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暴れバイソンを仕留めたマコトたちの前に、危険度上位のグリフォンが舞い降りる。マナの尽きたマコトが選んだのは、ルーシーと体を触れ合わせて魔力を操るシンクロ魔法だった。命がけの勝利の代償に大火傷を負ったマコトを救ったのは、毎日の祈りが実を結んだ女神ノアの加護だった。シンクロ魔法、ノアの加護、そしてルーシーの本音まで、第4話を振り返る。




第4話 グリフォンとシンクロ魔法
危険度上位の乱入
第4話「高月マコト、シンクロする」は、暴れバイソンを仕留めた直後に現れた大物から始まる。「危険度上位の」、「グリフォン」。狙いはバイソンの肉で、「強い魔物はマナの多い獲物を好むって」、「聞いたことがある」という話どおり、マコトたちは獲物を奪われるどころか命まで危うくなっていく。
急降下してくるグリフォンを何度もかわすものの、ルーシーが攻撃を受けて倒れてしまう。エミリーが回復に回るものの、マコト自身のマナはもう残っていない。「俺のマナは空っぽだし」、「ジャン 時間を稼いでくれないか」、「考える時間が欲しい」。最弱のスキルしか持たないマコトが頼れるのは、いつだって頭の回転だけだ。
ジャンが前に出て時間を稼ぎ、エミリーが回復に回る。暴れバイソン討伐のために組んだばかりの即席パーティーが、それぞれの役割を果たしながらマコトの次の一手を待つ。仲間を信じて考える時間をもらうという流れが、この作品らしい戦い方だと感じた。
仲間を見捨てない
そこへ割って入ったのがノアの声だった。「自分の命を最優先にしなさい」。けれどマコトは「それって仲間を見捨てろってことですか」と返し、「俺は仲間を見捨てません」と言い切る。たった一人の信者を案じる女神の気持ちも分かるだけに、二人のすれ違いが印象に残った。
マコトが思いついたのは、水の神殿で教わった方法だった。「魔法使い同士体を触れ合うことで」、「相手の魔力に干渉する方法です」、「熟練度が50以上あれば使えますよ」。ルーシーに「マナを高めてくれたら あとは俺がやるから」と頼み、「俺を信じてくれ」と手を取る。「どこ触ってるのよ」と慌てるルーシーとのやり取りに、緊迫した場面の中で少しだけ笑ってしまった。
魔力の量では勝てなくても、熟練度の高さで他人の魔法を操ることはできる。第3話で語られた、使えるマナが少ないから工夫するしかないというマコトの戦い方が、ここで一気に花開いた。ルーシーの膨大な火の魔力と、マコトの緻密な制御。正反対の二人がかみ合ったときにこそ、本当の力が生まれるのだと思う。
燃えながらの一撃
ルーシーの炎をマコトが形を変えて操り、巨大な炎の渦がグリフォンを包み込む。ところが火の扱いに慣れていないマコトの体にも火が燃え移ってしまう。「お前の体 燃えてるぞ」という叫びにも構わず、マコトは「これで終わりだ」と最後まで魔法を放ち続けた。
「グリフォンを倒したわよ」と喜ぶ仲間たちをよそに、全身に火がついたまま倒れるマコト。真剣な戦いの決着なのに、燃えながら仁王立ちする主人公の姿がどこかシュールで、思わず笑ってしまう。命がけの勝利と、この作品らしいとぼけた味わいが同居した名場面だった。
危険度上位の魔物を、ブロンズランクの即席パーティーが倒してしまう。チート能力で無双するのではなく、仲間の力と神殿で学んだ知識を組み合わせて勝ち取った勝利だからこそ、見ていて気持ちがいい。その代償としての大火傷も含めて、マコトらしい勝ち方だったと思う。
ノアの加護
簡単に死んだら許さない
気がつくと、マコトはノアの前にいた。「私が 最初にお願いしたこと 覚えてる」と問われ、「強くなれ… でしたっけ」と答えるマコトに、ノアは「マコトは たった一人の信者だから」、「だから 簡単に死んだら 許さないって言ったのよ」とむくれてみせる。
「本来なら死んでたのよ」と言われるほどの無茶だったが、マコトを救ったのはソウルブックに刻まれた「女神ノアの加護」だった。「毎日の祈りのおかげで 加護を得られたのよ」、「そのおかげで助かったんだから」。毎日欠かさず続けてきた祈りが、ここで形になって返ってくる展開が心地よい。
邪神と呼ばれ、信者がいないまま封じられてきたノア。そのたった一人の信者であるマコトの祈りが、女神の加護として実を結んだ。ノアがあれほど怒ったのは、それだけマコトの存在が大きいからなのだろう。駄女神のように振る舞いながらも、マコトを心から案じている姿がいじらしかった。
精霊使いと10年に1人
さらにノアは、もうひとつのスキルを見せる。「精霊使い」。「私たちティターン神族は精霊と仲がいいからね」、「これは女神からのギフトスキルよ」。戦い方の幅が一気に広がりそうな贈り物に、マコトも「ありがたく使わせていただきます」と頭を下げる。
調子に乗ったマコトが「ノア様 ルーシーも信者に勧誘しませんか」と提案すると、返ってきたのは「10年に1人しか信者増やせないのよね」というまさかの答え。信者を増やして力を強めるという道は、どうやら簡単には開けないらしい。最後に「マコトがいればいいから」と言い残して去っていくノアの言葉が、なんとも愛らしかった。
