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超条のかつての相棒で、エリート警視の犬養由基が交番に乗り込んでくる。人事の特権を盾に超条を連れ戻そうとする犬養は、相棒の座を懸けて一本木に勝負を挑む。始まったのは、超条に関するクイズで競う前代未聞の査定だった。一本木にとっては完全なとばっちりである。既読スルーの再会、激重すぎる正解の数々、そして超条が交番にいる理由まで、第4話を振り返る。




第4話 交番に現れたキャリア組
第4話は、超条のかつての相棒だったエリート警視・犬養由基が交番に乗り込んでくる回だった。人事の特権を盾に超条を連れ戻そうとする犬養と、巻き込まれる形で相棒の座を懸けた勝負に挑むことになった一本木。クイズで競う前代未聞の査定の果てに見えてきたのは、超条がこの交番にいる本当の理由だった。騒がしくも少し切ない第4話を振り返っていく。
墓場の交番
交番には今日も、酒を飲むおじさんや遊びに来たリリが入り浸っている。前回クビの危機を乗り越えたローボくんも、すっかり交番の一員だ。市民のたまり場として賑やかさを増していく交番。けれどそこへ現れた男は、その光景を見て「まさしく警官の墓場だ」と言い放つ。
ローボくんによれば、犯罪の増加を受けて警視庁から警視以下数名が出向してきたという。捜査と人事に特権を持つ、いわゆるキャリア組だ。刑事ドラマで見たやつだと盛り上がるリリたちを、部外者は退場するようにと追い出し、男はいよいよ本題に入る。
警視・犬養由基
男の名は犬養由基。階級は警視で、署での肩書は管理官だという。警視は署長と同格だと聞いて一本木は驚き、どう見ても三十路前後なのにとつぶやく。犬養が掲げる当面の仕事は、現場の綱紀粛正。耳慣れない言葉にきょとんとする一本木の表情がおかしかった。
犬養は、一本木とローボくんを「高く評価している」と言う。暴力団の大量検挙に、スピードキングの逮捕。どれも立派な働きぶりだ。「ただしそれが本当に君たちの手柄ならな」。超条は部下に自分の手柄を譲り、無能を装ってこの交番に埋もれている。それが我慢ならないのだと犬養は語る。
だからこそ犬養は、「人事査定だ」と宣言する。一本木たちの実力を査定し、「ふさわしい居場所を与えてやる」。そして超条だけは、何としてもこの地の果てから引きずり出すつもりだった。突然の宣告に、交番の三人は揃って異動の危機に立たされることになった。
元相棒・犬養由基
既読スルーの再会
そこへ、プラモを買って戻ってきた超条が姿を見せる。「めんどくさそうな面が見えるな」とぼやく超条は、犬養を下の名前で呼び、「何しに来たユキ」と問いかける。ローボくんが記録を調べたところ、数年前、当時警部補だった犬養の実習地はこの交番の管轄で、超条と組んで特捜で大きな手柄を挙げていたという。「お二人は元相棒です」。
用があるなら事前に連絡するのが礼儀だという超条に、犬養はちゃんとメッセージを送ったと返す。明日行くねという文面。超条のスマホを見ると、なんと既読までついていた。読んだうえで返事をしなかったのだ。「既読スルーで泣かないでください」と犬養をなだめる部下の言葉に、思わず笑ってしまった。
重すぎる執着
犬養の目的は、超条を交番から引き抜くことだった。「もう一度俺と組め めぐる」。お前の居場所はこんな掃き溜めではないと迫る犬養に、超条は近頃は掃き溜めの居心地も悪くないとかわし、「帰ってくれ」と突き放す。
納得できない犬養は、手柄を一本木たちに譲っている理由をとんでもない方向に解釈する。「好きなのか その娘のこと」。「激重を出すな」とすかさずツッコむ超条。さらに「俺を捨てて 若い女を選んだんだ」と嘆く犬養に、「人聞き悪すぎる」と一本木もあきれ顔だ。
若い女が自分と同い年のおじさんだったらどうする、と冷静に考えるよう迫る犬養に、超条は「どうもしねえよ」。逆に自分が女子だったらと言い出せば「だとしねえよ」。一本木が「私たちはまだただの上司と部下」、「むしろ仲悪いくらいなんで私たち」と否定しても、「逆に逆に好きなんじゃない」と返ってくる。どこから攻めても重くなる犬養のキャラクターが強烈だった。
超条巡王決定戦
相棒の座を懸けた勝負
脱線する話を、超条は「仕事も人事も好き嫌いで決まるわけじゃねぇ」と引き戻す。「要は誰に俺の相棒が務まるか、だろ」。「査定とやらを続けてみな」、「うちのゴリラもそう簡単な相手じゃねぇ」。そう言って一本木に話を振る超条に、一本木は「めんどくさくなって投げてませんか」と抗議する。
こうして犬養は「ならば勝負だ 一本木直」と宣言する。「どちらがめぐるの相棒にふさわしいか」、「査定してやる」。「おじさんをめぐって、おじさんと勝負」することになった一本木。まったくのとばっちりである。
力勝負なら一本木の圧勝だろうと高をくくる超条に、犬養は「誰が力で勝負すると言った」と返す。人事の権限を持つのは自分たち特務で、査定の方法も犬養が決める。「相棒に必要なのは相手への理解」。だから勝負は超条に関するクイズで決める。付き合いの浅い一本木が圧倒的に不利な、超条巡王決定戦の始まりだった。
激重すぎる正解
