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ミューズにたどり着いたリリュウたちは、ビクトールと再会し、市長アナベルと面会する。見学した丘上会議で、ジョウイは身勝手な主張をぶつけ合う代表たちの姿に不信を募らせていく。その後、副市長ジェスから王国軍キャンプへの潜入調査を託された二人は、王国兵に変装して敵地へ向かう。罪の償いという謎、皇女ジルの本音、そして囮となったジョウイまで、第4話を振り返る。




第4話 ミューズでの再会
第4話は、ミューズにたどり着いたリリュウたちが仲間と再会し、都市同盟の現実を目の当たりにする回だった。市長アナベルとの面会、身勝手な主張が飛び交う丘上会議、そして副市長ジェスから託された王国軍キャンプへの潜入調査。リリュウを逃がすため、ジョウイが自ら囮となる展開まで、まさに分岐点と呼ぶにふさわしい第4話を振り返っていく。
迎えに来たぜ
ミューズで目を覚ましたナナミたちの前に現れたのは、ビクトールだった。「迎えに来たぜ」。もっと早く来てくれればよかったのにと言うナナミに、今朝連絡をもらったばかりだと謝るビクトール。それでも無事でよかったという言葉には、しんがりを務めて別れた仲間たちへの安堵がにじんでいた。
砦から逃げた仲間はほぼ揃った。再会を喜ぶ間もなく、ビクトールは「急ぎ 会わせておきたい奴がいるんだ」と切り出す。誰に会うのかと尋ねても、「会ってからのお楽しみだ」とはぐらかすばかり。連れて行かれた先で待っていたのは、ミューズの市長だった。
市長アナベルと罪の償い
ミューズ市長アナベルは、ビクトールの旧知の仲だった。砦に援軍を出せなかったことを詫びるアナベルに、ビクトールは「俺の力不足だ」と首を振る。こんな子たちまで巻き込んでまで戦いを仕掛けたいのかと憤るアナベル。ルカ・ブライトという男は「血と炎の匂いに飢えた狼だ」と語られる。
ジョウイがアトレイドの名を名乗ると、アナベルはキャロの地方貴族の息子だと気づく。さらにリリュウとナナミには、育ての親はゲンカクという名ではなかったかと尋ねる。ゲンカクが二人の養子を取ったと聞いていたのだという。ゲンカクじいちゃんはおととし病気で亡くなったと聞いたアナベルは、「結局私たちは 罪の償いをできなかったということか」とつぶやく。
罪の償いとはいったい何なのか。問い返す間もなく、副市長のジェスが会議の時間を告げる。この続きはまた改めてゆっくり話そう。ゲンカクと都市同盟の間に何があったのか、大きな謎が残された。
身勝手な丘上会議
五都市一騎士団の代表たち
その日はジョウストンの丘で、都市同盟の会議が開かれる予定だった。五つの都市と一つの騎士団の代表が集まるこの会議を、リリュウたちも見学させてもらえることになる。子どもが見ても楽しいものではないがな、と言いながらも、めったにない機会だからじっくり見物するがいいと、ビクトールは三人を送り出す。
ティント市長グスタフ、マチルダ騎士団の白騎士団長ゴルドー、グリンヒル市長代行のテレーズ。次々と入場する代表たちの中で、テレーズは市長だった父が急死したため代行として出席しているという。そして最後に、ミューズ市長アナベルが姿を見せる。
でっち上げと責任のなすり合い
議題はハイランド王国軍の侵攻。王国軍はミューズの東側への進軍を済ませ、いつ攻め込んできてもおかしくない状況だった。王国側の言い分は、都市同盟がハイランドの少年兵2名をスパイにして少年部隊を全滅させた、というもの。休戦協定を破ったのは都市同盟の側だというのだ。話題にされているのが自分たちのことだと気づき、リリュウたちは息をのむ。
アナベルはそれを、戦争を起こして都市同盟を殲滅しようとするルカ・ブライトのでっち上げだと断じる。けれどゴルドーは「証明できるのであろうな」と冷ややかに返す。こうなったら自分たちが証言すると意気込むナナミを、ビクトールは「お前たちが証言したところで無駄だ」と止める。ゴルドーは自分の騎士団を戦闘に出したくないだけで、「他の連中もみんな自分のとこの利益しか考えてないってことさ」。
