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『ドッジ弾子』第10話の副題は「生き残れ!デンジャラス・タイム!」。トゲ付きのボールが出た途端、相手を見ずに避けられるという長所がそのまま狙われる。盾にされた副キャプテンは怒らず、盾にした先輩の威厳を立てる話をはじめる。そして緒方煌の口撃は、一人ずつ、いちばん柔らかいところだけを正確に突いてくる。最後に残った珍子だけが、突かれた場所そのもので立ち上がった。




トゲ付きのボールが出て、長所がそのまま弱点になる
第10話の副題は「生き残れ!デンジャラス・タイム!」。前回の引きで宣言された時間が、そのまま今回の中身になる。
デンジャラス・タイムはトゲ付きのボールで戦う
審判長が発動したのは、トゲ付きのボールを使う時間だ。公式のあらすじも同じ言葉で説明している。危険を減らす方向ではなく、増やす方向にルールが動く。前回のうちに一般配信を止める段取りまで済ませてあるので、切り替えは一瞬で終わる。
見えていたのは殺気だった
それまで相手の攻撃をことごとくかわしていたのは三笠はこだ。公式のキャラクター紹介は彼女を「相手を見なくてもシュートのタイミングと方向を察知することができる」と書いていて、前回「まるで全身に目がついているみたいだ」と実況された見切りの正体が今回の台詞で分かる。砂煙のなかでも方向が読めるのは、球ではなく殺気を見ているからだ。
みんな奴に殺気をぶつけろ
相手の対応が速い。「やはり殺気に反応しているのか」「見事だがそれが命取りだ」と見抜いたうえで、「みんな奴に殺気をぶつけろ」と全員で浴びせにかかる。いちばん優れた感覚を、いちばん過負荷になる形で使わせている。
地獄を見てきた俺たちの殺気を
続く言葉が「じっくり味わうがいい」「地獄を見てきた俺たちの殺気を」だ。前回明かされた修羅のドッジという経歴が、気合いの話ではなくそのまま武器として計算されている。
因縁の相手と鎖でつながれて、目標を思い出す
デンジャラス・タイム第一幕で最初に指名されるのが「因縁のあの二人」だ。ここだけ状況が特殊になる。
鎖でつながれる相手は宇佐美月だ
公式のあらすじは「因縁深い月と鎖で繋がれてしまったはこ」と書く。避ける速さで生きてきた選手が、避けられない状態に固定される。宇佐美月はブラックアーマーズでいちばん小柄で、公式の紹介にも「己の価値を示そうと躍起になっている」とある人物だ。
一時、戦意を失う
殺気を浴びせられたはこは戦意を失う。公式のキャラクター紹介は彼女を「類まれに見る高身長だが臆病なところがあり」と書いていて、この場面で折れるのは実力ではなく気持ちのほうだ。
思い出すのは、目指すキャプテン像だ
立て直しのきっかけを、公式のあらすじは「自身が目指すキャプテンとしての姿を思い出し」と書いている。はこの目標は旧・球川小闘球部でキャプテンを務めていた父の三笠大成だと紹介文にある。どのチームも親の代と地続きなので、折れた気持ちを戻す材料まで親から来る。
とっぷうショットで決まる
反撃は颯美との連携で、公式のあらすじは技名を「とっぷうショット」と書く。颯美ひとりの技は「しっぷうショット」なので、二人でやると頭の一文字だけが変わる。この一投で月が仕留められる。
頑丈だから盾にされる副キャプテン
連携が決まる前に、はこは一度とんでもないことをしている。しかも咎められていない。
盾にしたな、と言われる
飛んできた球をよけるとき、はこは颯美を前に出す。相手からも「盾にしたな」と指摘される。キャプテンが副キャプテンを盾にした、という場面が説明抜きでそのまま流れる。
公式の紹介文が、理由を先に書いている
火浦颯美の紹介文には「頑丈な身体の持ち主で、そのために不憫な目に遭ってしまうことも」とある。盾にされるのが初めてではないと、キャラクター紹介の時点で予告されている。
それでも二人の友情パワーで、と続く
