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強制徴収で得た魔力を運用し、新たなスキルを次々と解放していくレント。エムピーとともに向かったメルバの大迷宮で、短剣術や火魔法を身につけ、初めて一人の冒険者として魔物に挑む。一方、魔力を失った断空の剣は、原因不明の呪いと仲間割れに追い詰められていく。エムピーの励まし、戦う喜びを知ったレント、そして冷遇されるリンカまで、第3話を振り返る。




第3話「運用」はレントが一人の冒険者として歩き出す回
『貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収』第3話「運用」は、強制徴収で得た魔力を運用し、レントが新たなスキルを次々と解放していく回だった。エムピーとともに向かったメルバの大迷宮で、短剣術や火魔法を身につけ、初めて一人の冒険者として魔物に挑むレント。一方、魔力を失った断空の剣は、原因の分からない呪いに振り回されていく。成長する者と転落する者、その対比がはっきり描かれた一話だった。魔力を貸すことしかできなかった少年が、魔力を使う側に回ったとき何が変わるのか。そのワクワク感が全編にあふれていた。
ろくな仲間が集まらない断空の剣
冒頭は、断空の剣の新メンバー面談から始まる。シーフのギフトを持つ冒険者には、人様のものを奪う泥棒に用はないと突き放し、黒魔術の使い手には老人介護をするつもりはないと言い放つ。帰れ帰れ雑魚どもが、と面談を打ち切るガイの横柄さは、相変わらず見ていて腹が立つ。数のわりにろくなのが集まらなかった、と言いながら、断空の剣にふさわしい相手など自分たちが選り好みしているだけなのは明らかだった。人を見下すことで自分たちの格を保とうとする断空の剣の姿勢は、追放されたレントへの態度と何も変わっていない。
応募者の中に、どこかレントに似た冒険者を見つけたガイ。レントのことが心残りなんじゃないのか、とからかわれたミサは、あんなナヨナヨした奴は無理だと切り捨てる。自分が好きなのは自己肯定感が強くて頼れる人だと分かった、とガイにすり寄るミサと、それに噛みつくエル。仲間割れの種は、すでにあちこちにまかれていた。
首に浮かんだ痣
そんな三人の首元に、いつの間にか痣が浮かんでいた。呪いの一種なのか、かけられた覚えはない。ステータスを確かめた三人は凍りつく。「魔力がない」。レントの強制徴収によって魔力を吸い上げられ続けていることに、彼らはまだ気づいていない。原因が分からないまま追い詰められていく姿は、前回までの仕打ちを知っているだけに、どこか痛快でもあった。自分たちが無能扱いして追い出した相手に、実は支えられていた。その事実に気づくまでの時間が、そのまま彼らの転落の時間になっていくのだろう。
エムピーと始める魔力の運用
イカ焼きと不安
その頃、魔蔵庫の魔力は増え続けていた。今頃あのクズどもはこの状況に慌てふためいているでしょうね、とほくそ笑むエムピー。一方のレントは、イカ焼きを前にしても箸が進まない。もし自分のスキルが原因だと知ったら、あいつらは自分を探し出そうとするのではないか。襲われたらと考えると怖い、と不安をこぼすレントに、エムピーはその時は返り討ちにすればいいと笑う。これまで散々な目に遭ってきたレントにとって、強くなった今でも元の仲間への恐怖は簡単には消えない。その臆病さが、かえってレントという主人公の人間らしさを感じさせる。
今の自分にそんな力はない、と尻込みするレントに、エムピーは言葉を重ねる。あの日、レントがあげた魂の叫びは、この世界に新たに誕生した冒険者の産声だった。「誰かに追いすがるだけの人生はもう終わりです」。「これからは自らの足で冒険を歩んでいくんです」。そして「マスター様にはその力があります」。悪魔的な顔ばかりが目立つエムピーが、レントの背中をまっすぐ押す場面は、この作品の中でも特に印象的だった。困ったことがあれば全力でサポートする、という言葉にも、主人と従者を超えた信頼のようなものがにじむ。
励まされたレントは、ようやくイカ焼きを口にする。うまい、と顔をほころばせ、もっと食べちゃおうと追加を頼むレント。さすがマスター様、太っ腹、と持ち上げるエムピーとのやりとりに、二人の関係が少しずつ深まっているのが伝わってきた。
魔力運用とスキル購入
レベリングのために、レントはメルバの街の外れにある古の魔術師が作ったダンジョンを提案する。断空の剣を結成してしばらくの間、こもって鍛錬した場所だ。高速馬車でも2週間ほどかかる遠さは、追手から時間を稼ぐにも都合がいい。3週間もあれば手に入るでしょう、あのクズどもを打ち負かす力が、とエムピーは不敵に笑う。かつて仲間とともに鍛錬した場所へ、今度は一人で向かう。その選択にも、過去と決別しようとするレントの決意がにじんでいた。
