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ヤタン神殿での戦いを終え、レベルマイナス3という最悪の状態に追い込まれたグリード。村から一歩も出られず、移動のためのお金すらない。それでも伝説の鍛冶職人の力を信じて、彼は地道な一歩を踏み出していく。薪割りで目覚めた根気の力、初めて生み出したエピックの矢、そしてカン爺さんの鍛冶場を守る戦いまで、第2話を場面ごとに一つずつ振り返る。




マイナスレベルからの再出発
『テムパル~アイテムの力~』第2話「鍛冶職人の第一歩」は、レベルマイナス3という最悪の状態から、グリードが鍛冶職人として本当の一歩を踏み出すまでを描いた回だった。楽をして稼ぎたいという本音を抱えたまま、汗を流す喜びを知り、やがて誰かを守るためにアイテムの力を振るう。主人公の変化がまっすぐ伝わってくる一話だった。
神殿崩落のその後
冒頭では、運営側の会議の様子が描かれる。ヤタン神殿の崩落は、グリードとユラが互いにクエストクリアを競い合った戦闘によるもので、結果はユラの勝利。ユラはヤタン教のクエスト、ヤタン神のしもべに入ったという。その要因にグリードが関わったとは実に興味深い、と語る声には、彼への期待がにじんでいた。
クエストクリア後もログインを続け、北部の荒野でレベリングを続けるユラ。かなり心を乱されたようだという報告に、無理もない、と返す運営。次はどんな展開を見せてくれるのか、楽しみだ、グリード。運営すら目を離せない存在になったグリードの今後に、こちらも期待が高まる。
村から出られない
一方のグリードは、ヤタン教と敵対関係になったため、ヤタン神殿での復活ができなくなっていた。降り立った村の周辺はレベル100台のモンスターばかり。レベルマイナス3の彼には、村から一歩出ることすらできない。
一番低いレベルの村まで行きたいと頼んでも、料金は10ゴールド。お金のない彼は、母さんが病気で、と泣き落としを試みるものの、あっさり断られてしまう。無慈悲な資本主義、とつぶやく姿には思わず笑ってしまった。伝説の職業を手にしたのに、文字どおりの一文無しという落差が、この作品らしいユーモアになっている。
伝説の鍛冶職人の力
それでもグリードは前向きだった。レジェンダリークラスの伝説の鍛冶職人だぞ、ここから俺の伝説が始まるんだ、と自分を奮い立たせる。そして、その職業の力を確かめてみることにした。
夢の大剣の設計
マスターしている技術の効果だけで、製作アイテムの能力値が全クラスプラス10%。そのうえ、自由にアイテムを作れる創造スキルまである。グリードはさっそく、巨大で強力で、攻撃のたびにメテオが落ちてくる大剣を思い描く。素材はもちろん、最強の鉱物と名高い青いオリハルコンだ。
サメみたいだと喜ぶグリードだったが、自動補正によって性能は現実的な数値に整えられていく。それでも、このアイテムの製法が理解できる、本物の鍛冶職人みたいだ、と驚く彼の目は輝いていた。設計しただけで作り方がわかるという職業の力は、確かに伝説の名にふさわしい。
ところが、肝心の青いオリハルコンが手元にない。ないじゃん、という叫びに、ここまでの期待が一気にしぼんでいく。
パーティーからの門前払い
素材を手に入れるため、グリードは遺跡へ向かうパーティーに加わろうとする。けれど、装備からしてレベル60くらいでしょと見抜かれ、こう見えてレベル100なんですよ、と見栄を張ったことで、メンバーの怒りを買ってしまう。俺たちはアイテム頼りだと言いたいのか、と突っかかってくる相手に、そこまで言ってないし、お前の性格もなかなかだぞ、と返すグリード。こうした小さなツッコミの積み重ねが、テンポのよさにつながっている。
実力を証明するためにテストしてみますか、と持ちかけてきたのは、武闘家ランク1位の剣聖レガス。有名なランカーと戦えるかよ、と心の中で叫びながら、今日はレベル上げでもすっかな、とあっさり引き下がるグリードの姿は情けなくもおかしかった。
汗を流すことの意味
いくら強くても作れないアイテムなんか、と肩を落としたグリードは、地道にやるしかないと覚悟を決め、村の鍛冶屋を訪ねる。ここからが、彼にとって本当の修行の始まりだった。
鍛冶仕事をなめるな
もうかるアイテムの作り方を教えてほしい、と頼むグリードに、鍛冶屋の主人は「楽に金を稼ごうとしやがって」と怒りをあらわにする。「鍛冶仕事をなめんじゃねえぞ」。そして、仕事を甘く見る奴は全員同じ、自分の手で何一つまともにやったこともない奴ばかりだ、と言い放つ。
けれど、お金がなくて村を出られないと知ると、主人は、のたれ死にでもされちゃ面倒だ、とりあえず薪でも割ってみろ、と仕事を与えてくれる。厳しい言葉の裏にある不器用なやさしさが、この主人の人柄をよく表していた。
根気という能力値
斧を鑑定すると、理解度は100%。職業補正の効果で、どこを狙えばいいのかが自然とわかる。調子よく薪を割り始めたものの、レベルマイナス3の体力ではすぐに限界がくる。ゲームで肉体労働かよ、体はあちこち痛えし、疲労感も半端ねえ、とぼやく姿が妙にリアルだった。
