この記事の作品:
第2期の最終回の副題は「天晴! 悪を蹴散らす骸骨裁き!」。人を食い漁る枢機卿チャロスとの戦いから、いきなり話が始まる。チャロスの身体の中からは、これまでに食われた人々の声が聞こえてくる。3分間だけの召喚獣の力で反撃したアークは「ただのエルフ族の騎士だ」と名乗る。後半はピザと弔いの日常を経て、アリアンと二人でヒルク教国への旅に出る。




副題は「天晴! 悪を蹴散らす骸骨裁き!」、いきなりのボス戦
第2期第12話の副題は「天晴! 悪を蹴散らす骸骨裁き!」。公式のあらすじは、戦場を駆けて人々を窮地から救い出すアークの前に、化け物と化して人々を食い漁るヒルク教会七枢機卿の一人、チャロスが現れると書いている。
突然のボス戦
最終回は前置きなしに始まる。アーク自身が、突然ボス戦が始まってしまったとこぼすほどで、いきなり巨大な相手との戦いに放り込まれる。主人公がゲームの感覚で状況を言い表してしまうところに、この作品らしい軽さが最初から出ている。
再生する相手
斬っても斬っても、相手の身体はすぐに戻ってしまう。アークは、こいつは少々厄介だと判断する。力押しで片付く相手ではない、ということを最初の数分で見せておく組み立てである。
「ボクちゃんは偉いんだぞ」、チャロスという枢機卿
巨大な魔力の正体として姿を見せたのが、公式のあらすじにあるチャロスだった。
世界を救い導く者の言い分
チャロスは「ボクちゃんは偉いんだぞ」と言い、自分はこの世界を救い導くヒルク教の枢機卿なのだと名乗る。口にしている理想と、人を食い漁る姿がまったく噛み合っていないのが、この敵の気持ち悪さである。
食べる相手を選ぶ
チャロスは、エルフや獣人はまずくて本当は嫌いだが、もったいないから残さず食べると言う。そしてアリアンを、柔らかそうで好みかもと見る。アリアンの返しは「気持ち悪い目で見ないでよね」だった。敵の下劣さを、アリアンの嫌悪の一言で受け止めさせる演出がはっきりしている。
教会の偉い人が化け物になっている
ヒルク教の枢機卿という肩書きは、これまでの話でも何度も敵の背後に見えていた。その一人が、最終回でようやく正面に姿を見せたことになる。救い導くと言いながら人を食べる姿は、この教会が掲げる言葉と中身のずれを、そのまま一人の身体で見せているようにも見える。組織の闇を説明するのではなく、枢機卿本人の醜さで一気に見せてしまう分かりやすさが、最終回の敵としてよく効いている。
アリアンとの共闘と、食われた者たちの声
街の人々を逃がす役を仲間に任せ、アークとアリアンは二人で化け物に向き合う。
「私とアークで十分よ」
アリアンは、この化け物の相手は「私とアークで十分よ」と言い切り、仲間を街の人々の救出に回す。最終回の決戦を二人だけで引き受けるという選び方が、この二人の関係の到達点を示している。守られる側ではなく、並んで戦う相手としてアリアンが立っていることが、一期からの積み重ねを感じさせる。
聞こえてくる声
戦いの途中、アークは弱体化の攻撃を受け、どこからか声を聞く。それは奴に食べられた人たちの声ではないかと気づき、力だけでなく魂まで取り込んでいたのかと知る。公式のあらすじも、チャロスの身体からはこれまでに食われた人々の恨みや嘆きが聞こえてくると書いている。倒すべき相手の中に、救うべき人たちが閉じ込められていたと分かる瞬間である。ここで戦いの意味が、敵を倒すことから、囚われた人々を解き放つことへと静かに変わっていく。
「おしまいなのはあんたの方よ」
追い詰められたと思った相手が勝ち誇ったところで、返ってくるのは「おしまいなのはあんたの方よ」だった。アークは時間を稼いでくれたことに感謝する。アリアンの時間稼ぎが、そのまま反撃の準備になっていたという流れが気持ちいい。
3分間の召喚獣と、「ただのエルフ族の騎士だ」
ここからがアークの反撃である。
効果は3分間
アークが呼び出したのは、召喚者の状態を一定時間固定できる上級召喚獣だった。効果中はダメージを受けず、魔力も減らないが、ただし効果は3分間だけだという。アークは「一気に畳みかけさせてもらう」と宣言する。ゲームの仕様を説明するような語りで、制限時間つきの見せ場を作るのがこの作品の定番の盛り上げ方である。
制限時間つきの反撃
3分間という時間の区切りは、反撃の場面に分かりやすい緊張を生んでいる。ダメージを受けない代わりに時間が限られているので、アークは次々に技を重ねていくしかない。技の名前が画面に大きく出る演出もあり、最終回の見せ場として派手に盛り上げている。ゲームの画面を思わせる見せ方と、骸骨の騎士の重々しい剣さばきが一つになっているのが、この作品の戦闘の持ち味である。
名乗り
最後に名を問われたアークは、貴様に名乗るつもりはなかったがと前置きして、「我の名は アーク・ララトイア」「ただのエルフ族の騎士だ」と名乗る。骸骨の姿のまま、自分を「エルフ族の騎士」と名乗ってみせるところに、この二期で里に受け入れられてきた重みがある。
「安らかに眠ってくれ」
