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『ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です!』第2話は、アンツィオ、大洗女子、知波単を舞台にした3本立て。捕虜として連れてこられた河嶋の思わぬ出世、試合が終わっても大洗に居ついたままの他校生たち、そして先輩の善意で食べすぎてしまった福田。新ドゥーチェの誕生、昨日の敵は今日の友、醜いアヒルの子の減量作戦まで、第2話を振り返っていく。




続・アンツィオ日和です
『ガールズ&パンツァー もっとらぶらぶ作戦です!』第2話は、「続・アンツィオ日和です!」「ライバルは宝物です!」「ようこそ知波単であります!」の3本立て。アンツィオに捕虜として連れてこられた河嶋の思わぬ出世、大洗女子に居ついたままの他校生たちのにぎやかな日常、そして知波単で起きた食べすぎ騒動。戦車戦のない、けれど各校の個性がこれでもかと詰まった一話を振り返っていく。
ドゥーチェの水着
冒頭からアンツィオらしいにぎやかさ全開だった。ドゥーチェ、ドゥーチェと連呼する生徒たちが求めているのは、なんとドゥーチェの水着姿。ポスターや写真集の企画まで持ち上がり、本人が困り果てているのに周りの熱は一向に冷めない。
嫌がりながらも結局は付き合ってしまうあたりが、アンチョビという人の人望なのだと思う。上に立つ人がいじられ役でもあるという、アンツィオの空気感がこの短い場面だけでよく伝わってきた。この学校が楽しそうに見えるのは、トップとの距離がとても近いからなのだろう。
捕虜にこんな豪華な食事
本編の舞台は、前回の大洗潜入騒動のあと。アンツィオの生徒たちが大洗から持ち帰ってきたのは、なんと河嶋だった。縛られた河嶋は「貴様らの拷問には一切屈しないからな」と息巻き、「まさかこの私が捕虜に取られてしまうとは一生の不覚」と悔しがる。きっと会長が救出隊を組織して助けに来てくれるはずだと、自分に言い聞かせる姿は少し健気でもあった。
そこへ運ばれてきたのが食事だ。残さず食べろよと出された料理は、捕虜に出すとは思えないほどのごちそう。思わずおいしいと口にしたあと、「捕虜にこんな豪華な食事を出すなんて」と驚き、「まさか私の処刑が近いのか」と青ざめる河嶋には笑ってしまった。
食事でもてなすのがアンツィオ流なのだと分かっていれば何も怖くないのに、捕虜の立場で考えるとたしかに不気味だ。おいしいものを出されるほど不安になるというズレが、河嶋らしい空回りとかみ合っていて、この作品らしいゆるい笑いになっていた。
新ドゥーチェの誕生
ここから話は意外な方向へ転がっていく。いろいろ吹っ切れた河嶋は、アンツィオの生徒たちにお小言を浴びせ始める。服装の乱れは心の乱れ、時間を守れ、予定を立てろ。最初はうっぷん晴らしの面が強かったはずのお小言が、規律に縁の薄いアンツィオでは思わぬ効果を発揮する。
気まぐれで撃って走り回っているだけではいつまでたっても勝てない、勝つために手段を選ぶな。そう説く河嶋の言葉を、生徒たちは真剣に聞き入れていく。そして「お前たちは勝利に飢えた狼だ」という号令とともに、ナレーションが告げる。「新ドゥーチェの誕生であった」。
本人は「どうしよう登り詰めてしまった」と戸惑うばかり。前のドゥーチェであるアンチョビまでが、自分にはできなかった改革を成し遂げたのだからと一歩引き、生徒たちは「我々は新ドゥーチェである桃チョビの忠実なる部下です」と胸を張る。大洗では完全にスルーされていたお小言が、ところ変われば人を動かす力になる。同じ言葉でも、受け取る相手しだいで価値が変わるという皮肉が、なんとも河嶋らしい形で描かれていた。
河嶋の居場所
話してみれば割と純朴で、言うことを素直に聞いてくれる。そんなアンツィオの生徒たちに囲まれ、河嶋は「ここが私の安住の地なのかもしれないな」とまで考え始める。一方の大洗では、救出作戦をめぐって意見が割れていた。もう帰ってこないつもりなのかもしれない、そのほうが本人にはいいのかもしれない。そんな空気のなか、みほは「本人に気持ちを聞いてみてはどうでしょう」と提案する。
作戦は決行するが、帰るかどうかは河嶋しだい。孫子の兵法を説いている最中の教室に大洗の面々が乗り込み、ついに対象を確保する。会長の「助けに来たよ」、「でも余計なお世話だったかな」という言葉に、河嶋はアンツィオに残るとは言い切れない。そこへ後輩たちが「寂しいです」と泣き出してしまう。
