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5年間尽くした断空の剣を追放されたレントのギフトは、無限の魔蔵庫へと進化した。その瞬間に現れたのは、かわいらしい見た目とは裏腹に容赦のない毒舌と恐ろしい本性を併せ持つ、ギフトの妖精エムピーだった。エムピーが明かした強制徴収の力、断空の剣が自ら結んだ契約、そして生かさず殺さずの魔力リボ払いまで、第2話を場面ごとに一つずつ振り返る。




ギフト妖精エムピー
『貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収』第2話「【契約】」は、ギフトの進化とともに現れた妖精エムピーの導きで、レントが断空の剣との契約を結ぶまでを描いた回だった。かわいらしい見た目と悪魔のような本性を併せ持つエムピーの存在感と、リボ払いの恐ろしさを数字で突きつける解説が強烈で、作品のタイトルが一気に意味を持ち始めた。
マジカルプランナー
ギフト進化おめでとうございます、マスター様。前回のラストで聞こえた声の主は、ユニークギフトの持ち主をサポートする妖精だった。マジカルプランナーのエムピーと申します、以後お見知りおきを、と名乗る姿はかわいらしい。ところが、まさか成人の儀から5年もかかるとは、といきなり毒を吐いてくる。
鉄の胸当てにおんぼろの布コート、布のパンツにサンダル。装備を一つずつ査定され、合わせて116という値をつけられたうえで、そんなんじゃなめられちゃいますよ、と言われてしまうレント。かわいい、でもちょっと癖が強い、というレントの第一印象がすべてを物語っていた。甘い笑顔の裏に毒を隠した妖精の登場で、作品の空気ががらりと変わった。
それでも、エムピーがレントを待ち続けていたのは確かなようだ。今か今かと待っていました、という言葉には、皮肉だけではない期待もにじんでいるように聞こえた。
無限の魔蔵庫
手元の紙を確かめると、ギフト名は魔蔵庫から無限の魔蔵庫に変わっていた。これからは容量に悩むことなく、無限に魔力をためられる。進化の条件は二つ。一定量以上の魔力の貸し付けがあること、そして激しい感情とともに心の底から返済を願うこと。あの時の叫びが、ついに条件を満たしたのだ。
成人の儀で授かったSランクのユニークギフトが、さらに上の段階へ進んだ。ガイたちのギフトも戦いの中で進化したっけ、と振り返るレントの言葉からは、ずっと仲間の成長を後ろから支えてきた彼の立場が改めて伝わってくる。
こんな簡単な条件で5年もかかったんですか、とあきれるエムピーに、簡単じゃないよ、と返すレント。みんなが怖かった、だからずっと我慢して、彼らの利になることに徹してきた。返済を求めれば、それだけパーティーの成長が滞るから。優しさゆえに言えなかった返してほしいという一言の重みが、ここでようやく言葉になった。優しいんですね、と言ったそばから、全然褒めてないですよ、と付け加えるエムピーとの温度差もおかしい。
5年間、パーティーのために魔力を貸し続け、感謝もされずに追い出されたレント。その優しさを、エムピーは褒めるどころか甘さとして切り捨てる。二人の価値観の違いが、これからの物語を動かしていく原動力になりそうだ。
スキル強制徴収
ステータスの確認はまだ終わらない。表示された大きな数字が、レントの5年間を突きつけてくる。
267万の貸し付け
267万8087マジックポイント。それが、レントが断空の剣に貸し付けた魔力の総量だった。その下には、貸し付けから1年経過した徴収可能な魔力として、143万5837マジックポイント。そして新たに獲得したスキル、強制徴収。債務者から魔力を強制的に徴収する力だ。
戻ってくる、今まで僕の貸した魔力が。その瞬間のレントの表情に、それこそマスター様にふさわしき顔、と目を輝かせるエムピー。穏やかな少年の中に芽生えた暗い感情を、エムピーは見逃さなかった。ただし、スキルを使うには債務者との契約が必要だという。
強制徴収にもいろいろな種類があるが、ややこしいので今回はすべて任せてほしい、初回ですし、と微笑むエムピー。この一言が、のちに大きな意味を持つことになる。
何一人でしゃべってるんだ、関わるな、と周囲の冒険者たちに気味悪がられる場面も印象的だった。エムピーの姿はレントにしか見えていないらしく、はたから見れば独り言を続ける怪しい少年でしかない。そんな小さな描写が、この先の展開への不穏な予感を残していた。
断空の剣との再会
一方その頃、ガイたちは無能なレントがいなくなって気分がすっきりした、と上機嫌で宿を出ていた。あの時のレントの顔見た、笑えるわ、とあざ笑う仲間たち。これから金なんていくらでも手に入る、と釣りを断る余裕も、すべてレントから借りた魔力の上に成り立っているものだった。
ギルドで再会したレントに、パーティーからの除名はもう済ませた、ここにお前の居場所はない、と突き放すガイたち。処分してくれと伝えたという私物まで押しつけられる。それでもレントは、お前たちはこのすべてを返す意思はあるか、と問いかける。知っていたはずだ、今まで魔力を僕から借りていたことを、そしていつか返さなければいけないことも。
