っては羽虫以下の扱い。なぜリュディは人を、特に男性を嫌うのか。その原因となった現場に、自分はいるのかもしれない。幸助のこの気づきが、今回の物語の出発点になっていた。
ゲームのヒロインとしてのリュディを知り尽くしている幸助だからこそ、目の前の彼女がこれからどう変わっていくのかを誰よりも気にかけている。シナリオライターはエロゲユーザーにけんかを売るような設定を考えていたな、という独白も含めて、前世の知識と目の前の現実が交錯する語り口が、この作品ならではの面白さだ。
10秒の作戦
襲撃のただ中で、幸助は限られた手札で状況を打開しようとする。防御魔法はまだ使えない。それなら、使うふりをして飛び出してもらい、実際に使うのは目くらまし。二人をおとりにするみたいで申し訳ないが、あとは俺が何とかする。10秒のカウントダウンとともに動き出す作戦には、ゲーム知識だけに頼らない幸助の機転が光っていた。
戦いが終わり、助けてくれてありがとう、と礼を言うリュディ。前回から続く緊張がようやくほどけた瞬間だった。
放出系の魔法が苦手な幸助にとって、正面からの力押しは選べない。だからこそ、仲間の力を借り、相手の隙を作り、最後の一手を自分で打つ。前回の戦いと合わせて、彼がどういう戦い方をする主人公なのかがはっきり見えてきた場面でもあった。
思わぬ事故
ところが、ほっとしたのもつかの間。破られていたスカートを隠そうとしたことから、思わぬ事故が起きてしまう。すいませんでした、と全力で謝る幸助に、本当はわざと触ったとかじゃないわよね、と念を押すリュディ。違います、という必死の返事がおかしかった。
改めて名乗ったリュディと、彼女に仕えるクラリス。先ほどは誠にありがとうございました、と頭を下げられ、むしろ謝らなければならないのは自分の方だと恐縮する幸助。あれは事故でしょ、と謝罪を受け入れてくれるあたりに、ゲームで描かれていた辛辣さとは違うリュディの素顔がのぞいていた。
命を救われたのはこちらの方です、謝る必要はございません、と言葉を添えるクラリスの落ち着きも印象的だった。主を守るために前に出るボディガードとしての顔と、礼を尽くす従者としての顔。その両方を持つ彼女が、これからの共同生活でどんな存在になっていくのか楽しみだ。
花邑家での共同生活
落ち着いたところで、話題は今後のことへ移る。今回リュディを狙ったのは、トレーフルの一部と邪神教が関係しているらしい。学園に入学してしまえば攻撃はなりを潜めると思われるが、完全にとは言えない。一人は逃がしてしまっている。
皇帝からの伝言
さらに、花邑家はもともと邪神教に目をつけられていた。今回の件で、リュディを助けた幸助も排除すべき目標と定められたかもしれない。ゲームになかった展開に戸惑う幸助のもとへ、クラリスが伝えたのはリュディの父からの伝言だった。最愛の愛娘を助けていただき、心から感謝申し上げる。そして、くれぐれも娘には手を出さぬよう。
一度で終わらず、何度も念を押す父の姿には吹き出してしまった。政治に関しては敏腕だというフォローも含めて、親ばかぶりが全開の伝言だった。うちのホテルでテロなんて起こす連中は許すわけにはいかない、と毬乃も調査に乗り出す。
そして、リュディだけでなく幸助もそばで守りたいという提案に、毬乃はあっさり答える。リュディちゃんとクラリスちゃんも、うちに住めばいいわ。さすが毬乃様、話が早くて助かります、と即決していく流れに、幸助だけが置いていかれる。うっそー、という叫びが、新しい日常の始まりを告げていた。
お風呂は空いてるから先に入っちゃって、と送り出された直後にも、またしても思わぬ鉢合わせが起きてしまう。はつみだけじゃなくて私にも手を出すつもり、気が早いわ、とからかう毬乃と、違います、と慌てる幸助。次々に立つフラグに、本人だけが追いつけていないのがおかしい。
はつみ姉さん
毬乃の娘で、若くして学園の教授を務めるはつみ。ゲームでは主人公に重要な技を授けてくれるキャラで、亡くなった父親の研究を引き継いでいる設定だという。そんな彼女が幸助に投げかけたのは、お年を召した人が好きなの、という予想外の質問だった。母とすごく仲がよさそうだから、新しいお父様に立候補するのかと思った、という理由に、それなんてエロゲだよ、と心の中で突っ込む幸助がおかしい。
