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『転生重騎士』第11話の副題は「逃れられない過去」。ルーチェから贈られたスキルブックで、エルマは念願の<燻り狂う牙>をスキルツリーに加える。その矢先、エルマを追い出した父アイザスと、従妹のマリスが冒険者ギルドに現れる。マリスが持ちかけたのは、稽古という名の決闘だった。そしてマリスの手にある剣は、父がかつてエルマのために用意していたものだった。




副題「逃れられない過去」は、二本続けてゲームの外の言葉だ
公式サイトのSTORYで、第11話の副題は「逃れられない過去」と出ている。公式のあらすじは、スキルブックを手に入れたエルマが<燻り狂う牙>をスキルツリーに追加した矢先に、父のアイザスとマリスが冒険者ギルドを訪れる、と書いている。
ゲームの用語が入らない題が、二本続く
これまでの副題は、重騎士エルマ、脅威の猿蜘蛛、大規模依頼、存在進化、燻り狂う牙、道化師ルーチェ、成金ラーナ狩り、王の彷徨、夢の主、交渉、と並んできた。第10話の「交渉」は、ゲームの用語をひとつも含まない最初の題だった。第11話の「逃れられない過去」も、クラスや魔物やスキルの名前を含まない。ゲームの知識では片づかない話が、二回続けて題になっている。
燻り狂う牙は、第5話の副題だった
エルマが手に入れた<燻り狂う牙>は、第5話の副題にもなったスキルブックだ。第5話で探し始めたものが、第11話でようやくスキルツリーに入る。その同じ回に、エルマが家を出る前の過去が追いかけてくる。
公式の告知が書いた「ある提案」
公式アカウントは放送前に、エルマへ歪んだ執着を抱くマリスは、ある提案を持ちかける、と告知していた。その提案の中身が、稽古という名目の模擬戦だった。
ルーチェの贈り物は、捨て身のスキルだった
前半は、スキルブックの話から始まる。ルーチェが代金を出したスキルブックを、エルマはその場でスキルツリーに加える。
プレゼントです、プレゼント
私がいいって言ってるんだからいいじゃないですか、プレゼントです、プレゼント、とルーチェは押し切る。額が全然違うからな、とためらうエルマに、そのスキルツリーは元が取れないんですか、と返し、いや、取れる、それは断言する、と言わせてしまう。高価な贈り物を受け取らせる理屈を、ルーチェはエルマ自身の損得の言葉で組み立てている。
市場価値3000万ゴルド
スキルブックの市場価値は3000万ゴルドと語られる。盗まれないかと気が気でならない、とエルマは早速使いたがる。値段よりも、手元に置いておく不安のほうが先に立っている。
説明文を見ると、ちょっと不安になる
ルーチェは、ただ本当に強いんですか、説明文見てるとちょっと不安になるんですが、大丈夫ですよね、と確かめる。説明文には、このスキルツリー保持者のそばに寄ることなかれ、といった物騒な文句が並んでいる。贈った側が、贈ったものの物騒さをいちばん気にしている。
死を覚悟し、捨て身で戦うスキル
エルマの説明は、強いのは間違いない、スキルポイントを十分に得たら一気に化けるようになる、だった。燻り狂う牙は死を覚悟し、捨て身で戦うスキルを習得できる、重騎士との組み合わせは火力を馬鹿げた領域まで引き上げる、と続く。守りのクラスである重騎士に、捨て身の攻めを足す組み合わせだ。
入れ替わりで消すのは、防御力上昇
エルマは、燻り狂う牙と入れ替わりで消すのは、防御力上昇だ、と決める。守りを上げる枝を外して、死を覚悟する枝を入れている。同じ回の後半で、エルマは家と決別するための決闘に臨むことになる。
ルーチェのおかげで、これが手に入った
スキルツリーに加えたあと、エルマは、見てくれルーチェ、ルーチェのおかげでこれが手に入ったんだ、とはしゃぐ。ステータスって人に見せるべきじゃないってエルマさん言ってませんでしたか、と突っ込まれながら、ルーチェも、なんだか私も嬉しくなってきました、と笑う。普段は慎重なエルマが、自分で決めた決まりを忘れるほど喜んでいる。
父は、息子の手柄を最初から不正と決めていた
同じころ、エドヴァン伯爵家では、エルマの噂が当主のアイザスの耳に入っていた。場面は、父の側から始まる。
脅しているに決まっておろうが
