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『信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略』第1話の副題は「高月マコト、信者になる」。事故で異世界に転移したマコトに与えられたのは、平均以下のステータスと地味なスキルだけだった。それでもゲーマーらしく工夫を重ねる彼の前に、一人の女神が現れる。寿命10年の制約、選ばれなかった一年の修行、そして名前を明かさない女神との出会いまで、不遇な主人公の地道な一歩を振り返っていく。




第1話の副題は「高月マコト、信者になる」
『信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略』第1話の副題は「高月マコト、信者になる」。スキー合宿の帰りに事故に遭った高校生の高月マコトは、クラスメイトたちとともに異世界の水の神殿で目を覚ます。周りが強力なスキルを手にするなか、マコトに与えられたのは平均以下のステータスと地味なスキルだけだった。それでもゲーマーらしく工夫を重ねる彼の前に、一人の女神が現れる。不遇な主人公の地道な一歩と、威厳たっぷりに見えて実はかなり残念な女神の登場が、テンポよく描かれた第1話だった。
目覚めた先は異世界
意識を取り戻したマコトのそばにいたのは、ゲーム仲間のフジヤンだった。ここはローゼスという国の水の神殿で、意識を失った自分たちを保護してくれたらしい。ケモミミを見て興奮したというフジヤンに対し、マコトは外を見てなんとなく察したと意外に冷静だ。異世界といえばスキル。ゲーマーの二人が真っ先にスキルの存在を確かめにいくのが、いかにもこの作品らしい始まり方だった。
ただし、クラスメイト全員が来ているわけではなく、数名は行方不明だという。マコトは、事故のあと生き埋めになりながらも最後まで言葉を交わしていた同級生の佐々木の姿がないことに気づく。ゲームのエンディングを見たいからと笑っていた彼女の記憶が、さらりと差し込まれる。助かった喜びの裏に、帰ってこなかった仲間の影がある。この重さを冒頭に置いているところに、ただの気楽な異世界ものでは終わらない気配を感じた。
寿命10年と微妙なスキル
神殿の女性から告げられたのは、厳しい現実だった。この世界に来る条件は、元の世界で死んでいること。そのうえで女神から特別なユニークスキルが与えられている。ソウルブックに記されたマコトのスキルは、明鏡止水、水魔法初級、そしてRPGプレイヤー。ステータスにいたっては、確認した側が言葉を濁すほどの低さだった。さらに寿命は10年しかなく、女神への貢献で伸ばせるという。
どんなときでも平常心を保てる明鏡止水、マナが少ないから初級止まりの水魔法、ゲームをプレイする人の視点を使えるRPGプレイヤー。どれも戦闘で派手に活躍しそうにない。フジヤンも収納や鑑定、ギャルゲープレイヤーといった戦闘向きでないスキルで、早々に商人を目指すと決めている。強さではなく使い方が問われるスキルばかりなのが、この作品の面白さの種になりそうだ。工夫しだいで化けるスキルかどうかが見どころになる。
一年間の修行と、選ばれなかった男
光の勇者と魔法使い見習い
神殿では、クラスの中心的な存在だった桜井が光の勇者と呼ばれていた。サッカー部のエースで、マコトとは対極にいる人間だ。一緒に旅立たないかと誘ってくれる桜井に対し、取り巻きの女子たちは露骨に嫌な顔をする。マコトはしばらくここで修行したいと断り、どうせついていっても荷物持ちしかできないと心の中でつぶやいた。
マコトの修行は初級クラスから始まった。元のクラスメイトは誰もいない。マナの量が少ないため、作れるのはピンポン玉くらいの水の玉が精一杯。それでも、魔法を素早く使うための熟練度は使った分だけ上達すると知り、そこらの水を使って毎日鍛え続けた。その間にクラスメイトたちは次々とスカウトされ、神殿を後にしていく。才能がないなら、熟練度を上げるしかない。この地道さが、後半の戦闘でしっかり生きてくる。
やがてフジヤンも、ここから一番近いマッカレンという町で商人として働くと決め、神殿を去っていく。ここを出たら必ず訪ねてきてほしいと言い残すフジヤンに、マコトは分かったと答える。一人、また一人と仲間が去り、最後に残るのは選ばれなかった自分だけ。それでもフジヤンとの約束が、神殿を出たあとのマコトの道しるべになっているのが温かい。ゲーム好き同士の気安い友情は、この先の冒険でもきっと支えになるはずだ。
あなたにはもう少し修行が必要
9か月が過ぎたころ、神殿にローゼスの王女であり水の巫女でもあるソフィアがスカウトにやってくる。黄金騎士のスキルを持つ者には加護を与え、水の女神エイルの信者とする。マコトも意を決して、自分も水の女神の信者になりたいと願い出た。ところが、水魔法初級と知ったソフィアの返事は冷たかった。「あなたにはもう少し修行が必要なようです」。
必死に食い下がるマコトは、護衛に無礼だととがめられ、ソフィアは振り返りもせずに去っていく。なんで俺だけ、と嘆くマコトの「クソゲーかよ」という叫びには、思わず同情してしまった。その後もスカウトの声はかからず、ついに一年が経つ。誰からも必要とされない魔法使い見習い。それでもマコトは顔を上げる。クソゲーを攻略してこそゲーマーだ、「この異世界絶対攻略してやるぜ」と。
