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『彼女の友達』第2話は、手をつないで歩くタケルとカオリの帰り道から始まる。初めてだと喜ぶカオリを前にしても、タケルの頭から離れないのは、カオリの親友トモコとのやり取りだった。カオリの本音、断るつもりで流されるタケルの弱さ、そして帰り道の嘘とトモコのささやきまで、タケルとカオリとトモコ、三人の関係が大きく揺れる第2話を振り返っていく。




第2話は手をつないだ帰り道から始まる
『彼女の友達』第2話は、カラオケの帰り道、手をつないで歩くタケルとカオリの場面から幕を開ける。初めてだと喜ぶカオリを前にしても、タケルの頭から離れないのは、さっきのトモコとのやり取り。心ここにあらずのタケルに、カオリはキスをねだって顔を寄せる。初々しい恋人同士の時間と、それをかき乱す彼女の友達の存在。その板挟みが、前話以上にくっきりと描かれた一話だった。
「なんか幸せだな」
もうこの辺りで十分だからと遠慮するタケルに、カオリはまだ全然大丈夫だと笑う。こうして手をつないで二人で歩くのは初めてで、「なんか幸せだな」とつぶやくカオリ。タケルが「初めて」と聞き返すと、カオリは自分も初めてなのだと打ち明ける。明るくてアイドル好きで、どこか抜けているカオリだが、恋人と過ごす時間を本当に大切にしていることが、このひと言から伝わってきた。
そしてカオリは、意を決したように「キスしよっか」と切り出す。付き合っているのだから、いいよね、と。勢いのままに顔を寄せるカオリに対して、タケルの反応はぎこちない。トモコとの一件が頭をよぎり、素直に受け止められないのだ。カオリはすぐに「ごめん」と謝り、自分ひとりで盛り上がってしまった、タケルの気持ちも考えずに、と言って去ってしまう。
この場面のカオリが切ない。恋人同士として当たり前の一歩を踏み出そうとしただけなのに、相手の反応を見て自分を責めてしまう。タケルに悪気がないのは分かっていても、彼の煮え切らなさが、カオリをどれほど不安にさせているのかがよく分かる場面だった。
カオリの欠席
翌朝、学校でタケルに声をかけてきたのはトモコだった。今朝はちょっと寒いねと何事もなかったように話しかけ、今日カオリは休みでしょ、と告げる。聞いていないと驚くタケルに、トモコは昨日いろいろあって、とだけ言う。カオリの欠席の理由が自分にあることを、タケルは痛いほど分かっているはずだ。それでもタケルは、自分からカオリに連絡を取ることができない。
担任に呼ばれて、休んだカオリの代わりに日直の仕事を任されるトモコ。カオリの不在が、そのままトモコがタケルに近づく口実になっていくのが、この作品らしい意地の悪い構図である。タケルが流されやすい性格であることを、トモコはよく分かっているのだろう。
印象的なのは、トモコがカオリの事情をすべて知ったうえで動いていることだ。カオリが休んだ理由も、前の晩に何があったのかも、トモコは親友として打ち明けられている。その情報を持っているからこそ、タケルの罪悪感を的確に突くことができる。親友という立場と、彼氏を誘惑する立場。その二つを平然と行き来するトモコの姿は、ラブコメの軽さの中にひやりとした怖さを残していた。
カオリの本音と、トモコの誘い
「タケルくんのバカ」
一方、学校を休んだカオリは、ひとりでカラオケにいた。歌の合間にこぼれるのは、タケルへの不満だ。普通彼女が泣いて走り出したら追いかけるでしょ。学校をサボったら、メッセージのひとつも送るでしょ。それなのにガン無視なのはどういうことなのか。やっぱり自分のことは好きじゃないんだ、もう終わり、別れる、と勢いよく言い放つカオリ。
ところが次の瞬間には、「好き」「やっぱり大好き」と気持ちがあふれ出す。もっと構ってほしい、気を使ってほしい、優しくしてほしい、イチャイチャさせてほしい。怒りと寂しさと好きが目まぐるしく入れ替わる独白は、恋愛に不慣れなカオリの不器用さそのものだ。若干天然でポンコツなカオリだからこそ、その本音には嘘がない。ひとりでカラオケに来て感情を爆発させるあたりに、カオリの真っすぐさがよく出ていた。
この独白があるからこそ、カオリはただ浮気される側の彼女ではなく、ひとりの女の子として立ち上がってくる。タケルの何がいけなかったのかをちゃんと言葉にできていて、それでも嫌いにはなれない。別れるとまで言いながら、最後には構ってほしいと願う。そのいじらしさを知っている視聴者ほど、このあとの展開が胸に刺さるはずだ。カオリの言う「普通」は、恋人に対するごく当たり前の期待であり、それに応えられないタケルの弱さが、ここでいっそう際立つ。
断るためについてきた
その頃、タケルはトモコに「もっと人気のないとこ行こっか」と誘われていた。誘いに乗ったのは浮気してくれる気になったからだと言うトモコに、タケルは誤解だと否定する。はっきりと断るためにここまでついてきたのだ、浮気なんてお互いのためにもならない、と。タケルなりに筋を通そうとしているのは分かるが、そもそもついていってしまう時点でトモコの思うつぼなのが、もどかしい。
