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お金稼ぎのために薬草を探しに来たローナは、森で魔物に襲われていたエルフの姫エルナを救い、隠れ里へ招かれる。そこで待っていたのは、原因不明の流行り病に苦しむエルフたちと、女王の主治医ザリチェの恐ろしい企みだった。インターネットの知識は今回も、すべてを先回りしていく。薬草無限採集法、救世主という勘違い、そして身代わり人形と初級魔法まで、第4話を振り返る。




第4話「野望を止めてみた!」
『世界最強の魔女、始めました』第4話「野望を止めてみた!」は、お金稼ぎのために薬草を探しに来たローナが、エルフの姫エルナと出会い、隠れ里を襲う流行り病の真相に迫っていく回だった。掲示板の神々への初めての質問、薬草無限採集法、救世主と呼ばれる勘違い、そして女王の主治医ザリチェの企み。インターネットの知識で何もかもを先回りしてしまうローナの無自覚な快進撃を、場面ごとに振り返っていく。
神々に質問しちゃった
冒頭のローナは、インターネットで調べた薬草の場所を目指して、空を飛んで森へやって来る。飛べるのは楽だけれど、もっと安定して飛べるようにならないとと反省する姿は、どこまでも真面目だ。目的はもちろん、この薬草があればお金がたくさん稼げるという、身もふたもない理由だった。
前回のドラゴン戦を振り返り、もっとインターネットで勉強しなければと考えたローナは、掲示板に自分も書き込めることに気づく。神と直接話せるなんて、と緊張しながらも、意を決して質問を書き込む。その内容が、よりにもよってお金稼ぎについてだったというのが、なんともローナらしい。
ところが返ってきた最初の答えは、「まず服を脱ぎます」。ローナにはまったく意味がわからず、神様たちの考えることは次元が違いすぎると首をかしげるばかり。掲示板の住人たちのおふざけが、純粋なローナにはありがたいお告げのように映ってしまう。このすれ違いが、本作の掲示板ネタのおかしさだ。
薬草無限採集法
収穫なしかと思いきや、親切な神様が教えてくれたのが、薬草無限採集法だった。根っこを切らないように葉っぱだけを採れば、薬草のHPは1残る。そこに水をあげれば、また生えてくる。言われたとおりに試すと、本当にいくらでも生えてくる薬草に、ローナは「やっぱりインターネットは嘘をつかないんだ」と目を輝かせる。
マボロリーフの買取価格は一つ5万。これだけで「500万シール」という計算に、ローナの興奮は止まらない。一度に売ると値段が下がるらしいから、アイテムボックスに保管してちまちま売ればいい。ゲームの裏技そのものの手順を、真剣な顔で実行していくローナの姿がおかしくてたまらない。
この薬草無限採集法は、ただの小ネタでは終わらない。後半になってエルフたちを救う決め手になるのだから、本作の構成はよくできている。お金のために覚えた裏技が、結果的に人助けにつながっていく。ローナの行動はいつも動機が少しずれているのに、気がつけば誰かを救っている。その流れが、今回も見事に決まっていた。
エルナ姫と隠れ里
救世主様
換金しに行こうとしたローナが見つけたのは、サブクエストの開始場所を示すマークだった。その先で魔物に襲われていたのが、エルフの少女エルナだ。こんなところで死ぬの、お母様を救えないまま、と追い詰められたエルナの前で、ローナはあっという間に魔物を退けてしまう。
人間技ではない力を目の当たりにしたエルナは、ローナを神様だと思い込む。違うと否定すれば、今度は「救世主様でしたか」。それも違うと言っても、エルナはそういうことにされたいのですねと、ますます勘違いを深めていく。そしてエルナは、お母様とエルフの里を救ってほしいとローナに願う。押しに弱いローナは、思わずはいとうなずいてしまうのだった。
エルナに手を引かれて向かったのは、迷いの森の奥にあるエルフの隠れ里。ちゃんと手を握っていないと二度と帰れなくなると言われ、何それ怖いとおびえるローナ。救世主じゃないけど、と心の中で何度も訂正しながら、結局は流されるままについていく。ローナの小心ぶりと、エルナのまっすぐな信頼の組み合わせがほほえましい。
