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最終話の副題は「セイム・スカイ」。アラキはステラの質問に答え、妹にした本当の理由を「俺が一人で行きたくなくて」と打ち明ける。ステラの答えは「あたしは今のあたしにしかなれないから」だった。クルスは「ディアボリにいたアラキもアラキだよ」と言い、スピカが兄の孤独を語る。最後にステラは、かけらを手に外へ出ていく。見送りの場に、アラキの姿はなかった。




副題は「セイム・スカイ」、最終話はステラの質問から
公式サイトの第12話の副題は「セイム・スカイ」。公式のあらすじは、クルスのもとへ急ごうとするアラキにステラが声をかけ、質問に答えてくれたら手伝うと言うところから始まる。アラキはそこで、隕石落下災害のこと、自分だけに与えられた力のこと、そしてなぜステラを妹にしたのかを明かす。
急ぐ前に、答えを求める
最終話は、戦いに向かう直前に足を止めるところから始まる。ステラは手伝う代わりに、ずっと聞けなかったことへの答えを求める。決戦の前にまず二人の間の嘘を片付ける、という順番がこの作品らしい誠実さである。ここまで積み重ねてきた兄妹の関係が本物なのかどうかを、最後の最後で確かめ直す構成になっている。
保護施設の記憶
アラキの話は、隕石落下のあと「保護施設にいた」ところから始まる。帰るところをなくした子たちが集められ、子供たちは順に何かの検査を受けていた。自分の番が来たとき嫌な予感がして叫ぶと、それ以降、誰もアラキを検査しなくなったという。自分だけの力が、最初に使われたのが自分を守るためだったと分かる場面である。その力が何なのか、幼いアラキ自身にも分かっていなかったことが、語り口からも伝わってくる。
「その子は俺の妹です」
やがてアラキは、会ったこともない親戚のところへ行かされることになる。その中で、まだ目を覚まさない女の子のことが耳に入る。
連れて行かれそうな女の子
施設の職員たちは、捜索届もないその子を国の検査機関に移す話をしていた。アラキは「その子どうするの」と聞き、教えられないと返されると、「その子は俺の妹です」と言い出す。ここで初めて、ステラが妹になった瞬間がそのまま描かれる。
「俺が一人で行きたくなくて」
ステラは、自分を助けてくれたということかと聞く。しかしアラキの答えは「いや違う」だった。「俺が一人で行きたくなくて」、だから妹にしてしまおうと思ったのだと打ち明ける。美談にしてしまえる話を、あえて自分勝手な理由として差し出すところに、アラキの誠実さと痛みがある。
「許してくれなくていい」
アラキは、自分がやったことは間違っていたと言い、「許してくれなくていい」「ステラの気の済むようにしてほしい」と続ける。言い訳を一つもせず、判断を相手に委ねるという謝り方が、この話の重さに釣り合っている。もうやり直したりもしない、とまで言い切るところに、覚悟の深さが表れている。
「あたしは今のあたしにしかなれないから」
ステラの答えは、すぐには出てこない。その前に、記憶の底にあった小さな出会いが描かれる。
飛行機が好きな二人
飛行機を見ているうちに迷子になった女の子と、飛行機が好きな男の子が出会う。二人は飛行機の話ですぐに打ち解け、女の子は大人になったら飛行機屋さんになると言って「乗せてあげるよ」と約束する。別れ際には「またね アラキ」と名前が呼ばれる。副題の同じ空が、ここで二人が一緒に見上げていた空として意味を持ち始める。
「もしかしたら」を言い出したら
ステラは、本当の自分はどんなだったのか、どんな自分になるはずだったのかと考えると「ぐちゃぐちゃになって」しまうと言う。それでも出した答えは「あたしは今のあたしにしかなれないから」だった。奪われたかもしれない過去より、ここで過ごした時間を自分として選ぶという答えが、この作品の芯になっている。
「クルスのところに連れて行ってもらって」
そしてステラは、アラキを「クルスのところに連れて行ってもらって」と頼む。質問に答えてくれたから、という約束どおりの行動である。許すとも許さないとも言わずに、行動で答えを示すのがステラらしい。兄と呼んできた相手を、今度は自分の意思で助けに行かせるという選択でもある。
ポリスホッパーの合流
ここで、ポリスホッパーの面々が合流する。公式のあらすじにあるとおり、仲間たちの力でアラキはクルスのもとへたどり着く。
「気合でやるしかないね」
アラキを背負って飛ぶから、みんなでどうにかしてぶっ飛ばしてほしい、という作戦が出される。どうにかって、と聞き返す声に返ってくるのは「気合でやるしかないね」だった。最終決戦の作戦がほとんど気合という雑さが、このチームの頼もしさでもある。細かい理屈より、仲間のために体を張ることを迷わない人たちだからこそ、アラキの居場所になっている。
最後まで仲間が支える
仲間たちは道を開き、アラキを送り出す。一人で抱え込んできたアラキが、最後は仲間に運ばれて相手のもとに届くという形が、この話の結末にふさわしい。
クルスの「アラキもアラキだよ」
たどり着いたアラキは、クルスに向かってもうやめろと言う。
「俺の居場所はやっぱりポリスホッパーなんだ」
