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雲ひとつない快晴の日に始まった生徒会のプール掃除。翌日、風邪をひいた尾鳥のもとへ梅がお見舞いに向かい、その家で尾鳥の思わぬ家庭の事情を知る。さらに定期考査の勉強会を終えて帰宅した梅を、仕事で日本に戻ってきた実の姉が待ち受けていた。尾鳥の一人暮らしの理由、理系の1位がそろう生徒会、そして梅の姉・水之江松の登場まで、第3話を振り返る。




第3話はプール掃除から始まるにぎやかな回
『生徒会にも穴はある!』第3話は、生徒会のプール掃除、風邪をひいた尾鳥たんの看病、定期考査に向けた勉強会、そして梅の実の姉・水之江松の突然の登場と、盛りだくさんの一話だった。相変わらずの下ネタとハプニングの連続の中に、仲間を思う温かさがしっかりと描かれていて、笑いながらも少しほっこりさせられた。
生徒会のプール掃除
雲ひとつない快晴の日、生徒会はプール掃除に取りかかる。元陸上部で運動好きの会長はノリノリ。ぬるぬると滑るプールの底で、こまろは小刻みに震えながらバランスを取り、照井はトンボの幼虫を集めている。それぞれの個性が全開の作業風景が、見ていて楽しい。生徒会メンバーがそろって体を動かす場面は、これまで生徒会室の中が中心だった物語に、季節感と開放感を運んできた。水着姿の場面もふんだんに盛り込まれ、作品らしいサービスと日常のにぎやかさが同時に楽しめる導入になっていた。
遅れてやってきた尾鳥は、楽な仕事を選んで水を出す係に。ところが壊れていた水道から水が勢いよく噴き出し、生徒会のメンバーはずぶぬれになってしまう。本人は音楽を聴いていて気づかないというオチまでついて、この生徒会らしいドタバタで掃除は幕を閉じた。全員がずぶぬれになっても、誰も本気で怒らないあたりに、この生徒会の仲の良さが表れている。照井がトンボの幼虫を集めていた理由も、後の勉強会の場面でさりげなく回収されることになる。
尾鳥たんのお見舞い
風邪をひいた尾鳥
翌日、尾鳥は風邪で学校を休む。いつもなら自分が行くところだけれど、せっかく同性の梅が入ったのだから、と照井に頼まれ、梅がお見舞いに行くことになった。弱っているところを見られたくないはずの尾鳥は、それでも梅を煽ることを忘れない。照井が自分の代わりに梅を送り出したのは、梅と尾鳥の距離を縮めたいという思いもあったのだろう。生徒会の中で数少ない同性同士という関係が、この見舞いをきっかけに少しずつ変わっていく。
梅は家で作ってきたおかゆを差し出す。「風邪の時こそちゃんと食べないとな」。ネギが入っていない、僕の繊細な舌に苦いのはありえない、と文句を言いながらも、おいしいと口にする尾鳥。口では強がりながら、梅の気づかいをしっかり受け取っているのが伝わってくる。尾鳥の煽りは、相手との距離を測る彼なりのコミュニケーションなのかもしれない。素直になれない分、言葉の端々ににじむ甘えが、見ている側にはかえってかわいらしく映った。
一人暮らしの理由
帰ろうとした梅は、尾鳥が一人暮らしをしていることに気づく。「そうだよ、だって僕親いないし」。父は気づいたときにはいなかった。母もほとんど帰ってこない。軽い口調で語られる家庭の事情は、尾鳥の生意気さの裏にある寂しさを想像させるものだった。
そして尾鳥は、ぽつりと口にする。「今日は来てくれてありがとう」。すぐになんちゃって、とごまかし、自分は無敵だから一人でも元気だと強がるけれど、その一言にこそ本音が詰まっていた。梅は医者にかかったか、薬は飲んだかと確かめ、最後まで面倒を見る。煽り合いの裏にある確かな絆が、ほんのり胸に残る場面だった。
梅もまた、学校の近くで一人暮らしをしている。だからこそ、誰もいない部屋で体調を崩す心細さが分かったのかもしれない。看病の場面は相変わらずの過激なギャグで描かれるが、恥ずかしがる尾鳥に構わず最後まで手当てをやり遂げる梅の姿は、ある意味でまっすぐな優しさそのものだった。
定期考査の勉強会
理系の1位がそろう生徒会
生徒会室では、定期考査が話題になる。国語は得意な梅だが、理系科目は大の苦手。苦手というより嫌いなのかもしれない、と打ち明ける梅に、会長は「一緒にやれば少しは嫌いじゃなくなるかもだ」と声をかける。なんだかんだで総合1位を取っているという会長の意外な一面も明かされた。
そこへ照井や尾鳥、こまろも加わる。照井は生物と化学が得意で、理科系の国際大会で賞を取ったこともある。「実は生き物好きなんです」という照井に、プール掃除でトンボの幼虫を集めていた理由が重なる。尾鳥は情報と物理が大学レベル、こまろは数学が得意な学費免除の特待生。理系の1位がきれいにそろっていたという事実に、平塚先生は分かっていて梅を生徒会に入れたのでは、と梅が勘ぐるのもおかしかった。前回の点数まで把握されていたことに梅が驚く場面や、中等部の尾鳥をお子様扱いした梅が、尾鳥は情報と物理が大学レベルでソフト開発までしていると知らされ、立場が逆転するくだりもおかしい。生徒会のメンバーがそれぞれの得意分野で梅を支えようとする姿は、内申点のために生徒会に入った梅が、いつの間にか仲間に囲まれていることを示している。こまろが数学の特待生だったという事実には梅でなくとも驚かされるが、悩んでいた梅にすぐ言わなかった理由がトイレに行きたかったから、という脱力のオチも、こまろらしいマイペースさだった。
