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ホームセンターを拠点にしたアキたちは、愛車サリーのガソリンを求めて初めての遠征へと出発する。武器を手にしたサクラの豹変、まぶしい明かり、そして写真屋で現像したフィルムが示した父の行き先。にぎやかな日常の先には、息をのむ衝撃の展開が待っていた。スイッチが入るサクラ、アキがこぼした本音、そしてナツキを襲った悲劇まで、第3話を振り返る。




第3話「写真屋さんさがしてます」は父の手がかりを追う回
『#ゾンビさがしてます』第3話「写真屋さんさがしてます」は、ホームセンターを拠点にしたアキたちが、初めての遠征に出る回だった。傀人捕獲罠の完成、サクラの思わぬ豹変、ガソリンスタンドでの大騒ぎ、そして写真屋で現像したフィルムが示したアキの父の行き先。にぎやかで明るい前半から一転、ラストには息をのむ展開が待っていた。
傀人捕獲罠の完成
物語は、ユウが作った傀人捕獲罠のお披露目から始まる。ホームセンターの周りに置いた傀人よけの水で誘導し、細工したドアを踏むと落下する仕組み。重りで自動的にドアが閉まり、次々と捕獲できるという。難しい説明に、要は落とし穴ってことでしょ、とまとめてしまうアキの軽さがこの作品らしい。ホームセンターの品を使い、知恵と工夫で暮らしを整えていくユウの頼もしさは、この拠点生活を支える大きな柱だ。罠という発想そのものが、傀人を恐れるだけでなく、管理しようとする段階に進んだことを示していた。
捕まえた傀人の処理を任されたのは、これまで処理をしたことがないサクラだった。いざというときが今回のように安全とは限らないけれど、経験していないよりはまし。ゼロと1では大きく違う、というユウの言葉にも説得力がある。アキが新しく作った武器を、サクラに渡すことになった。
サクラ、スイッチ入ります
元は人間だったんですよね、とためらうサクラに、アキは答える。人間だったからだよ。みんな誰かを襲ってしまう前に「止めてほしいと思ってたはず」。だから自分はためらわずに処理してあげている。明るいアキの言葉の裏に、この世界で生きるための覚悟がのぞく場面だった。
ミカヅキのことを思い出し、助けてあげられなくてごめんね、とつぶやくサクラ。そして手にしたミニ火炎放射器で処理を始めた瞬間、サクラの人格が一変する。お前には消毒が必要だからね、と高笑いしながら炎を浴びせる姿に、仲間たちは唖然。「さくらは武器持つの禁止」と言い渡されるのも当然だった。
心優しくフレンドリーなサクラが、武器を持った途端にスイッチが入る。このギャップは強烈で、思わず笑ってしまった。人格変わりすぎだろ、という突っ込みがすべてを物語っている。武器を持つと別人のようになるサクラは、今後の戦いで頼もしい戦力にも、新たな火種にもなりそうだ。
ガソリンスタンドへ
初めての遠征
罠も完成し、いよいよ愛車サリーのガソリンを手に入れるため、ガソリンスタンドへ向かう。ホームセンターを拠点にしてから初めての遠征だ。外の世界をこうやって歩くこと自体が初めてかもしれない、とアキは感じる。大軍を殲滅したおかげか、思ったより傀人に出会わない道のりだった。拠点の周りから一歩外に出るだけで、世界の見え方は大きく変わる。かつて人々が暮らしていた街並みは静まり返り、そこを歩くのはアキたちだけ。のんびりとした会話の裏に、外の世界の広さと危うさが静かに漂っていた。
ガソリンスタンドでは、ユウが発電機を動かし、給油機を下ろす。トリガーを引けばガソリンが出るはず、と言うアキに、天才です、天才だな、と声をそろえる仲間たち。「私は天才だからわかる」と胸を張るアキと、本当に出たガソリンに大喜びする姿がほほえましい。電気がガソリンになった、という勘違いにも笑ってしまった。
けれど、発電機の音に反応して傀人が集まってくる。ユウがガソリンを入れる間、みんなで食い止める作戦。そこでまたしてもスイッチが入ったのがサクラだった。全員まとめて消毒してやる、と大暴れするサクラのおかげで、傀人は一掃。ただしガソリンスタンドで火はだめだ、絶対、という突っ込みが入るのも忘れない。役割を分担して危機を切り抜けるチームワークにも、これまで積み上げてきた絆が表れていた。
ホームセンターにないもの
無事にガソリンを手に入れた帰り道、アキは持って帰ろうと言い出す。ホームセンターにないもの。それは電気、そして明かりだった。夜、スイッチを入れると、まぶしいほどの光があふれる。目が痛い、明るすぎだ、と騒ぎながらも、みんなの顔はうれしそうだった。明かりがあれば、夜でも仲間の顔が見える。ただそれだけのことが、この世界ではどれほど大切なのか。電気という当たり前を失った世界だからこそ、光を喜ぶアキたちの姿が胸に残った。
世界中をこうしよう。「仲間がどこにいるか分かるように」。トイレに行けるように、投げた枕を回収してまた投げられるように。「いつか世界中を明るくしよう」というアキの言葉は、子どもっぽい願いのようでいて、この荒れた世界に希望を灯す宣言のようにも聞こえた。暗闇を知る者だけが言える、まっすぐで力強い願いだ。前夜、真っ暗な中で枕投げをして大騒ぎした場面が、ここできれいにつながっている。
