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『#ゾンビさがしてます』第5話「修理屋さんさがしてます」は、ゾンビに噛まれたナツキが24時間を越え、仲間たちが次の旅へ動き出す回だった。ボロボロになった愛車サリーと、修理屋の少女トウカとの出会い、みんなが内緒で用意したプリン、そして前を向いたナツキの新しい決意まで、優しさと温かさがたっぷり詰まった第5話を、ひとつずつ振り返っていく。




第5話「修理屋さんさがしてます」 24時間を越えて
今人食べたい、それともプリン食べたい
『#ゾンビさがしてます』第5話は、ゾンビに噛まれたナツキが、運命の24時間を越える場面から始まる。「ナツキ、デッドラインの24時間を超えた」、「どうだ、気分は」。そして飛び出したのが、この作品らしい確認の仕方だった。人が食べたいか、それともプリンが食べたいかという問いに、ナツキは迷わず「プリン」と答える。
「よかったー」、「助かったんだ」。喜びのあまりナツキを胴上げする仲間たちと、そのはずみで傷口から血が噴き出してしまうドタバタぶりには思わず笑ってしまった。「みんなありがとう心配かけてごめんね」というナツキの言葉に、前回の重い展開を乗り越えたことを実感して、ほっと胸をなで下ろした。噛まれた腕を切り落とすという決断から24時間、仲間たちがどんな思いで見守っていたのかを想像すると、この胴上げの騒がしさがいっそう愛おしく感じられる。シリアスな危機を笑いで締めくくる、この作品ならではの温度感が戻ってきた場面だった。
片手じゃきついわね
とはいえ、右腕を失ったナツキの日常は前と同じというわけにはいかない。鹿の解体を手伝いながら「解体なんて慣れてると思ってたけど」、「片手じゃきついわね」とこぼし、「どうして片手になっただけでこんなに難易度上がるのよ」と嘆く姿は、明るさの中に確かな痛みをにじませていた。
一方のアキは、とにかく狩りに行っては鹿を取ってくる。お肉の消費が追いつかず、保存用にジャーキーを作ることになっても、また鹿を取ってきて「もうお肉足りてるって」と言われる始末。ナツキとサクラがタレを選んで仕込む場面も含めて、ゾンビだらけの世界とは思えない、のどかな日常が描かれていた。
それでも、ナツキがこの日常に少しずつ慣れていこうとする様子には、彼女なりの強さがある。できないことに苛立ちながらも、誰かに手伝ってもらいながら作業を続ける。片手になったからといって、仲間の役に立つことをあきらめない。その姿は、明るい彼女だからこそ余計に健気に見えて、応援したくなった。サクラがタレを担当し、ナツキがお肉を担当するという分担にも、無理をさせすぎない仲間たちのさりげない気遣いが感じられて、見ていて心がほっと和んだ。とても良い場面だった。
サリーの修理と修理屋トウカ
動いた、けれど
一方、ボロボロになった愛車サリーの修理は難航していた。「ユウがいないと車の直し方分かんないから」と言われるほど頼られているユウは、ハルを無理やり手伝わせて修理を続ける。ようやく「動いた」と思ったのも束の間、すぐに止まってしまい、「もしこれで東京タワーへ行っていたら…」とぞっとする。テストしておいてよかったという言葉どおり、ここで気づけたのは幸運だった。
ユウとハルの掛け合いも、この回の楽しいポイントだ。洗濯や掃除で忙しいと渋るハルを、いいからさっさと来いと引っ張っていくユウ。普段はクールなユウが、サリーのことになると一歩も引かないところに、この車への思い入れの強さがよく表れていた。
使える部品を探しに街へ出た二人は、ゾンビに追われる少女を助ける。それが、この辺りでただ一人の整備士だという少女、トウカとの出会いだった。「こいつがあれば車のエンジンが直せるんだ」と自信たっぷりに語るトウカに、ユウとハルは修理を頼むことになる。
トウカが連れて行ってくれたのは、「まるで要塞だな」と驚くほど頑丈な工場だった。そこにあったのは、サリーとそっくりな一台の車。「かわいいでしょ」と得意げなトウカによれば、ハンドルの位置以外はほぼ同じ部品でできているという。新しい車に乗り換えた方が早いのではという声に、「ダメだサリーを直さないとダメなんだ」と言い切るユウの言葉に、サリーへの深い愛着がにじんでいた。
工場の灯火を絶やさずに
その車は、トウカのじいちゃんの愛車だった。「ここはね、じいちゃんの修理工場なんだ。」。小さい頃からここが大好きで、じいちゃんが車を分解したり組み立てたりするのをずっと見ていたというトウカ。世界が変わってしまった日、じいちゃんのおかげで生き残り、逃げる人たちの車まで直して回るじいちゃんから、整備の技術を叩き込まれたのだという。
そのじいちゃんは、ある日出かけたまま帰ってこなかった。それでもトウカは「じいちゃんはまだどこかで修理をしてるんだと思う」と信じている。名前の由来は灯火。「ここで私は工場の灯火を絶やさずにいるつもりだ」、「そうしてればいつかじいちゃんが帰ってくるかもしれないでしょ」。明るく振る舞う彼女の言葉の奥に、帰りを待ち続ける強さと寂しさが感じられて、胸がじんとした。