戦いを終えたアークは、囚われていた魂たちに「安らかに眠ってくれ」と声をかける。悪を倒して終わりではなく、食われた人々を弔う言葉で決着をつけるのが、この主人公らしい。
白銀の騎士の噂と、ユリアナ
戦いのあと、舞台はいったん別の国へ移る。タジエントの騒ぎは、遠く離れた場所にも伝わっていた。
タジエントの騒ぎ
タジエントの町がジャミアントとアンデッドの襲撃を受けたが、兵たちの働きで危機は脱した、という知らせが届く。南の大陸で唯一ヒルク教の教会がある町だと説明される。アークたちの戦いが、表向きには別の形で伝わっていくのが面白い。
「白銀の騎士」
さらに、戦いの中で数人の獣人族とエルフ、そして白銀の騎士が目撃されたという話が添えられる。それを聞いたユリアナが反応する。本人のいないところで、アークの噂だけが一人歩きしていく構図がこの作品らしい。目立たずに冒険したいというアークの願いとは裏腹に、白銀の騎士という呼び名は少しずつ広がっている。
兄への報告と、ピザ
戦いが終わり、それぞれがいったん落ち着いた場所へ戻っていく。
見晴らしのいい場所
里でいちばん見晴らしのいい場所で、兄を弔う場面が描かれる。新しい里で幸せに暮らしているみんなの姿がよく見えるように、という言葉が添えられる。第11話の別れを受けて、最終回でもきちんと弔いの時間を取っているのが誠実である。
「ピザという我のふるさとの料理だ」
アークはアリアンに、大陸で買ったトマトが大量にあると言って、ピザを焼く。「ピザという我のふるさとの料理だ」と説明し、みんなの口に合うといいのだがと気にかける。骸骨の騎士が故郷の料理を振る舞うという場面で、最終回の日常がやわらかく描かれる。アークにとってのふるさとは、この異世界に来る前の場所であり、その料理を仲間と分け合うことに、この世界に根を下ろしつつあることが表れている。
言いかけて、言えないまま
その間、アリアンは何度も「実はね」と切り出そうとして、そのたびに話が遮られる。大事な話ほど最後まで言えないまま次の場面へ移っていくのが、二人の関係のもどかしさである。聞く側のアークも、何の話か察しきれないまま流してしまう。
ヒルク教国へ、新しい旅立ち
最後に、次の旅の行き先が決まる。
チヨメとツボネの依頼
チヨメとツボネが訪ねてきて、同胞をさらっているのがヒルク教だと分かった以上、その本拠地に囚われている者がいるかもしれないと話し、アークに助力を願う。アークは「その依頼受けたまわった」と応じる。一つの戦いが終わった瞬間に、次の戦いの理由がすでに用意されている。第11話でチヨメが背負った兄との別れが、ヒルク教国へ向かう理由としてそのまま引き継がれているのも自然な流れである。
アリアンの所属変更
アークだけでは心配だとついてくると言うアリアンに、アークは所属のことを気にかける。そこで、アリアンが里に帰ってすぐに所属変更の手続きをしていたことが明かされる。本人は、アークを一人にしたら何をするか心配だからと言い張る。言いかけて言えなかった「実はね」の中身が、ここで周りから明かされてしまうのが可笑しい。
「お揃いでまるで夫婦みたいね」
二人の名前が並べて読み上げられ、どちらにもララトイアの名が入っていることから、「お揃いでまるで夫婦みたいね」と冷やかされる。人族の中では名前の一部が同じだと家族や夫婦を示すことが多いのだという。二期の最後に、二人の名前が同じ里の名で並ぶという形で関係が一歩進んだのが微笑ましい。
まとめと考察
第12話は、チャロスとの決戦を前半で片付け、後半を弔いと日常と新しい旅立ちに使った最終回だった。派手な決着と穏やかな日常の両方をきちんと描き、それでいて次の旅の目的地まで示しているので、区切りとしても続きとしても受け取れる終わり方になっている。
悪を裁いて、魂を弔う
チャロスは倒すべき悪として描かれたが、その身体には食われた人々の魂が閉じ込められていた。アークの裁きは、悪を倒すことと、囚われた魂を解き放つことが一つになっていた。副題の「骸骨裁き」は、その両方を指していたと思う。
ララトイアという名前
「アーク・ララトイア」という名乗りと、所属変更で同じ名前を持つことになったアリアン。異世界に来た骸骨の騎士が、里の名前を名乗る存在になったことが、この二期のいちばんの変化だった。
アリアンの二期
この二期でアリアンは、アークの隣で戦い、里に戻り、そして自分から所属を変えてまで同行する道を選んだ。本人は心配だからと言い張るが、周りにはすっかり見抜かれている。言葉では認めないまま行動で気持ちを示し続けたアリアンが、最終回で名前の上でもアークと並んだのが、二期のもう一つの結末だった。
次の旅へ
最後にアークは、異世界に来て目立たずひっそり冒険をするつもりだったが、まだまだそうはいかないようだと語る。ヒルク教国という次の舞台を示したまま、旅の途中で幕を閉じる終わり方である。その後には、別の場所で白銀の騎士に興味を示す者の姿も描かれる。アークの知らないところで次の騒ぎの準備が進んでいる、という含みを残した締め方になっている。




関連作品:




































コメント