ルーシーの本音と精霊語
魔族の血と告白のような言葉
目を覚ましたマコトのそばにいたのはルーシーだった。ギルドではブロンズランクがグリフォンを倒したとお祭り騒ぎになっているというが、ルーシーの表情は晴れない。「私の魔法でこんな大怪我して怒ってるよね」。マコトは「適性のない属性の魔法をシンクロしたらダメだって神殿で教わってたのにな」と、自分の判断の甘さを認める。
それでもルーシーは「多分私の魔族の血のせいだから」と言い、「私の父は全身が炎に包まれた魔族なの」と打ち明ける。真剣な告白に対するマコトの第一声が「でどうやって子供を」で、ルーシーの「問題はそこじゃないから」という突っ込みには笑ってしまった。
「マコトに迷惑かけてばっかり」、「マコトはルーカスさんに言われて 仕方なく私と組んだんでしょ」と落ち込むルーシーに、マコトは「違うよ」、「俺にはルーシーが必要なんだ」、「これからも二人で頑張ろう」と伝える。感謝のつもりが、ほとんど告白のような言葉になってしまい、言ったあとで「俺今、結構恥ずかしいこと言ったよな」と気づくマコトがおかしい。真っ赤になるルーシーとの温度差が楽しい場面だった。
精霊語の教本
精霊使いのスキルを得たものの、精霊魔法を使うには精霊語が欠かせない。ところが仲間によれば、「人族の精霊使いなんて存在しないもの」。教本はどこにも置いていないと知って途方に暮れるマコトのもとへ、マリーさんがわざわざ取り寄せた教本を届けてくれる。「ギルドのものだから貸すだけよ」という一言も含めて、マコトがギルドで少しずつ信頼を得ているのが伝わってきた。
傷が癒えたマコトは、ルーシーとともに再び狩りへ出る。ルーシーの詠唱が早くなったことにも気づくあたり、仲間の成長をちゃんと見ているのがマコトらしい。一方のルーシーも、「ものすごいスキルや ステータスを持ってるわけでもない」のに、「ギルドでも一目置かれ始めている」マコトの姿を見つめていた。
言いかけた誘い
ルーシーは思いきって、自分の泊まっている宿屋に一緒に泊まらないかと切り出そうとする。ところが、そのたびに魔物の出現や知り合いとの鉢合わせに邪魔されてしまう。ずぶ濡れにされたルーシーの「女の子をズブ濡れにして遊ぶのやめてくれる」や、最後の「マコトのバカ」まで、言いかけては流される誘いがかわいらしかった。
精霊語の詠唱は失敗に終わったものの、マコトの水魔法で一瞬にして服を乾かしたとき、ルーシーは「精霊のマナ」、「この湖の水を」、「使ったんじゃないの」と気づく。本人より先に、仲間がマコトの新しい力の片りんを見抜く。この小さな発見が、精霊使いとしての今後を予感させる場面だった。
第4話のまとめ考察
フジヤンとの再会
酒場で再会したのは、商人のフジヤンだった。「拙者は商人の藤原と申します」と名乗り、「ニナです」と元気に名乗る藤原商会のニナも加わってにぎやかな乾杯になる。ところがフジヤンは、マコトに新しい仲間がいることに気づくと「いつかパーティーのお誘いがあると首を長くして待っていたのに」とすねてしまう。
「ごめんよ」と謝ったマコトが改めて誘うと、フジヤンは「その言葉 待っておりましたぞ」と大喜び。自分の魔法のせいでマコトに火傷を負わせたと気にするルーシーにも、マコトは「パーティーの失敗や成功は」、「誰か一人のせいやものじゃないって」と言い聞かせる。パーティーの解消をくり返してきたルーシーにとって、これほど救われる言葉はないだろう。
フジヤンは第1話からマコトを支えてきた、数少ない理解者の一人だ。異世界に来てからずっとソロで戦ってきたマコトが、気づけばルーシーやフジヤン、ニナに囲まれて杯を交わしている。グリフォンを倒したことよりも、この酒場の光景のほうが、マコトにとって大きな前進なのかもしれない。仲間を見捨てないと言い切ったマコトのもとに、自然と人が集まってくる流れがうれしかった。
加護と仲間を得た回
第4話は、マコトが女神の加護と精霊使いのスキル、そして新しい仲間を手に入れた回だった。グリフォン戦では仲間の力を借りて格上を倒し、その代償の大火傷からはノアの加護に救われる。祈りと工夫と仲間、マコトの強さの源がすべて詰まっていたように思う。
特に印象的だったのは、ノアとルーシーという二人の女性との距離の描き方だ。命を案じて本気で怒るノアと、自分のせいだと落ち込むルーシー。どちらもマコトを大切に思っているからこその反応で、マコトの何気ない一言に振り回される姿が微笑ましかった。シリアスな戦いと軽やかな掛け合いの両方を楽しめるのが、この作品の魅力だと改めて感じる。
ノアの10年に1人しか信者を増やせないという事情は、この先の攻略が簡単ではないことも示している。それでもマコトには、口うるさくも見守ってくれる女神と、少しずつ距離を縮めていくルーシー、そして頼れる商人の友人がいる。最弱から始まった異世界攻略が、仲間とともにどこまで広がっていくのか楽しみになった。精霊語を覚えたマコトがどんな魔法を見せてくれるのかにも期待したい。




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