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総人口230万人、その8割を学生が占める学園都市。その裏側で汚れ仕事を請け負う暗部組織アイテムの4人は、仕事のない時間には、ごく普通の女の子としてそれぞれの日常を過ごしていた。正義とは反りが合わない麦野、妹の前では優しい姉のフレンダ、そして子どもを道具にする研究施設との対決まで、鮮烈な幕開けとなった第1話を場面ごとに一つずつ振り返る。




学園都市の表と裏
『とある暗部の少女共棲(アイテム)』第1話は、学園都市の暗部で汚れ仕事を請け負う少女たちの日常と仕事を、鮮やかなコントラストで描いた幕開けだった。おしゃべりに興じる普通の女の子たちが、ひとたび仕事となれば容赦なく敵を制圧していく。その落差こそが、この作品の魅力なのだとはっきり伝わってくる一話だった。
超能力の街
総人口230万人、その実に8割を学生が占める街。それが学園都市だ。最先端の科学技術が集まった巨大な実験都市で、外の世界とは20年から30年の技術の開きがあると言われている。ここで子どもたちが学ぶのは、超能力。いつかはレベル5の超能力者になれるかもしれないという説明が、どこか明るく響く。
迷子の子どもを優しくなだめる風紀委員の姿もあり、学園都市の表の顔はいたって平和だ。けれど、その表側を支える人たちには頭が下がる、というつぶやきは、裏側に身を置く少女の口から漏れたものだった。光の当たる表の世界と、その裏で動く暗部。冒頭からその対比がさりげなく示されていた。
絹旗と滝壺のおしゃべり
絹旗と滝壺の会話からは、アイテムという組織の空気が見えてくる。麦野のいるところにいる、と答える滝壺に、絹旗は頼れるリーダーではあると認めつつ、超短気で超圧が強くて超暴力的なところを除けば、と付け加える。その直後、当の麦野ににらまれて縮み上がるやりとりに、思わず笑ってしまった。
話題は前日の仕事に移る。あそこまで徹底的に壊滅させる必要はあったのかという絹旗の疑問に、テロを企てていたのではと答える滝壺。最近は自分たち向けの汚れ仕事も多く、しばらく忙しくなりそうだという。物騒な話題を、まるで放課後の雑談のように交わす二人の姿が、暗部という世界の異常さを逆に際立たせていた。
麦野沈利の学生生活
夏休みにもかかわらず、麦野は学校にいた。提出しなければならない書類がたまっていると教師に呼び出されたのだという。学校のレベル5を初めて生で見たと噂する生徒たちの声に、彼女が学校ではどれほど特別な存在なのかが伝わってくる。
新しい案件
そんな麦野のもとに、新しい案件の連絡が入る。昨日の今日だぞと不満をあらわにし、暗部にはほかにもいろいろいるだろう、第一位様やら第二位様やらに頼めばいいとぼやく麦野。けれど、前日の現場で回収した相手が厄介な組織の顧客だったと判明し、急きょ持ち上がった案件なのだと聞かされる。
手間の割に実入りのいい仕事になるはずだからさ、という言葉に、あんた昨日もそう言ったと返す麦野。暗部の仕事が途切れなく続いていく現実と、それに辟易しながらも引き受ける麦野の姿が、彼女の立場をよく表していた。
正義とは反りが合わない
学校で麦野に声をかけてきたのは、学級委員の白鳥だった。ボランティアの募金活動をしていて、身寄りのない子の生活費や難病の子の治療費になるのだという。けれど麦野は、そういうのはがらじゃない、知ってるだろと断る。学校の無愛想な君とは別の君もいるのかもと思って、と食い下がる白鳥に、麦野は「正義ってやつとはどうにも反りが合わなくてね」と答えた。
この一言が、麦野という人物を端的に表しているように思えた。正義を名乗るつもりはない。けれど、このあとの仕事で彼女が見せる行動は、決して悪だけでは片付けられないものだった。言葉と行動の間にあるずれこそが、麦野の複雑な魅力なのだと思う。
フレンダと妹の時間
一方、フレンダは小学生の妹と一緒に過ごしていた。お目当てのコラボアイテムを手に入れてはしゃぐ妹と、子ども扱いされたと頬をふくらませる妹をあしらうフレンダ。暗部の一員とは思えない、ごく普通のお姉ちゃんの顔がそこにあった。
列での小さな武勇伝
妹は、自分より大人の人のけんかを止めたと得意げに話す。列に並んでいたとき、後ろの中学生くらいのお姉さんたちが言い争いを始めたので、けんかをやめてくださいとお願いしたのだという。危ないことしちゃって、と心配しながらも、それで済んだならよかった、そんな残念なのに関わっちゃだめだと言い聞かせるフレンダの姿が、とても温かかった。
壊れたままのビルを見て、怪獣の仕業だと無邪気に言う妹。その横で、まだあのままかとつぶやくフレンダの表情が一瞬曇る。大人になるといろいろあるってわけよ、とはぐらかすその姿に、妹には見せられない裏の顔がのぞいた気がした。
悲しい人にあげるもの
別れ際、妹はおまけでついていたものをフレンダに差し出す。お姉ちゃんが悲しいと、私もだいたい悲しいから。そして「悲しくなったらもっと悲しい人にあげるといいよ」と言い添える。子どもらしいまっすぐな優しさが、胸にしみた。
このささやかな贈り物と言葉が、後の仕事の場面で思わぬ形で響いてくる。妹の存在が、フレンダの心のよりどころになっていることが伝わる、さりげなくも大切な場面だった。
