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実家のカフェでアルバイトをする押尾颯太は、同じクラスの塩対応の佐藤さんこと佐藤こはるが軽薄な客に絡まれているところを助ける。泣き出した彼女が見せたのは、学校では誰も知らない不器用な素顔だった。塩対応の本当の理由、唯一無二の写真下手、そして金平糖が結んだ二人の初恋まで、甘いラブコメの幕開けとなる第1話を場面ごとに一つずつ丁寧に振り返る。




カフェで見かけた塩対応の佐藤さん
『塩対応の佐藤さんが俺にだけ甘い』がついに始まった。主人公は、実家のカフェでアルバイトをする高校2年生の押尾颯太。同じクラスの佐藤こはるは、誰に対してもそっけない態度から塩対応の佐藤さんと呼ばれる有名人だ。第1話は、そんな彼女の意外な素顔を颯太が知り、二人の距離が一気に縮まるまでを描いた、甘くて温かいラブコメの幕開けだった。
カフェつつじと佐藤こはる
颯太が働くカフェつつじは、町内の隠れ家的なガーデンカフェだ。客層は女性同士やカップルが多く、一人で来る客は珍しい。だからこそ、パンケーキを前に真剣な顔でスマートフォンを構える一人の少女が目に入った。それが、同じ桜庭高校の2年生、佐藤こはるだった。
整った容姿とクールなたたずまいで、佐藤さんは入学当初から男女問わず多くの生徒の心をつかんできた。けれど、遊びに誘われても、部活に誘われても、返ってくるのはそっけない言葉ばかり。颯太自身もあいさつをしてみたことがあるが、「誰ですかあなた」と返されてしまった。こうしてついたあだ名が、塩対応の佐藤さんだった。
そんな佐藤さんが、一人でカフェに来て、パンケーキの写真を撮ろうと奮闘している。何をしているのかは分かる。けれど、動きがどうにも面白い。学校での近寄りがたい姿と、目の前の不器用な姿の落差に、颯太ならずとも目を奪われる導入だった。
絡まれた佐藤さんと筋肉の店長
そこへ、軽薄な男性客二人が佐藤さんに声をかける。うまく撮れないなら撮ってあげる、ついでに連絡先も交換しようと迫る二人に、佐藤さんは困り果てていた。颯太はすかさず間に入り、うちはそういう店ではないと注意する。けれど二人は、バイト君は仕事に戻れと笑うばかりだった。
そこで颯太が呼んだのが、店長である父だった。パンケーキがおいしかったそうですよ、と。現れたのは、筋骨隆々の大男。その迫力に、二人の客は青ざめて逃げ帰ってしまう。直接おいしいと言ってほしいのに、いつも客に逃げられる父という設定がおかしく、颯太の「その筋肉をどうにかしなよ」という一言に思わず笑ってしまった。
筋肉に罪はない、と言い張る父とのやりとりも楽しい。頼りになる父と、それに慣れっこの息子。押尾家の空気の温かさが、この作品の居心地のよさにつながっているように感じた。
颯太の機転も見事だった。自分で追い払おうとして揉めるのではなく、店長である父に任せることで、店の雰囲気を壊さずに佐藤さんを守った。カフェの看板を背負う息子としての、冷静な判断だったと思う。
塩対応の正体
ところが、助けられたはずの佐藤さんの様子がおかしい。颯太が大丈夫かと声をかけると、彼女は突然泣き出してしまった。
涙と本当の素顔
怖かった、と泣きじゃくる佐藤さん。あの塩対応の佐藤さんが、と颯太はうろたえる。父にひとこと断って裏に引っ込み、颯太はいつも自分が飲んでいるアールグレイを佐藤さんにいれた。少し落ち着いた佐藤さんは、颯太の名前を知っていた。2年から同じクラスなのだから当然だが、それでも颯太にとっては驚きだったのだろう。
何をしていたのかと尋ねる颯太に、佐藤さんはおずおずとスマートフォンの写真を見せる。そこに写っていたのは、スイーツのはずなのに、戦場か事故現場のような写真ばかり。めっちゃ下手だね、と思わず本音がこぼれてしまう颯太。それでも、佐藤さんが勇気を出して見せてくれたことに、二人の距離の変化が表れていた。学校では誰にも見せなかった弱みを、颯太にだけは打ち明けられる。その特別さが、ここから少しずつ積み重なっていく。
友達作りとミンスタグラム
佐藤さんは、実は友達がいないのだと打ち明ける。昔から人と話すときに緊張してしまい、口数が少なくなる。話がつまらないのか、みんな離れていってしまう。そして明かされるのが、あの塩対応の本当の理由だった。ボウリングの誘いには、あんな重そうな球は絶対に無理。チア部の誘いには、あんなに足を上げるのは恥ずかしい。用事があるのは、家で母の手伝いをしないといけないから。
そっけない言葉の裏には、それぞれちゃんと理由があった。口に出すのはその一部だけで、残りは心の中にしまわれてしまう。だから冷たく見えていただけなのだ。この種明かしの見せ方がうまく、塩対応のイメージが一気に可愛らしいものへと変わっていった。
佐藤さんは、写真投稿を中心にしたSNS、ミンスタグラムで人気者になれば、みんなと普通に話せるようになるのではないかと考えていた。甘いものが好きでよく一人で食べに行くので、それを投稿したいのだという。けれど写真が下手すぎて、こんなものを投稿したら壮絶ないじめにあうのではと、想像を膨らませて不安がる姿もまたおかしかった。
