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芽吹の提案で始まったスーパー投資バトル。なけなしのお金でユーロドルに挑んだやす子は損切りに終わり、同じユーロドルでくるみは40万円以上を勝ち取る。そしてくるみの助言を聞かなかった芽吹は、ポンドドルに全力100枚を入れてしまう。経済指標の発表で手にした大きな含み益は、長くは続かなかった。246倍のレバレッジ、家族についた嘘、そして学費60万円の奪還作戦まで、第6話を振り返る。




スーパー投資バトルのユーロドル
第6話は、芽吹の提案で始まったスーパー投資バトルの行方を追う回だった。なけなしのお金でユーロドルに挑むやす子、同じユーロドルで大きく勝つくるみ、そしてくるみの助言を聞かずにポンドドルへ全力で飛び込む芽吹。同じ相場に向き合いながら、3人の明暗がくっきりと分かれていく。そして後半は、学費を守るはずの戦いが、芽吹をさらに深い場所へ連れていく展開になっていた。
やす子の天ぷら丼作戦
最初に戦場へ戻ってきたのはやす子だ。「また戻ってきてしまった」、「このクソみたいな戦場によ」。前線でドンパチはせず、「勝てる時だけ戦ってちょこっと利益を狙う」、「今日の夕飯代を稼ぐような戦い」。選んだ通貨はユーロドル。「世界一取引量が多い通貨ペアだ」、「割と素直な動きが期待できる」という読みは、これまでに痛い目を見てきたやす子らしい慎重さだった。
とはいえ、持てるのは「最小単位の1枚のみ」。それでも「きっと夕飯に天ぷら丼だって食べられる」と期待をふくらませる姿がいじらしい。ところが「簡単に1.35割れるわけないもんな」と思った直後に、ユーロドルはあっさり1.35を割ってしまう。「くそがそんなに私に断食させたいのかよ」、「下がっていいのはここまで」と踏ん張っても相場は止まらず、最後は「損切りだよ損切り」。夕飯代を稼ぐはずの戦いで夕飯を失うという結末が、切ないのに少しおかしい。
40枚ショートのくるみ
同じユーロドルで、くるみはまったく逆の結果を出していた。1.35を割ったと聞いて「くるみはどうする」と尋ねると、返ってきたのは「もうショート入れたよ」。しかも「40枚だよ」。レバレッジにすると20倍ほどだが、くるみは「いやーレバ20倍は低レバかな」と言ってのける。「バカなのかこいつ」という反応がそのまま視聴者の気持ちだった。
結果は、ユーロドルだけで43万円を超える勝ち。1枚で夕飯を失ったやす子と、40枚で大勝ちしたくるみ。同じ通貨ペアで同じ下落を見ていたのに、ここまで結果が違うのかと思わされる。ただ、くるみの勝ち方は冷静な分析というより、大きく張って大きく取る危うさの上に成り立っているようにも見えた。
ポンドドル全力100枚
実家の食卓
夏休みで実家に帰っていた芽吹は、くるみの大勝ちを知って「私にも教えてくれてたら」と悔しがり、萌智子に追いつくための同盟を持ちかける。さっそくポンドの見通しを聞くと、くるみの答えは「今日は様子見かな」。それでも芽吹は「上がりそうやのにな」と納得できない。
実家の食卓は、いかにも温かい家族の風景だった。「どうせ奨学金も無駄遣いしとんやろ」と疑われ、「私貯金めっちゃうまいねんで」と言い返す芽吹。4年生の分の学費は自分で払うと約束していたらしく、「払うって言うたんはあんたやで」と念を押される。「将来は学者さんになるかもしれん」と甘い声もあれば、「どう考えても姉ちゃんには無理やろ」と容赦ない声もある。口は悪くても、みんなが芽吹のことを気にかけているのが伝わってくる場面だった。この温かさが、のちの展開をいっそう重くしていく。
246倍のレバレッジ