背中を押したのはアンチョビだった。「お前の居場所はアンツィオじゃないみたいだな」、そして「心配するなアンツィオはこの私アンチョビに任せておけ」。新ドゥーチェを送り出す元ドゥーチェの姿は、ギャグ回の中でも一番かっこよく見えた。大洗に戻った河嶋は「みんな今回は世話をかけてしまった」、「すまない」、「そしてありがとう」と頭を下げる。ところが、広報の仕事も38tでの持ち場もすっかり別の人に引き継がれていて、しばらく休んでていいよと言われてしまうオチまでつく。帰ってきたら居場所がないかもしれない、という不安が冗談として回収されるのがこの作品らしい。
ライバルは宝物です
昨日の敵は今日の友
2本目は、大洗女子が廃校をかけて大学選抜チームと戦った少しあとのお話。あの試合では、各校の生徒たちがわざわざ大洗に転校手続きをして力を貸してくれた。みほにとっては感謝しかない出来事だけれど、「でも一つ問題が」あった。
その問題とは、試合が終わったのに、他校の生徒たちが「みんなまだここにいるんです」という状況だ。学園の再認可や住民の移動で事務がパンクし、手続きがどこかで止まってしまっているらしい。「昨日の敵は今日の友」ということわざがぴったりの光景だが、教室の中は見たことのない大混雑になっていた。
劇場版の大一番を経たからこそ成り立つ、ファンへのごほうびのような設定だと思う。ライバル校の生徒たちが同じ制服を着て、同じ教室で過ごしている。それだけで、これまでのシリーズを見てきた人ほど胸が熱くなるはずだ。
大洗に居ついたライバルたち
他校の生徒たちは、それぞれの流儀を大洗に持ち込んでいく。聖グロリアーナの生徒は紅茶の時間がないことにあわて、アンツィオの面々は「おやつの時間もないんだ」からと「だから自主的におやつをいただくのだ」と開き直る。ダージリンのもとには、試合で木っ端みじんにしてしまったお店から「軽い感謝状まで届いてる」という報告まで届き、さすが戦車の街と感心されていた。
バレー部は、知波単の生徒たちを部員にスカウトしようと大はしゃぎ。ところが知波単の生徒たちが真っ先に聞くのは「突撃はありますか」だった。バレーには突撃はない、「どんなスポーツにもないよ」と返されても、結局は突撃してしまう。「私らよりおバカ初めて見た」という感想には、思わず深くうなずいてしまった。
そんな中、風紀委員のそど子は、臨時でも大洗の生徒である以上は校則に従ってもらうと奮闘する。「戦車女子が一気に何倍も増えたんだから」、「新たな学園崩壊の危機よ」と嘆く姿には同情したくなる。ほかにも、大洗に潜り込めたのを好機とばかりに、試合での恨みを晴らそうと生徒会のもとへ向かう生徒もいて、平和なようでいて油断のならない日常が続いていた。
同じ制服を着られる喜び
黒森峰の生徒たちの反応も印象的だった。「またミホさんと同じ制服を着られるなんてちょっと嬉しい」と喜ぶ声もあれば、栄誉ある自分たちの制服が恋しいと言う声もある。「これはこれで機能的だ悪くない」と大洗の制服を評価したうえで、大洗のパンツァージャケットも見せてほしいと頼むまほ。「お姉ちゃんのサイズ探さなきゃ」と嬉しそうに応えるみほの姿に、姉妹の距離が少しずつ縮まっているのが感じられた。
一方で、「大洗っていいとこだな」、「もう大洗の生徒のままでいいかも」とすっかりなじんでしまう生徒まで現れ、仲間から「しっかりしなさい」とたしなめられる。ライバル校の生徒が大洗を気に入ってくれるのは、みほたちにとっても誇らしいことだろう。
隊長救出作戦
さらに、大学選抜チームの面々までが、隊長を救出するために大洗へ潜入してくる。発信機の反応を頼りにたどり着いた先で見たのは、愛里寿が大洗の生徒たちと仲良く夕飯を囲んでいる姿だった。拍子抜けする隊員たちに向けられた「昨日の敵は今日の友ですから」という言葉が、このエピソードのテーマをきれいにまとめていた。
誰もが好き勝手に過ごしているのに、不思議と険悪にならない。それは、あの試合でみんなが同じ目的のために力を合わせたからこそなのだと思う。最後には、今回は本当に必要な回だったのかとメタな一言まで飛び出すけれど、こうしたゆるい日常こそがこの作品の持ち味だ。
タイトルの「ライバルは宝物です」という言葉どおり、敵として戦った相手が、今は同じ教室で笑い合っている。戦車道を通じて結ばれた縁が、試合が終わったあとも続いていく。シリーズを通して描かれてきたことを、日常の側から確かめるような一本だった。
