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第11話の副題は「血闘! 崩壊の街に死す」。人を操る術で名乗らされたパルルモは、術が切れたあとも「その程度のことなら教えて差し上げますよ」と話し続ける。拉致も実験も、サスケをアンデッドにしたのもヒルク教会の仕業だと明かされる。チヨメは兄と戦い、教わった型で決着をつける。倒された兄が残したのは「お前の手で逝けることは最高の手向けだ」という言葉だった。




副題「血闘! 崩壊の街に死す」と、この回の担当者
公式あらすじは「事実を知る」で終わっている
第11話の副題は「血闘! 崩壊の街に死す」。公式サイトのあらすじは、捕らえられたエルフ族や獣人族を救うためタジエントに押し入ったアーク一行が、黒巨人とアンデッド、抵抗する兵士で「阿鼻叫喚の坩堝と化していた」街に入るところから始まる。締めは「非道な実験を行っていたのも、サスケをアンデッドにしたのも、すべてヒルク教会だという事実を知る」だ。戦いの回として予告されながら、あらすじの着地点は情報のほうに置かれている。
脚本は第2期6本目、作画監督は8人
公式サイトの担当者は、脚本が根元歳三、絵コンテが大原実、演出が高橋幸雄、総作画監督が熊田明子。作画監督は桜井このみ、金正男、安南堂仁汰、明光、瑞木晶、安影、孫振興、劉璐璐の8人になる。根元歳三の脚本は第2期で6本目、大原実の絵コンテは5本目、高橋幸雄の演出は第1話と第5話に続く3本目だ。最終回の一つ手前に、作画監督8人という第2期でいちばん厚い布陣が組まれている。
エンドカードのクイズは今回が最後
公式アカウントは放送のたびにエンドカードを使ったクイズを出してきた。今回の出題は、エンドカードでポンタがいる場所はどこかというもので、投稿には「タジエントでない…?」と添えられている。そして「このクイズは今回最後」と明記されている。作品の外側の遊びのほうが先に、残り一話であることを知らせている。
パルルモの名乗りと、人を操る術
「その人形ですか」
前の回から続く場面で、アンデッドにされたサスケについて問い詰められた相手の答えが「ああ、その人形ですか」だった。教会の者かと聞かれても「貴様らごときに応えるとでも?」と突っぱねる。ところが直後には自分から「我が名はパルルモ」と名乗り、ヒルク教会の「七枢機卿の一人」だと明かしてしまう。人として扱っていない相手の前で、自分の名前だけは丁寧に差し出している。
「ツボネの使う術は」「人を操る術なのです」
種明かしはすぐに来る。「しかし、貴様らごときにと言っていたわりに」「やけにあっさり教えてくれたな」と指摘され、当人も「なぜだ、なぜ私は今」と混乱する。説明されるのは、ツボネの術が「人を操る術なのです」というものだ。だが効き目は長く続かない。「一瞬とはいえ」「この私を惑わせるとは」「ですが、そんな小細工」「いつまでも通用しませんよ」と切り返される。自白させる術のほうが先に手の内を明かされて、勝負が会話に移っている。
「その程度のことなら教えて差し上げますよ」
もう一度かけようとする側に、相手は「それには及びません」と言う。理由が「その程度のことなら教えて差し上げますよ」。術が効かなくなったあとも、聞かれたことに答え続ける形になる。操られて漏らしたのではなく、話しても構わないと判断されたという形に変わっている。
実験の全体像と、教皇タナトス
「アンデッドによる狩猟兵軍団を生み出すためにね」
明かされる中身は重い。とある村でアンデッドを作り出す実験をしていたと認め、デネル村の一件も自分たちの仕業だと肯定する。各地でさらわれた獣人族やエルフ族、人族については、「そしてさらった人たちを実験台にしていた」「そう、アンデッドによる狩猟兵軍団を生み出すためにね」と続く。第4話から追ってきた拉致事件の行き先が、一つの目的に束ねられる。
「我が広く峡谷に潜入してきたのです」
サスケの経緯も語られる。「サスケもさらわれた獣人たちを追っていたはず」という見立てに対し、「そう、この男は我らの動きを突き止め」「潜入してきたのです」と答える。回想では「獣人、いや、刃心一族か」「力の持ち主だな」「お前ならば」「良い実験材料になりそうだ」という声がかかる。仲間を追いかけて一人で乗り込んだ行動が、そのまま実験材料としての品定めに使われている。