颯美は怒らない。返ってくるのは「それよりこっちの番」「二人の友情パワーで先輩の威厳を見せつけるチャンスよ」で、盾にされた直後に、盾にした人の威厳を立てる話をしている。はこの紹介文にある「威厳はイマイチ」がここで効く。
頼りになる後輩たちだぜ
混乱したはこに後輩たちが「落ち着いてはこキャプテン」「みんなで四方を固めましょう」と声をかけ、はこは「頼りになる後輩たちだぜ」「いいとこ見せたぞ」と言う。先輩らしくしようとして空回りする人の描き方が、勝ち負けの外側で一貫している。
スパイの道具が、そのまま味方の目になる
相手の姿が見えなくなったところで前に出るのは、いちばん運動が苦手な部員だ。
我がみんなの目になる
「ボールどころか姿も見えない」「このままじゃやられる」という状況で、音花羽仁衣が「我がみんなの目になる」と宣言する。点を取る役ではなく、見る役のほうを自分から引き受けている。
カラクリはステルスドローンとAIだ
種明かしは「誰にも気づかれず羽仁衣さんはドローンを展開していたのよ」。配置したステルスドローンの情報を分析し、AIで相手の行動を予測し、魔眼コンタクトに映す。校長に頼まれた潜入用のチートが、今回は自分のためではなくチームのために回っている。異名は「球川の魔女」と紹介される。
我はもう一人じゃない
効いてくるのは動機のほうだ。「我はもう一人じゃない」「あの頃には戻らない」「これからもみんなと一緒にいるために」。紹介文にある「本当は同年代の友だちと仲良くなりたい寂しがり屋」が、そのまま戦う理由になっている。
相手の評価も入れ替わる
ブラックアーマーズ側の反応が「とんだ手だれがいたな」「頼りなさげなのも演技のうちか」だ。いちばん弱く見えていた選手が、いちばん警戒される選手に変わる。
禁断の力には、はっきり代償がある
公式のあらすじは、この先を「秘められた禁断の力を解放する」と書いている。中身は精神論ではなかった。
ドーピング完了、と宣言される
「みんなのために」「我はまだやられるわけにはいかない」という台詞のあと、「ドーピング完了」という宣言が出て体が浮く。禁断と呼ばれた力の中身が、覚悟ではなく薬物だった。
兵器のエネルギー充填まで始まる
続けて兵器のエネルギー充填が始まる。公式アカウントは放送後に、原作者から届いたドッジクイーンの描き下ろしイラストを載せている。ドッジボールの試合であることが、この数十秒だけ完全に忘れられている。
実況が視聴者の代わりに言う
そこで出てくるのが「一体、俺たちは何を見せられているんだ」という一言だ。やりすぎだと思った側の言葉を、画面のなかの実況が先に言ってしまう。
代償は魔力を使い果たすこと
力の解放は続かない。デンジャラス・タイムが終わると「仲間のために魔力を使い果たした」と説明され、相手からも「やっかいな魔女さんはグロッキーね」と言われる。公式のあらすじも「かろうじて残った」と書いていて、押し切れないことは最初から前提になっている。
攻撃ではなく、口撃で来る選手が出てくる
羽仁衣が動けなくなったところで前に出るのが緒方煌だ。この選手だけ、戦い方の種類が違う。
公式が「口撃」と書いている
煌の紹介文は「フィジカル面ではチーム最弱」で、「入手した秘密のデータを分析し、敵にとって最悪の未来を予測する口撃で戦意を奪う」と続く。技のジャンルが、設定の時点で言葉のほうに置かれている。
旋風のカーテシーは威力が皆無だ
持っている技は「旋風のカーテシー」で、名前は派手だが紹介文には「威力は皆無」とはっきり書いてある。球そのものは怖くないと公式が認めている選手が、この回でいちばん相手を削っている。
情報は仲間を救うために覚えたものだ
本人の説明が重い。「修羅の国では生き抜くため情報が必要だったわ」「敵にとって最悪な未来を予測することで大事な仲間を救ってきた」。仲間を救うために身につけた技術を、そのまま他人を崩すのに使っている。
攻撃ではなく口撃だ、と言い直される
解説は「非力の煌が修羅の国で編み出した、敵に精神的なダメージを与える言葉による攻撃」と紹介して、そのあと言い直す。同じ読みのまま、攻撃が口撃に置き換わる。公式の紹介文も最初から口撃と書いているので、言い換えたほうが正式な呼び名になる。