ようこそ知波単であります
小さな福田への気づかい
3本目の舞台は知波単学園。ひときわ小柄な福田を気づかう先輩たちは、「福田いっぱい食えよ」、「早く大きくなるのだ」と、次々に自分のおかずを分け与えていく。「身に余る光栄であります」と恐縮しながらも、ありがたく受け取ってしまう福田。善意しかないやり取りだからこそ、この先の展開が目に見えるようで笑ってしまう。
そして案の定、福田は見事なぽっちゃり体型になってしまう。最初は誰か分からず驚く先輩たちに、「願わくば縦方向に伸び」てほしかったぞと嘆かれ、福田は「面目次第もございません」と頭を下げる。それでも、どんな有様になろうとも最後まで知波単の一員として戦う覚悟だと言い切るあたりが、実に知波単らしい。とはいえ本人も「減量を考えるであります」と反省していた。
極限状態のアヒルさんチーム
そこへやってきたのが、大事な来客であるバレー部の面々だった。ところが、福田が太ったのとは反対に、なぜか彼女たちはげっそりとやせ細っている。磯辺たちは「極限状態」にあり、何か今の自分たちに必要なものを求めてさまよっていたのだ。
大洗に残された手紙によれば、知波単から遊びに来てほしいという招待が届いていたのに、バレー部は最後まで聞かずに飛び出していったらしい。それも「6日も前に」。変なことになっていなければいいがという心配は、見事に的中していた。福田が差し出したおもちゃで正気を取り戻した河西だったが、福田の姿を見て「いや別人だわ」と言い切ってしまう。
本当に福田だと分かって謝るバレー部に、福田は「苦境は人を変えますゆえ」と答える。互いに見違えるほど姿が変わってしまった二人の再会は、どこまでもおかしいのに、どこか友情の温かさも感じさせた。
醜いアヒルの子を大空へ
「これじゃ醜いアヒルの子だよ」と言われた福田の減量を引き受けたのは河西だった。「どこにも飛び立てない醜いアヒルをこの私が大空へと導いてあげるわ」と宣言し、まずはランニングから。「まだ32周よ根性根性」と追い込む姿は完全に鬼コーチで、ついていく福田の根性もさすがだった。
その甲斐あって、福田は「すっかり元通りだね」と言われるまでに戻る。ところが話はここで終わらない。実は知波単の食事が精進料理のようだったところに、バレー部が肉食文化を広めてしまったせいで、ほかにも減量が必要な生徒がたくさんいたのだ。知波単の生徒たちの見事な体格は「肉料理が生み出したもの」だったという勘違いまで含めて、最後まで笑いが止まらなかった。
大洗に戻ったバレー部は、知波単の生徒たちを連れて「みんなバレー部入部希望です」と大喜び。もちろん「堂々とよその生徒を入部させるな」と叱られてしまう。最後の「ところで何人か足りなくないか」という一言まで、オチが何重にも重なった一本だった。
第2話のまとめ考察
戦車を降りても変わらない各校の色
第2話は、3本ともに、学校の垣根を越えたら何が起きるかを描いた回だったと思う。河嶋はアンツィオで新ドゥーチェになり、他校の生徒は大洗に居つき、バレー部は知波単に肉食文化を持ち込んだ。場所が変わっても、それぞれの学校の色は少しも薄まらない。むしろ別の学校に混ざることで、その個性がよりくっきりと浮かび上がっていた。
なかでも印象に残ったのは、河嶋のエピソードだ。大洗ではいじられ役になりがちな彼女が、アンツィオでは規律を教えるリーダーとして求められる。人の評価は、いる場所によってこんなにも変わる。それでも最後に大洗へ帰る道を選んだのは、ここが自分の居場所だと分かったからなのだろう。
宝物としてのライバル
本編では命運をかけて戦ってきた相手同士が、スピンオフでは同じ教室でおやつを食べ、同じ制服を着て、同じボールを追いかけている。昨日の敵は今日の友という言葉が、この作品ではそのまま形になっている。戦車道という共通の言葉を持つからこそ、彼女たちはすぐに打ち解けられるのだと思う。
戦車がほとんど動かない回でも、これだけ楽しく見られるのは、シリーズを通して積み重ねてきたキャラクターの魅力があるからだ。各校の生徒が主役になれるオムニバスの形式は、ファンが見たかった組み合わせを次々にかなえてくれる。次はどの学校とどの学校が交わるのか、毎週の楽しみが増えていきそうだ。




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