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完全新作の第1話の副題は「ケロロのドリームランド」。家中をピカピカにしたケロロが冬樹たちを招待したミニチュアの街、その本当の目的はガンプラだった。ところがケロロはケロン憲兵団に連れ去られ、冬樹が隊長代理としてケロロ小隊を率いることに。最後にケロロが口にしたそれは今ではないという言葉とともに、完全新作として始まった新シリーズの幕開けを振り返る。




第1話の副題は「ケロロのドリームランド」
『ケロロ軍曹☆』第1話の副題は「ケロロのドリームランド」。公式のあらすじは「ピカピカに掃除されたリビング、綺麗に畳まれた洗濯物、丁寧に手洗いされた食器」と始まり、すべては日向家に居候している宇宙人ケロロ軍曹の仕業だったと伝えている。そして「この至れり尽くせりのおもてなしはケロロ小隊によって仕組まれた地球(ペコポン)侵略作戦の一環だった」。完全新作の第1話は、おなじみの日常から始まって、思いがけない大騒動へと転がっていく回だった。
家中ピッカピカの日向家
朝、冬樹は「お風呂もトイレも」「家中ピッカピカだよ」と驚く。掃除も洗濯も皿洗いも、すべてケロロがやったのだという。洗濯物は「色分け&柔軟剤を適宜使用」。素直に感謝する冬樹とは対照的に、夏美は「またなんか企んでるんじゃないの」と疑いの目を向ける。
完璧すぎる家事ほど怪しいものはない。夏美の勘の鋭さと、冬樹の人の良さ。日向家の姉弟の関係が、冒頭の数分でしっかりと伝わってくる。
家事を全部こなすケロロの姿は、居候としては満点だ。けれどこの作品を知っている人ほど、その裏に何かあると身構えてしまう。ケロロが善行をすればするほど怪しく見えるという逆転の構図が、冒頭からしっかり笑いにつながっていた。日向家の母・秋の姿も見られ、家族のにぎやかな空気がよく伝わってくる。
ミニチュアの街への招待
ケロロが用意したのは、街の模型だった。小さくなって入ってみると、本屋の売り物の本も、ケーキもお菓子も、すべて本物と同じように再現されている。冬樹は「小さくなっただけなのに」「すっごく落ち着くな」とつぶやく。
「何も邪魔されない空間で」「好きなことにとことん熱中できる」。ケロロは、これこそが自分のドリームランドだと胸を張る。「俺は信じていたぞケロロー」と喜ぶ声まで上がるが、もちろんそううまくはいかない。
小さくなって街を歩くという設定は、見ている側にもちょっとした冒険気分を味わわせてくれる。本物そっくりのケーキに目を輝かせたり、店の中の本まで再現されていることに驚いたり。小さな世界だからこそ、日常のありがたさが際立つ。冬樹が「すっごく落ち着くな」とこぼしたのも、そんな居心地のよさがあってのことだろう。
ケロロの本当の目的
ドリームランドの正体は、思った以上にケロロらしいものだった。
「ついにこの日が来たであります」
「今の我が輩は144分の1のサイズ」。つまり、日頃から慣れ親しんだ144分の1のガンプラたちが、等身大で並ぶ世界になるということだ。ケロロは大はしゃぎで、ガンダムシリーズの名機たちを次々と見て回る。
掃除も洗濯も皿洗いも、すべてはこのためだった。一瞬でもケロロを信じたことを後悔する声もあれば、地球への害がなくて何よりだと胸をなで下ろす声もある。侵略作戦と見せかけて、実はただのガンプラ遊びという肩すかしが、いかにもケロロ軍曹らしい。
西澤桃華と東谷小雪
ミニチュアの街では、友人たちもそれぞれの時間を楽しんでいた。桃華は冬樹をカフェに誘おうとするが、冬樹は「あそこの博物館に世界中のユーマの実物大模型が展示してあるんだって」と、オカルトのことで頭がいっぱいだ。小雪は夏美に、クレープ屋さんとアイスクリーム屋さんがあったと声をかける。
おなじみの面々がそろって、それぞれのらしさを見せてくれるのも、第1話ならではのうれしさだった。新しいキャストになっても、キャラクターの関係性はそのまま受け継がれている。
ケロン憲兵団の登場
平和な時間は、突然終わりを告げる。
「ケロロ軍曹だな ご同行願おう」
ガンプラを満喫するケロロの前に、謎の宇宙人が現れる。「ケロン軍直属」の部隊名を読み上げ、「ケロロ軍曹だな」「ご同行願おう」。ケロロはそのまま連れ去られてしまう。
その正体は、ケロン憲兵団だった。もともとは、侵略に行ったまま遊びほうける兵を取り締まる機関で、配属志願者ゼロのまま放置され、のちに自動化されたシステムだという。クルルは、そんなシステムに引っかかるほど「隊長の侵略がやばかったってこと」と皮肉る。
憲兵団が自動化されたシステムだという説明も、どこかとぼけていて面白い。取り締まる側が誰もやりたがらず、結局機械任せになった組織に、ケロロがまんまと引っかかってしまう。シリアスな危機のはずなのに、その発端がケロロのさぼりぐせというのが、いかにもこの作品らしい。
「クビだ」
憲兵団に捕まったケロロはどうなるのか。ギロロの答えは「クビだ」。本部に任を解かれ、ケロロ小隊の侵略はそれで終わる。侵略をやめてくれるならありがたい、という気持ちもないわけではない。
