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先制点を奪ったエスペリオンユースだったが、プレミアリーグのスピードについていけないアシトは、柏大商業から守備の穴として狙われてしまう。そんなアシトをカバーし続ける阿久津に、福田は厳しい言葉を投げかける。アシトは自分の弱さと向き合っていく。狙われるサイド、福田の叱責と阿久津の指示、そして守備の形を知ったアシトまで、第4話を振り返る。




第4話 プレミアの壁にぶつかるアシト
第4話「要」は、柏大商業戦の後半を通して、アシトがプレミアリーグの厳しさと真正面から向き合う回だった。先制点を奪ったエスペリオンユースだったが、試合のスピードについていけないアシトは、相手から守備の穴として狙われてしまう。そんなアシトを支え続ける阿久津と、二人に厳しい目を向ける福田。サイドバックとしての大切な一歩を踏み出す第4話を振り返っていく。
狙われるサイド
試合が進むにつれて、エスペリオンは「どんどん不自由なサッカーになってるのを感じる」状態に追い込まれていく。こちらのやりたいことを見極めて、「一つ一つ潰しに来ている」。ボールを持っているのはエスペリオンなのに、主導権を握っているのは柏大商業だという不思議な展開に、名門校のしたたかさを感じた。
その中で、柏大商業が狙いを定めたのがアシトのサイドだった。ベンチからも「明らかに混乱してんじゃないか」と心配される。ユースに入ってまだ3か月、田舎でサッカーをしてきたアシトにとって、プレミアの駆け引きは未知の領域だ。相手選手からは「お前 狙われてるぜ」と挑発され、才能がないのだから誰かと代われとまで言われてしまう。
相手の弱点を見つけたら徹底的に突く。それは勝つためのサッカーとしては当然のことで、柏大商業はそれを容赦なく実行してくる。高校サッカーの名門としての経験と、200人の部員の中から選び抜かれた選手たちの自信が、そのしたたかさを支えているのだろう。アシトにとってはつらい時間だが、これこそがプレミアリーグという舞台の厳しさなのだと思い知らされる。
それでもアシトは折れない。「この手も足も出ない感じは あの時以来や」と悔しさをかみしめながら、心の中で「あの時とは違います」と言い切る。かつての挫折を乗り越えてきたからこそ、ここで逃げ出すわけにはいかないという気持ちが伝わってきた。
自分の弱さを自覚する
相手からは「あのサイドバックはプレミアのレベルじゃない」と見られている。アシト自身も、それを認めざるを得ない。「まずは自覚するんや」、「目を背けるな 自分の弱さから」、「大事なのは だからどうするか」。弱さを認めたうえで、何ができるのかを考える。この姿勢こそが、アシトをここまで成長させてきた原動力だ。
「サイドバックはディフェンダーなんだ」、「まずは守備に貢献しろ」。攻撃が好きでたまらないアシトが、自分に言い聞かせるように守備へと意識を切り替えていく。けれど柏大商業の連携は「芸術的な連携だ」と評されるほどで、狙いは正しくても簡単には止められない。代表選手を何人も抱えるチームとの差は、そう簡単には埋まらなかった。
攻撃の才能を見込まれてユースに入ったアシトが、サイドバックとして守備に向き合う。その転向は第1期から続く大きなテーマだが、プレミアの舞台ではそれがいっそう重くのしかかる。思い描いていたプレーができない苦しさと、それでも目の前の役割を果たそうとする意地。その両方が、アシトの表情からひしひしと伝わってきた。
阿久津と福田、そして守備の形
福田の叱責
そんなアシトのサイドを、阿久津はたった一人でカバーし続けていた。どの場面にも顔を出す阿久津の運動量には、相手チームも驚くほどだ。ところが、試合が止まったわずかな時間に、福田は阿久津を呼びつけて厳しく叱責する。「なぜ青井にコーチングしない」、「なんで自ら出向くんだ」、「俺がいつそんなサッカーを教えた」。
「俺が全部カバーした方がマシですよ」と言い返す阿久津に、福田はさらに踏み込む。今のアシトなら要求に応えられるかもしれない、それが分かっているからこそ指示しないのではないか。福田の言葉は、阿久津がアシトの成長を誰よりも意識していることを見抜いていた。「公式戦だぞちゃんとやれ」と言われた阿久津が「すみません」と頭を下げる姿は、なかなか見られないものだった。
阿久津がアシトに指示を出さなかったのは、単に意地悪だったからではないのだろう。アシトの実力不足を痛感させるために、あえて一人で走り続けていたのかもしれない。けれど福田にとって、それは公式戦でやるべきことではなかった。選手同士の関係にまで目を配る福田の厳しさは、チーム全体を育てようとする監督としての覚悟の表れでもある。
一方のアシトは、阿久津が自分にコーチングしていないことにすら気づいていなかった。「対応できてないんは明らかに俺の実力不足や」。誰かのせいにせず、自分の力不足として受け止めるアシトのまっすぐさが、かえって胸に刺さる。まずは自分がゲームスピードに慣れなければ、と前を向く姿に励まされた。