トモコはそんなタケルに、さらに大胆に迫っていく。本当は強引にするつもりはなかったけれど、タケルがこんなに頑固だとは思わなかった、と。そして、浮気してもらうためなら何でもするとまで言い切る。なぜトモコはそこまでタケルにこだわるのか。親友の彼氏だからこそなのか、それとも別の理由があるのか。トモコの本心はまだ見えないままだ。
その間も、カオリは結局タケルからメッセージが来なかったことに落ち込んでいた。勝手にキスをして、調子に乗っていると思われたのかもしれない。カオリが自分を責めているまさにその時、タケルはカオリの親友に迫られている。この残酷なすれ違いを、作品は淡々と並べて見せる。
視聴者だけが両方の場面を知っているという構図が、見ていて本当に落ち着かない。カオリに一通メッセージを送るだけで、少なくとも彼女の不安は和らいだはずだ。それができないまま、タケルはトモコのペースに巻き込まれていく。流されやすさは優しさの裏返しでもあるが、この場面ではその優しさが誰のためにもなっていない。タケルが自分の気持ちをはっきり言葉にできる日が来るのかどうかが、この作品の大きな見どころになっていきそうだ。
帰り道の嘘と、トモコの言葉
一人暮らしの家へ
帰り道、タケルのあとをついてくるトモコ。吉岡さんの家は反対方向でしょと戸惑うタケルに、トモコは学校でこそこそするより日高くんの家に行った方がいいと思って、と平然と答える。カオリから聞いたという一人暮らしの話にも踏み込み、どうして一人なのか、お金はどうしているのか、バイトしているのかと質問攻めにする。タケルが「吉岡さんに言う必要はありません」と突っぱねるのは、彼なりの精いっぱいの防衛線なのだろう。
それでもトモコはタケルの腕にからみつき、「いいな、恋人同士ってこんな感じなんだ」とつぶやく。からかっているようでいて、どこか本当にうらやましそうにも聞こえるのが、トモコというキャラクターの捉えどころのなさだ。タケルの一人暮らしの事情にまで踏み込もうとするのも、単に弱みを探っているだけなのか、それとも彼自身への興味なのか。グラマーで奔放に見えるトモコが、ふとした瞬間に見せる寂しげな表情は、この先の物語の鍵になりそうな気がする。そしてトモコは、カオリが昨日泣きながら電話してきたことを明かす。キスをしたら嫌そうな顔をされた、と。
最後の約束
トモコは、カオリは結構メンタルが弱いのだからフォローくらいしてあげてねと言う。親友を気づかうような言葉を口にしながら、同じ口で、自分にも恋人みたいな優しいキスをしてくれたら、もう付きまとわないであげると持ちかけるのだ。タケルは「約束ですよ」「本当にこれで最後です」と念を押して、その条件をのんでしまう。断るためについていったはずが、結局は流されてしまう。これで終わりにできるならという気持ちも分からなくはないが、相手の出した条件に乗ること自体が、すでに相手の土俵に立っているということでもある。タケルの弱さがはっきりと表れた場面だった。
そこに偶然現れたのが、カオリだった。なんでトモコと一緒にいるのかと聞かれたタケルは、帰り道で偶然会って、カオリのことでいろいろ相談に乗ってもらっていたのだと答える。嘘ではないが、本当のことでもない。メッセージを送らなかったことを謝り、昨日のことは直接学校で謝るつもりだったと伝えるタケルに、カオリは私みたいなうざくて面倒くさい女、嫌だったら別れてもいいんだよと弱々しく笑う。
「結構嘘が上手だね」
タケルは、そんなことは絶対に思っていないと必死に否定する。その言葉はきっと本心なのだろう。けれど、その直前まで彼女の親友と何をしていたのかを思うと、素直に応援できない複雑さが残る。トモコはあとの痴話げんかは二人でやってねと言い残して帰っていくが、去り際にタケルへ、「日高くんも結構嘘が上手だね」とささやく。この一言の破壊力が本当にすさまじいものだった。
タケルの家に連れていってくれたら許すと言うカオリは、すっかりいつもの調子に戻っていた。けれど最後に浮かぶのは、なぜ偶然あんなところでカオリに会ったのか、という疑問。カオリが現れたのは本当に偶然だったのか。トモコはどこまでを計算していたのか。背徳的なラブコメとしての緊張感が、ここで一段と高まった。嘘をついたタケルと、その嘘を見抜いたうえで、カオリの前では話を合わせて帰っていったトモコ。二人だけが共有する秘密ができてしまったことが、何よりも不穏である。
第2話は、カオリの真っすぐな好意と、トモコのしたたかな誘惑の間で揺れるタケルの弱さが、容赦なく描かれた回だった。断るつもりでついていき、最後だと言い訳して流され、彼女には嘘をつく。タケルを責めるのは簡単だが、カオリを傷つけたくないという気持ちも本物であることが、この物語をただの浮気話にしていない。三人の関係がこの先どこへ向かうのか、目が離せない。カオリの笑顔が曇る日が来ないことを願いたいが、トモコの言う「最後」が本当に最後になるとは、とても思えないのだから。




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