それに真っ先に反対したのが冬樹だった。「そんなのやだよ」「絶対やだ」。軍曹たちがケロン星に帰ってしまうということだから。「そもそも軍曹は何もやってない」「悪いことなんかしてないのに」という声が続き、「軍曹さんはびっくりするくらい何もやってないです」という力説まで飛び出す。侵略者であるはずのケロロが、こんなにも周りに必要とされていることが、この場面で一気に伝わってきた。
冬樹が隊長代理に
ケロロを取り戻すため、ケロロ小隊は動き出す。
「軍曹の代わりに僕が行く」
目指すは、要塞の中心部にあるジャッジセンター。作戦行動には5人が必要だが、ケロロがいない。モアが名乗り出るものの、ケロン星とペコポンの問題にアンゴル族が出ていっては話がややこしくなる。そこで手を挙げたのが冬樹だった。「軍曹の代わりに僕が行く」「そして話をつける」。
こうして「フッキー」こと冬樹が、ケロロの代わりに隊長代理を務めることになる。ケロロの一番の友達である冬樹が、隊長代理としてケロロ小隊を率いるという展開には胸が熱くなった。冬樹の「頑張る」という一言に、強い決意がこもっていた。
これまでのシリーズでも、冬樹はケロロの一番の理解者として描かれてきた。その冬樹が、ケロロを取り戻すために自分から危険な場所へ飛び込む。友達を助けたいというまっすぐな気持ちが、冬樹を隊長代理にした。宇宙人に寛容で、ケロロと友達になりたいと願ってきた冬樹らしい選択だった。
ケロロ小隊の総力戦
要塞に乗り込んだ一行の前には、機械警備兵が次々と現れる。自分に命令しろと言うギロロに、冬樹は「じゃあギロロお願い」と指示を出す。「了解だ」。ギロロの砲撃で道を切り開き、ドロロとタママには「ここをお願い」と後を託す。
クルルが「特化型はヤバいぜぇ」と言うほどの強敵が相手でも、ケロロ小隊は一歩も引かない。隊長がいなくても、それぞれが自分の役割を果たす。ふだんはばらばらに見える小隊が、ケロロのために一つになる姿が頼もしかった。
冬樹が指示を出し、ギロロが撃ち、ドロロとタママが道を守る。ケロロがいないぶん、小隊のメンバーそれぞれの得意分野がはっきり見えるのも、この総力戦の面白さだった。ケロロ小隊のことを初めて見る人にも、一人ひとりの個性が自然と伝わる作りになっていて、新シリーズの第1話としてよく考えられていると感じた。ギロロの砲撃の迫力も、見ていて爽快だった。大勢の機械警備兵をまとめて吹き飛ばす場面は、この回のアクションの見せ場の一つだ。
「あんたらしくないこと言ってないで」
敵の数に押され、ギロロが弱音を吐きかけたそのとき、夏美が駆けつける。「あんたらしくないこと言ってないで」「私が手伝ってあげるから」。驚くギロロの姿には、思わず笑ってしまった。
桃華や小雪も駆けつけ、地球人とケロン人が肩を並べて戦う。侵略する側とされる側が、ケロロを取り戻すために力を合わせる。この作品が長く描いてきた関係性が、そのまま一つの場面に詰め込まれていた。
ギロロと夏美のやり取りは、長年のファンにはおなじみの関係だ。夏美の前ではいつも調子を崩してしまうギロロが、戦場で夏美に助けられる。おなじみの関係性が、新しいキャストでもしっかり息づいていることがうれしい場面だった。
まとめと考察
第1話は、完全新作の始まりでありながら、まるで長い物語の総決算のような大胆な構成の回だった。
「それは今ではない」
最高司令官を名乗る相手からは、ケロロの体がこれまでの戦いで大きなダメージを受けており、「これ以上エネルギーを消耗すれば」「二度と侵略できない体になる」と告げられる。ケロロは一度は「こんな体でケロン軍の大事な任務に」「居座るわけにはいかないであります」と受け入れかける。
けれど最後に、ケロロはこう言う。いつか次の若者たちに役目を譲る日が来ることも分かっている。「されど」「それは今ではない」。侵略をあきらめないケロロの宣言が、そのまま新しいシリーズの始まりを告げる言葉にもなっていた。
体のダメージを理由に引退を勧められても、ケロロは侵略をやめない。地球人から見れば困った宣言だが、冬樹たちにとっては何よりうれしい言葉だったはずだ。侵略者でありながら、地球にいてほしいと願われる存在。その不思議な関係こそが、ケロロ軍曹という作品の核なのだと改めて感じさせる場面だった。
新しいケロロ軍曹の始まり
見たことのない回想や、これまでの仲間が勢ぞろいするにぎやかさ、ガンダムのパロディや特撮のオマージュまで、第1話から盛りだくさんだった。新しいキャストのもとで、冬樹たちとケロロ小隊の関係はしっかり受け継がれている。家事もガンプラも侵略も全力のケロロが、これからどんな日常を見せてくれるのか楽しみだ。
冬樹が隊長代理を務め、夏美がギロロを助け、友人たちが駆けつける。誰もがケロロのことを大切に思っているからこそ、この騒動は起きたのだとも言える。侵略者と地球人という関係を超えた、日向家とケロロ小隊の絆が、第1話でまっすぐに描かれていた。エンディングまで含めて、ケロロ軍曹らしいにぎやかさと温かさに満ちた三十分だった。




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