子どもを使う研究施設
4人がそろったブリーフィングの場は、なんとサウナだった。どんな街にも悪い奴はいるけれど、学園都市は別格。今回のターゲットは、そのなかでも最悪の部類だった。
ジャノミチという組織
ターゲットはジャノミチと呼ばれる組織。表向きは難病の子の治療を引き受けると宣伝しながら、その実態は、病気でもない子どもに肉体的、精神的なトラウマを与えて能力を尖らせる恐怖の実験施設だった。今抱えている子どもは5人。5人しか残らなかったとも言える、という説明に、背筋が冷たくなる。
研究成果が発表されれば、学園都市の信頼は大打撃を受ける。所長は始末する。ただし、所長は5人の中でいちばん強い子をボディーガードにしていて、どんな攻撃もものともしない防壁なのだという。ほかの職員や子どもたちはどうするのかというフレンダの問いに、適当でいいと返され、ほっとしたような表情を見せるフレンダ。子どもを手にかけたくないという本音が、爆弾の経費がかかるという言い訳の陰にのぞいていた。そんなフレンダに、麦野はじゃあチャンスやるよと告げる。
所長とキョウ
施設では、所長のジャノミチがボディーガード役の少年キョウに語りかけていた。データベースのID情報を偽装させ、学園都市を出ていく準備が進んでいる。ここを出ていくときはみんな一緒ですよね、と確かめるキョウに、所長は「私は嘘をつかない」と答える。拾ってくれた先生が嘘をつくなんて思っていない、と信じきったキョウの姿が痛ましかった。
アイテム出撃
40階建てビルの38階にある施設へ、アイテムは屋上から堂々と乗り込んでいく。派手なほうが仕事が早く済む。これが暗部のお作法ってやつですか、というつぶやきに、彼女たちの流儀が凝縮されていた。
無敵の盾
施設の奥で待ち構えていたのは、キョウだった。絹旗の攻撃はキョウの能力に阻まれ、周りの物質ごと別のものに変えられてしまう。どんな武器も能力も通じない盾を前に、所長は勝ち誇ったようにアイテムの面々の能力を分析してみせる。麦野の原子崩しは、同じ電子系の能力を持つ第三位に序列で劣る、レベル0のフレンダは役に立たないから欠席か、と。
けれどアイテムは、キョウに手を差し伸べる。ここでひどいことをされているんでしょ、そこをどいてくれたら助けてあげられる。人質に取られているほかの子たちが助かればいいのなら、その子たちを助ける。迷う必要あるか、子どもを盾にするようなクズに義理はないだろうと、麦野も言葉を重ねる。敵を倒すだけでなく、子どもを救う道を探すアイテムの姿に、正義とは反りが合わないと言った麦野の別の顔を見た気がした。
フレンダの見つけたもの
その頃、別行動のフレンダは、ビルの警備システムとは別に、もうひとつ独立したシステムがあることを突き止めていた。そこに残りの子どもたちがいる。欠席と笑われたフレンダが、実はいちばん大事な仕事をしていたのだ。能力がなくても、自分にできるやり方で仲間を支えるフレンダの姿がかっこよかった。
それでも子どもが一人足りない。所長は、最後の一人を自分の後ろに隠していた。追い詰められた所長は、子どもを渡す代わりに自分を見逃せと言い出し、「私はもっと評価されるべきだ」と叫ぶ。そこに割って入ったのは滝壺だった。命を削ってでも力を使うべきだと言い切る滝壺の覚悟が、事態を動かしていく。
お仕置き確定
最後は麦野の一撃で、すべてに決着がつく。いい歳して承認欲求をこじらせるな、という痛烈な一言が、子どもを道具にしてきた男への何よりの断罪だった。そして段取りのミスを指摘し、フレンダに向けた「お仕置き確定ね」という一言。張り詰めた空気の中に、いつものアイテムらしさが戻ってきた瞬間だった。
まとめと考察
『とある暗部の少女共棲(アイテム)』第1話は、暗部の非情さと、少女たちの人間らしさを一話の中にぎゅっと詰め込んだ回だった。最後に、印象に残ったポイントを振り返っておきたい。
悪にもなりきれない少女たち
仕事のあと、5人の子どもたちはまとめて治療中で、せめて歩けるくらいには回復させ、その後の行き先も決まるという。原子から陽子を抜いて別の原子に変える能力だから、純粋な電子を撃ち出す麦野には効かなかったという種明かしも興味深い。汚れ仕事を請け負いながらも、子どもたちの行く末を気にかける彼女たちの姿には、単純な悪では語れない複雑さがあった。
仲良し5人組か、とつぶやいたフレンダが、「結局ずっと一緒だといいね」と続ける。その言葉は、救われた子どもたちに向けたものでありながら、どこか自分たちアイテムのことも重ねているように聞こえた。
これからのアイテムに期待
絹旗がアイテムに入ってもうすぐ一か月。何気ない会話の中に、4人が積み重ねてきた時間と、これからの関係の行方が感じられた。普通の女の子としての顔と、暗部の一員としての顔。その両方を持つ彼女たちが、学園都市の闇の中でどんな物語を紡いでいくのか、続きが楽しみでならない。
アクションの迫力、テンポのいい掛け合い、そして見終わったあとに残るほろ苦さ。シリーズを知る人にも、初めて触れる人にも、アイテムという4人の魅力がまっすぐ伝わる第1話だった。




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