魔力運用のスキルを使い続けると、条件達成によって魔力の回復が2倍に。普通は1割のところ「2割回復か」と驚くレント。旅を始めて6日で、最大魔力は4709マジックポイントに達した。大魔術師にも匹敵する量だという。さらに運用を重ねた結果、魔力運用のレベルが上がり、スキル購入が使えるようになる。神から授けられるものだったはずのスキルを、魔力で買える。無限の魔蔵庫がなぜ三つのSを冠したギフトなのかが、ここではっきりと示された。まさによりどりみどり、スキルの一覧が画面を埋め尽くす光景は、レントの可能性がどれほど広がったのかを分かりやすく見せてくれた。
メルバの大迷宮へ
初めての一人の冒険者
たどり着いたメルバの大迷宮は、世界中から冒険者が集まる場所だった。パーティー未所属のまま拠点をメルバに移し、挑戦権を得たレント。第一層は通称大平原と呼ばれる広い世界で、古代の魔術師が作った異空間の中に、階層ごとにさまざまな世界が広がっているという。暗くじめじめしたダンジョンを想像していたエムピーの驚きもかわいらしい。魔物を倒すと強さに応じた魔石に変わり、ギルドで換金できるという仕組みも、冒険者としての新生活の手応えを感じさせる。
現れた魔物を相手に、レントは購入したスキルを試していく。まずは近接攻撃の短剣術、次に遠距離から気軽に撃てる火魔法。「ファイアボール」を放ち、身軽に動ける体と使いやすい魔力に手応えを感じる。おすすめの強化スキルのおかげだよ、とエムピーに礼を言うレントの素直さも、この主人公らしい魅力だった。
胸の鼓動
かつての自分は、後ろで魔力を貸していただけだった。新米の冒険者たちを見て、レントは昔の自分を思い出す。けれど今は違う。「胸の鼓動が止まらない」。「こんな感覚 初めてだ」。自分の力で戦い、魔物を倒す。その喜びを初めて知ったレントの表情は、追放された直後の暗さが嘘のように輝いていた。回復魔法のヒールまで使いこなし、攻撃も防御も一人でこなせるようになったレント。誰かの後ろにいるだけだった少年が、自分の足で戦場に立つ姿には胸が熱くなった。
次の階層にも行けそうだとエムピーは言うが、レントはもう少しここで力を試したいと答える。なんだか楽しそうですね、と言われてうなずくレント。強くなることそのものを楽しめるようになったことこそが、第3話でレントが手に入れたいちばん大きなものだったのかもしれない。
転落していく断空の剣
呪いと魔力回復薬
一方、断空の剣は町の呪術師に痣を見てもらうが、84年この仕事をしてきた呪術師でも未知の呪いだという。不幸中の幸い、魔力回復薬で補給すればなんとかなる。50本で50万ゴル。当面は蓄えでしのげる、と高をくくるガイたちだが、普段なら倒せる程度の魔物にもかすり傷を負うようになっていた。未知の呪いにすがるように答えを求める三人の姿は、自分たちの驕りが原因だとは夢にも思っていないことを物語っている。
回復を頼まれたエルは、魔力がないからできない、薬は苦くて飲みたくないと拒む。ガキみたいなことを言うな、魔力がなければ何もできない役立たずだろう、と怒鳴るガイ。「悪いのはこの呪い…です」と言い返すエルと、私の魔力を返せと泣き叫ぶ姿。仲間を見下してきたパーティーが、今度は自分たちの中で互いを責め合っていく。その様子は、レントを追放したときの構図をそのまま裏返したようだった。そしてついに、彼らはこの呪いをかけたのがレントではないかと気づき始める。ミサとエルの言い争いも含め、パーティーの結束はすでにほころび始めていた。
冷遇されるリンカ
そして第三層では、剣士のリンカが仲間に冷遇されていた。回復を頼んでも、ただのかすり傷だろう、マジックポイントは貴重なんだと突き放される。「おめえにリソース割く余裕はねえんだよ」。大して活躍していないくせに、という言葉まで浴びせられるリンカの姿は、かつてのレントの姿と重なって見えた。冷遇される側の痛みを知るレントだからこそ、手を差し伸べられることがあるはずだ。リンカの存在は、レントにとって過去の自分と向き合うきっかけにもなりそうだ。
第3話のまとめ考察
運用が変えたもの
第3話の副題「運用」は、魔力の運用であると同時に、レントが自分の人生を自分で動かし始めたことを表していたように思う。魔力を貸すだけだった少年が、魔力を運用し、スキルを買い、自らの足で冒険を歩み出す。エムピーの言葉どおり、誰かに追いすがるだけの人生は終わりを迎えた。魔力という目に見えない資源を、どう使い、どう増やしていくか。その考え方自体が、レントの生き方の変化と重なっているのが面白い。
もちろん、エムピーの真意はまだ分からない。レントを励ます言葉は本心なのか、それとも何かの計画の一部なのか。愛らしい見た目と悪魔的な顔を行き来するエムピーの存在が、物語に心地よい緊張感を与えている。レントを導くようでいて、その先にどんな思惑があるのか。エムピーの言葉の一つひとつが、今後の伏線になっている可能性もある。
一方で、断空の剣は少しずつ追い詰められ、ついにレントの存在に気づき始めた。そして登場したリンカは、かつてのレントと同じように仲間から軽んじられている。同じ痛みを知る二人が出会ったとき、レントは誰かを救う側に立てるのか。追放ざまぁの痛快さだけでなく、レントの成長と新しい仲間との出会いがどう描かれていくのか、この先の展開が楽しみだ。




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