アラキは、チームを抜けたことを謝りながら、「俺の居場所はやっぱりポリスホッパーなんだ」と言い、ポリスのみんなといる時が自分らしいと話す。居場所の話を、相手を否定せず自分の気持ちとして伝えているのが大事なところである。せっかく入れてくれたのに、と謝る言葉にも、クルスへの気づかいがきちんと残っている。
「ディアボリにいたアラキもアラキだよ」
クルスは「なんだよ自分らしいって」と返し、「僕にとってはディアボリにいたアラキもアラキだよ」「ポリスにいたアラキもアラキだし」と言う。文句ばかり言って不満ばかり抱えていたアラキも、アラキだと。自分らしさを探すアラキに、どのアラキも本物だと言い返すクルスの言葉が、実はこの作品の問いへのもう一つの答えになっている。
「またって」
クルスは、アラキがまた自分を置いていくと責める。アラキはその「また」の意味が分からない。アラキが忘れていたことこそが、クルスの怒りの根にあったと分かり始める。怒っている理由が本人にも伝わっていない、というすれ違いが、ここまでの戦いをこじらせていた。
忘れていた友だちと、スピカの告白
ここで、スピカがクルスのことを語る。ずっと黙っていた理由も、あわせて明かされる。
「兄は体を失って」
スピカによれば、兄は体を失って自分自身をも見失ってしまった。唯一の心の支えがアラキだったが、アラキと友達だった頃の自分はもういない。今どんな姿に成長しているのかを知ることもできない。だからまったく違う姿になって、その姿でもう一度友達になれたらとアラキを探していたのだという。クルスの攻撃的な振る舞いの裏に、忘れられた友だちの寂しさがあったと分かる場面である。
「ごめん ずっと忘れてて」
アラキは「ごめん ずっと忘れてて」と謝る。公式のあらすじが書く、クルスの心の奥にあるわだかまりに、アラキが初めて目を向ける場面である。過去の罪と向き合ったアラキだからこそ、相手の痛みにも気づけるようになった、という流れがきれいにつながっている。
「これが俺なんだって言える俺でありたい」
そしてアラキは、自分の気持ちをクルスに伝える。
変わっても生きたい
アラキは、自分にはダメなところがいっぱいあって、外に出てやり直したいと思っていたが「これが俺なんだ」と言う。嫌な自分を受け入れて、変えたいところは変えて、「これが俺なんだって言える俺でありたい」と続ける。ステラが出した答えと、アラキがたどり着いた答えが、同じ形をしているのが印象的である。
「今度こそちゃんと友達にならないか」
アラキは「そんな俺と今度こそちゃんと友達にならないか」と誘う。クルスの返事は「遅いよ」だった。短い一言に、待ち続けた時間の長さがそのまま込められている。責める言葉のようでいて、ようやく届いたことへの安堵もにじんでいる。
「これが僕なんだって言える日が来るといいな」
クルスは「気持ち悪いよね」「でもこれが僕だ」と言い、自分は一生今の姿を知ることができないと明かす。それでも最後には「これが僕なんだって言える日が来るといいな」とこぼす。答えを出し切れないまま、それでも前を向く言葉で終わるのが、この人物にふさわしい。
かけらとステラの旅立ち
決着のあとも、もう一つの出来事が残っていた。空の結晶が落ちかけ、アラキは自分の力でそれを元に戻す。
「必要なのは俺じゃないから」
落ちたかけらを調べると、それがあれば外でも過ごせると分かる。博士は、これは君のものだとアラキに持たせようとするが、アラキは「やっぱり俺はいりません」と言い、別の人に渡してほしいと頼む。理由は「必要なのは俺じゃないから」だった。自分がずっと望んでいた外への切符を、迷わず手放すところに、この話でのアラキの成長が凝縮されている。
「私が飛ばす飛行機 ちゃんと見といてよ」
そのかけらを持って外へ出るのはステラだった。見送りに来なかったアラキへの伝言は、「私が飛ばす飛行機 ちゃんと見といてよって」というものだった。幼い日に交わした飛行機の約束が、ここでもう一度言葉になって返ってくる。
まとめと考察
第12話は、アラキがステラに、そしてクルスに、それぞれの過去の罪を差し出し、そのうえで今の自分を選び直す最終話だった。
今の自分を選ぶ二つの答え
ステラは「あたしは今のあたしにしかなれないから」と言い、アラキは「これが俺なんだって言える俺でありたい」と言った。作品全体で問われてきた本当の自分への答えを、二人が別々の言葉で同じ方向に出している。
セイム・スカイ
副題の同じ空は、幼い日に二人が見上げた空であり、外へ出たステラと街に残るアラキが別々の場所から見上げる空でもある。離れても同じ空の下にいる、という形で二人の関係を締めくくったのが、この最終話の余韻である。
詰め込みの中にあった芯
最終話には多くの出来事が詰め込まれていて、急ぎ足に感じる場面もある。ステラの過去、クルスの正体、空の結晶の異変と、どれも一話で扱うには重い話題だった。それでも、今の自分を認めるという一本の芯がすべての場面を貫いていたので、物語はきちんと着地していた。




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