選ばれなかった悔しさを、ゲーマーの意地に変えて前を向く。ここで落ち込んだまま終わらないのが、マコトという主人公の魅力だ。周りと比べてもしかたがないと割り切り、自分にできることを数えはじめる。不遇系の主人公は数多いが、恨みではなく攻略心で動くタイプとして描かれているのが気持ちいい。
水の巫女の冷たい対応は、この世界の信仰がスキルや才能と強く結びついていることを示している。強い者には加護を与え、弱い者には修行が足りないと言って背を向ける。信仰が実力主義の選別装置になっているわけだ。だからこそ、誰からも選ばれなかったマコトを選ぶ存在が現れたとき、その意味は大きくなる。この場面は、後半の女神の登場に向けた丁寧な前振りにもなっていた。
初めての戦闘イベント
明鏡止水とRPGプレイヤー
神殿を出たマコトは、フジヤンのいるマッカレンの町を目指して歩き出す。索敵スキルに反応があり、避けたり隠れたりすれば楽勝だと思っていた矢先、商人が魔物に襲われている場面に出くわす。ゲーム感覚で来てしまったけれど、これは現実で、死んだら終わり。恐怖で足がすくみかけたその瞬間、明鏡止水が発動し、視界はRPGプレイヤーの俯瞰へと切り替わる。
なかなか粋な演出だなと笑い、ここで助けなかったらゲーマーの名がすたると、マコトは初の戦闘イベントに挑む。水魔法のアローは威力不足でも、相手の注意を引くには十分だった。接近戦を避けて氷の針を放ち、相手の体を内側から凍らせ、マナが尽きかけると近くの川を思い出して水を確保する。弱い魔法を、状況と組み合わせて戦える力に変えていく。一年間の地道な修行が、ここで一気に実を結んだ。
戦いを終えたマコトは、ゴブリンの集団なんて想定していなかったとこぼしつつも、ユニークスキルがあればなんとかなりそうだと手応えをつかむ。助けた商人からはお礼をもらい、マッカレンまで馬車に乗せてもらえることになった。寿命もほんの少し伸び、レベルも一つ上がる。困った人を救うことが、そのまま寿命を延ばす貢献になるという仕組みが、ここではっきりと描かれた。
教会への寄付でも寿命は伸ばせると聞かされていたが、マコトが選んだのは見ず知らずの商人を助ける道だった。金で寿命を買うのではなく、行動で伸ばす。最弱のスキルでも、使い方次第で誰かの命を救える。この世界での生き方を、マコト自身が最初の戦いで選び取ったように見えるのが印象的だった。冒険者さんと呼ばれて照れくさそうにする姿にも、一年間の苦労が報われた安堵がにじんでいる。
第1話のまとめ考察
名前を明かさない女神
野営の夜、マコトは夢の中で一人の女神と出会う。ここで冒頭の場面がつながる。初めましてマコト、あなたに会いたかった。ずっとあなたを見ていた、あなたを眷属に加えましょう。「私の信者になりませんか」。威厳たっぷりの登場だったが、名前を尋ねても、マイナーな女神だから言ってもわからないとはぐらかされる。水の神殿でスカウトしなかった理由を聞けば、エイルの管轄だから遠慮していたという。
なぜ最弱のスキルしか持たない自分を信者にしたいのか。RPGなら裏があるパターンだと警戒するマコトに、女神は裏はないと言い張る。持ち帰って検討しますと答えたとたん、女神は態度を一変させ、甘えた声で迫ってくる。けれど魅了の魔法は通じない。「俺客観視ができるんで」。明鏡止水が、こんなところでも役に立つのが笑える。最後は千年ぶりの信者獲得のチャンスだと駄々をこね、お願いお願いと泣きつく始末だった。
最初の威厳が嘘みたいだと呆れながらも、マコトは信者になることを受け入れる。スカウトしてもらったのは初めてだから。女神は代わりの品を手渡し、毎日祈るように言いつけてから、一つだけ指示を残す。「強くなりなさい」。簡単に死んだら許さない、私の信者はあなた一人なのだから、と。選ばれなかった一年の終わりに、たった一人に選ばれた。その意味を噛みしめるようなラストだった。目を覚ましたマコトが、夢じゃなかったんだとつぶやき、期待に応えてみせると誓う姿には、一年分の悔しさが報われた喜びがあふれていた。
信者ゼロから始まる攻略
第1話は、選ばれない主人公と、信者のいない女神が出会うまでを描いた回だった。クラスメイトたちが強いスキルで次々と羽ばたいていくなか、マコトは地味な修行を積み重ね、初めての戦いで自分のスキルの使い道を見つけた。そこへ現れたのが、千年ぶりの信者を求める女神。どちらも周りから必要とされてこなかった者同士だと考えると、残念な掛け合いの奥に、少しだけ切ない響きも感じられる。
寿命10年という制約、困った人を救うことで伸びる寿命、そしてRPGプレイヤーという謎の多いスキル。攻略すべき要素はまだまだ多い。フジヤンとの再会が待つマッカレンの町で、マコトがどんな冒険を始めるのか。女神の名前や、彼女がなぜ信者を失ったのかも含めて、この異世界がどんなゲームなのかを一緒に攻略していくのが楽しみになる、手堅くも愛嬌のある滑り出しだった。




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