エルマを新たなクルーに迎え、クリシュナの宙賊狩りは今日も絶好調。報酬をためらうミミに、ヒロは仲間である証だと言って受け取ってもらう。買い物の途中でミミが見つけた自分だけの目標、そして怪しげな船から手に入れたデータが、ヒロを思いもよらない大仕事へと導いていく。仲間の証としての報酬、全宇宙のグルメ制覇、そして一隻で切り込む奇策まで、第4話を振り返る。




第4話 3人で迎える新しい日常
第4話「新しい日常」は、エルマを新たなクルーに迎えたクリシュナの、にぎやかな日々が描かれた回だった。宙賊狩りで稼いだ報酬の分け方、ターメーンプライムでの買い物とミミが見つけた目標、そして怪しげな船から手に入れたブラックボックスをきっかけに、ヒロは思いもよらない大仕事へと足を踏み入れていく。3人になった傭兵稼業の第4話を振り返っていく。
にぎやかな朝の3人
朝のクリシュナは、すっかり3人の生活になっていた。朝食を用意してくれるミミは、エルマが来てくれて本当によかった、傭兵としても頼りになると嬉しそうに話す。そんなミミをお姫様抱っこでお風呂へ運んでいくヒロには、「昨日の今日で朝からどういう神経してんのよ」とあきれた声が飛ぶ。
それでもヒロは「みんな仲良くそれでいいじゃないか」とまったく悪びれない。ミミが嫌いなのかと聞かれたエルマは、そんなことあるわけないと即答し、ミミも「私もエルマさん大好きです」と笑顔で返す。先が思いやられると言いながらも、エルマがこの空気を嫌がっていないのが伝わってきて、見ていて微笑ましかった。
第3話までは、エルマは賠償金に追われ、ミミは自分には何もないと不安を抱えていた。それがいまは、同じ船の上で軽口を言い合える関係になっている。副題の「新しい日常」は、この3人の距離感そのものを指しているのだと思う。
報酬は仲間である証
宙賊狩りは今回も絶好調だった。待ち伏せていた宙賊をあっさり片づけ、戦闘記録の提出で受け取った報酬は、賞金や回収物資の買い取りを合わせて180万エネル。前回の大規模討伐で雑魚が逃げ出し、代わりに賞金の高い宙賊が居座っている今が稼ぎ時なのだという。
ところがヒロから報酬を受け取ったミミは、自分はほとんどオペレーターシートに座っているだけだと遠慮してしまう。命を懸けた仕事をしているのだから「正当な報酬よ遠慮なんていらないわ」。そしてヒロは言う。「俺たちが仲間である証みたいなもんだ」、「気持ちよく受け取ってくれよ」。
お金の話をしているのに、そこに込められているのはミミを一人前のクルーとして認めるという気持ちだ。両親を亡くし、借金を背負って流れ着いたミミにとって、自分で働いて受け取る報酬は、居場所ができたことの何よりの証拠になるのだろう。金で繋がった愉快な仲間たち、という茶化した言い方が飛び出すのも、照れ隠しのように聞こえた。
ショッピングとミミの目標
輸入ショップではしゃぐミミ
懐が温まったところで、3人はショッピングへ出かける。ヒロのねらいは、ミミに自分で稼いだお金を自由に使う体験をしてもらうことだった。宇宙中の食材がそろう輸入ショップで、ミミは珍しい食材を次々に言い当て、生体クリスタルを前に目を輝かせる。グルメサイトをずっとチェックしていたのだという。
浮かれてしまってすみませんと謝るミミに、ヒロは好きなものを見て浮かれないほうがおかしいと返す。そのヒロ自身も、調理済みでそのままかじりつける「マンガ肉」に大はしゃぎだ。1本76エネルという値段に迷うヒロを見て、ミミは「これを私の初任給の使い道にしたいんです」と申し出る。
報酬を受け取るのをためらっていたミミが、その最初の使い道に、みんなで食べるものを選ぶ。自分のためではなく仲間のためにお金を使うところに、ミミの優しさがよく表れていた。ヒロが任せると答えたのも、ミミの気持ちをきちんと受け取ったからだろう。
そしてヒロにとっての本命は、コーラ味の飲み物だった。「俺の旅の終着点はここにあった」とまで言ったのに、炭酸抜きだと知って「騙しやがって」。それでも在庫を聞いて「全部くれ」と言い切るあたり、コーラへの執念は本物だ。
お酒を飲めないことをおこちゃま扱いされたヒロは、ヒロは「体質だ」と言い返す。いつか本物のコーラを飲むその時まで、という言葉には、惑星上に一戸建てを持つという目標がちゃんとつながっている。宇宙では炭酸が抜けてしまうから、地に足のついた暮らしが欲しい。ヒロの夢は、そんなささやかな願いから始まっているのだ。
全宇宙のグルメを制覇したい
マンガ肉を囲んだ食事の席で、ミミは自分の目標を打ち明ける。ヒロが一戸建てを、エルマがもう一度宇宙船を持つことを目指しているように、自分も宇宙のいろんなおいしいものを食べてみたい。「ヒロ様やエルマさんと一緒に全宇宙のグルメを制覇したいです」。
第3話のお風呂の場面で、自分には何もないと話していたミミが、ここで自分だけの目標を口にする。しかもその目標には、ヒロとエルマと一緒にという言葉がきちんと入っている。3人で旅を続けることが前提になっているのが、とても嬉しかった。
エルマも、自分を拾ったのはヒロなのだから「ちゃんと責任取りなさいよ」と続ける。それを聞いたヒロは、思わず涙ぐんでしまう。「二人にそう言ってもらえてすごく嬉しいよ」。本当は、二人とも助けられた恩で無理をして付き合っているのではないかと、少し不安だったのだという。