ハイランド軍の指揮権が、皇王アガレス・ブライトから実質的に息子のルカに移っているという情報も示される。それでも、休戦中も国境に近づくだけで攻めてこなかったのだから今回もただの脅しではないのか、ガス抜きではないのか、と楽観論が飛び交う。「我が騎士団が出るまでもあるまい」とうそぶくゴルドーに、テレーズは拠出金を払えていないことを皮肉られる。
ミューズが落ちれば都市同盟はバラバラになると訴えるアナベルにも、ミューズを守ってティントの市民が飢えては意味がないという反論が飛ぶ。さらに、もっと早く砦に派兵していれば「リューベもトトも 壊滅は免れたのではないのか」という声。トトの名を聞いたジョウイの表情がこわばる。最後はアナベルが盟主として「同盟軍全軍の集結を命じる」と押し切り、会議は幕を閉じた。
それがミューズの法律だ
「自分たちの都合ばっかり」とナナミはあきれ、「町の人のこと ちゃんと考えてるのかしら」と憤る。アナベルは「これも仕事のうちさ」と涼しい顔で、最後にはみんな協力せざるを得ないと見通していた。
けれどジョウイは黙っていられなかった。軍を出さなかったために失われた命について、どう思っているのか。アナベルは「犠牲は残念だった」と認めつつ、議会の承認なしに軍を動かすことはできない、「それがミューズの法律だ」と答える。「たくさんの人たちの命が 失われたというのに」。トトの村でピリカの家族を失ったジョウイにとって、その言葉はあまりにも冷たく響いたはずだ。都市同盟への不信が、ここで静かに芽生えていた。
王国軍キャンプへの潜入
ジェスの依頼
会議の後、久しぶりに三人で出かけようとするナナミたち。けれどジョウイはどこか上の空だった。そこへ声をかけてきたのが副市長のジェスだ。差し出されたのは王国軍の軍服。ルカ・ブライトの軍が近くに駐留しており、キャンプにどれくらいの食料があるのかを調べてほしいという。食料の量がわかれば、王国軍が短期戦を狙っているのか長期戦を考えているのかが推測できる。
元ハイランドの少年兵である二人なら、王国軍の事情や作法もわかっている。「君たちしかいないんだ」と頭を下げるジェスに、ジョウイは「ルカ・ブライトを倒すためなら」と引き受け、リリュウもミューズの人たちの役に立てるかもしれないと続く。「いっつも二人だけで決めちゃうんだから」とむくれるナナミの言葉は、第2話と同じように二人に向けられたものだ。二人の決意の速さと、置いていかれる姉の寂しさが重なっていた。
翌朝、軍服姿の二人を見たナナミは「二人とも 全然似合ってない」と笑う。「お守り ちゃんと持ってるよね」、「危なくなったら すぐに逃げるんだよ」。何度も念を押すナナミの姿に、姉としての心配がにじむ。ピリカを託されたナナミは、二人の行き先をビクトールに隠そうと、散歩に行ったとごまかすのだった。
2週間分の食料
衛兵の目をかいくぐってキャンプに忍び込んだ二人は、食料の備蓄を確かめる。「だいたい2週間分というところかな」。王国軍は早めに決着をつけるつもりらしい。急いで戻ろうとしたそのとき、二人の前に現れたのは、かつて自分たちを裏切ったラウド隊長だった。
ラウドは二人を探していた。正体がばれるのは時間の問題だ。追っ手から逃れるため、二人はとっさに近くのテントへ飛び込む。そこは「王族のためのテント」だった。
ジルとの再会と分かれ道
公女ジルのお茶
テントの主は、ハイランドの皇女ジルだった。都市同盟のスパイが忍び込んだので調べさせてほしいという兵に、ジルは「その必要はありません」、「一人になりたいのです」と退ける。なおも食い下がる兵に「下がりなさい」と強く命じ、追い返してしまった。
「これでよいのかしら スパイさん」。ジルは二人のことを覚えていた。キャロの処刑場で、二人の処分を止めたのはジルだった。お茶を淹れようとするジルは、ナイフを手にしたままの二人に「それともそれが都市同盟の作法なのかしら」と穏やかに問う。気品と落ち着きに満ちた皇女の姿が印象的だった。
