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『ドラゴンボール超【ビルス】』第1話の副題は「破壊の神様」。魔人ブウとの闘いから数年、畑仕事のかたわら修行に励む悟空のもとに、ミスター・サタンが1億ゼニーの賞金を持ち込む。その一方で、宇宙では破壊神ビルスが39年ぶりに目を覚ましていた。半分だけの星、そして予知夢が告げたスーパーサイヤ人ゴッドまで、懐かしさと新しさが同居する幕開けを振り返る。




第1話「破壊の神様」から始まる新たな物語
『ドラゴンボール超【ビルス】』第1話の副題は「破壊の神様」。史上最大の敵・魔人ブウとの闘いから数年後、地球の救世主である孫悟空は、畑仕事のかたわら修行を続ける平和な日々を送っていた。一方そのころ、宇宙のとある惑星では、破壊をつかさどる神・ビルスが長い眠りから目を覚ます。のんびりした地球の日常と、気まぐれに星を壊す破壊神の姿を交互に描きながら、新たな脅威の足音を響かせる幕開けだった。
本作は、かつて放送された『ドラゴンボール超』の物語を、新たに編集・再構成して届けるシリーズだ。おなじみのBGMや場面に懐かしさを覚えつつも、色合いや画面の印象は大きく変わっていて、見慣れたはずの物語がとても新鮮に映る。旧作を知っている人も、初めて触れる人も、それぞれの楽しみ方ができる第1話だったと思う。
畑仕事と修行の両立
物語は、畑で働く悟空のもとに、悟天がお弁当を届けに来る場面から始まる。日曜日で学校が休みの悟天に、悟空は「こいつ」の運転を代わってもらい、自分はその間に修行を始めてしまう。魔人ブウがめちゃめちゃ強かったこと、自分だけでは全然勝てなかったことを振り返り、「あんなんがまた来ねえとも限んねえかんな」と、次の戦いに備える悟空。平和な時代になっても、戦いへの意識は少しも衰えていない。
本当は界王様のところに行って修行したいのに、そうもいかない事情があるらしい。悟天が「世界一強いのはお母さんかもしれないね」と笑うのが、孫家の力関係をよく表していておかしい。牛魔王のおじいちゃんの家も火事でお宝が燃えてしまい、あまりお金がない。お母さんは、お父さんならもっと儲かる仕事があると言っていたという。ミスター・サタンのように、と付け加える悟天の一言が、そのまま次の場面への前振りになっているのが上手い。
1億ゼニーの賞金と、界王星への旅立ち
ミスター・サタンの訪問
そこへ現れたのが、当のミスター・サタン。悟空は、ビーデルのためにと大きな家を建ててもらったお礼を伝えるが、サタンは「ビーデルは私の娘でもありますし」と気にしない。そして本題として切り出したのが、世界平和大賞を受賞したという話だった。世界を救ったのは自分だということになっている手前、特別に賞金までもらってしまった。その額、なんと1億ゼニー。
サタンは、この賞金は本当は悟空たちがもらうべきだと言う。悟空も、サタンだってそれなりに戦ったじゃないかと返すあたり、二人の関係は思いのほか温かい。ベジータにも断られたというサタンに、悟空が、1億ゼニーとは十万ゼニーがいくつ分なのかと尋ね、千だと聞いて驚くくだりは最高だった。「そんなおそろしい大金は」いらないと尻込みする悟空の金銭感覚が、いかにも悟空らしい。
修行の許し
迷う悟空の背中を押したのは悟天だった。賞金があれば、お母さんも界王様のところで修行することを許してくれるはず。そう言われて、ようやく受け取ることを決める悟空。ただしサタンからは、このことはくれぐれも内緒にと念を押される。英雄の看板を守りたいサタンと、名誉にまったく興味のない悟空。この対照が、変わらず面白い。
1億ゼニーを前にしたチチの喜びようは、期待どおりの迫力だった。これだけあれば悟天を塾に通わせて家庭教師もつけられると大喜び。そのタイミングを逃さず、界王様のところへ修行に行ってもいいかと切り出す悟空の作戦勝ちである。たまには帰ってくるようにと送り出され、悟空は晴れて修行の旅へ。大金より修行という悟空らしさが、ほほえましい形で描かれていた。
それにしても、1億ゼニーという大金を前にしても、悟空がまず考えるのは修行のことだけだ。家族を養うために働くべきだと思いながらも、強い相手と戦いたいという気持ちはどうしても抑えられない。悟天の一言とチチの喜びのおかげで、家族も悟空も笑顔になれる落としどころが見つかったのは、平和な時代ならではの穏やかな光景だった。この穏やかさが、後半のビルスの場面との強烈な対比になっている。
なお、旧シリーズの序盤で描かれたベジータ一家の家族旅行のエピソードは、今回の第1話には含まれていなかった。楽しみにしていたファンも多かったようで、そのぶん本筋のテンポは速くなっている。家族サービスに付き合うベジータの姿はまたどこかで見たいところだ。
破壊神ビルスの目覚め
半分だけの星
一方、宇宙のとある惑星では、目覚めたビルスのために盛大なもてなしが用意されていた。この星の一流シェフが腕によりをかけた料理が並び、出てきたのは、完全有機農法で育てた「天然無菌牛のアラプラネテーゼ」。なんか面倒な名前だと言いながら口にしたビルスは、塩加減も絶妙で「僕好みの味だ」と満足げだ。ところが、ちょっと脂肪分が高いという理由で、この星は「今回は半分だけにしておいてあげるよ」と破壊されてしまう。