第1問は超条の好物。一本木の答えは「子供の泣きっ面」で、「せめて食い物あげろ」とツッコまれる。一方の犬養はカレーと即答し、見事に正解する。ところが犬養は、レトルト派で中辛をよく食べる、刑務所のカレーが最高だと信じて本気で刑務所入りを考えたことがある、と補足を重ねてしまう。「補足が激重すぎてキモい」と、まさかのマイナス5点。
交番のおじさんが出した問題は、超条のIQ。一本木は「左2.0、右1.0」と視力のような答えを書き、「左右とかねえんだよIQに」と一蹴される。犬養は、超条はIQテストを受けたことがないと正解したうえで、かつてIQを聞かれると152と答えていたという余計な補足を加え、10点減点。
それにしても、犬養の答えはどれも驚くほど正確だった。好物、IQ、初恋。超条本人ですら忘れていそうなことまで覚えているのは、それだけ長い時間を相棒として過ごし、誰よりも超条を見てきたからだろう。キモいと一蹴されながらも、その正解の数々には、かつての相棒への強い思いが詰まっていた。
初恋のアニメキャラも、生まれたときの体重も、犬養はすべて即答してみせる。正解するたびに補足が入り、そのたびにキモさで大幅減点。「こんなもんクイズじゃねえよ」、「キモさの暴発だよ」という超条の叫びが、この勝負のすべてを物語っていた。
先輩がここにいる理由
なぜ相棒を捨てたのか
勝負はほとんどゲームになっていない。それでも犬養は引かない。超条はあらゆる捜査に革命を起こせる人間で、こんな場末の交番にいていい人材ではない。そこへ投げかけられたのが、じゃあなぜ相棒を捨てて交番で働いているのか、というまっすぐな問いだった。
犬養の脳裏によみがえるのは、超条と組んでいた頃の記憶。凶悪な事件に揃って立ち向かい、最高の相棒だと信じていた日々。けれど超条は、ある日その場所を降りた。「確かに 俺たちの限界は 見えてきている」、「だがトップに立てさえすれば解決する問題だ」。「なのになぜ今降りようとする」。何度問いかけても、答えは返ってこなかった。
一本木の答え
一本木が口にしたのは、自分が子どもだった頃よりも、小さな子どもたちが外で遊ぶ姿をよく見かけるようになったという話だった。昔から不良に用心がいる街だったけれど、今の子どもたちはもっと明るい。それはきっと、超条と子どもたちの距離が近くなったから。
騒動だらけの街でかき消されてしまうような「小さなSOS」に、「先輩は何度も答えてきました」。だから答えはきっと、こんな感じです。その言葉を聞いた犬養は、超条が答えようとするのを遮り、「答えは言わなくていい」と告げる。そして口にしたのは、「負けだ」という一言だった。
犬養は数年来、超条がなぜ交番に残ったのかを考え続けてきた。出した結論は、答えなどない、ただの気の迷いや自暴自棄で、交番に留まる超条が間違っているというもの。けれどそれは、はなから超条の判断力を信じていなかったということだった。背中を預ける相棒を信頼するという初歩の初歩で、自分はあの新任に負けたのだと。
期待せずに待ってる
涙ぐむ犬養に、部下はハンカチを差し出す。いずれ自分が相棒に返り咲くと言い残す犬養は、「俺がトップに立った時は」、「小さなSOSとやらも取りこぼす気はないからな」と約束する。超条の返事は「期待せずに待ってるよ」。素っ気ないけれど、どこか元相棒への信頼がにじむ言葉だった。
一本木は、自分は本当の先輩を知らないだけなのかもしれないと思う。出世して大事件を追うのが、先輩にふさわしいのかもしれない。けれど、子どもたちに勝負を挑まれ、大人げなく勝って「ガキの吠え面は 完全栄養食だぜ」と笑う超条を見て、今はこの交番こそが先輩の居場所なのだと確信する。「当たってたじゃないですか 好物」という一本木の一言で締めくくられるラストが、見事だった。
第4話のまとめ考察
激重な元相棒が映したもの
振り返ってみると、第4話は元相棒・犬養の激重な執着をきっかけに、超条が交番にいる理由が浮かび上がった回だった。クイズで競うという馬鹿馬鹿しい勝負の中で、犬養は超条のことを誰よりも知っていることを証明し続けた。それでも勝てなかったのは、超条を信じることができなかったからだ。
一方の一本木は、超条の好物すら当てられなかった。それでも、超条が街の小さなSOSに応え続けてきたことには気づいていた。知識の量ではなく、相棒を信じる気持ち。その差が勝負を分けたのだと思うと、ただのギャグ回では終わらない深みがある。
そして第1問の答えが、最後に回収される構成も鮮やかだった。子どもの泣きっ面が好物だと答えた一本木は、超条を一番よく見ていたのかもしれない。ゲスで、大人げなくて、それでも子どもたちに慕われる超条。その姿を誰よりも理解しているのは、付き合いの浅い新米の相棒だった。
小ネタの細かさも、この作品らしい楽しさだった。ローボくんの毒舌ぶり、IQを視力と取り違える一本木、そして画面いっぱいの手書きのツッコミ。テンポよく畳みかけるギャグの合間に、元相棒同士の積み重ねてきた時間がふと顔をのぞかせる。笑いと切なさの配分が絶妙で、犬養というキャラクターの重さが、そのまま超条という人物の奥行きを照らし出していた。
キモさで2億点減点された犬養も、最後には潔く身を引き、いつか再び相棒に戻ると誓った。激重だけれど憎めない元相棒の再登場にも期待したい。




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