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『とある暗部の少女共棲(アイテム)』第4話は、液体金属を操る少女との戦いに決着がつき、アイテムがコロシアムの手がかりを追う回だった。死体に化けた華野の一刺しと麦野の素直なほめ言葉、敵の少女が語った奪われた過去、そして七夕の短冊に込めた願いまで、暗部の非情さと少女たちの何気ない日常が並んだ第4話を、場面ごとに順番に振り返っていく。




第4話「警策看取(リキッドシャドウ)」液体金属の少女との決着
手札は能力だけじゃない
『とある暗部の少女共棲(アイテム)』第4話は、前回から続く液体金属の少女との戦いから幕を開ける。液体金属で作った人形の群れを前に、華野は「ど どうすればいいんですか」と震えるばかり。少女は「護衛対象を安全に逃がしつつ」、アイテムもここで残らず殲滅すると言い切り、「むしろ悲惨な防衛戦になるのはそっちかな」と余裕を見せる。
能力だけに頼らない戦い方も厄介だった。「手札は能力だけだと思う」と隠し持った武器を次々に繰り出し、星5つの激レア扱いされる高位の能力者たちにも臆さない。学園都市の上層部が勝手に決めたランクを信じて人権に優先順位をつけるなんて「ほんとにマジで吐き気がする」という言葉には、彼女なりの怒りがこもっていた。「お姉さんが持ってるのは」、「もうちょっとだけ 過激で楽しいおもちゃだよ」と笑う姿が不気味だ。
さらに、液体金属の比重はおよそ20。人の体を比重1とみなすと、人形の「重量の方は1トンくらいあるよ」という説明に、相手の底知れなさを思い知らされる。窒素の装甲には刃物が通らないと分かると、今度はその装甲で仲間をかばう側を司令塔と見て狙いを変えてくる。激しい攻防の中で、フレンダも傷を負ってしまった。
この程度で思考止めんな
劣勢の中で麦野が見抜いたのは、液体金属という珍しいものを操るということは、逆に言えば操れる幅が狭いのではないかという弱点だった。特定の金属分子しか操れないなら、大量の電子を注入して分子の性質を変えてしまえばいい。「溶けたアメを 砂場に落としちまうようなもんさ」というたとえが分かりやすい。
そんなことができるのかと驚く相手に、麦野は「ここは学園都市だぞ」、「この程度で思考止めんな」と言い放つ。対する少女も、上空1万メートルに待機させている武器はまだまだあると切り札をちらつかせる。窓のないビルを本気で倒すなら4桁の戦力でも全然足りないという言葉から、彼女が見据えている相手の大きさがうかがえた。
うちはチーム戦だぞ
数で圧殺すればこっちのものだと迫る少女に、麦野は「ただアイテムは私一人じゃない」、「うちは仲良し子良しのチーム戦だぞ」と返す。その瞬間、死体に化けていた華野が少女を刺した。気弱で戦いのたびに震えていた華野が、変装の腕を生かして決定打を放つ展開には思わず声が出た。
少女はありったけの攻撃をぶちまけ、その隙に撤退していく。「撤退の仕方まで よく考えてやがる」という声が上がる中、追跡するかと聞かれた麦野は、「お金にならないし」とあっさり切り上げた。そして華野に向けたのが、「さっきの一発 よくやったな」、「スカッとした」という言葉。何か気に障ることをしたかとおびえていた華野の驚いた顔と、麦野の素直なほめ言葉の組み合わせが、この回で一番好きな場面だ。
あの子は二度と戻ってこない
一方、撤退した少女は、アイテムのチーム戦という言葉に怒りを募らせていた。「何がチーム戦だ」。暗部にどっぷり浸かって殺して奪う側にいるくせに、自分たちだけは例外を作って友達や家族を大切にしている。「命よりも大切なあの子を私から奪ったあいつらだってそう」。
研究所の人間にも家族や友達がいるはずなのに、クローンも能力者もみんな等しくモルモットだと言う。「あの子は二度と戻ってこない」、「そういうの 絶対に許せないから」。暗部の汚泥にまみれてでもこの町のてっぺんを討ち取るという決意には、ただの敵役では片づけられない痛みがあった。一般人を巻き込むことも厭わない冷酷さの裏に、大切な誰かを奪われた過去が隠れているのだと分かり、見る目が少し変わった。
常務の告白と拷問の役目
人を助けるための暴力
戦いの後、フレンダの傷は応急処置を済ませたものの、後で医者に見せる必要があるという。死体に化けた華野の血のりは、クレンジングスプレーであっさり落とせるらしい。一方、連れ帰った常務は、自分は依頼人だと言い張り、「こんなことしてタダで済むと思っているのかね」と強気な態度を崩さない。
麦野は「拷問ってさ 私苦手なんだよね」と切り出す。やりすぎて話を聞き出す前に相手が死んでしまうからだという理由が、いかにも麦野らしくて怖い。そこで役目が回ってきたのは新入りの二人。工具箱から好きな道具を選んで「お肉を柔らかくするだけで」と命じられ、華野は「私なんかには 絶対に無理の話です」と悲鳴を上げる。
けれど麦野は、自分がやれば100パーセント殺してしまう、少しでも相手が助かる確率を作りたいならあんたがやるしかないと説く。「人を殺すために暴力を振るうのは難しいかもしれない」、「だけど人を助けるための暴力なら話は別」。この理屈に乗せられ、ドライバーを手に「これは 全部あなたのためでもあるんですから」と迫る場面は、ぞっとするのにどこか可笑しい。気弱に見えて、華野もやはり暗部の人間なのだと実感させられた。