厄災の魔女から救世主へ
ところが里に着くなり、エルフたちはローナを取り囲む。森で天変地異を起こしたのはお前だろう、その膨大なマナはお前以外にありえないと、敵意をむき出しにする。「厄災の魔女め、我らの森を滅ぼすつもりか」。薬草を探しに空を飛んできただけなのに、とんでもない濡れ衣だ。もっとも、天変地異の原因がローナにないとも言い切れないところが、また笑いを誘う。
その空気を一変させたのが、エルナの言葉だった。この杖を見てくださいと示されたのは、ローナが持つ世界樹の杖。エルフの神話に伝わる伝説の杖を持っているなら、このお方は預言された救世主に違いない。手のひらを返したように平伏するエルフたちに、ローナはこれって大事になってないよねと冷や汗をかく。厄災の魔女から救世主へ、ほんの数十秒で評価が逆転する展開がテンポよく描かれていた。
女王の病とザリチェ
エルフの女王
里では、原因のわからない流行り病が広がっていた。ローナがそれをインターネットで知っていたことに、エルナは驚く。どうして知っているのかと聞かれても、インターネット情報だとは言えずに言葉を濁すローナ。そして、エルフジュースとエルフせんべいはどこで買えるのかとたずねるものの、今は病のせいで作っていないと聞かされる。
ここでローナの目の色が変わる。「エルフの里の危機は私が絶対に何とかしてみせるよ」。熱い決意の言葉だが、その裏にあるのはエルフのお菓子を食べたいという、ちょっと不純な動機だった。本人もそれを自覚しているのか、言いづらいと心の中でつぶやくのがおかしい。それでも、困っている人を放っておけないローナの根っこの優しさは、きちんと伝わってくる。
案内された先で横になっていたのは、エルナの母でありエルフの女王エルハゥルだった。すごく綺麗、と見とれるローナに、女王はそなたから神に近しいものを感じると告げる。プライベートモードにしているから見えないはずなのに、と内心で慌てるローナ。女王の鋭さと、ローナの小心ぶりの対比が楽しい場面だ。
ラフフフ
そこへ薬を持って現れたのが、女王の主治医ザリチェだった。「相変わらずザリチェの薬はよく効くな」と、女王からの信頼も厚い。ただ、ザリチェはローナに向かって、本物の救世主ならこのような病気もすぐに治療できるのでしょうけど、と含みのある言葉を投げかける。私、なんか疑われてる、と戸惑うローナ。エルナから母の容態はよくないと聞かされ、秘薬の素材が見つけられなかったと泣くエルナの姿は、見ていてつらい。
けれど、ザリチェには裏の顔があった。一人になった彼女は、「どいつもこいつも愛おしいぐらいに愚かですわ」と高笑いする。里の流行り病の正体は、ザリチェが育てた花の毒花粉。「飛散してしまえば無色無臭で回避は不可能」で、条件がそろえば数百キロ先まで飛ばせるという。実験も兼ねて弱い毒花粉をまいたのだと、彼女は平然と語る。
さらにザリチェには、世界に一つだけの花、クイーンズハートを開花させるという野望があった。この花が開いたとき、「私はこの世界の女王になるのですわ」。偉大なエルフの女王も、ググレカース家の者たちも、自分にひれ伏すことになる。毒をまいて病を流行らせ、自分の薬でそれを抑えて信頼と財産を得る。救世主と崇められながら、裏ですべてを操る悪役ぶりは、なかなか本格的だった。
宴と、ひどいネタバレ
完全回復だ
ところが、ザリチェの計画はあっけなく崩れ去る。ローナが持ってきたのは、薬草無限採集法で集めたマボロリーフから作ったエルフの秘薬。それを飲んだエルフたちは、「体が軽い」、「完全回復だ」と次々に元気を取り戻していく。死にかけていたはずの女王まで回復し、里はたちまち祝宴の空気に包まれた。
ザリチェにしてみれば、悪夢のような光景だろう。最良のマボロリーフはめったに取れないはずなのに、なぜ。完璧だったはずの計画が、たった一人の来訪者によって根こそぎひっくり返される。しかも、ザリチェが花粉をまいていたことまでエルフたちに知られてしまい、彼女は逃げ出すしかなくなった。
ひどいネタバレ