「タナトス様は神をも超えるお方」
捕らえた人物の名も出る。「ですが、タナトス様にあっさり捕らえられました」と言われ、「嘘だ!サスケ兄さんが」と反論されると、「教皇、タナトス様は神をも超えるお方」「太刀打ちできる者などこの世に存在しません」と返る。聞いていた側は「タナトス?どうやらそいつが黒幕のようね」と名前を押さえる。第5話から名前だけが出ていた教皇が、この回で黒幕としてはっきり名指しされる。
「幸せな男です」
相手の価値観がいちばん出るのがここだ。サスケをアンデッドにしたのかと詰められて「その通り」「幸せな男です」と言い、「独自の判断で行動する特殊なアンデッドとして蘇った」「教皇様直々に使命まで与えられた」「他のアンデッドどもを指揮するという使命をね」と続ける。締めは「獣人の分際で身に余る光栄というものです」だった。殺して操っておいて、それを出世として説明している。
「傷つき怯える人々に救いの手を差し伸べている」
街を襲っている理由も説明される。「タジエントを襲っているのはあくまでジャミアントとアンデッド」であり、むしろ自分たちは「傷つき怯える人々に救いの手を差し伸べている」と言う。聞いた側は「何をぬけぬけと!」と怒り、「自分たちは手を汚さず」と言い当て、「こやつら相当な悪のようだな」と受ける。災いを起こす役と救う役を同じ組織が兼ねている、という構図がここで言葉になる。
チヨメとサスケの血闘
「その意志は僕が受け継ぎます」
救おうとした同胞たちの行方を聞かれた相手は、「さあ、どうなったのでしょうね」「今頃はアンデッドとしてこの街にいるかもしれませんよ」とはぐらかす。それを聞いたチヨメの答えが強い。「やはりサスケ兄さんはすごいですね」「仲間のために敵を突き止め」「その本拠地に一人で乗り込むなんて」「それでこそ、僕が兄と慕ったお方です」「その意志は僕が受け継ぎます」。侮辱として語られた話を、そのまま兄の手柄として受け取り直している。
「兄の魂は必ず解放してみせます」
戦いに向かう理由も短い。「兄の魂は必ず解放してみせます」「この手で」。仲間は「私たちに任せて」「頼んだわよ、チヨメ」と送り出す。第10話で「うちたち二人の手でサスケを止めるほか、道はない」と決めた覚悟が、この回では一人で向かう形になっている。止めるという言い方が、解放するという言い方に変わっている。
「強い武術者とは相手の意表をつくものだな」
戦いの最中に差し込まれるのは、稽古の記憶だ。「道筋に最適解を求めるな」「敵に行動を読まれる」「強い武術者とは相手の意表をつくものだな」「意表をつければ」「心に隙が生まれる」「速さも力も関係ない」「これは戦う相手が強ければ強いほど」「心がけねばならぬことだ」。教えたのは、いま向かい合っている相手だった。倒すための手がかりが、倒す相手から教わったものしかない。
「あいつはサスケ兄さんなんかじゃない!」
迷いも正面から語られる。「僕にはまだ迷いがあったようで」と認め、もう兄はいないと「ずっと自分にそう言い聞かせていました」と続ける「なのに」「心のどこかで」「望みを捨てきれずにいました」。それを断ち切るのが、巻き込まれた子どもの存在だ。「僕を倒すために」「この子を巻き込むなんて」「本当の兄さんなら」「絶対にそんなことはしない」「やはりもう」「あいつはサスケ兄さんなんかじゃない!」兄ではないと確かめるのに、兄ならしないことのほうを使っている。
術の撃ち合いと、最後の一手
戦いは忍術の撃ち合いになる。風遁と水遁の手裏剣をぶつけ合い、「極み」と名づけられた形まで出したうえで、「兄さんの術はそんなもんじゃなかった!」と踏み込む。決め手になるのは「凪」と呼ばれる一撃だった。兄から教わった型を、兄に届かせるために作り替えている。
「お前の手で逝けることは最高の手向けだ」
「ダメじゃないですか」「最後に気を抜いたら」
決着のあと、稽古の場面と同じ台詞が返ってくる。稽古では「ダメじゃないか、最後に気を抜いちゃ」と言われていた側が、ここでは「ダメじゃないですか」「最後に気を抜いたら」と言う番になる。相手の答えは「強くなったな」「兄さん」という呼びかけを受けての、短い肯定だった。教わった言葉をそのまま返せたことが、勝ち負けより先に置かれている。