阿久津と福田、そしてアシト。三者三様の思いが交錯するこの場面は、ユースという育成の場ならではの緊張感に満ちていた。試合に勝つことと選手を育てること、その両方を同時に求められるのがエスペリオンユースの難しさであり、面白さでもある。第3話で語られた、勝つより育つという考え方が、ここでも形を変えて描かれていた。
動くな、そこで待て
叱責を受けた阿久津は、ついにアシトに指示を出し始める。「動くな」、「そこで待て」、「背中をゴールに向けすぎなんだよ」。タッチラインに背を向け、半身で中を向いて待ち構えろという指示に、アシトは戸惑う。守備のセオリーは自分のゴールを背にして守ることのはず。中に人が集まっているのに、ここに留まれというのはおかしいのではないか。
それでも指示どおりに待ったアシトの前で、柏大商業の選手が一瞬ためらう。そして「中に追い込め」の声とともに、ボールは中央で奪われ、エスペリオンの決定機へとつながった。「なんや さっきの感覚」。いつもとまったく違う守備なのに、なぜか手応えがある。アシトが初めて守備の面白さに触れた瞬間のように見えた。
理屈では納得できなくても、まずはやってみる。そしてやってみた結果から何かをつかみ取る。アシトのこの素直さと吸収力は、彼の大きな武器だ。阿久津の指示が正しかったと体で感じた瞬間のアシトの表情には、悔しさよりも新しい発見への驚きがにじんでいて、見ているこちらまでわくわくさせられた。
ベンチでは、阿久津の狙いが丁寧に解説される。能力が足りていなくても、「これさえやってもらえば助かるというプレーがある」。「技術が及ばなくてもこれはできる」。アシトに中へ追い込ませ、挟み込んで奪う。今のアシトなら考えることができるという言葉からは、Bチーム時代からアシトの成長を見てきた人たちの信頼が感じられた。
能力が足りないなら、だからどうするか。この言葉は、アシトが自分に言い聞かせていた言葉とも重なっている。技術や経験の差はすぐには埋まらない。けれど考えることはできるし、自分にできることを見つけて実行することもできる。アオアシという作品が一貫して描いてきた、考えるサッカーの面白さがこの場面に詰まっていた。
第4話のまとめ考察
守備は形だ
柏大商業の側からは、まるで攻めようとする場面に毎回「巨大な円柱を置かれているような」感覚だという声が上がる。唯一の穴だったはずのアシトの動きが、目に見えて良くなってきたのだ。そこで語られるのが、L字型やトライアングルといった守備の形。ボールにチャレンジした選手の周りで、残りの守備陣が瞬時に中へ絞ることで陣形を保つ。「守備は常に形だ」、「組織的に動け」。
守備は個人の能力だけで成り立つものではなく、チーム全体で形を保つことで初めて機能する。このことを理解した瞬間、アシトはただ穴を埋めてもらうだけの存在から、形を作る一員へと変わった。個の力で劣っていても、組織の中で役割を果たせば強豪にも対抗できる。サッカーというスポーツの奥深さが、分かりやすく伝わる解説だった。
阿久津は「駒の一つとして使ってやる」、「俺の言う通り動けよ」と相変わらず口が悪い。けれど、その言葉に従ううちに、アシトは自分の頭で考え始める。「常に形を意識して守備するんや」。形を崩されそうになったとき、阿久津なら自分にどこにいてほしいか。「考えて動けばいい」という気づきが、アシトのプレーを一段引き上げた。
阿久津の言葉は相変わらずとげとげしいが、その指示は的確で、アシトを試合の中で確実に成長させている。口では駒扱いしながら、アシトが考えて動けるようになることを誰よりも期待しているのは阿久津なのかもしれない。素直になれない先輩と、反発しながらも学ぼうとする後輩。この二人の関係は、見ていてとても面白い。この試合を通して、二人の距離がどう変わっていくのかも見どころの一つだ。
栗林の登場
そして試合終盤、ついに栗林がピッチに立つ。「あれが栗林」。ユース最高傑作と呼ばれる天才の登場に、スタジアムの空気が一変する。いっぱいいっぱいのアシトにかけられたのは、「迷ったら栗林を探してパスしろ」、「もうそれでいい」という言葉だった。一方の柏大商業は、トップチームでの出場機会が少なかった栗林の試合勘は鈍っていると読むが、果たしてそうなのか。
栗林の登場で、試合はまた新しい局面を迎える。天才と呼ばれる選手がどんなプレーを見せるのか、そしてアシトがそのプレーから何を学ぶのか。守備の形を覚えたばかりのアシトにとって、栗林の存在はさらに大きな刺激になるはずだ。後半の残り時間から目が離せない。
振り返ってみると、第4話はアシトが守備の意味を知る回だった。プレミアのスピードに圧倒され、相手から穴として狙われ、悔しさを味わったアシト。それでも自分の弱さから目を背けず、阿久津の指示の意味を考え、形の一員として動くことを覚えていく。副題の「要」が示すように、守備の要としての阿久津と、そこから学ぼうとするアシトの関係が、この試合を通して少しずつ変わり始めている。栗林の投入で試合がどう動くのかにも注目したい。




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