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『LIAR GAME』第23話の副題は「中堅戦」。カットの権利は、ディーラーが故意にいい手を回さないために与えられた手続きだと説明される。使ったカードを毎回捨てて新品に替えるのも、イカサマを防ぐための処置だ。キクチの必勝法は、その二つをそのまま使うものだった。そして模擬ゲームで完敗したナオが持ち帰ったのは、自分の手札ではなく相手の表情だった。




イカサマを防ぐために、カットの権利が与えられる
第23話の副題は「中堅戦」。敗者復活戦の二戦目に用意されたゲームがセブンティーンポーカーで、この回はほぼ全部がその説明と、模擬ゲームと、最初の三ゲームでできている。
ディーラーが不正をする前提で説明される
ルール説明のいちばん最初に出てくるのが、腕のいいディーラーになると故意にいい手を回すことができる、という一文だ。そんなことをさせないために、プレイヤー側にカードの配列を変えるチャンスを与えると説明される。カットは上から何枚目かを指定して、その位置でカードの上下を入れ替える形になる。
進行の手順が最後まで説明される
アンティーはチップ5枚、一回目のベッティングは最低5枚で上限15枚、カード交換はベット額を宣言した側から先に行い、二回目は最低が一回目の賭け金で上限30枚。チェックが二回続くと勝負不成立になり、アンティーはディーラーのものになる。
どの選択肢にも、誰が得をするかが付いてくる
フォールドを宣言すれば勝負不成立で、アンティーはディーラーへ、残りのチップは相手のものになる。降りるという行動の説明にも、必ず取り分の行き先がセットで置かれる。
勝敗は勝ち数ではなくチップ数だ
中堅戦は10ゲームを繰り返し、より多くチップを獲得したほうが勝つ。説明のなかで、六勝四敗でもチップの獲得枚数が上であれば負けるという例まで出てくる。勝った回数がそのまま勝利にならないと、始まる前に言い切っている。
17枚しかないので、二ペアが最低の手になる
前回は模擬ゲームの入り口までで、カードの内訳は説明されないままだった。今回そこがはっきりする。
カードは四種類と、ジョーカー一枚だ
アキヤマの説明が「ジョーカーを除けばカードはエース、キング、クイーン、ジャックの4種類」だ。四種類が四枚ずつと、ジョーカー一枚で17枚になる。だから配られた時点で、最悪でもワンペアは成立している。
ジョーカーが手にあるだけで役が確定する
ジョーカーはどんな札の代わりにもなるワイルドカードで、「手にあるだけで3カード以上の役は確定しているんだよ」と説明される。普通のポーカーなら悪くない二ペアが、このゲームでは最初から勝ち目のない手になる。
だから交換枚数がそのまま情報になる
三カード以上が確定している人は、揃っていない二枚しか捨てる必要がない。「3枚買えなんて、ジョーカーがあったらやるはずない手なのさ」。何枚捨てたかで、ジョーカーを持っているかどうかがおおよそ分かってしまう。
チップ一枚は百万円だ
ナオが模擬ゲームで負けた直後、フクナガが「一瞬でチップ30枚、3000万失っていたんだ」と言う。前回の計算どおり、チップ一枚が百万円という換算がここでも確認できる。
相性がいいと、運営の側が先に認めている
説明が一通り終わったあとに置かれるのが、「このセブンティーンポーカーは、カードが17枚しかないことで全く違う戦いが繰り広げられるゲーム」「そして何より、西の中堅キクチの個性に最もフィットしているゲームでもある」という一節だ。まだ何も起きていない段階で、この卓が誰のために組まれたかが言葉にされている。
完敗した模擬ゲームの、唯一の収穫が相手の表情だった
模擬ゲームに出るのはナオだ。前回の引きで指摘されていたとおり、アキヤマは出ない。
練習でチェックを宣言して怒られる
ディーラーに「チェックを宣言して相手の出方を伺う方法もありますよ」と言われて素直にチェックを選び、そこへフクナガの「アホか」「練習だぞチェックなんかすんな」が飛ぶ。練習なのだから情報を取りに行け、という叱り方になっている。
いい手だと思ったほうが負けている
ナオは二度レイズして負ける。フクナガの評価は「最悪のヘボ手じゃねえか」で、ナオの言い分が「だっていい手だったじゃないですか」だ。普通のポーカーの感覚が、そのまま負けた理由になっている。
数字の上では完敗だ
五回で二勝三敗、チップの収支はマイナス60枚、東西の差は120枚。フクナガの総括が「あまりにもお前が弱すぎて、何ら得るものもない模擬ゲームだったよ」だ。金額に直せば一億以上の差を、練習で作っている。
気づいたのは自分の手のほうではなかった
それでもナオは「私なりに、いろいろ気づいたことはあります」と言い、出してくるのが相手の表情の話だ。「4ゲーム目の最初だったかな」「確かにあのとき、表情が変わったんです」。根拠を聞かれると何も出せず、「普段相手を探って出た結果がこれかよ!」と怒られる。
その見立てだけが当たっている
場面が変わると、キクチがこのゲームの肝に気づいたことが観客の側にだけ示される。本人の言い分は「万が一気づいていたとしても使えない」「この必勝法、俺にしか使えないんだ」だ。チップを全部失った模擬ゲームで、持ち帰れたのは負けた本人の観察だけだった。
同じ四ゲーム目を、アキヤマは枚数のほうで見つける
模擬ゲームの総括で、アキヤマが一つだけ引っかかったことを口にする。
気になるのは四枚交換だ
