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名門ググレカース家に生まれたローナは、発現させた固有スキル「インターネット」が最弱だと見なされ、家を追い出されてしまう。ところがそのスキルは、この世界の攻略情報をすべて調べられるとんでもない力だった。追放を解放に変える前向きさ、ネットあるあるの笑い、そして初級魔法が大魔法になるギャップまで、ローナの旅が始まる第1話を場面ごとに一つずつ振り返る。




ググレカース家からの追放
『世界最強の魔女、始めました』第1話は、名門の家を追い出された少女ローナが、誰にも価値を理解されなかったスキルで自由な旅を始めるまでを描いた回だった。開始早々から家名の響きで笑わせにくる、肩の力を抜いて楽しめる幕開けだった。
最弱扱いされたスキル
物語は、ローナが家から追放される場面から始まる。「二度とググレカースの姓を名乗るな」「お前はもう妹じゃない」と突き放され、森でのたれ死にでもすればいいとまで言われてしまう。理由は、彼女が発現させた固有スキル「インターネット」が、Gランクよりも下の最弱クラスだと見なされたからだった。
着の身着のまま追い出されたローナがステータスを確かめると、名前は亡くなった母方の姓に変わり、ローナ・ハーミットになっていた。本当に追放されたのだと実感する場面だが、悲壮感はほとんどない。レベルは1、まともな装備もない。それでもローナの口から出てきたのは、恨み言ではなかった。
「やっと外に出られた」
ずっと屋敷に閉じ込められていたローナにとって、森は初めて見る外の世界だった。広い、すごい、空気がおいしい、木ってこんなに力強いんだ。追放を解放として受け止める前向きさが、この作品の空気を最初に決めていたと思う。
もっとも、外の世界は甘くない。初級魔法のプチアイスはスライムにすら通じず、最後の手段として発動したスキル「インターネット」は何も起こさない。結局スライムを倒したのは、ただの「インターネットキック」だった。手に入った魔石も、パンの耳くらいしか買えない額にしかならない。前向きな気持ちと厳しい現実の落差が、テンポのいい笑いになっていた。
インターネットという力
このままでは本当にのたれ死にエンドだと焦るローナ。せめて使い方が分かれば、という願いから、彼女はスキルの画面に向き合い始める。
文字を打つところから
画面に並んだ文字をタッチして言葉を作ればいいらしい。伸ばす音はどう打つのか、間違えた文字はどう消すのか。初めてキーボードに触れたような手探りの様子が、妙に懐かしく感じられた。検索結果を見て、図書館みたいなスキルなのかと首をかしげながらも、旅をするならまず情報だと気持ちを切り替えるあたりに、ローナの柔軟さが表れていた。
試しに森の地図を調べてみると、出てきたのは森の攻略ウィキ。国家機密レベルの詳しい地図だった。さらに近くに落ちている小銭の額まで書かれていて、行ってみるとぴったりその金額が見つかる。人物一覧、装備一覧、スキル一覧まで載っていると知ったローナは、これは「神の英知に触れるスキル」なのだと確信する。
母の願いと自由
ここで差し込まれるのが、母との思い出だ。貴族のしがらみのせいで、娘まで屋敷に閉じ込めてしまったことを謝りながら、母は「あなたは自由に生きて」と願っていた。「この物語の主人公のように」と。たくさんの景色を見て、たくさんの人に出会って、たくさん笑って過ごしてほしい。
母と同じように、屋敷の中で一生を終えると思っていた。けれど、このスキルがあれば自由に生きられるかもしれない。ギャグの合間に置かれた母の願いが、ローナの旅にまっすぐな芯を通していた。使い方が分かる前に追放されてよかった、もし分かっていたら家の情報収集の道具にされていただろう、と考えるしたたかさも含めて、彼女の旅立ちは明るい。
家にとっては恥さらしの娘でも、ローナにとっては、ようやく手に入れた自由の始まりだった。追い出した側と追い出された側で、同じ出来事の意味がまったく違って見える。この対比が、後半に描かれる家の騒動をいっそう皮肉なものにしていた。母が願った自由な人生を、娘がハズレ扱いのスキルで切り開いていく。その構図に、思わず応援したくなる気持ちが湧いてきた。
広告で「インターネットが壊れた」
もちろん、すべてが順調なわけではない。調べものの途中で変な画面が現れ、広告って何、と戸惑うローナ。元のページに戻ろうと小さな×印を押そうとするうちに、画面はどんどん増えていき、ついには「インターネットが壊れた」と叫ぶ羽目になる。
誰もが一度は経験したことのある失敗を、異世界の少女が真剣に慌てながら体験する。このネットあるあるの再現が、作品ならではのおかしみだった。やがてウィンドウを複数出したり、他人には見えないプライベートモードで検索したりと、使いこなしていく成長ぶりも楽しい。
世界樹の杖とユグドラシル
小銭を探して森を進むローナは、攻略ウィキで隠し通路の存在を知る。その先にあるのは、世界樹の杖ワンドオブワールドという入手アイテムだった。
分かりにくいランク
