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『魔法の姉妹ルルットリリィ【第2クール】』第14話は、喫茶だぶだぶの地上と地下で二つの物語が動き出す回。リリィの正体が風ではないかと疑う流は、妹の前で思わず敬語になってしまうほど挙動不審に。あさひのお披露目配信で笑わせた後半には、魔法の祝祭の歌姫探しと、正体が知られたときの魂の牢獄という不穏な言葉が待っていた。姉妹の日常に忍び寄る不安を振り返る。




第14話は喫茶だぶだぶから始まる二つの物語
『魔法の姉妹ルルットリリィ【第2クール】』第14話は、喫茶だぶだぶを起点に、地上と地下、人間界と魔法の国の二つの流れが同時に動き出す回だった。地上では、リリィの正体が風ではないかと疑う流が、あの手この手で妹を探りながら、あさひのお披露目配信に臨む。地下フロアでは、オリンズたちが魔法の祝祭に欠かせない「歌姫」を探している。前半はカレーの食卓や配信の掛け合いで笑わせておいて、後半で一気に物語の背骨になりそうな設定を明かしてくる構成が見事だった。
茉莉と汐の昔なじみ
冒頭は、喫茶だぶだぶを訪れた汐と、店の茉莉の穏やかなひとときから始まる。汐は「うちの春の新作」ができたからと、茉莉に和菓子を持ってきた。ひと口食べてほころぶ茉莉の顔を見て、汐は「昔初めてパフェ食べた時もそんな顔してたよね」と笑う。茉莉は、こっちに来るまでパフェを食べたことがなかったと言い、遠くから引っ越してきたのかと聞かれると「すっごい遠く」と答える。何気ない思い出話だが、この「遠く」がどこなのかは、後半を見たあとに思い返すとまるで違う重みを帯びてくる。
汐の心配ごとは、娘たちのことだった。風も流も急に大人びてきて、最近は帰りも少し遅い。そんな汐に茉莉は「きっといろいろあるんだよ」「でもあの子たちなら大丈夫」と声をかける。汐が「マリの言うことって不思議とよく当たるもんね」と返すのも、茉莉がただの喫茶店の店主ではないことをそっと匂わせていて上手い。娘たちの変化に気づきながらも、深くは踏み込まずに見守ろうとする汐の母親らしさが、短い会話からも伝わってきた。
地下フロアの祝祭会議
汐が帰ったあと、店には変わったお客さんたちがやってくる。喫茶だぶだぶの地下フロアでは、オリンズが魔法の国の住人たちと魔法の祝祭について相談していた。場所は押さえたものの、祝祭の歌姫がまだ見つかっていない。歌姫がいなければ儀式ができないという、なかなかの一大事である。それでも、ランチセットを前に「とりあえず食べてから考えよ」となるあたりの緩さが、この作品らしくて微笑ましい。
話題にのぼるのは、以前この店で会ったルルのこと。魔法の国でも人気のアイドルだという話が出て、魔法の力を持ったアイドルなら歌姫に適任かもしれないという流れになる。ここで茉莉が口にするのが、「祝祭の歌姫を任されるなんて」という言葉だ。魔法の国においてこれ以上ない名誉なことだと認めつつ、「どうかしらね」と言葉を濁す。そして皆が食事に戻ったあと、ひとりで「あの子たちのことは私が守らないと」とつぶやき、汐のためにもと付け加える。茉莉が魔法の国の事情を知っていて、しかも姉妹を守ろうとしていることが、ここではっきりと示された。
流の探りと、敬語の食卓
水晶玉と鏡
一方の流は、リリィの正体が風ではないかという疑いを深めていた。しばらく風を見ていたけれど「いつも通りだった」し、魔法を使ってもわからなかった。それでも、少し抜けているところや牛乳が好きなところが、どうしてもリリィに重なって見えてくる。あずきの「私も牛乳好きよ」という合いの手が絶妙で、流の真剣な推理が一気に脱力してしまうのがおかしい。
もっと違う方法で調べようと、流が取り出したのは占いに使う水晶玉。真実の姿が見えるという水晶玉に魔法をかけ、魔法についてもっと教えてほしいと願うものの、何も見えない。ところが、帰宅した風を迎えたあとに気づくと、部屋の鏡にどこかの風景が映っていた。あずきによれば、それはフェリックススター、つまり魔法の国だという。水晶玉ではなく鏡に魔法がかかっていたという外し方がかわいらしく、流の不器用さと一生懸命さがよく出ていた。
カレーと「気が利くね」
その夜の晩ご飯はカレー。汐がルーから作ってみたというカレーは、風には辛かったらしい。この食卓での流の挙動不審ぶりが、今回いちばんの笑いどころだった。おかわりを勧めた流に、風が「気が利くね」と返すと、流は思わず敬語で答えてしまう。風がリリィに見えて仕方がないせいで、妹を相手にまるで事務所の先輩と話すような態度になってしまうのだ。
両親に今日はどうしたんだと心配されても、流は自分なんてまだまだだと思っただけだとごまかすしかない。そこへ風が、自分も今日学校で先生に「お母さん」と言ってしまったと打ち明けて、恥ずかしかったと笑う。姉の失敗を、よくある言い間違いとして受け止めてくれる風の無邪気さがいい。汐が特製スパイスを入れたと明かし、風が「甘口にしてね」とお願いするところまで含めて、野々山家の食卓は今回も温かかった。