会長の得意科目
ところが、それぞれの得意科目で教え始めると、会長だけがどれも5位くらいの広く浅くだと分かり、珍しくいじけてしまう。それなら会長が1位だった科目を教えてほしい、と照井が持ち出したのが保健体育。生活に関わる大切な教科だからと押し切られ、しどろもどろになる会長の姿は、この作品ならではの笑いどころだった。照井の無茶ぶりに会長がどう答えるのか、一瞬身構えてしまうのもこの作品ならではの楽しみ方だろう。
結局、全部の科目を会長が教えることになり、二日連続の勉強会はさすがにきつい、とこぼす梅。それでも会長の教え方はうまかったという。いじけながらも梅のために最後まで付き合う会長の面倒見のよさが、さりげなく描かれていた。総合1位でありながら、どの科目も突出していないことを気にする会長の姿は、完璧に見える人にもコンプレックスがあることを感じさせる。それでも最後は全科目を教えきってしまうのだから、やはり会長はすごい。勉強会の後に、スーパーの特売に間に合ったと喜び、手作りグラタンを作ろうとする梅の姿も、一人暮らしをする高校生らしい等身大の一面だった。
梅の姉、水之江松
突然の帰国
勉強会を終えて帰宅した梅を待っていたのは、家の中の怪しい人影。その正体は、実の姉・水之江松だった。仕事で少し日本に戻ることになり、まずは愛する弟のもとへ来たのだという。梅がきちんと一人暮らしできているかチェックしていた、と悪びれない松の奔放さに、梅は振り回されっぱなしだ。弟の家に勝手に上がり込んでいる時点で、松がどれほど常識外れな姉なのかがよく分かる。それでも、まずは弟のもとへという行動には、離れて暮らす家族への思いもにじんでいた。今回の仕事はかなり大きく、気合いが入っていると語って弟に褒めてほしがる姿には、奔放さの中にある姉らしいかわいげも見え隠れする。
友達がいないのに強がっていたころが恋しい、と昔の梅の話を持ち出し、今からでも一緒にアメリカに来ないかと誘う松。弟を溺愛する姉の暴走ぶりは、この作品に登場する女性陣の中でも群を抜いていた。
梅知識バトル
そこへ訪ねてきたのが、照井とこまろだった。こまろは家庭科で作ったケーキを梅に渡したかったのに、なかなか切り出せなかったらしい。「これ家庭科のケーキ」と差し出すこまろの姿がいじらしい。うまく焼けた、と照井が添える一言にも、こまろを見守る優しさがにじんでいた。こまろの代わりに事情を説明する照井には、後輩を見守る先輩としての顔がのぞく。ケーキを受け取った梅のうれしそうな表情からも、こまろの思いがきちんと届いたことが伝わってきた。
そして始まったのが、松と照井とこまろによる梅知識バトル。梅を最も愛する姉を名乗る松に、照井もこまろも負けじと応戦する。内容は相変わらずとんでもない方向へ転がっていくが、その中で松が語った「例えばこの子はとても寂しがり屋でね」という一言に、照井が一人のとき寂しそうにしていると返す場面には、梅をよく見ている二人の関係が表れていた。照井やこまろと張り合う松の姿からは、自分以外にも梅を大切に思う人ができたことへの、少しの寂しさも感じられた。友達がいなかったころの梅を知る姉だからこそ、今の梅の周りのにぎやかさが特別に映るのかもしれない。
第3話のまとめ考察
心の穴を埋める関係
第3話を通して描かれていたのは、それぞれが抱える寂しさと、それを埋めてくれる人の存在だった。親のいない部屋で一人風邪と闘っていた尾鳥と、友達がいなかったころの梅。どちらも、ふざけ合える仲間に出会ったことで、少しずつ変わり始めている。
下ネタやハプニングの多さに目を奪われがちだが、尾鳥の家での一言や、こまろが渡したケーキのように、この作品には人を思う優しさが確かに流れている。くだらないやりとりができる関係こそ、心の穴を埋めてくれるのかもしれない。
また、今回は生徒会メンバーそれぞれの得意分野が明らかになった回でもあった。運動好きで総合1位の会長、生き物好きで理科に強い照井、情報と物理に強い尾鳥、数学の特待生のこまろ。国語しかできない梅を中心に、互いの欠けた部分を補い合う関係が見えてくる。穴があるからこそ、誰かと関わることで埋まっていく。作品の題名に込められた意味は、下ネタだけではないのだと思わせてくれる回だった。
新たに加わった姉の松は、梅の過去を知る人物として、これからも生徒会のメンバーとかき回してくれそうだ。弟を溺愛する姉と、梅を慕う生徒会の面々。にぎやかさを増した日常がどう転がっていくのか、次の騒動も楽しみにしたい。第1話から少しずつ明かされてきたメンバーの素顔に、今回は梅自身の家族という新しい要素が加わった。松の登場によって、梅の過去や家族との関係がどう描かれていくのかにも注目したい。




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