アキヤマの指摘が「ナオが異変に気づいたという4ゲーム目に、キクチはカードを4枚交換したんだ」。最悪でもワンペアが成立しているのだから、必要な交換は最大でも三枚のはずだ。フクナガも「なんであいつそんなことしたの?」と乗ってくる。
二人はまったく違うものを見ていた
ナオが見たのは表情で、アキヤマが見たのは交換枚数だ。方法がまるで違うのに、二人が指しているのは同じ四ゲーム目になっている。アキヤマの結論も「本当に必勝法に気づいたのかもしれないな」で止まる。
イカサマの余地は先に潰されている
二ゲーム目に入るとき、ディーラーは使ったカードを破棄して新品に替える。裏の柄まで違うカードで、「一度使ったカードを混ぜるというイカサマもできません」と念を押される。ナオの独白は「先回りして手を打たれてる」「真っ向勝負するしかないのか」だ。
勝つことと稼ぐことは別だと言われる
模擬ゲームの残りは短い場面の連続で、フォールドを見た側の説明だけが置かれる。「勝つ可能性が高くても、相手が降りてしまっては取り分が減ってしまう」「いかに勝負に誘い込むか、これが結構難しいところなのさ」。チップ数で決まるルールの意味が、ここで一度だけ言葉になっている。
捨てても損しないカードを捨てて、情報だけを渡す
本番が始まると、アキヤマが二ゲーム続けて取る。取り方は、フクナガの常識をことごとく外している。
完成した手は、それだけで不利になる
最初の手札についてアキヤマが言うのが「むしろ、クソ手じゃねえか」だ。理由は「この手は1枚もカードを変える必要がない」「しかし、カードを変えなかったら手がいいことがバレてしまう」。最初から手が完成してしまっているのも考えものなんだ、という言い方になる。
最低額でベットしない
ファーストベットで10枚を宣言したアキヤマに、フクナガが「なんで10枚なんだよ」「ここは最低ベットの5枚でいかないと相手が勝負に来てくんねえだろ」と噛みつく。相手を降ろさないために最低額から入る、という定石のほうが外されている。
揃っている手を、三枚捨てる
アキヤマは交換で三枚を捨てる。フクナガの「せっかくのストレートが」が、そのまま驚きの説明になっている。狙いは手を良くすることではなく、ジョーカーを持っていないと思わせることだ。
相手の思考をそのまま並べてみせる
種明かしは、キクチの頭のなかを順に再現する形で行われる。10枚のベットで「相手は手がいいのかな?」、三枚交換で「ジョーカーはないのか?」「だったら俺と五分じゃん」、据え置きの10枚で「ジョーカーが来たらベットはレイズするはず」。三つの手が全部、相手に別々の結論を出させるためだけに置かれている。
しかも手はほとんど悪くならない
エースとジョーカーを残しての三枚交換なので、三カード以上は確定したままだ。役の強さはあまり変わらず、そのうえフルハウスや4カードになる可能性まで足される。捨てているのは、捨てても損しないカードだけだ。
二ゲームで100枚の差がつく
アキヤマは続くゲームも取り、中堅戦開始からわずか二ゲームでチップ100枚の差をつける。金額に直せば一億だ。ところが差をつけられた側の第一声が「チップ100枚、そんなものどうってことない」で、そこから種明かしが始まる。
イカサマを防ぐ仕組みが、そのまま必勝法になる
100枚の差をつけられたキクチが、タイムをかけて種明かしを始める。二連敗したのに機嫌がいい。
白く見える角は、二枚しかない
発端は模擬ゲームの三ゲーム目で、シャッフル中に一番下のカードの角が白く見えたことだった。「このゲームでカードの角が白く見えるのは、エースとジョーカーしかない」。17枚しかないという条件が、そのまま見分けの条件になっている。
目で追えるのは元ボクサーだからだ
「目で追うなんてできんのかよ」という当然の疑問に、「できるのよ、この人」と返される。バンタム級で日本一位まで行った元ボクサーで、引退したいまも動体視力は衰えていないという。心理戦のゲームで、勝負を決めているのが身体能力だ。
新品にするから、並びが同じになる
決め手は四ゲーム目にひらめいた仮説で、「ケースから出されたときのカードの並びは同じなんじゃないか」だった。使ったカードを毎回捨てて新品に替えるという、イカサマを防ぐための処置が、そのまま並びを固定していた。四枚交換はその仮説を確かめるための強引な一手で、読みは当たっている。
二連敗は、代償として払ったものだった
本番の二敗について本人が言うのが「俺はジョーカーの位置を突き止めるためなら、ゲーム序盤を捨ててもいい」だ。50枚を渡す代わりに、ジョーカーが山の一番上にあることを突き止めている。勝敗ではなくチップ数で決まるルールだからこそ、この払い方が計算になる。
先に切るほうが不利になる
中堅戦の開始時、ディーラーは先鋒戦のチップ数で東軍が勝っていたことを理由に、アキヤマから先にカット枚数を宣言させる。前回引き分けに持ち込んだ先鋒戦のチップ差が、ここでは先に配列を動かす側という不利になって残っている。あとから切る側は、相手の指定を見てから位置を決められる。
カットの順番が、必勝法の本体だ
最後の一手がそのカットだ。「最初の手札から俺にジョーカーが来るようカットの枚数を宣言する」、しかも「手札の一番右側に来るように」と言う。ディーラーの不正を防ぐために与えられた権利が、そのままジョーカーを自分の手札に置く手段になっている。三ゲーム目はアキヤマが三枚目、キクチが六枚目でカットし、キクチがフルハウスで取って終わる。




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