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『コードギアス 奪還のロゼ』第9話の副題は「鉛心 -Reset-」。前の回で嘘を全部明かしたはずのロゼに、まだ一つだけ言い残しがあった。しかもそれは作戦にも正体にも関わらない、いちばん他愛のない嘘だった。ずっと探されていた相手が、探している本人のすぐ隣にいたことになる。その名前は、六話前の副題にそのまま使われていた。副題の英語のほうも、この回だけは敵の台詞からそのまま取られている。




第3話の副題だった名前が、本人の口から出る
探している相手の話から始まる
移動の合間にアッシュがこぼすのが、喫茶店で会った相手の話である。「最近全く会えていないんだ」「通る度に店には立ち寄っているんだが」「もうやめてしまったのだろうか」と続く。
悔やんでいるのが会えないことより手順のほうだった。「あの時連絡先を聞いておけば」「なんで聞いておかなかったんだ」。戦場では手を打ち損ねない人が、そこだけ何もしていなかった。
「ラズベリーは俺なんだ」
聞いていた側が明かすのが「ラズベリーは俺なんだ」という一言である。理由の説明が「ほらあの時は正体を隠してたから」で、そのまま「ごめん」と続く。
探されていた相手が、探していた本人のすぐ隣にずっといたことになる。会えなかったのではなく、毎日会っていた。
「いつからだ」「最初から」
返ってくる問いが「いつからだ」だった。答えが「最初から」で、これ以上短くならない。
いつからという聞き方は、途中から嘘になった場合の聞き方である。ところが答えは、途中も何もなかったと言っている。前の回で正体を明かされた側にとって、これはもう一段ぶん深い訂正になっている。
前の回で、嘘は全部片づいたはずだった
直前の回で、ロゼは自分から名乗り出て謝罪していた。力を使って騙し、弟のふりをして利用し続けたこと、相手が抱えていた思いを知らなかったこと、そのすべてを並べたうえで、好きにしてくれと言い切っている。
それだけ徹底して洗い出したのに、まだ一つ残っていた。しかも残っていたのが、作戦にも正体にも関わらない、いちばん他愛のない嘘だった。
第3話の副題が、ここで回収される
この名前は、第3話の副題「紅霞 -Raspberry-」にそのまま使われている。あの回で街のブリタニア人に絡まれた店員を助けたのが、今隣にいる相手である。
副題として六話前に置かれていた言葉が、いま初めて中身と結びついた。放送後の投稿でも、この場面の気まずさに反応が集まっていた。
放送直後の投稿も並べておく。
副題の英語が、この回だけ敵の台詞から取られている
これまでの副題は、二つの型で並んでいた
この作品の副題は、漢字二文字と英語の組み合わせで統一されている。第1話の「雪解 -Melting Snow-」、第2話の「氷壁 -Ice Wall-」、第7話の「朧月 -Hazy Moon-」は、どれも英語側が漢字の訳になっている。
もう一つの型が、訳ではなく回の中身を指す場合である。第4話の「蛍火 -Alliance-」は同盟の回、第5話の「光芒 -Damocles-」と第6話の「薫衣 -Lavender-」はその回に出てくる名前がそのまま置かれている。
前の回だけ、どちらにも当てはまらなかった
第8話の「銀兎 -Ginto-」は、英語側が訳でも固有名詞でもなく、日本語の読みをそのままローマ字にしただけだった。八本の中でこの回だけが例外になっている。
そして今回の「鉛心 -Reset-」も訳ではない。二回続けて、型から外れた副題が並んだことになる。
「一旦全員リセットして場所を移す」
ところが本編を見ていると、その英語がそのまま台詞で出てくる。実験を仕切っている側が、思い通りにならない状況に苛立って口にするのが「一旦全員リセットして場所移す」である。
副題の英語が、敵の口から出た言葉だった。第3話のラズベリーが作中の呼び名だったのと同じで、この作品は副題の言葉を本編のどこかに必ず置いている。
リセットの中身が、人の処分だった
その台詞で言われているリセットは、やり直しの意味ではない。集められた人たちを片づけて、場所を変えるという意味である。
いちばん軽い言い方で、いちばん重いことを言っている。副題として先に見せられていた言葉が、本編で何を指すのか分かったところで意味が変わる作りになっている。