それでもグリードは、今にもぶっ倒れそうなのに、ばかみたいに体を動かすのも意外と悪くない、と感じ始める。だったら何か一つぐらいはまともにやってやる。その決意に応えるように、根気という新たな能力値が開放された。レジェンダリー限定の能力が、彼の粘り強さそのものを形にしたように見えて、胸が熱くなった。
続く採掘の仕事でも、鉱石を見事な塊で掘り出していくグリード。体は今にも崩れ落ちそうなのに頭ははっきりしている、それこそが俺の武器だ、という言葉に、彼が自分の長所を初めて認めた瞬間を見た気がした。そしてついに、マイナスレベルのペナルティが解除され、レベル1へとたどり着く。
エピックアイテムの誕生
鍛冶屋の主人の好感度は最大に。ようやく、もうかるアイテムの作り方を教えてもらえることになった。それは、少量のヤパを鋼鉄に混ぜた特注品の矢だった。
少しでもいいものを
ヤパ原石とコークス、石灰石の比率は12対2対4。ログイン前に多少調べておいた知識を、職業補正と器用さの高さが支えていく。たかが消耗品にやりすぎだぞと言われても、焼き戻しまで手を抜かない。少しでもいいものを作ったほうが高く売れるはず、と答えるグリード。
「何の取り柄もない俺が 成長する方法はこれしかない」。この言葉に、グリードという主人公の芯が詰まっていた。そして完成した矢は、エピッククラスのアイテムだった。まるでファグマの生まれ変わりのようだ、と驚く主人に、まあ末裔だもんな、と心の中でつぶやくグリードがおかしい。楽をしたいという動機から始まった仕事が、本物の職人の仕事へと変わった瞬間だった。
別れ際、本当は一緒に暮らせたらうれしいんだが、と名残惜しそうに言う主人。すっかり情が移った様子に、思わず笑みがこぼれた。
制作者を探せ
グリードが売りに出した矢は、思わぬところで注目を集める。上位ギルドを率いるジシュカは、鍛冶職人ランク1位のファンミルでさえエピックは作り出せなかったのに、と驚き、制作者を何としても探し出せ、とギルドのメンバーに命じる。名もない一本の矢が、トップランカーを動かし始めたことに、物語の広がりを感じた。
現実の家族とカン爺さん
ログアウトしたグリードこと巧を待っていたのは、家族の温かさだった。日雇いの仕事を休みなさいと言う父、ご飯をちゃんと食べないとと心配する母、そしてお兄ちゃん大丈夫と気づかう妹。「本当に 家族には感謝してもしきれないな」。そうつぶやいた直後に、俺の借金返してくれない、と頼んでしまうあたりがグリードらしい。
92シルバーの矢
6シルバーで競りに出した矢は、92シルバーで売れていた。現実の価値に換算すれば1万円以上。日雇いの仕事よりも断然効率がいい。この調子でガンガン稼いでやる、と意気込むグリードは、鍛冶屋を探して新しい村へ向かう。
そこで出会ったのが、鍛冶職人のカンだった。手伝ってほしいと頼むグリードに、わしにもお前さんと同じくらいの息子がいた、力になってやりたいが無理だ、と答えるカン。メロ商会からの圧力で、材料の買い占めや嫌がらせを受け、鍛冶場は潰れてしまったのだという。
このアイテムの力
そこへ商会のならず者たちが押しかけ、店も土地も売ってしまえとカンに迫る。息子の死まであざける彼らに、その汚い口で息子の話をすんな、と声を荒らげるカン。ただのNPCだ、と頭ではわかっていても、グリードは自分の祖父を思い出さずにはいられなかった。
これ以上カン爺さんを困らせるなら俺が相手だ。立ち上がったグリードは、ならず者たちを相手に、自分が作った矢で戦い抜く。じいさん、守りたいんだよな、この鍛冶場を、と問いかけ、「じゃあ 貸してもらうぜ このアイテムの力!」と叫ぶ姿は、まさにタイトルそのものだった。たとえばかにされようと、アイテムの力で強くなる。それが、グリードの選んだ戦い方だった。
まとめと考察
『テムパル~アイテムの力~』第2話は、グリードが鍛冶職人としての第一歩を踏み出し、誰かを守るために戦うまでを描いた回だった。最後に、印象に残ったポイントを振り返っておきたい。
根気こそが武器
何の取り柄もないと思っていたグリードが、へこたれない根気こそが自分の武器だと気づく。この気づきが、薪割りや採掘といった地味な作業を通して描かれていたのがよかった。派手なチートではなく、積み重ねで強くなる主人公だからこそ、応援したくなるのだと思う。
クエストをクリアしてレベルは21へ。マイナスからの再出発は、確かな手応えとともに次の段階へ進み始めた。運営、トップランカー、そして商会。グリードの存在に気づき始めた者たちが、これからどう動くのかも気になるところだ。
職人として、人として
楽をして稼ぎたいという本音は、きっとこれからも変わらない。けれど、家族への感謝や、カンを放っておけない気持ちのように、グリードには情の深さもある。ずるさと優しさを同時に持った等身大の主人公が、ここからどんな伝説を打ち立てていくのか楽しみだ。
汗を流す喜び、エピックアイテムの誕生、そして守るための戦い。タイトルの意味がしっかり伝わる、見ごたえのある第2話だった。




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