なぜこんなところにいるのかと問うジョウイに、ジルは兄ルカ・ブライトが「この戦いを拡大しようとしています」と打ち明ける。ハイランドの国民の多くは「戦乱に疲れ果てているのです」。兄を止められればと思ってここまで来たけれど、「兄にとっては私までもが 敵なのかもしれません」。敵国の皇女でありながら、民を思うジルの言葉には、戦争を望まない人々の声が込められていた。お茶が冷めたころ、ジルは「もうお会いすることはないでしょう」と二人を送り出す。
僕は絶対に捕まらない
ところがテントの外では、兵たちが待ち構えていた。公女様は最近ルカ様に思うところがあるようだから、ここを見張っていれば案の定というわけだ。完全に囲まれた二人。ジョウイは「僕があいつらを引きつける」と言い出す。
情報はすぐにミューズへ伝える必要がある。「足の速さなら僕だけど」、持久力ならリリュウのほうが上だ。「いざとなればこの紋章がある」、「僕は絶対に捕まらない」、「必ずミューズに戻る」。一緒に行こうと言うリリュウを説き伏せ、ジョウイは囮となって兵を引き付ける。リリュウは「君は必ず戻ってくる」と信じて走り出した。
追い詰められたジョウイの前に立ちはだかったのは、ルカ・ブライトだった。「黒き刃か」、「構わん 試してみろ」。ジョウイは紋章に力を求めるが、ルカはたった一振りでそれを退ける。勝てない、と悟るほかない圧倒的な差。真の紋章の力をもってしても、狂皇子には届かなかった。
待つということ
子どもをスパイに使うほど
ミューズでは、リリュウとジョウイが王国軍のキャンプへ向かったと知ったビクトールが激怒していた。「子供をスパイに使うほど 都市同盟ってのは困っているのかい」。ジェスは悪びれることなく、敵の食料の備蓄を知ることがどうしても必要だったと答える。
そこへ戻ってきたリリュウが、食料は2週間分だったと報告する。「ならば奴らは一気に攻め込んでくるつもりです」、「これで同盟軍の意見もまとめやすくなる」。礼を言うジェスに、ビクトールは怒りを隠さない。子どもたちの命を道具のように扱う都市同盟のやり方は、会議の身勝手さとも重なって見えた。
帰ってくるさ
ジョウイがまだ戻らないと知り、ナナミはすぐに助けに行ってほしいと訴える。けれどリリュウは「大丈夫だよ ナナミ」と言う。「ジョウイは約束したんだ」、必ずミューズに戻ると。派手に軍を動かせば、かえってジョウイを危険にさらすことにもなりかねない。
ナナミも、ジョウイはリリュウとの約束を破ったことがないと思い直し、「私、ジョウイのこと待ってみる」と決める。そんな二人に、ビクトールは静かに語りかける。待つ身はつらいものだが、「生きているって思った方がいい」、「大抵はうまくいく」。「帰ってくるさ」、「必ず」。数々の別れを経験してきたであろうビクトールの言葉が、温かく心に沁みた。
第4話のまとめ考察
分岐点に立つ二人
振り返ってみると、第4話は都市同盟の身勝手さを目の当たりにしたジョウイが不信を募らせ、リリュウを逃がすために自ら囮となった回だった。副題の分岐点は、二人が別々の道を歩み始める瞬間を指しているのだろう。
印象的だったのは、ジョウイの視線の変化だ。トトの村を失った痛みを抱えるジョウイにとって、犠牲は残念だったが法律だから仕方がないというアナベルの答えは、到底受け入れられるものではなかった。そしてテントで出会ったジルは、敵国の皇女でありながら民の疲弊を憂いていた。味方であるはずの都市同盟の冷たさと、敵であるはずのジルの温かさ。その対比が、ジョウイの心に何を残したのかが気になる。
一方のリリュウは、ジョウイを信じて待つことを選んだ。必ず戻るという約束を信じる強さは、第3話で交わした誓いの延長線上にある。けれど、信じて待つことと、何もできずに待つことの間で揺れる気持ちも、きっとあるはずだ。
アナベルが口にした罪の償いの意味、ゲンカクと都市同盟の過去、そしてルカと対峙したジョウイの行方。分岐点を越えた二人の物語がどこへ向かうのか、見守っていきたい。




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