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『DIGIMON BEATBREAK』第47話の副題は「究極の力」。アスカを救うためにアプラクサスへ突入した回で、ゲッコーモンは初めて究極体のアトラタスモンになる。ただしそれは、トモロウがコールドハートにされたところへ、敵が黒いe-パルスを注いで起こした進化だった。公式サイトの紹介文は、兄のアルバタスモンと白と黒のほかは同じ文面で、劇中でも「陰と陽」と呼ばれる。同じ回、敵の側には絆から生まれた究極体が立つ。




副題「究極の力」、究極体が二体生まれる回
「究極」が副題に入ったのは初めて
公式の副題は「究極の力」(出典: 東映アニメーション公式サイト DIGIMON BEATBREAK 第47話ページ)。あらすじは「アスカを救うために、アプラクサスに突入するグローイングドーン。仲間たちの助けを借りて、辿り着いたトモロウの前に立ちはだかるのは王会長と金田だった。モナークリザモンは因縁の相手、ゴクウモンと激しくぶつかるが……。」で、最後は言い切らずに切れている(出典: 同)。
第1話「感情の鼓動」から並べると、副題に「究極」が入ったのはこれが初めてで、「力」で終わる題は第23話「奪うための力」とこの回の二本しかない。四十七本目で初めて副題に出た「究極」は、ゲッコーモンの究極体進化のことだった。
放送当日に公式が足した三件
公式NEWSは放送当日に三件を更新している。「キャラクターデジモンにサンゾモン、サゴモン、チョ・ハッカイモン、エクスティラノモン等を追加!」「キャラクター五行星にセイテンゴクウモンを追加!」「キャラクターGLOWING DAWNにアトラタスモンを追加!」(出典: 同 NEWS)。究極体が味方と敵の両方に一体ずつ増えたことを、公式の更新がそのまま示している。
トモロウの欄に究極体が加わったのは、第45話でアスカのヘリオスボアモンがアルバタスモンになってから二話後になる。
あらすじは放送二日前の9月11日に公開されていたが、そこには究極体の名前が一つも出てこない。モナークリザモンとゴクウモンがぶつかるところで言い切らずに切れていて、その先で起きる二体の究極体進化は、放送当日になって公式のキャラクター欄に載った。
仲間に託して、奥へ進む
「ここは任せて」
アプラクサスへの突入は、仲間に足止めを任せながら進む形になる。「ここは任せて」「行ってマコトくん」「ありがとうございます」。ワールドユニオンの側は「ハッカーを特定し反撃を」と命じ、王会長は「世界中のサポタマを統制下に置いた今」「誰が私に逆らおうというのだ」と構えている。
「今日こそ仕留めさせてもらおうか」という声とともに戦いが始まり、そこへミハルも加わる。「ワールドユニオン相手にここまでやれれば十分だ」。公式あらすじの「仲間たちの助けを借りて」は、一人ずつ持ち場に残っていく形で描かれる。
旧式のPCからの侵入
同じころ、「こんな旧式のPCでアクセスしているとは思うまい」「うまくいってくれ」と、古い機械から入り込む手も動いている。ワールドユニオンの側も「優れたハッカーが味方についているようですね」と気づいている。突入は、正面とネットの両方から進んでいる。
王会長のシャングリラと、「尊き犠牲」
「まさにシャングリラだ」
王会長は自分の計画を語る。「私は作り上げた」「すべての人類がサポタマを通じて」「理想的な自分を手にできる世界を」「まさにシャングリラだ」。第46話の会見で約束した理想的な世界の中身を、ここで本人の口から言い直している。
突入した側は、その裏側を突きつける。「このデジモンたちあいつとリンクしていない」「それだけじゃない」「あなたたちはデジモンに無理やりe-パルスを送り込み」「完全体に進化させている」。王会長の答えは「すべては大義をなすため」「彼らはそのための尊き犠牲だ」。理想の世界の材料として、デジモンは最初から犠牲の側に数えられている。
「こっちから願い下げだ!」
返ってくるのは「何がシャングリラだ」「お前の都合で作られたそんなつまらない世界なんて」「こっちから願い下げだ!」。第45話のトモロウの「お前たちの勝手な都合で」と同じ言葉で、相手の理想が、ここでも「都合」の一語で突き返される。
第46話で王会長は、デジモンを排除すべきバグと呼んでいた。今回の「尊き犠牲」も、呼び方が丁寧になっただけで、デジモンを数の外に置くという中身は変わっていない。
じいちゃんの仕掛けと、「死んだと報告を受けていたが」
「俺の」「じいちゃんだ」
王会長は、侵入の手口を見抜いている。「物理的にアルバタスモンと天馬アスカのリンクを」「遮断する気だったようだが」「誰の入れ知恵だ?」。答えは「天馬タスク」「俺の」「じいちゃんだ」。
第46話でタスクは、タグとサポタマの強制接続を解除する装置について「なんとか完成させたが、数が足りん」と言っていた。王会長の返事は「死んだと報告を受けていたが」「無駄な足掻きを」。祖父が生きていることを、王会長はこの場で初めて知る。
タスクは第46話で、国民保護省の特別収容所に身を隠し、王の目の届かないところで生き延びてきたと語っていた。死んだという報告が王会長のもとに届いていたのは、その隠れ方が最後まで破られていなかったということでもある。その祖父の仕掛けが、この回ではアスカを取り戻すための手段として使われている。