予言は、いちばん柔らかいところしか突かない
煌の予言は一人ずつ順番に来る。並べてみると、狙っている場所が全員ちがう。
もち子には体重の話をする
江袋もち子には「あなたは今ダイエットしてますね」と切り出し、データでは順調だがリバウンドで倍増すると告げる。返しが「お前はぽっちゃりのままでいいんだよ」で、予言そのものではなく前提のほうを否定している。
スーザン・キャノンには推しの話をする
次はスーザン・キャノンで、こっそり応援しているアイドルグループが今年中に解散すると予測される。いちばん体格のいい選手の弱点として出てくるのが、勝ち負けと何の関係もない趣味だ。
颯美には父親の話をする
火浦颯美への予言は「あなたはお父様とは結婚できない」だ。公式の紹介文に「父である旧・球川小闘球部の副キャプテン・火浦高志が大好き」とある人物なので、狙いは正確に当たっている。ここで回想に父の火浦高志が登場する。公式アカウントは声を担当した三木眞一郎のコメントを出していて、「35年前にお世話になった火浦高志。娘の成長を目にするコトが出来て、感無量です」という文面になっている。
羽仁衣には一人になる話をする
羽仁衣には「10年後、同窓会に呼ばれなかったあなたは一人でバーチャル同窓会をやるでしょう」。友だちが欲しい寂しがり屋だと紹介されている子に、一人でいる未来を見せている。ただし直後に「あたしがいるわ」と返す声が飛んで、予言は最短で潰される。
はこにだけ、いい予言が出る
三笠はこへの予言は「あなたは成長期よ」「伸びるわ」だった。全員を削っていく流れのなかで、ここだけ本人が喜べる内容になっている。弾子に対しては、廃部と転校と、二階堂平子に仕える未来が並べられる。
名前で刺された子が、名前で立ち上がる
最後に残ったのが小仏珍子で、ここだけ予言の当て方が違っている。
名前が愛されていない証拠だと言われる
煌は「あなたのその名前、おそらく両親から愛されていない証拠よね」と切り出し、この先も誰かを愛せないままだと言い切る。ここまでの予言は全部これから起きることだったのに、珍子にだけは生まれたときの話をしている。
愛だけはうざいほどあったわよ
珍子は球を取る。そして「私がパパとママから愛されてないですって」「愛だけはうざいほどあったわよ」と返す。否定の仕方が、足りなかったではなく多すぎたなのが効いている。
一週間寝ないで考えた名前だった
回想で出てくるのは出産直後の病室だ。父は「一週間寝ないで考えたぞ」と言い、自分の名と母の愛子の名から一文字ずつ取ったのだと説明する。公式の紹介文も、父の小仏珍念について「苦心して考えた名前は必ずしも気に入ってもらえていない」と先に書いている。
もう二度と名前を呼ばないでください
育った珍子は父を拒む。「もう二度と私の名前を呼んだり、私に近寄ったりしないでください」。父が悪気なく喜んでいるぶんだけ、娘の側の逃げ場が無くなっていく。
大事なお前に何かあったら
転機は、危ないところを助けられた場面だ。父の言葉は「大丈夫か」「よかった、本当によかった」「大事なお前に何かあったら」で、名前の話を一度もしないまま、名前に込めたものだけが伝わる。娘の返しは「パパとママが大切に思ってつけてくれた名前だもんね」、そして「でも、ひらがなはやめてください」だ。
コピーで跳ね返して、決着は次にもちこされる
立ち直った珍子は煌の技をそのまま返す。「煌の技までコピーし、攻撃も跳ね返すとは」「やはりこいつは危険だな」と警戒され、副キャプテンの高山皐が「今度こそ仕留める」と出てくるところで終わる。一度見た必殺技を再現できるという設定が、言葉でできた技にまで通用してしまった。締めのおまけコーナーは親世代の御堂嵐と高山準を紹介して、いつもより短く終わる。




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