頭が高い、無能が、と吐き捨てられ、レントは頭を下げる。少しずつでいいんです、今まで僕が貸した魔力をどうかお返しください。返ってきたのは、出世払いでよろしく、という一言だった。言った、言ったな。その瞬間、強制契約が完了する。彼ら自身の言葉が契約の引き金になったという皮肉が、たまらなく痛快だった。
魔力リボ払い
契約が結ばれ、ガイたちの魔力は自動回復に合わせて定期的に徴収されていく。では、エムピーが選んだ徴収方法とは何だったのか。
3つの徴収方法
徴収方法は大きく分けて三つ。貸した魔力を一度にすべて徴収する一括払い、支払い回数を決めて利息とともに徴収する分割払い。そして通称、地獄への入り口、魔力リボ払い。もちろん私はこの方法で契約しました、とエムピーはさらりと言ってのける。
リボ払いについてゆっくり解説していきましょう、と突然始まる解説コーナーには笑ってしまった。分割払いなら、日々の返済がつらくとも完済というゴールが見える。けれどリボ払いでは、借りた額がいくらであっても毎回徴収される額は常に一定。ゴールの見えない返済こそが、リボ地獄の本質なのだという。
利息のからくり
自力で強くなった気でいるバカの魔力量は1000、返す気のないクソが1400、何も考えず借り続けたアホが1200。魔力の自然回復量は1時間ごとにその1割だから、三人の1日の回復量は合計8640マジックポイント。そこに例の腕輪三つ分の3000を足して、1日に返済できるのは11640マジックポイントになる。
一方、徴収可能な143万5837マジックポイントには、10日で8%の利息がつく。その額はおよそ11万5000マジックポイント。10日で返せるのは11万6400マジックポイントだから、元の魔力はほとんど減らない。実質、ひたすら利息を払い続けるだけ。もっと利息を上げて一気に回収することもできたが、それだとすぐにパンクしてつまらないので、生かさず殺さずの8%にしました、と笑うエムピーの言葉には背筋が寒くなった。
リボ地獄に落ちやすいのは、自分は大丈夫だと思っている自信過剰バカ、ばかなくせに自分は賢いと思っているクソ、そもそも何も考えていない思考停止中のアホの三パターン。リボ払い自体は計画的に使えば怖くない、使う人の問題です、という一言まで含めて、妙に現実味のある解説だった。
本当は貯金箱のように魔力を預かるだけだったはずのギフトが、利息を生み、相手を縛り続ける仕組みに変わってしまった。その変化を目の当たりにしたレントの戸惑いと、それを楽しげに語るエムピーの対比が、この作品の皮肉の効いた面白さをよく表していた。
まとめと考察
『貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収』第2話は、復讐の仕組みそのものを丁寧に描き、エムピーというキャラクターの怖さと魅力を存分に見せた回だった。最後に、印象に残ったポイントを振り返っておきたい。
エムピーの本性
今までマスター様に感謝もせず、ねぎらいもせず、それどころか罵倒し、パーティーから追放した。そんなゴミに情けなど不要、とことん追い詰め、絞れるだけ絞って、絶望の淵に落として分からせればいいんですよ、どちらが本当に無能だったかを。エムピーのこの言葉は、レントの心の奥にある感情を代弁しているようでもあり、それ以上に過激でもあった。
なんか怖いよ、と戸惑うレントに、マスター様の気持ちを代弁しただけですよ、と返すエムピー。契約プランは後からいくらでも変更可能で、もし万が一、いえ億が一、彼らが心底反省して謝ることがあれば、そのときにまた考えればいい。救いの余地を残しているようで、その可能性を最初から見下しているところに、エムピーの本当の恐ろしさがあるように思う。
断空の剣の三人は、自分たちが何を背負ったのかをまだ知らない。明るく笑って宿を出ていった彼らが、この先どんな顔でリボ地獄に気づくのか。その瞬間を想像するだけで、次の展開が待ち遠しくなる。
一方で、ガイとかいう男はマスター様より魔力貸しとしての素質がある、と冗談めかして言うエムピーの姿には、彼女が本当は誰の味方なのかという小さな疑問も残る。耳をそろえて返せ、と叫んでみせる軽やかさと、相手を地獄に落とす冷酷さ。その両方を自然に行き来するところが、エムピーというキャラクターの底知れなさだ。
お人よしのレント
優しいというかお人よしというか、甘ちゃんというか世間知らずというか、だまされやすいタイプというか。容赦ないエムピーの評に、もうやめて、と音を上げるレントだが、最後に添えられた、でも誠実なのは素晴らしいことですよ、という一言が印象に残る。
新たに覚えたスキル魔力運用は、100マジックポイントを消費して最大魔力を1増やすという地味な力。けれど無限の魔蔵庫と組み合わせれば、レント自身が強くなる道も開けていく。復讐と成長、その二つをどう両立させていくのか。誠実なお人よしのまま、レントがどこまで変わっていくのかを見届けたい。強制徴収という力を手にした彼が、エムピーの言葉にどこまで染まらずにいられるのかも、この作品の大きな見どころになりそうだ。




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