そしてポンドは、くるみの様子見とは裏腹に上がり始める。「様子見しなかったら結構なプラスだったのに」、「もう私一人でも戦えるのでは」、「くるみ先輩なんか軽く超えてやる」。勢いのまま入れた注文は、「ポンドドル 全力100枚」。ナレーションは「この取引で芽吹がかけたレバレッジは約246倍である」と告げ、「何かが起これば考える暇すら与えられずに」、「即死する」と続ける。
その直後、経済指標の発表で相場は大きく動き、芽吹は一気に大きな含み益を手にする。「普通に学費余裕やん」。けれど、「芽吹が夢見心地でいられたのは」、「ほんの数十秒間だけであった」。この一文の冷たさに、思わず息をのんだ。
カーニーさん
相場を動かしたのは、イギリスの中央銀行総裁の発言だった。状況をのみ込めない芽吹は「分かる言葉で話してください」と嘆きながらも、「私とポンドは相性がいいし」、「きっとカーニーさんが助けてくれる」と希望にすがる。けれど現実は、「利上げに関して消極的な見解を述べ」、「投資家たちのポンド売りを加速させた」。
含み益はあっという間に消え、損失が所持金を超えたら「まさか借金」という恐怖が芽吹を襲う。「借金はあかん」、「お母さんになんて言えばええねん」、「神様お願いします」、「もう欲張りませんから」。さっきまで家族と言い合っていた食卓の空気を思い出すと、この祈りがいっそう痛々しく響いた。
ついてしまった嘘
そこへかかってきた電話。「FX負けたのか」と聞かれた芽吹は、「大した金額じゃないよ」、「10万円くらいかな」とごまかす。それでも「めちゃくちゃやられてんじゃん」と返され、「ポンドとかで一撃狙って一撃で死ぬ前に」と忠告まで受ける。本当のことを言えば心配させてしまう。だから嘘をつく。その気持ちはわかるのに、その嘘が次の一歩を軽くしてしまうのが怖い。
電話を切った芽吹は、「20万円がなくなっただけやん」と自分に言い聞かせ、「残りの奨学金を使えば」と考え始める。損をしたことよりも、損を取り返せると思ってしまったことのほうが、ずっと危ない分かれ道だった。
学費60万円の奪還作戦
くるみと萌智子
一方、大学ではくるみと萌智子がいつものように相場の話をしていた。「成人式も出なかったんでしょ」、「晴れ着見せたら親が喜ぶのに」、「親とかどうでもいいわ」というやり取りが、さらりと流れていくのが少し引っかかる。くるみの目標は「税金分の上乗せも考えると2500万円が本当の目標」。「じゃあガンガンレバレッジかけていかないとね」、「うんそのつもりだよ」。
しかも「実はもう授業中に買ったんだけどね」と打ち明け、「中毒じゃん」とつっこまれる始末。勝ち続けているくるみもまた、危うい場所に立っているのは変わらない。芽吹からの連絡が途絶えていることも「多分実家を満喫してるんでしょう」で片づけられてしまい、その裏で何が起きているのかを知っている視聴者だけがやきもきさせられる。
パーフェクトロジック
「もう二度と失敗しない」。芽吹が次の軍資金にしたのは、「学費用に貯めた60万円」だった。「第一の目標は最初の軍資金20万円を取り返すこと」、「20万円以上の利益が出たら即撤退して60万円は貯金に戻す」。ルールを決めて臨む姿は、一見すると反省したようにも見える。「これより20万円奪還作戦を開始する」。
狙いはドル円。「105円って今年の最高値じゃん」、「さすがにここは超えないだろ」、だからみんなが売る、だから下がる。「2円下がれば20万円の利益」という読みに「パーフェクトロジック」と名前までつけて自信満々だった。けれどドル円は上がり続け、実家を発つ日には「顔色悪いで」と心配される。「ちゃんとご飯食べて頑張るんやで」という家族の言葉に、何も言えずに出ていく芽吹の背中がつらい。