実はローナは、インターネットでザリチェの正体を知っていた。どこかで見たような名前だと思っていたら、攻略情報に敵として載っていたのだ。「ひどいネタバレ」を食らった気分だったと語るローナの言葉に、思わず笑ってしまう。ゲームの攻略サイトで、うっかり黒幕の正体を知ってしまったときのあの感覚そのものだ。
それでも、ローナはネタバレを無駄にはしない。錬金の心得のスキルを上げて、「これで状態異常対策ができるね」と準備を整える。そして宴の席を抜け出し、一人でザリチェのもとへ向かう。その背中に、エルナは伝承どおり救世主様は優しくて勇敢な方だと感激する。ローナの頭の中が、エルフせんべいとエルフジュースでいっぱいだとも知らずに。
毒庭の決戦
苦しみのダンス
追い詰められたザリチェは、最終手段に出る。王室内に循環させていたマナをすべてクイーンズハートに集め、開花を早める。その魅了花粉を吸った人間は、花の主である彼女の奴隷になる。植物操作スキルで作り上げた難攻不落の温室で、ザリチェは時間を稼げば自分の勝ちだと待ち構えていた。
ところがローナは、インターネットの地図に載っていた隠し通路を使うつもりが、思ったよりも派手な登場になってしまう。「ようこそ、私の毒庭へ」と余裕たっぷりに迎えたザリチェは、温室に入った時点であなたの負けは確定したと告げる。特製の毒花粉で麻痺や睡眠に陥れば、秘薬を飲むこともできない。「さあ私に苦しみのダンスを見せてくださるかしら」。
しかし、いつまで待ってもローナには何も起こらない。「なんで聞いてないんですの」と動揺するザリチェに、ローナはなんかごめんなさいと謝ってしまう。種明かしは、ローナが用意していた身代わり人形だった。ダメージを1回受けるまで攻撃を肩代わりするアイテムだが、ダメージのない状態異常攻撃なら「無限に肩代わりしてもらえる」。ここでも、ローナは裏技で敵の切り札を完封してしまった。
ただの初級魔法
ザリチェの背後に、ググレカース家とのつながりがあることも明らかになる。ローナにとってググレカース家は、自分を追放した実家だ。追放されたとはいえ、実家のことは自分が何とかしなければと思うローナ。そして、これ以上みんなを苦しめさせないと決意を固める。
ローナはまず「テラドレイン」でクイーンズハートに集められたマナを吸収し、続く一撃で花ごと焼き払ってしまう。それだけはおやめになってと叫ぶザリチェの願いもむなしく、女王になるための切り札は一瞬で灰になった。今のは何だと問われたローナの答えは、「今のはただの初級魔法」。「勝てるわけなくね」というザリチェの心の声が、この戦いのすべてを物語っていた。
第4話のまとめ考察
先回りの力と、同情したくなる悪役
第4話は、インターネットという反則級の知識が、悪役の周到な計画をことごとく先回りしていく回だった。薬草無限採集法でエルフの秘薬の素材を確保し、攻略情報で黒幕の正体を知り、身代わり人形で状態異常を無効化する。ローナが一歩動くたびに、ザリチェの計画が一つずつ崩れていく構図は、痛快でありながら、どこか気の毒でもあった。
毒花粉で病を広める計画も、救世主として築いてきた信頼も、ローナの前ではあっという間に無意味になる。悪役として本格的な企みを持っていたザリチェだからこそ、その崩れ方のあっけなさが笑いになる。ザリチェに同情したくなる視聴者が多かったのも、当然と言えるだろう。
動機はずれていても
一方で、ローナの行動の動機はいつも少しずれている。お金のために薬草を集め、エルフのお菓子のために里を救う。それでも、結果としてエルナは母を救われ、エルフたちは病から解放された。不純な動機でも、困っている人を見捨てない優しさがローナの根っこにあるからこそ、救世主という勘違いもあながち間違いではないように思えてくる。
掲示板の神々の言葉を真に受け、攻略情報を信じて行動するローナ。その姿はどこか危うくもあるけれど、今回は確かに里を救う力になった。ググレカース家の影がちらつき始めたいま、追放された実家との因縁がどう描かれていくのか。インターネットを信じすぎる魔女の、無自覚な快進撃を見守っていきたい。




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