エルマ様によく似たお方が異例の功績を挙げている、と聞いたアイザスは、ギルド職員を脅しているに決まっておろうが、と決めつける。エドヴァン伯爵家の名を汚すとは、もはや親子の情はないと思えよエルマ、と続く。息子の手柄を、確かめる前から不正と決めている。
確かめる前から、罰だけは決まっている
家臣は、エルマがそんなことをするとは思えないと言い、まずは事実確認を、と止める。アイザスは確認を任せつつ、家名を出していることが事実であれば、冒険者ギルドからの除名と再登録の禁止を命じよ、次にこのような真似をすれば、命はないとな、と言い渡す。確かめる前から、罰の中身だけは決まっている。
父と呼んでもよいのだぞ
そこへ現れたマリスに、アイザスは、他人行儀だなマリスよ、お前は次期当主、俺の後継ぎだ、父と呼んでもよいのだぞ、と声をかける。実の息子には親子の情はないと言った直後に、分家の娘には父と呼べと言っている。
処遇が甘いかと
マリスは、先ほどのお話ですが、処遇が甘いかと、と切り出し、ギルドからの除名というのも中途半端です、生活の糧を失ったエルマは、さらに手段を選ばなくなり、と続ける。僕と当主様で視察に向かいましょう、そこで直接判断すべきかと、と提案する。罰を重くする理屈を並べながら、自分がエルマに会いに行く段取りを作っている。
ギルドで、エルマは父の名を明かすことになる
後半の舞台は冒険者ギルドになる。エルマは関わらずに済ませようとするが、それは許されない。
人払いせよ
ギルドに現れたアイザスは、大事な話がある、人払いせよ、と命じ、聞き返されると、聞こえなかったか、人払いせよ、と声を荒げる。客として来たのではなく、領主として場を取り上げている。
関わりたくない、向こうも同じだろう
エルマは、アイザスとは関わりたくはない、向こうも同じ気持ちだろう、行こうルーチェ、目をつけられては事だ、とその場を離れようとする。エルマの見立ては、父も自分に関わりたくないはずだ、というものだった。その見立ては、そこの冒険者、貴様は残れ、の一言で外れる。
こういう時こそ、一緒にいるのが仲間
ルーチェ、外に出ておいてくれ、これは俺の問題だ、と言うエルマに、ルーチェは、こういう時こそ一緒にいてあげるのが仲間だと思うんです、と残る。第10話で別れ話めいた言い方を嫌がったルーチェが、ここでも一人で背負わせない側に立っている。平民ごときが口出しするか、と怒鳴られても引かない。
礼儀正しく勇敢でして
ギルド長は、有望な冒険者と聞いて私兵に勧誘に来たのかと思い、この冒険者は礼儀正しく勇敢でして、と持ち上げる。アイザスは、しらじらしい演技はやめるがいい、と遮り、この男が、エドヴァン家の人間であることを、すでに知っておるのだろう、職員の中に結託している者がいるはずだ、と決めつける。褒め言葉が、そのまま結託の証拠として受け取られている。
父親だ、認めたくないがな
どういうことかと戸惑う周りに、エルマは、父親だ、認めたくないがな、と明かす。ギルドで一から積み上げてきた評判の上に、隠してきた家の名前が乗せられてしまう。副題の「逃れられない過去」が、ここで具体的な場面になる。
首をはねるとだ
アイザスは、この俺が貴様を放逐処分で済ませてやったのは、貴様であれば愚かな真似はしまいと信じておったからだ、と言い、今後、エドヴァン伯爵家を名乗れば、俺がその首をはねるとだ、と念を押す。追い出した理由を、息子を信じていたから、と言い換えている。エルマは、伯爵家の名など、持ち出してはいない、と返す。
マリスの提案は、稽古という名の決闘だった
家の名を使っていないのなら、どうやってここまで来たのか。その真偽を確かめる方法として、マリスが模擬戦を持ち出す。
たかだか一週間で、レベル50のマスターを
アイザスは、たかだか一週間程度で、一冒険者がレベル50のマスターを討伐するなどな、と信じない。エルマの手柄は、父の物差しでは、ありえないことにしか見えない。
実戦形式の稽古で、真偽を確かめましょう
マリスは、聞けばエルマ、君はレベル40程度なのでしょう、ならちょうどいい、と話し、自分もレベル45になったところだと明かして、実戦形式の稽古で、真偽を確かめましょう、と持ちかける。この短期間で自分の力だけでここまでのし上がるなんて、見事なものではありませんか、とも言う。褒める口ぶりのまま、もっとも、全てが虚偽であれば、この稽古が罰を兼ねる事も出来るかもしれませんね、と付け加える。