週末の終わり値は1ドル107円。「パーフェクトロジックを信じるんや」と言い聞かせる芽吹の読みは、ことごとく裏目に出ていた。最高値だから下がるはずという考え方は、相場を見ているようでいて、実は自分の願いを見ているだけだったのかもしれない。
FOMCと怒りの追加
最後の望みは経済指標FOMC。「これが引き金で暴落が始まり」、「すべてのロンガーが絶望するはず」、「今こそ地獄の暴落を」と祈る芽吹。けれど相場はまたしても逆へ動く。そこで出た言葉が、「もう怒った」、「怒りの追加」、「10枚発射」だった。
怒りにまかせて売りを重ね、パソコンまで投げつけて壊してしまう芽吹。冷静さを失った瞬間に一番大きな判断をしてしまうのは、これまでのくるみの失敗とも重なって見えた。損を取り返したい気持ちが強くなるほど、取引は感情に支配されていく。その怖さが、これ以上ないほどはっきり描かれていた。
残りライフ1円半
「もう寝る」とチャートから目をそらしても、気になって確かめずにはいられない。「私が戦っていられるのは」、「109.6円まで」、「残りライフは」、「あと1円半」。1円半上がれば、「学費が全部なくなってまう」。
「めっちゃ怒られるやろうな」、「なんでこんなことになったんや」。布団の中で涙をこぼしながら思い出すのは、家族の言葉だった。それでも出てくるのは、「取り返さなきゃ」、「絶対に」という言葉。やめるという選択肢がもう見えなくなっている芽吹の姿で、第6話は幕を下ろした。損を重ねるほど、取り返すことしか考えられなくなっていく。その悪循環のただ中に置き去りにされるような終わり方が、ずっしりと重い。
第6話のまとめ考察
温かい家族という重さ
第6話でいちばん印象に残ったのは、芽吹の家族の描き方だった。口は悪くても、芽吹の将来を気にかけ、学費のことを心配し、顔色の悪さにすぐ気づく家族。その温かさがきちんと描かれていたからこそ、学費を溶かしていく芽吹の姿が、ただの自業自得では片づけられない重さを持っていた。
芽吹が家族に嘘をついたのは、心配をかけたくなかったからだ。けれど、その嘘があったからこそ、残りの奨学金にも学費用の60万円にも手を伸ばせてしまった。誰にも本当のことを言えないまま、一人で取り返そうとする。その孤独な戦いこそが、FXの一番怖いところなのだと思う。
実家を発つ日の「ちゃんとご飯食べて頑張るんやで」という言葉が、最後に芽吹の頭の中で繰り返される演出は、本当に心に刺さるものだった。何気ない家族の言葉が、こんなにつらく響く場面はなかなかない。
取り返したくなる魔力
そしてもう一つ見えてきたのは、相場の残酷さだった。やす子は1枚で損切りし、くるみは40枚で大勝ちし、芽吹は246倍のレバレッジで一瞬の夢を見たあとに転げ落ちた。同じ相場でも、張り方と心の持ちようひとつで結果はまるで違ってしまう。最高値だから下がる、指標が出れば暴落する、総裁が助けてくれる。芽吹がすがった理由はどれも、相場ではなく自分の願いだった。
勝ち続けているくるみも、授業中に取引を入れ、2500万円を目指してレバレッジを上げていくと言う。芽吹の転落は、くるみにとっても決して他人事ではないはずだ。それぞれのやり方で相場に向き合う3人が、この先どこへ向かうのか。気持ちが重くなるのに目が離せない、そんな第6話だった。
損を取り返したくなる気持ちは、FXに限らず誰にでもあるものだ。だからこそ芽吹の姿は笑えないし、どこか自分のことのようにも見えてしまう。学費の残りが尽きかけた芽吹が、ここからどうなっていくのかを見届けたい。




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