「死者となった肉体に」「治癒術は効かないわ」
助けようとする動きは止められる。「今すぐアークを呼んで治療を!」という声に、「無駄よ」「死者となった肉体に」「治癒術は効かないわ」と返る。第10話でアリアンが「死者を蘇らせるのは神の領域」と言っていたことが、ここでそのまま結果として出ている。できないと分かっていたことを、目の前でもう一度確かめさせられている。
「誰かのために命を懸けられるものだ」
サスケの最後の教えは二つ目だった。「覚えていたんだな」「本当に強い武術者は」「相手の意表をつけるもの」「そしてもう一つ」「誰かのために命を懸けられるものだ」。そして「すまなかったな、チヨメ」「お前の手で逝けることは」「最高の手向けだ」「ありがとう」と続く。自分を倒したことが、弟子として合格した証として渡されている。
「我慢しなくていいのか?」
チヨメは取り乱さない。「兄が本来の実力であれば」「僕は手も足も出ませんでした」「ご助力感謝します」「アリアン殿」と礼を言い、すぐ合流を促す。見かねた側の「我慢しなくていいのか?」に、隣の者が「いいのよ」と止める。仲間は「サスケは感謝しているわ」「うちからもありがとう、チヨメ」と声をかける。泣かせるのではなく、泣かないことを選んだ本人の背中を押している。
崩壊する街と、枢機卿たちの分業
「それはあなたの任務です」
場面が変わると、パルルモは別の人物に詰められている。「でかい口叩いといて失敗したな!」に対し、「失敗?私が?」と返し、「タジエントを崩壊させること」「それはあなたの任務です」「チャロス枢機卿」と言い直す。そのうえで「私はあくまであなたの補佐としてここにいるだけ」「うまくいかないなら」「それはすべてあなたの責任」と続ける。同じ組織の中で、責任の置き場所だけが先に決められている。
「世が乱れれば」「人々は救いを求め」
教会全体の動きも語られる。「他の枢機卿たちも動き出しています」と言い、「貴族に取り入り」「内部から国に影響を与えようとしている者」、「さらなる戦力増強のため」「実験を行う者」を挙げる。目的は一つで、「それらはすべて」「この世界を混乱の渦に巻き込むため」。理屈は「世が乱れれば」「人々は救いを求め」、教会にすがるというものだ。混乱を起こす仕事と救う仕事が、同じ組織の中で分担になっている。
「ボクちゃんのご飯邪魔しやがって!」
責められた側は暴走する。「どうせこの街は滅びるの!」「だから僕が恐怖から解放してあげる!」と言い、住民に手を伸ばす。止めに入ったアークは「ポンタ、この子を安全なところへ」と子どもを逃がし、相手は「ボクちゃんのご飯邪魔しやがって!」と向かってくる。アーク自身も「何だ?」「この禍々しく強力な魔力を」と身構えることになる。救いを説いていた組織の人間が、そのまま街を食う側として出てくる。
まとめと考察
「解放」という言葉が二回、別の意味で使われる
この回では解放という言葉が二度出てくる。チヨメの「兄の魂は必ず解放してみせます」と、暴走した枢機卿の「僕が恐怖から解放してあげる!」だ。前者は相手を人として扱うための言葉で、後者は相手を食うための言い訳になっている。同じ言葉が、弔いと暴力の両方の名前として並んでいる。
名乗る者と、名前を奪われた者
パルルモは長い名前を名乗り、教皇の名も告げ、他の枢機卿の動きまで説明した。一方でサスケは「その人形ですか」と呼ばれ、死んだあとの体に使命を与えられていた。最後に名前を呼ばれるのは、弟が兄と呼んだときと、兄が弟の名を呼んだときだけだ。名前を並べ立てる側と、名前を取り戻す側が同じ回に置かれている。
血闘の回に、情報がいちばん多く落ちている
副題は「血闘! 崩壊の街に死す」だが、実際にこの回で増えたのは分かったことのほうだ。デネル村の実験、拉致の目的、サスケが捕らえられた経緯、教皇タナトスの名、枢機卿たちの分業。戦いの決着と同時に、最終回に必要な材料がまとめて出そろっている。血闘の裏側で、種明かしがひととおり済まされている。




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