写真屋でわかったこと
サリーちゃんと寄り道
ガソリンを飲んだサリーちゃんが目を覚まし、一行はいよいよ写真屋へ向かう。三輪だからサリーちゃん、安直なのよね、というぼやきも楽しい。空が高く、風が柔らかい。アオサギが並んで飛び、鹿が水を飲む。サクラのハーモニカに合わせてアキが歌う、のどかなドライブの時間が流れていく。ゾンビだらけの世界であることを忘れてしまいそうなほど、穏やかな景色が続く。この何気ない時間が、後の展開を知ったうえで見返すと、いっそう尊く、そしてはかなく感じられる。
その道中では、あいつは父親に置いていかれるような子どもだったのか、とアキの父親のことを気にかける会話も交わされる。最初はそっけなかった関係の中に、アキを気づかう気持ちが生まれ始めている。少しずつ芽生えていく仲間意識が、さりげない会話の中に描かれていた。
お父さんは生きてるの
写真屋で現像を待つ間、ユウはアキに問いかける。父親は傀人になっている前提で話しているが、今も生きているとは考えないのか。村を出たから生きているわけがない、と答えるアキ。村を出て戻ってきた人はいない、つまりみんな死んだから。アキたちの村では、そう教えられて暮らしてきたのだという。
ユウは、それは人口が減らないように村を制御するための教えだろうと指摘する。そして、それが生存していない理由にはならない。「現に私たちは生きている」。その言葉に、アキの目から涙があふれる。「会いたいよお父さん」。いつも明るく、父を処理するために探していると言っていたアキの本音が、初めてこぼれた瞬間だった。
可能性は極端に低い、希望は持つな、とすぐに付け加えるユウ。ユウがアキを泣かせてる、と責められて慌てるユウの姿も含めて、二人の距離がぐっと縮まった場面だったと思う。村の教えをそのまま信じてきたアキにとって、父が生きているかもしれないという可能性は、これまで考えたこともなかったものだろう。処理するために探すという言葉は、父の死を受け入れるための強がりだったのかもしれない。
最後の一枚
現像した写真を、新しいものから順にさかのぼっていく。仲間と撮った写真、村を出た日の写真、ナツキが初めて狩りに成功した写真、そして父が出ていった日の写真。そこから先は、父が撮った写真だった。最後の一枚に写っていたのは、幼いアキと、父が大好きだったという場所。父が撮った写真を一枚ずつさかのぼる流れは、アキが父と過ごした時間をたどり直すようでもあった。傀人を撮ろうとして失敗した写真が残っていたというくだりも、どこか父らしくて愛おしい。
ユウによれば、それは都市の真ん中にある電波塔、通称東京タワー。「アキ外の世界はすごいぞ」という父の言葉がよみがえる。人の手で作ったとは信じがたい建造物。父はここに向かったのだ。危険だからって諦めるアキじゃないだろ、という声に背中を押され、次の目的地は東京タワーに決まった。
衝撃のラスト
ナツキ
けれど、喜びもつかの間だった。写真屋の外には、両側から傀人の大群が迫っていた。車で突っ切ろうとする中、落としたカメラを拾おうとする場面も挟まる。大事なものなんだろ、あいつにとって。その混乱のさなか、ナツキが傀人に襲われてしまう。
地面に倒れたナツキと、その傍らに転がる腕。ナッちゃん、返事して、と叫ぶアキの声だけが響く中で、第3話は幕を閉じる。前向きでたくましい日常の裏にある、この世界の過酷さを突きつける、あまりにも衝撃的なラストだった。第2話で、また残されるのは嫌だ、死ぬなら一緒に死なせてと語っていたナツキ。そのナツキが仲間の前で倒れる展開は、あまりにも残酷だ。
第3話のまとめ考察
明るさと過酷さの同居
第3話は、この作品が持つ二つの顔がはっきりと描かれた回だった。サクラの豹変、天才コール、まぶしい明かりと枕投げ。ゾンビだらけの世界とは思えないほど明るい時間が続く一方で、父の生存という希望と、仲間が傷つくという現実が、同じ一話の中に押し込まれていた。
特に印象的だったのは、ユウとアキの関係の変化だ。父を処理するために探していると言い続けてきたアキが、ユウの言葉で本音を見せた。そしてユウもまた、アキの涙に慌てるほど、アキのことを気にかけるようになっていた。仲間との距離が縮まった直後に訪れた悲劇だからこそ、ラストの衝撃がいっそう重く感じられる。
東京タワーへ
次の目的地は東京タワー。父が大好きだった場所であり、すべてが発信される都市の真ん中だという。けれど、ナツキの身に起きたことを考えると、この旅がこれまで通りに進むとは思えない。いつか世界中を明るくしよう、という約束を、アキたちはどんな形で守っていくのか。明るさの中に影が差した第3話は、物語の大きな転換点になりそうだ。サクラの豹変やアキの天才ぶりといったコメディの積み重ねがあったからこそ、ラストの一瞬がより鋭く刺さる。笑いと恐怖の振れ幅の大きさこそが、この作品の持ち味なのだと改めて感じた。




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