疑いを向けられている当の風は、何も気づかずによく笑う。流がその笑顔をあらためて見つめる場面には、正体を確かめたい気持ちと、妹を妹として見たい気持ちが入り混じっているようにも見えた。正体が分かったとき、姉妹の関係はどう変わるのか。その問いが、流の中で少しずつ形を持ち始めている。
あさひのお披露目配信
ココホレワンワン
事務所では、わんすもあの配信であさひをファンに紹介することに。いきなりの話にあさひは戸惑うが、リリィとルルはもっと早かったと言われて覚悟を決める。配信前にリリィがあさひをからかって「引っかかった」とはしゃぐ場面では、そのあまりの子どもっぽさに「小学生か」とツッコミが入る。実際に小学生である風の素がそのまま出てしまっているのが、正体を知っている視聴者にはたまらない。
緊張していたはずのあさひは、配信が始まると見事にキャラが変わる。「ココホレワンワン」という自作の挨拶とともに、プロダクションわんすもあの「秘密兵器」として名乗りを上げた。カメラの前に立つとスイッチが入るタイプで、生配信に向いている。コメントで好きなものを聞かれて答えたのは、なんと豆大福。ルルも和菓子が好きだと乗っかり、「渋いな」と言われるくだりまで含めて、和やかな配信になった。
配信後、いつも以上にコメントが多かったことを喜ぶ一同。あさひが配信の間だけ別人のようになることに皆が驚くなか、本人はすっかり元に戻っている。前話で事務所に飛び込んできたばかりの新人が、もう自分なりのアイドル像を考えてきていたことに、あさひのひたむきさが表れていた。
甘口のカレーパン
配信が終わったところで、社長が昼飯を買ってきて「仲良く分けるんだぞ」と差し入れる。おにぎりやお菓子、カレーパンが並ぶなか、リリィが手にしたカレーパンは甘口だった。前の晩、風が「甘口にしてね」と言っていたことを思い出したルルは、やっぱり風だと確信を深める。事務所でも家でも、姉の目はずっと妹を追っている。
疑惑がほぼ確信に変わっていくのに、まだ決定打はない。ルルとして接するときの流は落ち着いているのに、家で風を前にすると途端に挙動不審になる。この落差が今回はとくにコミカルに描かれていて、姉妹の関係の行方が気になると同時に、純粋に楽しい前半だった。
魔法の国と「魂の牢獄」
鏡に映るフェリックススター
その夜、風が寝たあと、流はようやく鏡を調べる時間を作る。映し出されたのは、あずきにとってのふるさとである魔法の国。「私がもらった魔法ってこの世界のものなんだ」と感動する流は、呪文を唱えて他の場所も見せてもらう。にぎやかな店の様子に目を輝かせるうちに、映し出されたのは見覚えのある人物だった。以前、喫茶だぶだぶに行く道を聞いてきた人、オリンズである。
オリンズは魔法の国で、以前ここを訪ねてきた女の子について聞き込みをしていた。その子は魔法のアイドルをやっていて、煙の紳士と二人連れだったという。それが誰を指すのか、流にはすぐに分かったはずだ。自分たちのことが、知らないところで調べられている。流が息をのむのも無理はない。
フェリックスタワーの司書室
オリンズが向かったのは、魔法のお城フェリックスタワー。司書室でムッチと会い、歌姫の候補として、人間界で以前会った子と、魔法の国で噂のアイドルの二人を挙げる。二人とも魔法の力を持っていると聞いたムッチは、古い書物の内容を語り始めた。魔法の祝祭とは「フェリックススターの魔力の均衡を調律するもの」で、その要となるのが歌姫のステージ。歌声で魔法の大砂時計を動かし、世界の魔力を循環させる。だからこそ、歌い手は魔法の力を宿した歌声を持つ者に限られるのだという。
人間でも魔法の力があれば歌姫の資格がある。それ自体は姉妹にとって名誉な話かもしれない。けれど続く言葉が不穏だった。魔法の力は秘密であり、もし他の人間に知られたら、その時は「魂の牢獄に囚われるだけだ」。人間たちの記憶からも消えて、ずっと魔法の国にいてもらう。むしろその方が都合がいいとまで言う。オリンズが「それじゃあかわいそうだよ」と返すと、君が推薦したんじゃないかと突き放される。祝祭の明るいイメージの裏に、とんでもない代償が隠れていたのだ。
姉妹の秘密と祝祭のゆくえ
鏡越しにすべてを聞いてしまった流は、「歌姫」という言葉を繰り返し、風を連れて行くのかとつぶやいて幕となる。茉莉が冒頭で「あの子たちのことは私が守らないと」と言った理由も、ここでようやくつながった。正体が知られれば魂の牢獄。歌姫に選ばれれば魔法の国へ。どちらに転んでも、姉妹の日常そのものが脅かされるという構図が、第14話でくっきりと浮かび上がった。
前半の笑いが多かったぶん、後半の重さがよく効いていた。流にとって、リリィが風かどうかという問題は、もはや姉妹の気まずさや照れくささの話ではない。妹を守れるかどうかの問題に変わったのだ。第2クールの軸は、姉妹の仲と魔法の祝祭。その二つがここで結びついたことで、流がこれからどう動くのか、そしてまだ何も知らない風がどう向き合うのか、ますます目が離せなくなった。茉莉がどこまで事情を知り、どう動くのかも含めて、次の展開を楽しみに待ちたい。




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