宙賊相手には無敵のヒロが、仲間の気持ちには自信を持てずにいた。この意外な弱さが、ヒロという主人公をぐっと身近にしてくれる。強い船と腕前を持っていても、異世界でひとりきりだったヒロにとって、本気でついてきてくれる仲間の存在は何よりも大きいのだろう。
ブラックボックスとセレナの誘い
採掘船に偽装した艦
一方、星系軍ではセレナが連邦の動向をつかめないことに苛立っていた。連邦らしき宇宙船が頻繁に侵入しているという報告はあるのに、確かな証拠がない。こちらの領域で好き勝手されるのは面白くないというセレナの言葉が、その後の展開につながっていく。
その頃ヒロたちは、宙賊が見つからずに暇を持て余していた。レーダーの範囲を広げたミミが見つけたのは、採掘船らしき1隻。けれど、このあたりの小惑星はほとんど掘り尽くされている。こんな場所をうろつくのはよほどの間抜けか、別の目的がある船だけだ。「触らぬ神にたたりなし」と退散しようとした矢先、相手が武装を展開する。
統制された動きから見て、相手は連邦軍の偽装艦らしい。「あんた相当悪運が強いんじゃないの」と言われたヒロがエルマにだけは言われたくないと返し、話がミミにまで及んで、全員そろってこの話題はやめようとなるやり取りには笑ってしまった。3人とも、それぞれに大変な目に遭ってきたからこその掛け合いだ。
正規軍のシールドは一発では抜けないが、クリシュナは真っ向から火力で押し切る。ところが勢い余って、回収するものまで吹き飛ばしかけてしまう。それでも残ったブラックボックスには、連邦の船ならではのデータが入っているはずだ。ヒロは「データを売るのは俺に任せろ 軍にはツテがあるんだ」と胸を張る。
「厄介事抱え込んでくるんじゃないわよ」と釘を刺され、ヒロも当たり前だと答える。このやり取りの時点で、もうオチは見えていたようなものだった。
まんまと乗せられたヒロ
案の定、帰ってきたヒロはミミとエルマの前で正座して謝ることになる。ブラックボックスの解析で、あの船は連邦のスパイだったと判明し、ターメーンプライムのある星系への侵攻作戦が進んでいることまでわかった。近々、紛争が起きるのは避けられない。
セレナは優秀な傭兵の作戦参加を求め、ヒロを優秀で勇敢な戦士だと持ち上げる。ヒロはおだてても無駄だとかわすが、セレナは一転して、相手が連邦の正規軍なら怖気づくのも無理はない、名うての傭兵も宙賊狩りで満足している雑魚と変わらないと心に留めておく、と言い残して去ろうとする。この挑発に、ヒロはまんまと乗ってしまった。
「完全に乗せられてるじゃないの」というツッコミがすべてを物語っている。それでも、キャプテンはヒロなのだから独断で仕事を受けてもおかしくないと許してもらえ、ミミも「もっと胸を張ってください」と励ます。そのかわり埋め合わせはしてもらうと言われたヒロの「極めて前向きに考えさせていただきます」という返事が、なんとも情けなくて面白かった。
美女二人を連れて作戦に向かうヒロに、周りの傭兵たちは「爆発しろ」と恨み節をぶつける。ヒロはその直後に本当に危険な作戦へ飛び込むことになるのだから、この冗談が後でじわじわ効いてくる。
第4話のまとめ考察
一隻で切り込む奇策
ブリーフィングで明らかになったのは、駐留軍を大きく上回る連邦軍の大戦力だった。帝国の増援が届くのは連邦軍が攻めてくる翌日で、最低1日は今の戦力でしのがなければならない。傭兵部隊は小惑星帯に潜み、ゲリラ戦で敵の進軍を遅らせるという作戦だが、相手は高出力シールドを備えた巡洋艦クラス以上の艦隊。正直、分の悪い戦いだ。
策があれば申し出てほしいというセレナに、ヒロが手を挙げる。「使うのは俺の船一隻だけなんですが」。敵艦隊がワープアウトしてくる地点で単独で待ち伏せ、現れたところへ一気に切り込み、「対艦反応魚雷で敵の機関を撃破」して離脱する。周りの傭兵たちが生きて帰れるわけがないと騒ぐのも当然の、とんでもない作戦だった。
ヒロは「失敗したところで間抜けが一人死ぬだけです」と言い、さらに「俺ならやれるのに」とセレナを煽り返す。優秀で勇敢な戦士だそうですから、と自分が乗せられた言葉をそのまま突き返すあたりが痛快だ。セレナも「わかりました許可します」と応じ、ただし報奨金を弾むのは「成功すればですけど」と付け加える。乗せた側と乗せられた側の、意地の張り合いのような掛け合いだった。
振り返ってみると、第4話は3人の目標がそろい、仲間としての形が定まった回だった。報酬を仲間の証として受け取ったミミ、全宇宙のグルメ制覇という目標、二人の言葉に涙ぐむヒロ。前半のあたたかい日常があったからこそ、後半でヒロが一隻で大艦隊に挑むと言い出す展開に、帰りを待つ二人の顔が浮かんで緊張感が増していく。
セレナに乗せられた形ではあっても、作戦そのものはヒロが自分で考え、自分の腕を信じて提案したものだ。守るものができたヒロが、それでも危険な任務に飛び込むのは、クリシュナとこの3人なら切り抜けられると信じているからなのだろう。新しい日常を手に入れた3人が、初めての大きな戦いにどう挑むのか。傭兵としての真価が問われる局面に向けて、物語が一気に動き出した。










































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