名前からしてすごそうな杖。ここでローナは、SSSランクがAランクの3つ上だという事実を知る。なぜAの次がSで、その次がSSなのか。分かりにくくないか、それなら星の数でいいのでは、とぼやくローナには思わず共感してしまった。けれど、その分かりにくさのおかげで外に出られたのだと思い直すところに、彼女らしい切り替えの早さがある。
隠し通路の先でキーワードを唱えると、現れたのは世界樹の精ユグドラシルだった。数々の試練を突破したのですね、と厳かに語りかけてくるが、ローナは攻略ウィキのおかげで全部を飛ばしてきただけ。たくさんの冒険をしてきたことでしょうという言葉に、心の中で「旅に出てからまだ1時間くらいです」と返す温度差が最高だった。
「返品受け付けてますか」
ユグドラシルは杖を、そしてこの世界を、ローナに託すと告げる。ようやくあの人のところへ、という言葉を残して消えていく姿は少し意味深だったが、ローナの反応は「返品受け付けてますか」。もうちょっと軽い感じでもらえると思っていた、と平謝りする姿に、思わず笑ってしまった。
世界を託すなんてとんでもない爆弾を押し付けられた気分。それでも、強いに越したことはないし、今さら捨てるわけにもいかない。いっかー、と受け入れてしまう軽さが、ローナというキャラクターの魅力だと思う。
マナポイント99999
ステータスを調べると、マナポイントは99999。表示がバグっているのかと疑うほどの数字だ。もしかして私、と気づいた彼女の「世界最強になってる」という言葉で、タイトルの意味がはっきりする。
その夜、焚き火のために初級魔法のプチフレームを唱えると、炎は森を焼き尽くす勢いで燃え上がる。初級魔法が大魔法になってしまうギャップは、この作品の大きな見どころになりそうだ。「平和に自由に生きたいだけなのに」と嘆くローナの叫びとは裏腹に、遠く離れたググレカース家では、森の大霊脈が消滅したという知らせに大騒ぎになっていた。
霊脈のマナを独占することで栄えてきた家にとって、これは一大事だ。マナポイントが1万を超える強大な魔法反応が検出されたと聞き、そんな魔法を使える存在がいるなら「魔王か何かだ」とおののく。追い出した娘が原因だとは夢にも思っていない様子が、なんとも皮肉だった。
森の主との戦い
町を目指すローナは、攻略ウィキに書かれた採取ポイントで薬草を集め、ゴブリンの落とし穴やモンスターの弱点まで、すべて予習済みで森を進んでいく。
予習済みの冒険
普通なら奇襲を受ける場面でも、ローナはインターネットで知った知識で先回りする。モンスターのマナポイントをゼロにすると行動不能になる。ブラウンゴブリンの弱点は風属性。あることすら知られていないスキルの習得条件まで書いてある攻略ウィキは、この世界では国家機密級の情報だ。それでも彼女が思うのは、新しいスキルを覚えるのはワクワクする、ということだった。
森の出口で待ち構えていたのは、レベル50の森の主だった。「インターネットには正しいことしか書かれてない」と自分に言い聞かせながらも、「予習してても怖いものは怖いよ」と本音をこぼす。このあたりの等身大の反応がかわいらしい。
大事な食料と決着
戦いの最中、集めた薬草が台無しにされると、ローナの表情が一変する。私の大事な食料が、許せない、と怒る理由が食べ物というのがローナらしい。壁をたくさん作って森の主を誘導し、先ほど回避したゴブリンの落とし穴に落とす作戦は見事だった。攻略情報を自分の作戦に変える頭の回転も、彼女の強さの一つなのだと感じた。
拍子抜けするほどあっさり勝ってしまったローナは、杖の効果やスキルの倍率を一つずつ数え上げ、最後には考えるのをやめて、だいぶ強くなったんだなと納得する。この雑な締めくくりまで含めて、肩の力を抜いて見られる作品だと実感した。
まとめと考察
第1話は、追放、最強の杖、規格外の魔法という王道の流れを、インターネットというスキルでひねってみせる回だった。ネットの便利さも危うさも、異世界の少女の目を通すことで新鮮な笑いになっていた。
インターネットを信じすぎる危うさ
ローナは、インターネットに書いてあることはみんな正しいと信じている。今のところ攻略ウィキの情報はすべて当たっているが、広告で画面が壊れたように、ネットには落とし穴もある。この素直さがいつか思わぬ失敗につながるのか、それとも最後まで最強のまま突き進むのか。そこも今後の楽しみの一つになりそうだ。
一方で、ローナ自身は世界最強になったことをまだあまり自覚していない。無自覚のまま周囲を驚かせていく展開が、これからどんどん広がっていくのだろう。
自由に生きるという願い
ギャグの多い作品だが、物語の根っこには、自由に生きてほしいという母の願いがある。屋敷に閉じ込められていた少女が、外の空気をおいしいと感じ、木の力強さに感動する。その一つ一つが、母の願いをかなえる第一歩になっているのだと思う。
世界を託されたという重い役目と、平和に自由に生きたいという本人の願い。その二つがこれからどう折り合っていくのか。のんびり笑いながら、ローナの旅を見守っていきたい。




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