「私が招いたのです」、黒いe-パルスとコールドハート
「今のはコールドハートか」
「彼はもう不要です」「リンクが切れたようですね」と続いたあと、状況が裏返る。「今のはコールドハートか」「なぜそんな真似が」。兄のアスカがかけられていたのと同じコールドハートに、今度はトモロウが落とされる。兄と同じ状態に、今度は弟が置かれる。放送後の感想でも、トモロウがコールドハートにされたことに驚く声がいくつも上がっていた。
「私が招いたのです」
ここで明かされるのが、突入そのものが仕組まれていたことだ。「彼らはここにたどり着いた気でいましたが」「私が招いたのです」「あのサポタマに黒いe-パルスを注入して」「ゲッコーモンを究極体に進化させるため」。王会長の「なんだと」から分かるとおり、王会長の計画でもなかった。
明かしたのは、公式の紹介文に「王会長に忠誠を誓う」と書かれている金田ゲンジョウだった(出典: 同 キャラクター)。放送後にはゲンジョウの裏切りを挙げる声が、国内からも海外からも出ている。グローイングドーンが自分たちの力でたどり着いたと思っていた場所は、敵が招いた場所だった。第45話では丁寧語のまま王会長の計画を説明していた人物が、同じ丁寧語のまま、今度は自分たちの計画を明かしている。
白き衣と黒き衣、公式紹介の上で対になる二体
アトラタスモンの紹介は一行
「これがその」「究極体」と示されるのが、ゲッコーモンの究極体アトラタスモンだ。公式サイトの紹介は「トモロウのパートナー、ゲッコーモンの究極体の姿。黒き衣をまとった突然変異型デジモン。」の一行だけで、成熟期や完全体の欄のような技の説明が一つもない(出典: 同 キャラクター)。
兄のほうは、第45話の放送当日に載ったアルバタスモンの紹介が「アスカのパートナー、ヘリオスボアモンの究極体の姿。」「白き衣をまとった突然変異型デジモン。」だった。名前を除けば、兄弟のデジモンの究極体の紹介は、白と黒の一字しか違わない。どちらも「突然変異型」で、正規の進化ではないことをうかがわせる。
「この2体は」「陰と陽」
劇中でも、二体は対として語られる。「この2体は」「陰と陽」「だが今は」、アルバタスモンの方が「優位にあるんです」。第45話でアルバタスモンを生んだのは「黒く染まった二人のeパルス」で、今回アトラタスモンを生んだのも「黒いe-パルス」だった。兄弟のデジモンは、同じ材料から白と黒に分けて作られている。
第45話のアルバタスモンは、黒く染まったe-パルスを材料にしながら、白き衣で現れていた。今回のアトラタスモンは、同じ黒いe-パルスから黒き衣で現れる。材料の色がそのまま出たのは弟の側だけで、兄の側は材料と反対の色をまとっている。
絆から生まれた、もう一体の究極体
セイテンゴクウモンの紹介文
公式あらすじの後半は「モナークリザモンは因縁の相手、ゴクウモンと激しくぶつかるが……」。第45話でキョウの片腕を持っていったゴクウモンも、この回で究極体になる。公式の紹介は「チョ・ハッカイモンやサゴモンとの絆を、サンゾモンが経によって新たな力へと昇華し進化した如来型デジモン。」(出典: 同 キャラクター)。
味方の究極体が黒いe-パルスから作られた同じ回に、敵の究極体は「絆」から生まれている。技の説明も『火眼金睛』『八戒炎天撃』『悟浄水天葬』『超大聖雷天砲』の四つが並び、アトラタスモンの一行とは書き込みの量がまるで違う。
「王会長に忠誠を誓う」と「不要ですから」
王会長は「何をさせる気だ」「現状説明しろ」と問い、「何を言っている」「今すぐアルバタスモンを元に戻せ」と命じる。返ってくるのは「その必要はありません」「ここはもう」「不要ですから」。そのあと台詞の無い時間が一分以上続き、王会長の退場と受け止める声も出ていた。
放送当日、公式にはサンゾモン、サゴモン、チョ・ハッカイモンが追加され、ゲンジョウたちの正体がデジモンだったことに驚く声が相次いだ。紹介文で「王会長に忠誠を誓う」とされていた人物が、その王会長に「不要」と告げる側に回った。
まとめと考察:究極の力は、誰が与えたか
感情のエネルギーと、止められた心
毎回の冒頭で語られるとおり、e-パルスは「思考や感情をエネルギー化したe-Pulse」だ。副題も第1話「感情の鼓動」から始まっている。ところが第47話でゲッコーモンが究極体になったのは、トモロウがコールドハートにされたあとで、材料は敵が注いだ黒いe-パルスだった。感情が止められたところで、いちばん強い進化が起きている。
与えられた究極と、育てた究極
同じ回に並んだ二体の究極体は、成り立ちが正反対だ。アトラタスモンは「私が招いたのです」の一言で仕組まれた進化で、紹介文は一行、種別は突然変異型。セイテンゴクウモンは仲間との絆を経で昇華した進化で、紹介文は技まで詳しい。副題の「究極の力」は、トモロウの側では手に入れたものではなく、与えられたものとして描かれた。
第45話でアスカに「俺が手を差し伸べる番だ」と言ったトモロウは、今度は自分がコールドハートにされる側に回った。兄と同じ状態、兄と対になる究極体。兄弟は、敵の手で白と黒にそろえられた。「この2体は」「陰と陽」と言われた二体のうち、今は兄の側が「優位にある」とされている。




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