拷問を新入りに任せる理由が、自分では手加減できないからというのも、麦野という人物をよく表している。容赦のなさを自覚したうえで、新入りに役目を与えて仕事に慣れさせる。リーダーとしての冷静な判断と、暗部に生きる者の非情さが同居していて、改めてこのチームの危うさを感じた。
何も知らない家族を守りたかった
常務の口から語られたのは、コロシアムの仕組みだった。保険会社の高額な死亡保険を利用し、「優勝者以外全員の保険金を束ねる形で」優勝賞金を確保している。不自然な契約は本店の中央サーバーで自動的に検知されるはずだが、常務が内部から設定をいじっていたのだ。
しかし常務もまた、黒幕に脅迫されていた。表沙汰にできないからこそ暗部に依頼し、同じネタで脅迫が続かないよう、すべてを話せなかったという。「何も知らない家族を守りたかった」。さっきまで偉そうにしていた男の本音が、守りたい家族だったというのが皮肉だ。液体金属の少女が憎んだ、自分だけは例外を作る大人の姿とも重なって見えた。
暗部に頼るしかなかった依頼人が、その暗部に拷問されて口を割るという構図も皮肉が効いている。コロシアムの資金の流れは見えてきたものの、肝心の開催場所や黒幕にはまだ届かない。ここから先はアイテム自身の手で道を切り開くしかないという流れが、物語の次の段階をはっきりと示していた。
アイテムの日常と七夕
ベッドが足りない
翌朝、麦野が目を覚ますと、隣には滝壺が潜り込んでいた。理由は「ベッドが足りないから」。新入りが二人増えたうえに軍資金も凍結され、新しい家具を買うのも難しい。早朝ジョギングをすると言っていたのにすでに日が高く、「起こすのもう3度目だよ」と言われる麦野の寝起きの悪さには笑ってしまった。
前夜の麦野が自分の声を吹き込んだICレコーダーで叩き起こされる流れも楽しい。リーダーとして容赦のない顔を見せた後だけに、こうした隙だらけの姿がいっそうかわいらしく見える。
人生初リアル映画館
ジョギングに出た麦野は、映画館から出てきた絹旗と出くわす。日付が変わる前から立て続けに7本見ていたという絹旗に、なぜそんなに映画なのかと尋ねると、研究施設に監禁されていた頃は娯楽が少なく、真っ白な部屋でスクリーンに映す程度だったと明かされる。前に依頼の確認をしたあの映画館が、「人生初リアル映画館でしたよ」という告白には切なくなった。
映画館でバイトしたいという絹旗に、麦野は「身分証は自分で偽造してね」とあっさり許可を出す。フレンダも副業として、仲間をやった相手を探すために監視役のまねごとをしているという話も出て、それぞれが暗部の仕事の外に自分の時間を持っていることが分かる。ただ、仕事の進展を聞かれた麦野の答えは、コロシアムにはまだたどり着けないという手詰まりだった。
どうかアイテムの誰もケガしたりしませんように
アジトでは、竹を抱えて走るフレンダの姿とともに、七夕の短冊が飾られることになった。最初に書き上がった願いは「どうかアイテムの誰も ケガしたりしませんように」。しおらしいと思いきや、お金と地位と名誉と休みと人気と友達も欲しいと続き、「超強欲ですね」と突っ込まれる。「願い事 特にない」という声もあれば、華野は自分の短冊を目の前で読まれるのは恥ずかしすぎると必死に隠す。暗部の少女たちが短冊に願いを書く光景は、なんとも平和で微笑ましかった。
そんな和やかな空気の中、麦野が告げたのは「出番よ華野」という一言だった。手詰まりの状況を打開する鍵として、変装の得意な華野を使う作戦が動き出す。ささやかな七夕の願いと、次の危険な仕事。華野の短冊に何が書かれていたのかは、最後まで分からないままだった。それでも、仲間のけがを案じる願いが最初に書かれたことに、このチームの絆が見えた気がする。アイテムの日常と暗部の仕事が隣り合わせにあることを、最後の場面が静かに物語っていた。けが人が出ないよう願う短冊のすぐ横で、次の危険な作戦が決まっていくという対比が、この作品らしい余韻を残していた。
第4話のまとめ考察
チームであることの意味
第4話は、液体金属の少女との決着と、アイテムというチームのあり方が対照的に描かれた回だった。仲良し子良しのチーム戦だと言い切る麦野と、自分だけ例外を作る暗部の人間を許せないと語る少女。どちらも暗部に生きる者として、大切なものを守るために戦っていることに変わりはないのが切ない。
そして華野。拷問を嫌がりながらも人を助けるための暴力という理屈に乗り、死体に化けて決定打を放つ。麦野にほめられて驚く姿も含めて、五人目のメンバーとして少しずつアイテムになじんでいく様子が丁寧に描かれていた。手詰まりのコロシアム調査で、華野の変装がどう生かされるのか見届けたい。敵として現れた液体金属の少女も、窓のないビルを狙う理由を抱えていて、アイテムとの因縁はこの先も続いていきそうだ。




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