同じ言葉が、この回の別の場所にも効いている
リセットという言葉は、拠点を失って一から立て直す側にもそのまま当てはまる。二つの同盟組織が全滅し、残った戦力も大半を失った状態から、また積み直すことになる。
片方には処分、片方にはやり直しとして同じ言葉が乗っている。どちらも元に戻すという点だけは同じである。
戦闘の場面への反応も多かった。
名乗ってまで使ったギアスが、効かない
実験を断れば、人が処分される
捕らえられたロゼに突きつけられるのが「新たなモルモットを用意したが この状態では実験ができん」という状況である。そのうえで「お前が実験を拒否すれば こいつらはゴミとして処分されるだけだがな」と言われる。
締めが「来るも来ないもお前の自由だ」だった。自由だと言いながら、断った場合の結果だけ先に見せている。
交換条件が、取り合ってもらえない
ロゼの返事は交渉の形をしている。「協力はします」「ギアスの秘密も教えます」と差し出したうえで、「ですからその前にこの人たち」と続けようとする。
ところが遮られる。条件を出すためには、相手が欲しがっている必要がある。秘密のほうは興味を持たれても、人の扱いのほうは最初から取引の外に置かれている。
「ギアスの力で得られる信頼などありはしない」
待っても助けは来ないと告げられた場面で出るのが、この一言である。前の回で嘘が割れたばかりの相手を思えば、いちばん効く言い方になっている。
力で作った関係は力が切れたら残らない、と本人にも思わせにいっている。人質のほうより、この一言のほうが刺さる作りだった。
本名を名乗って命じる
それでも動くしかなくなったロゼが、正面から名乗って命じる。前の回で、命じる瞬間だけ声を戻していたことが正体の割れる原因だと突き止められていた。
もう隠す意味がなくなった名前を、自分から先に出している。一度も見せなかったものを、いちばん分の悪い場面で見せることになった。
前の回の説明が、そのまま効いている
返ってきたのは、操り人形になどならないという趣旨の拒絶だった。ギアスへの対策はすでに済んでいると、前の回で本人の口から説明されている。
効かないと分かっている場所へ、名乗ってまで撃ちにいったことになる。理屈で負けた相手には、超常の力も順番待ちの一つでしかない。
作戦を出す人が、初めて「意味がない」と言う
戻った先が、壊滅した拠点だった
報告で並べられるのが被害の数である。二つの同盟組織が全滅し、こちらも大半の戦力を失った。予備のパーツを別の場所に置いていたことだけが幸いした、という話になる。
それを聞いた側の言葉が「これは俺の責任だね」だった。数字の確認より先に、責任の話から入っている。
いつもの問いかけに、答えが返らない
武器のリストを確かめたあと、「ロゼはどう考える」といつも通り話が振られる。これまでなら、ここから作戦が始まっていた。
ところが返ってくるのが「こんなボロボロの状態じゃ どんな作戦を立てたところで意味がないんじゃないかな」である。協力者は常に用意しておくものだと言っていた人の口から、意味がないという言葉が出る。
責める側の言い分が、まっとうだった
割って入る声が「そんな投げやりな言い方はないだろ」と続ける。「お前が捕まったことも それでアジトがバレたことも責めるつもりはない」と、責めない範囲を先に区切っている。
そのうえで置かれるのが「俺たちを生かすため犠牲になった者がいることを忘れるな」だった。責めていないと言いながら、いちばん重いところだけを突いている。
「何もできなかった」
ロゼの側の言葉は短い。「何も 何もできなかった」と繰り返すだけで、そこから先が出てこない。
一人になってからも「何やってるんだ俺は」「いつもみたいにちゃんとしないと」と自分に言い聞かせている。立て直そうとする言い方まで、いつも通りにという形をしている。
団長の締め方が、作戦ではなかった
場を収めるのが「二人とも今日はもう休め」という一言である。そのあとに続くのが「だが明日からはまた考え 前に進む」だった。
締めが「それが我々にできることのすべてだ」である。できることの全部が、考えて進むことしかないと言い切っている。戦力の話でも作戦の話でもないところに落としてある。
やめると言った側に、続けろと言う