友達がほしいという願いのために、苦手な人づきあいを避けるのではなく、自分なりの方法を探そうとしている。そのまっすぐさが、佐藤さんという人物の芯の強さを感じさせた。塩対応という言葉の陰に、こんなにいじらしい努力が隠れていたのだ。
「ある意味唯一無二の才能」
颯太が佐藤さんのスマートフォンで写真を撮ってみせると、佐藤さんはきれいだと目を輝かせる。実は颯太は、カフェつつじのアカウントを担当していて、フォロワーは5000人もいるのだ。今度は佐藤さんが挑戦してみるが、なぜかとんでもない写真になってしまう。
もはや芸術的なセンスのなさ。スマートフォンの最新機能をもってしてもカバーしきれない不器用さ。ここまで下手に撮れるのは、ある意味唯一無二の才能だ。颯太の心の声が容赦なくて笑ってしまうが、それでも前の写真よりはよくなっていると励ますところに、彼の優しさがにじんでいた。
同じ画面を見たほうが教えやすいと顔を寄せる颯太に、佐藤さんは驚いて声を上げる。そして、改めて助けてくれたお礼を伝え、すごくかっこよかったと告げた。塩対応の佐藤さんが、颯太にだけ見せる素直な言葉。題名の意味が、この一言で鮮やかに伝わってきた。
二人の初恋
店が忙しくなり、佐藤さんは帰ることになる。けれど、物語はここから甘さを増していく。
庭のツーショット
帰り際、佐藤さんは忘れ物をしたように振り返り、写真を撮ってもいいかと尋ねる。颯太の写真かと思いきや、カフェの庭の写真だと慌てて言い直す。お花がきれいで映えそうだから、と。手伝おうとした颯太がスマートフォンを操作すると、カメラが自撮りに切り替わり、二人の姿が画面に収まってしまった。
撮り直そうかと言う颯太に、佐藤さんは大丈夫、いい写真が撮れたからと笑って帰っていく。偶然撮れたツーショットを、佐藤さんは大事そうに見つめていた。写真が二人をつなぐ鍵になっていくことを予感させる、印象的な場面だった。
佐藤さんを見送った颯太は、限界だとばかりにその場に崩れ落ちる。変なことを言っていなかったか、気持ち悪くなかったか。父に大丈夫イケメンみたいだったと励まされながら、颯太は必死だった自分を振り返る。佐藤さんに気味悪がられたくなくて、下心があると思われたくなくて、頑張ったのだと。余裕に見えた颯太も、実は必死だったという種明かしがたまらない。
金平糖と人生一度きりの初恋
そして描かれるのは、二人の過去だ。高校の入学試験の日、緊張で何も食べられずにいた少女に、颯太は金平糖を差し出した。からかわないでくださいと身構える少女に、颯太は、これからクラスメイトになるかもしれないから関係があると答える。一つ受け取った少女は、ただの砂糖の塊じゃないですかと言いながらも、とても甘くておいしかったとお礼を言った。
高校で再会した彼女は、自分のことを覚えていなかった。けれど颯太は、もう一度あの笑顔を見たいと思っていた。あの日、人生一度きりの初恋を使ってしまったのだから。そして場面は佐藤さんへ。初恋の人といっぱい話してしまった、と顔を赤らめる彼女の姿で、第1話は幕を閉じた。
颯太は、佐藤さんが自分を覚えていないと思っている。けれど佐藤さんにとっても、颯太は初恋の人だった。お互いに相手を初恋の人だと思いながら、それに気づいていない二人。両片思いという関係が、第1話の最後ではっきりと示された。
颯太の側から見れば片思いで、佐藤さんの側から見ても片思い。けれど視聴者だけは、二人が同じ気持ちでいることを知っている。この構図が、何気ない会話の一つひとつを特別に甘いものにしていた。
まとめと考察
第1話は、塩対応と呼ばれる少女の素顔と、二人がお互いを初恋の相手として心に秘めていたことを描いた回だった。テンポのいい笑いと甘酸っぱさが、心地よく混ざり合っていた。
塩と砂糖の関係
塩対応の佐藤さんと、押尾くん。名前の響きまで、塩と砂糖の組み合わせになっているのが面白い。そっけなく見える佐藤さんの言葉には、本当はちゃんと理由がある。そして颯太だけが、その理由を知っている。周りには塩、颯太にだけ砂糖という関係が、この作品の甘さの源なのだと感じた。
金平糖をただの砂糖の塊だと言った少女が、今は颯太の前でとびきり甘い表情を見せている。入学試験の日の小さな出来事が、二人の今につながっているという構成も美しかった。
両片思いの行方
颯太は佐藤さんが自分を覚えていないと思い込み、佐藤さんは颯太に話しかけられて舞い上がっている。お互いの気持ちが見えている視聴者からすれば、もどかしくてたまらない。けれど、そのもどかしさこそがこの作品の楽しみ方なのだろう。
写真の撮り方を教えるという約束で、二人はこれからも一緒に過ごす時間を重ねていくはずだ。偶然撮れたツーショットのように、二人の思いが同じ画面に収まる日はいつ来るのか。甘い二人の関係を、にやにやしながら見守っていきたい。
不器用な佐藤さんと、余裕を装う颯太。どちらの視点も可愛らしく、ずっと見ていたくなるような第1話だった。




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