とりあえずそれはありえません、と否定すると、なら私のことはもっと親しみを込めて呼んでほしい、お姉ちゃんと、とはつみ。結局、はつみ姉さんと呼ぶことに落ち着いた。学園には友達がほとんどいなかったと語る一方で、学力と強さを求めるなら最高の環境だと教えてくれる。無口で不思議な姉が見せた距離の縮め方が、なんともかわいらしかった。
体質のせいで大抵の魔法をうまく使えないと打ち明けた幸助は、その体質のことで相談に乗ってほしいとはつみに頼む。任せて、準備しとく、という短い返事が頼もしい。ゲームで主人公に技を授けるキャラが、友人キャラの幸助に手を貸すという展開も、シナリオの変化を感じさせた。
波乱の引っ越し
翌朝、さすがはトレーフルのお姫様の引っ越しだ、と驚くほどの荷物が花邑家に運び込まれる。今後スキルのことで相談するかもしれないから、今のうちに貸しを作らせてください、と手伝いを申し出た幸助を待っていたのは、またしても事故だった。
クラリスの荷物
足元に気をつけてくださいね、と言われた矢先に二人そろって転び、幸助はクラリスの下着をかぶってしまう。本当なの、と念を押されたうえで、ラッキーね、と応じるリュディ。リュディさん、手から魔力が、冗談だから抑えて、というやり取りには思わず笑ってしまった。
けれどこの騒ぎをきっかけに、リュディは、リュディでいいわ、私も呼び捨てで呼ぶから、と距離を縮めてくる。もし下心を持って私たちに近づいたら、とくぎを刺しつつも、呼び方ひとつで変わっていく二人の関係が、さりげなく描かれていた。
はつみの手料理
その夜の歓迎会で振る舞われたのは、はつみの手料理だった。見た目がアレなだけで中身は安全なはず、と自分に言い聞かせる幸助だが、まるで海に浮かんだ重油のように、見る角度によって色が変わる一皿には恐怖しかない。案の定、意識が遠のいていく描写には笑うしかなかった。
まさか洗剤でお米を洗ったのか、と問われ、ええ、強力そうなのを使ったわ、と答えるはつみ。それでも幸助は残りを引き受ける。姉さんの悲しい顔を見たくなかっただけだ、という一言には、ヒロインを悲しませたくない幸助の優しさが詰まっていた。
一体何の境地に達してしまったのか、と言いたくなるような幸助の表情も含めて、この歓迎会の場面は今回いちばんの笑いどころだったと思う。はつみの不器用さと、それを受け止める幸助の覚悟が、妙に温かく描かれていた。
まとめと考察
第2話は、お約束のハプニングを詰め込みながら、幸助とヒロインたちの関係が動き出す様子を描いた回だった。最後に、印象に残ったポイントを振り返っておきたい。
カップ麺の涙
生きるって何かしら、幸せって何かしら、とすっかり参ってしまったリュディに、幸助が差し出したのはカップラーメンだった。食べな、元気出るぞ。おいしい、と顔をほころばせ、涙まで浮かべるリュディ。ゲームでは最終決戦でしか見せなかった泣き顔を、まさかカップラーメンで見ることになるとは、という幸助のモノローグがいい。
王族のリュディがカップ麺で泣くという力技の展開が、リュディを守るべきヒロインとしてだけでなく、一人の女の子として近く感じさせてくれた。この場面だけで、二人の距離がぐっと縮まったように思う。
辛辣なヒロインとして知られるリュディが、幸助の前で素直な表情を見せ始めている。ゲームの中では主人公だけが見られたはずの顔を、友人キャラの幸助が先に見てしまったという事実は、シナリオが確実に変わりつつあることの表れでもあるのだろう。
書き換わり始めたシナリオ
一方で、物語の土台は確実に変わり始めている。シナリオはどれだけ変わるだろうか、できるだけ準備を進めないと。持久力と魔力を上げ、スキルも身につけなければならない。ゲームの知識があるからこそ、知らない展開への不安も大きいのだろう。ラストでは、逃げた敵を追う者たちの、まだ近くにいるはずだ、という声が響く。
にぎやかな共同生活の楽しさと、その裏で着実に近づく危険。友人キャラという立場から、ヒロインたちを守るために強くなろうとする幸助の物語が、いよいよ本格的に動き出した。
ゲームのヒロインたちを幸せにしたいという思いは、前回から一貫している。今回はそこに、自分が介入したことで生まれた危険への責任も加わった。ハプニングに振り回されながらも、最後には自分のやるべきことを見失わない幸助の姿に、この先の成長を見届けたくなった。学園入学を前に、彼がどんな力を身につけていくのか楽しみだ。




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