前の回で、終わりにすると言っていた
直前の回でロゼは「これ以上ロゼで居続けることはいたしません」と自分から宣言していた。嘘を全部並べたうえでの言葉である。
だから今回は、その続きから始まる。やめると言った本人が、まだやめられていない状態で合流している。
二人で動くならロゼは要らない、という話が出る
相談の場で持ち出されるのが、二人で行動するならロゼという存在は要らないのではないか、という筋である。正体が敵に割れている以上、隠す意味も薄い。
理屈としては通っている。本人が先にやめると言い、状況もやめる方向に傾いている。
返ってきた答えが、逆だった
ところが返事は「お前はロゼの存在が必要だ」だった。続けて「ことが済むまであなたはロゼのままでいた方がいい」と念を押される。
やめると言った側に、続けろと言っている。しかも言っているのは、その嘘でいちばん長く騙されていた相手である。副題のリセットが、ここでは元へ戻すという意味で効いている。
許していないまま、守ると言う
理由の説明も正直だった。まだすべてを許すことはできない、と先に断ってから話が続く。
そのうえで持ち出されるのが、父親の言葉である。優しい娘だと言ったあの人の言葉を信じている、これから何を選び何を成すのかを偽りのない目で見定めて約束を果たす、と並べられる。許すことと守ることが、別の話として処理されている。
第2話の問答が、もう一度流れる
この回では、大切な人は誰かと問われて「お前に決まってるじゃないか」と即答する場面がもう一度出てくる。同じやりとりが、ずっと前にもあった。
あのときの返事は、力で信じ込まされた状態でのものだった。それが解けたあとで同じ場面を見せられると、同じ言葉のまま意味だけが確かめ直される形になる。
和平の申し入れが、そのまま攻撃になっている
先に手を出した側が悪者になる
敵側から和平交渉が申し入れられたという知らせに、受けた側の反応は喜びではない。「ノーランドが和平なんて」「俺たちの知らない何かを企んでいる」と疑いから入る。
それでも動けない理由が「和平を謳われては 迂闊に手出しできない」だった。先に弓を引けば、こちらが和平を乱した悪者になる。申し入れそのものが、相手の手足を縛る一手になっている。
受ける側も、同じことを言っている
交渉を受ける側の見立ても同じだった。「平和的解決が実現すればそれでいい」と前置きしたうえで、「だが同時に我々に対する足枷でもある」と続く。
締めが「厄介なカードを切ってきたものだ」である。戦っている両方が、和平を武器として数えている。
条件は二つ、と切り出す
席では、まず領土の認識から確認される。もともとこちらの領土であり、武力で占拠されているというのがこちらの認識だ、という言い方から入る。
そのうえで示される条件が二つ。武力解除による領土主張の撤回と、現政府の解体である。膠着を望んでいないと認めたうえで、譲れない線だけを先に置いている。
用意されていたのは、資料だった
相手の答えが「お配りしろ」だった。差し出された資料には、過去に起きた排斥運動や治安悪化の懸念まで書き込まれている。
受けた側の感想が「ご丁寧にブリタニア側で起きる問題までやられたな」である。こちらの主張を先に予測して、反論ごと束ねて持ってきている。
「ほぼ論述ゲームだ」
分析の言葉が続く。「主張を予測された上 用意された資料にも隙がありません」「こちらとしては出鼻をくじかれた形です」、そして「巧妙にネオブリタニア側に有利な条件が織り込んでありました」。
「あれを初見で看破するのは困難です」と付け加えられる。締めが「ほぼ論述ゲームだ」だった。要塞も新兵器も出てこないまま、紙の上で押し切られている。
二回目も押し返せない
ナレーションが結果を告げる。二回目の交渉も押され、こちらは有益な条件を提示できなかった。事態はそのまま次の段へ進み、代表を替える話にまでなる。
一方で、内政で対抗しようとしていた側の努力は「制度作りごっこ」と切り捨てられる。この回の冒頭で味方を増やす手だと言われていたものが、終盤には遊びと呼ばれている。返された言葉が「人の弱さを憎まないでください」で、同じ一文が回想の中でも一度流れていた。




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