料理を褒めた直後に、脂肪分の取り過ぎは体に良くないからと星を半分消す。このあまりに気まぐれで理不尽な振る舞いこそ、破壊神という存在の恐ろしさだ。おいしかったんじゃないんですかと呆れる従者ウイスとの温度差も含めて、ビルスというキャラクターの怖さとおかしさが一度に伝わる、見事な登場シーンだった。料理を差し出す住人たちのかしこまったもてなしぶりから、この破壊神が宇宙でどれほど恐れられてきたのかがよく分かる。好みに合えば半分で済み、合わなければ星ごと消える。そんな理不尽が当たり前のように通ってしまう存在が、いずれ悟空たちの前に現れるのかもしれないと思うと、背筋が少し寒くなってしまった。
その異変に真っ先に気づいたのが、界王神とその先祖の老界王神である。お茶が渋かったのかと尋ねる界王神に、老界王神は「実にまずいぞ」と顔色を変える。39年ぶりに破壊神ビルスが目を覚ました。界王神たちでさえ恐れる存在の目覚めが、ここで静かに告げられた。
界王星での修行
悟空はというと、北の界王のもとで修行の真っ最中。到着早々、急に飛び出しよってと界王に叱られている。界王様の力なら家や車くらい簡単に直せるだろうと言う悟空に、界王は自分の手で直すのが楽しいんじゃと返す。口に物を入れたまましゃべるなと叱られたり、その格好をなんとかしろと言われたりと、師弟の掛け合いはいつもどおり賑やかだ。
界王星の重力は地球の10倍。修行にはこれ以上ない場所だと張り切る悟空は、トレーニングレベルを上げながら汗を流す。かつて戦った強敵たちを思い浮かべるイメージトレーニングの場面では、懐かしい顔ぶれが次々と登場し、長年のファンにはたまらない演出になっていた。魔人ブウとの戦いを経た悟空が、これまでの強敵たちとの戦いを糧にさらに上を目指そうとしている。界王星での地道な修行の積み重ねが、いずれ破壊神との出会いにつながっていくのだと思うと、このイメージトレーニングの場面にも特別な意味が感じられた。
ベジータの誓い
そして、ベジータもまた、悟空への強い対抗心を胸に秘めていた。「この俺が認めた最強のサイヤ人」として悟空を認めながらも、いつまでもナンバー2の座に甘んじているつもりはない。いずれは悟空を超え、いやこの宇宙のすべての者を超えて、究極のナンバー1になってみせる。ブウとの戦いを経て家族を持ったベジータが、それでも誇り高いサイヤ人の王子であり続けていることが、この短い独白からはっきり伝わってきた。悟空が修行の旅に出る一方で、ベジータも決して足を止めてはいない。二人のサイヤ人のライバル関係は、平和な時代になっても少しも色あせていないのだ。
予知夢が告げる「スーパーサイヤ人ゴッド」
恐竜のお肉と予知夢
ビルスは、なにやら思い出せないことがあってイライラしていた。ウイスが用意しているのは、うわさの恐竜のお肉。まだ2分20秒しか経っていないと言われても、ビルスは「220年は待たされちゃった気分だよ」とせかす。恐竜の肉が食べたいのは、いかにもガツンとパンチのありそうな味が、夢で見たあいつを思い出すきっかけになりそうな気がするからだという。
ビルスが見たのは予知夢だった。ところがウイスは、それほど的中率は高くないでしょうと冷ややかだ。この前だって、アイドルが近所に引っ越してくるという夢は「当たらなかったじゃありませんか」と言われ、ビルスはむっとする。破壊神と従者の、気の抜けた掛け合いが楽しい。途中で「礼儀を知らない奴は大嫌いだ」と言い放つ場面もあり、機嫌の悪さは隠しようがない。結局、恐竜の肉は「あんまりうまそうじゃない」とやめてしまい、星ごと吹き飛ばしてしまう。
「何度見ても星の爆発は気分がいいね」と言うビルスの言葉は、まさに破壊神そのものだ。そしてパンチ抜群の爆発が、ついにあいつの名前を思い出させてくれたという。まだ誰も見たことのない究極の戦士、自分を楽しませてくれるすごい奴。その名は「スーパーサイヤ人ゴッド」。ところが、言った直後に、だったような違ったような、とあやふやになってしまうのがビルスらしい。
平和な日常に忍び寄る破壊神
第1話は、のんびりとした孫家の日常と、破壊神ビルスの理不尽な強さを交互に描くことで、これから訪れる嵐の大きさを予感させる構成だった。1億ゼニーに尻込みする悟空、修行の許しを得てはしゃぐ悟空、そして星をあっさりと壊すビルス。この落差が大きいほど、二人が出会ったときの衝撃も大きくなるはずだ。
スーパーサイヤ人ゴッドとは何者なのか。ビルスはその戦士を探して、どこへ向かうのか。お城で食事をとりながらゆっくり思い出しましょうというウイスの言葉で幕を閉じた第1話は、懐かしさと新しさが同居する、新シリーズの幕開けにふさわしい一話だった。編集し直された物語が、これからどんなテンポで進んでいくのかも含めて、毎週楽しみにしたい。




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