ゾンビだらけになった世界で、誰かを待ち続けるのは簡単なことではないはずだ。それでもトウカは、じいちゃんから受け継いだ技術で誰かの車を直し続けることで、自分の居場所と希望を守っている。工場の明かりを灯し続けるという生き方は、この作品が描く、絶望の中でも日常を手放さない人々の姿そのものだと感じた。
修理を終えたサリーは、オイルの交換や部品の作り直しに加え、じいちゃんの車から拝借した部品まで使って、見違えるように生まれ変わった。「その子もあんたの大事なものなんだよね」と問われ、「ああ俺たちの大事な家族だ」と返すやり取りがとてもいい。一緒に来ないかという誘いを断り、工場を守ると決めたトウカの「あたしはここに居るから」という見送りが、まぶしかった。
東京タワーへ向けて
私も戦えるようになりたい
東京タワーに向けて、写真屋でも病院でもピンチになったことを振り返り、徹底的に準備をしようと決めた一行。その中で、ユウはナツキにある頼みごとをする。「私も戦えるようになりたい」、「弓の使い方、教えて欲しいんだ」。
修理屋トウカのたくましさに触れたからこそ、ユウも守られるだけではいたくないと思ったのかもしれない。「ピンクの弓でよかったら」と応じるナツキと、フォームを意識して弓を引くユウ。二人が少しずつ距離を縮めていく様子が、とても微笑ましかった。前回、ナツキはユウを守るために腕を失った。そのユウが、今度はナツキから戦い方を学ぶ。守られた側が守る側になろうとするこの流れは、二人の関係にとって大きな一歩なのだと思う。
プリンってこんな味なんだ
そして、みんなからナツキへの贈り物が用意されていた。ずっと食べたかったもの、それがプリンだ。卵は屋上で偶然見つけ、牛乳の代わりにヤギ乳を用意する。アキが毎日のように狩りに出ていたのも、このためだったのだと分かった瞬間、それまでの鹿取りの連続がすべて愛おしく思えてきた。
「おいしいこんなにおいしいのは初めて」、「想像してたよりもっと美味しいわ」。本当はずっと不安だったと打ち明けるナツキ。みんなは次の目的に向かって進んでいるのに、自分は日常生活もうまくやれなくなってしまった。そんな彼女が、「でも、うちにはこのプリンを美味しいと思える心があった」と気づく場面は、この回でいちばん心に響いた。失ったものばかりに目を向けるのではなく、まだ自分の中に残っているものに気づく。その気づきが、仲間たちが心を込めて作ったプリンによってもたらされたというのが、何よりも温かい。
プリンの材料をそろえるために、それぞれがこっそり動いていたことも胸に沁みる。卵を見つけた人、ヤギを捕まえた人、作り方を考えた人。誰か一人の手柄ではなく、みんなでナツキを元気づけようとした気持ちが、一皿のプリンに詰まっていた。このチームの優しさが、ゾンビだらけの世界での何よりの武器なのだと思う。
かわいいのインフルエンサー
東京タワーは情報を発信していた場所。それを聞いたナツキは、「決めたわ、うちが発信するの」と宣言する。「この世界に絶望してる人に」、「こんな世界でも美味しいものや可愛いものがあるんだって」、「教えてあげなくちゃ」。片腕を失っても、かわいいものを愛する気持ちは変わらない。前を向いたナツキの姿が本当に頼もしい。
そして、「行ってきます、我が家」と拠点に別れを告げ、生まれ変わったサリーで東京タワーへと出発する。新しい武器をもらって「かわいくないわね」とぼやくナツキまで含めて、いつもの彼女が戻ってきたことがうれしかった。ジャーキーやプリン、新しい武器と弓。旅の準備として描かれたものの一つひとつが、仲間たちの成長と絆の証のようにも見えた。
第5話のまとめ考察
失ったものと、残ったもの
第5話は、前回の大きな喪失を受けて、それぞれが失ったものと残ったものに向き合う回だった。右腕を失ったナツキ、壊れかけたサリー、帰ってこないじいちゃんを待つトウカ。どれも取り戻せないものを抱えながら、それでも今あるものを大切にして前に進もうとする姿が丁寧に描かれていた。
特に印象に残ったのは、プリンを美味しいと思える心が残っていた、というナツキの言葉だ。この作品は、ゾンビだらけの世界の過酷さを描きながらも、いつも小さな幸せや日常の手触りを大切にしている。その姿勢が、ナツキのインフルエンサー宣言という形で物語の目的そのものにつながったのが、とても気持ちよかった。
修理屋トウカとの出会いも、旅の途中で出会う人々の優しさを感じさせるものだった。いよいよ東京タワーへ向かう一行の前に、何が待ち受けているのか。しっかり準備を整えた彼らの旅を、引き続き見守っていきたい。
振り返ってみると、第5話はタイトルどおり修理屋さんをさがす話でありながら、壊れたものを直すことの意味を何度も描いた回でもあった。壊れたサリーを直し、ナツキの心を少しずつ立て直し、トウカはじいちゃんの工場を守り続ける。完全に元通りにはならなくても、手を加えれば前より調子よく走り出せる。そんなメッセージが、物語全体に通っていたように思う。




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