レベルを上げた方法
マリスのレベルの上げ方について、エルマは、高レベルの罪人を殺めて、経験値を得る、と心の中で説明する。次期当主のレベルは、実戦ではなく、用意された命で上げられていた。レベルが同程度であれば、実戦の多い彼の方に軍配が上がる、とマリスが言うのは、そのためでもある。
剣聖と重騎士
エルマの分析では、剣聖は攻撃力と素早さが桁外れに高く、スキルも分かりやすく凶悪なものが多い。攻撃力と素早さのない重騎士では、剣聖相手には防戦一方にならざるを得ず、仮に当たっても決定打には至らない。最低限の戦いを演じるくらいならできるだろうが、どうにもそれだけで済むとは思えないな、という読みは、マリスの執着を見越している。
金輪際、俺には関わらないでくれ
エルマは、分かった、その模擬戦を受けて立とう、と応じ、ただ一つ条件がある、もし俺の力を認めてくれたなら、金輪際俺には関わらないでくれ、と付ける。アイザスが、潔白を示すための稽古だと言いかけると、いや、俺がエドヴァン伯爵家から決別するための決闘だ、と言い直す。稽古という名目を、エルマは自分の手で決別の決闘に書き換えている。
父が息子に用意していた剣を、マリスが振るう
模擬戦の前に、この回でいちばん皮肉なことが明かされる。マリスが手にしている剣の出どころだ。
いい片刃剣だな
エルマは、いい片刃剣だなマリス、と剣に目を留める。攻撃力の補正がかなり高い武器だ、彼女が雑に振り回しただけでもかなりの脅威になる、と見立てる。剣の見立てから入るところに、ゲームの知識で相手を測るエルマらしさが出ている。
父様は君にプレゼントするために
マリスは、父様は君にプレゼントするために、隠れて準備していたそうだよ、と明かす。父がエルマのためにひそかに用意していた剣が、エルマに向けられる側の手にある。
二つの贈り物
この回の前半では、ルーチェがエルマにスキルブックを贈り、プレゼントです、プレゼント、と押し切っていた。同じ回に、仲間から届いた贈り物と、父から届かなかった贈り物が並んでいる。届かなかったほうは、別の人の手で、エルマの前に差し出されている。
稽古は、幼少以来
エルマは、稽古は幼少以来だな、と言い、マリスは、だが正直こんなに嫌われてるとは思わなかったよ、と返す。二人のあいだにも、家を出る前の時間があったことが、この短いやりとりで分かる。
よかった、君が君のままで
模擬戦は、エルマが圧倒的に不利な形で進む。それでもエルマは一撃を届かせ、マリスの反応がこの回の締めになる。
すでに4割削られた
エルマは、すでに4割削られたか、と自分の状態を数える。アイザスは、マリスは遊んでいるではないか、くだらん意地を張りおって、と見ている。エルマが数字で戦況を読むのに対して、父は最初から勝負になっていないものとして眺めている。
一度きりの小細工
エルマの一撃が届くと、アイザスは、剣聖と重騎士では、天と地ほどのステータス差があるのだぞ、マリスのやつ油断したか、と驚く。エルマ自身は、今のは多少効いたはず、だがこんな小細工が通用するのは一度きり、影踏みの奇襲もあってようやく届いた一撃だ、と冷静だ。届いた一撃を、エルマは勝ち目ではなく、一度しか使えない手札として数えている。
本気で来い
エルマは、本気で来いマリス、どうせ今ので引き下がるつもりはないんだろう、と挑発する。関わらないでくれという条件を出した本人が、相手の本気を引き出しにいっている。
よかった、君が君のままで
マリスの返事は、よかった、君が君のままで、だった。僕に一撃を入れたことに敬意を表して、見せてあげるよ、と剣聖の代名詞となるスキルを繰り出す。嫌われていると知りながら、マリスが喜んでいるのは、エルマが昔のエルマのままであることだった。
逃れられない過去の中身
父の決めつけ、家の名、父が用意していた剣、そして昔のままのエルマを喜ぶ従妹。この回で追いかけてきた過去は、どれもエルマが自分で選んだものではなかった。そのうえでエルマは、ルーチェから贈られた捨て身のスキルと、決別のための決闘を、自分で選んでいる。




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