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お供え物を荒らしたのは誰なのか。そんな疑問を抱えたまま、リコたちはキタカミの里のお祭りを楽しんでいた。そこへリコのおばあちゃんのダイアナが、モモワロウの里帰りのためにやってくる。ゼイユが語るともっこの言い伝え、お祭りを荒らす三匹とのバトル、そしてかつての仲間をかばうモモワロウの決断まで、温かな第152話を場面ごとに一つずつ振り返る。




キタカミの里のお祭りとダイアナの来訪
『ポケットモンスター(新シリーズ)』第152話「ともっこ襲来!モモワロウの決断!!」は、キタカミの里のお祭りを舞台に、言い伝えの裏に隠されたポケモンたちの関係が明かされていく回だった。にぎやかなお祭りの空気の中で、かつての仲間をめぐるモモワロウの葛藤が描かれ、笑いと温かさが詰まった一話になっていた。
残された謎
物語は、前回の出来事を振り返るリコたちの会話から始まる。結局、お供え物を取ったのは誰だったのか。あの足跡はカミツオロチのものではなかったし、鬼のお面を壊したのも一体誰なのか。もういいじゃねえか、気にしすぎだろと笑い飛ばす仲間もいて、一行の関心はすぐにお祭りへと移っていく。
キタカミの里のお祭りは、前の回から続く大きな舞台だ。屋台がずらりと並び、ちょうちんの明かりに照らされた会場は、見ているだけで心が浮き立つ。けれどその楽しげな空気の裏で、お供え物が荒らされ、鬼のお面が壊されるという不穏な出来事が続いていた。にぎやかさと不穏さが同居する導入が、物語への期待を高めてくれる。
けれど、この小さな謎こそが、今回の物語の入り口になっていた。何気ない疑問が、やがてお祭りを揺るがす騒動へとつながっていく構成が見事で、冒頭から自然と物語に引き込まれた。
モモワロウの里帰り
そこへ現れたのが、リコのおばあちゃんのダイアナだった。お祭りの時期だから、モモワロウの里帰りに来たのだという。久しぶりの再会に顔をほころばせるリコの姿が、とてもうれしそうだ。ダイアナはナヴィとメタモンにもあいさつし、新しい仲間を温かく迎え入れる。
浴衣を着たリコに、よく似合っていると目を細めるダイアナ。リコの小さいころを思い出すよ、という言葉には、孫を見守ってきた祖母の優しさがにじんでいた。飴を配ったり、口元のソースをふいてあげたりと、いつもの豪快さとは少し違う、おばあちゃんとしての顔が見られたのも新鮮だった。
ところが、ふと気づくとモモワロウの姿が見当たらない。せっかくのごちそうが冷めてしまうと探しに行くダイアナを見送り、リコたちはお祭りを楽しむことにする。友達に会っているのでは、という何気ない一言が、後の展開を思うとなんとも意味深に響く。
ともっこのお面と言い伝え
お祭りの屋台を見て回るうちに、ナヴィが目をとめたのは、ずらりと並んだお面だった。ねえ、これ何のお面、という素朴な問いかけから、キタカミの里に伝わる言い伝えが語られていく。
英雄から悪者へ
それはともっこよ、と教えてくれたのはゼイユだった。イイネイヌ、マシマシラ、キチキギスの3体のポケモン。かつては鬼をやっつけた英雄として、お祭りの主役だったのだという。けれど、悪さをしていたことが分かって、とっちめられたのだと続ける。
ゼイユの説明は、さすが地元の子らしく、迷いがなくて頼もしい。お祭りの由来を知っているからこそ、ともっこの話を語る口ぶりにも実感がこもっている。リコたちにとっては初めて聞く話でも、里の人々にとっては当たり前に受け継がれてきた物語なのだと伝わってきた。
英雄として祭られていた存在が、実は悪者だった。その話を聞いた仲間の一人が、「言い伝えは正しいとは限らない」とつぶやく。語り継がれる物語と、本当にあったことは必ずしも同じではない。このシリーズが大切にしてきたテーマが、キタカミの里の伝説にも重なって見えた。
鬼と英雄、悪者と被害者という立場が入れ替わっていく言い伝えの構図は、昔話の桃太郎をひっくり返したような面白さがある。お面ひとつから、こんなにも奥行きのある物語が立ち上がってくるのが、とても楽しかった。そしてこの言い伝えが、このあとすぐに目の前の出来事として動き出すのだから、構成のうまさにも感心させられる。
ともっこ襲来
そんな言い伝えを聞いた直後、お祭りの会場で騒ぎが起こる。姿を現したのは、まさにお面のモデルになっていたともっこの3体だった。
お祭りを荒らす三匹
あんたたち、まだ懲りてないのね、祭りをめちゃくちゃにして、みんな楽しみにしていたのに。怒りをあらわにする声が響く中、ともっこたちはやる気満々で向かってくる。リコたちもすぐさまポケモンを繰り出し、お祭りを守るためのバトルが始まった。
楽しいはずのお祭りが、一瞬にして混乱に包まれる。逃げ惑う人々や、荒らされた屋台の様子からは、ともっこたちのいたずらが決して笑いごとでは済まないものだと伝わってきた。お祭りを楽しみにしていた人たちの気持ちを思うと、リコたちが立ち上がるのは当然のことだった。
暗がりに紛れて姿が見えにくい相手に苦戦しながらも、相手の気配を感じ取ろうと集中する仲間たち。メガ進化まで飛び出す白熱した展開の中で、ともっこの一体が自分のことが好きすぎる性格だと見抜くやりとりもあり、それぞれのポケモンの個性が戦いの中で浮かび上がるのが面白かった。
ゼイユの頼もしさ
中でも光っていたのがゼイユだった。でかい図体のくせして隙がないんだけど、と悪態をつきながらも、力を吸い取る技で相手の勢いを削いでいく。ゼイユやるじゃんと称えられ、ナヴィとハイタッチを交わす姿は、とても頼もしかった。
足跡はやっぱりこいつらのだった、と冒頭の謎が解けていくのも気持ちいい。「完全勝利ね」と胸を張り、もう悪さはやめるんだと言い聞かせる一行。けれど、ともっこたちはまだあきらめていなかった。一度は収まったかに見えた騒動が、ここからさらに大きく動き出す。
モモワロウの決断
しつこく暴れようとするともっこたちの前に現れたのは、怒りに燃えるオーガポンだった。お祭りをめちゃくちゃにしたともっこを、オーガポンは許そうとしない。そこへ思いがけない影が飛び込んでくる。
かつての親分
ともっこたちをかばうように飛び出したのは、なんとモモワロウだった。どうしてともっこの味方をしているのかと驚くゼイユに、ダイアナが明かす。モモワロウは、ともっこたちの親分だったのさ。そして過去に、オーガポンと戦ってこてんぱんにやられたのだという。
モモワロウにとって、ともっこたちは昔の子分であり、かつてともにいた仲間だ。悪さをしたことは事実でも、目の前で痛めつけられそうになっている姿を、黙って見ていることはできなかったのだろう。その気持ちは、パートナーを大切にするダイアナにも痛いほど伝わっていたはずだ。
昔の仲間を助けようっていうのかい、と問いかけるダイアナ。そして「見届けるよ、あんたの戦い」と背中を押す。止めるのではなく、決断を見守ることを選んだダイアナの言葉に、パートナーへの深い信頼を感じた。かつてオーガポンに敗れた相手に、もう一度立ち向かうモモワロウの勇気が胸を打つ。
一対一の真剣勝負
一対一の真剣勝負に、すごいことになってきたと見守る仲間たち。モモワロウとオーガポンのぶつかり合いは、まさに因縁の対決だった。かばいたいのはかつての仲間、けれど非があるのはともっこの側。その板挟みの中で、モモワロウは自分にできることを精一杯やり遂げようとしていた。
戦いのあと、仲間のために頑張ったんだねとモモワロウをねぎらう声がかけられ、オーガポンには、すまなかったねと謝る言葉も向けられる。過去にきちんと向き合い、けじめをつけるその姿がとてもすてきだった。ただ勝ち負けを決めるだけではなく、因縁に決着をつけるための戦いだったからこそ、見ている側の心にも深く残る一幕になったのだと思う。モモワロウにとっても、ここで一つの区切りがついたように見えた。
もちろん、お祭りをめちゃくちゃにしたともっこたちが、ただで帰れるはずもない。力仕事を手伝わされるともっこたちにも、働いたあとのご飯はうまいよとごちそうがふるまわれ、ここからは一緒に楽しもうと迎え入れられる。罰を与えるだけで終わらせない温かさが、キタカミの里のお祭りにふさわしい締めくくりだった。
まとめと考察
『ポケットモンスター(新シリーズ)』第152話は、言い伝えの裏側にあるポケモンたちの思いと、仲間をかばうモモワロウの成長を描いた回だった。最後に、印象に残ったポイントを振り返っておきたい。
構ってほしかったともっこ
ともっこたちは、昔はたくさんのお供え物をもらって、みんなと遊んでいた。だからこそ、構ってほしかったのではないか。そんなリコたちの推測と、「大好きな人に構ってもらえないのってすごく寂しいもん」という言葉が、この騒動の本質をやさしく言い当てていた。
この推測は、リコたちらしいやさしさから生まれたものだと思う。悪さをした相手を責めるのではなく、なぜそんなことをしたのかを考える。ポケモンの気持ちに寄り添おうとする姿勢こそが、ライジングボルテッカーズの旅を支えてきた原動力なのだと、あらためて感じさせられた。
悪さをする理由が、寂しさだったのかもしれない。悪者として語られてきた存在にも、それぞれの思いがある。そう考えると、ともっこたちへの見方ががらりと変わる。お祭りの最後にみんなで楽しむ姿には、ほっとさせられた。仲直りのきっかけが、ごはんとお祭りというのもこの作品らしい。
少しだけ成長したモモワロウ
帰っていくオーガポンに、あいつによろしくねと声をかけるゼイユの姿も、この里でのつながりを感じさせる。そして最後は、リコがおばあちゃんにお土産を渡す温かな場面へ。自分の分はないのかとすねるモモワロウは、またあんたはとあきれられてしまう。ナヴィがじゃあいいものをあげると差し出したプレゼントに、モモワロウはびっくりしてしまう。
仲間のために自ら飛び出したモモワロウは、確かに少しだけ成長した。けれど、やっぱりまだちょっと子どもっぽい。成長と変わらない部分の両方が愛おしい、そんなモモワロウらしいオチに、思わず笑顔になった。キタカミの里でのにぎやかな時間が、これからの旅の大切な思い出になっていきそうだ。




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