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ドリームランドから戻ったテレンスを待っていたのは、リディアに持っていかれたノートという大問題だった。夢の世界では悪夢猫に襲われ、氷を操る旅人に救われ、ユングから思わぬ誘いを受ける。そしてテレンスは、自分なりの旅人の生き方を見つけていく。消えたノート、魔法のマッチ、そして夢人を守るという使命まで、旅人として歩き出したテレンスの第2話を振り返る。




第2話 消えたノートと夢の続き
第2話「旅人」は、旅人となったテレンスが、現実ではリディアに持っていかれたノートに振り回され、夢の世界ではドリームランドの厳しさと広さを知っていく回だった。悪夢猫との出会い、氷を操る旅人、ユングから渡された魔法のマッチ、そしてサヴァナとの出会い。テレンスが自分なりの旅人のあり方を見つけていく第2話を振り返っていく。
リディアの手に渡ったノート
目を覚ましたテレンスは、ドリームランドでの出来事をノートに書き留めようとして、そのノートがないことに気づく。中に描いてあったのは、リディアの絵と、リディアに向けて書いた詩のすべて。「俺もう完全に詰んだ」と頭を抱えるテレンスの慌てぶりには、思わず笑ってしまった。
「どうせ自分からは動けねえんだし」、「これで気持ちが伝わったんだろ」と軽く言われても、テレンスにとっては世界の終わりも同然だ。テストどころではないテレンスと、それを大げさだとあきれる周りの温度差が、学園パートのコミカルな魅力になっていた。幼稚園の頃から片思いを続けてきたテレンスにとって、それほど大切な気持ちが詰まったノートだったのだろう。
夢の中では火を操る旅人になれても、現実のテレンスは好きな相手に声をかけることすらできない。そのギャップが、テレンスという主人公を身近に感じさせてくれる。どんなに不思議な力を手にしても、恋の悩みだけは自分で向き合うしかない。そんな当たり前のことが、かえって物語に温かみを与えていた。
ユングと集合的無意識
授業では、テレンスが手に取った心理学の本に先生が目を留める。カール・グスタフ・ユングの説によれば、我々には集合的無意識があり、すべての人間は想像や夢で結びついているのだという。ドリームランドで出会った老人と同じ名前の心理学者の説が、テレンスの体験と不思議に重なっていく。
けれどテレンスは「夢のことなんか考えても無駄だ」、「現実じゃない」と突っぱねる。夢の中では火への恐怖を克服できても、現実の人生は思いどおりにいかない。それでも夢と現実がどこかでつながっているかもしれないという予感が、この作品の大きなテーマになっていきそうだと感じた。
夢のことなど考えても無駄だと言いながら、テレンスはすでにその夢の世界に深く足を踏み入れている。母を失った炎の悪夢に苦しんできたからこそ、夢を現実から切り離して考えたいのかもしれない。けれど、夢がただの夢ではないことを、テレンス自身が誰よりもよく知り始めているのだ。
ドリームランドの洗礼
悪夢猫と氷の旅人
その夜、ドリームランドに降り立ったテレンスの前に現れたのは、悪夢猫を名乗る旅人だった。ここは「夢人の平原」で、眠った人々がやってくる場所。旅人は夢の中の出来事をすべて覚えていられる「選ばれし者」なのだという。そして悪夢猫は、夢人の夢を壊して悪夢に変える存在だった。
仲間に誘われても、テレンスにはユングを探すという目的がある。誘いを断り、火の力で立ち向かおうとするが、まだ初心者のテレンスは力をうまく扱えない。「俺まだ初心者なの」と叫ぶテレンスのピンチを救ったのは、氷を操る旅人だった。
悪夢猫の言い分はこうだ。眠った夢人は目覚めても何が起きたか覚えていない。だから夢を壊しても誰も困らない。けれど、それはあまりにも身勝手な理屈だ。ドリームランドが夢人にとってどれほど大切な場所なのかを、この時点のテレンスはまだ言葉にできていない。その答えを見つけるまでの過程が、この回の大きな流れになっていた。
ドリームランドに来てまだ2日だというのに、悪夢猫を軽々と退ける強さ。テレンスが「すっげえかっこよかった」と目を輝かせるのも当然だった。同じ新入りでありながら、ここまで差があることに、テレンスも自分の未熟さを痛感したのではないだろうか。
同じ時期に旅人になった者の中にも、これほどの実力者がいる。ドリームランドがいかに広く、いかに多様な旅人が集まる場所なのかが、この出会いからよく伝わってきた。テレンスにとっては、自分の立ち位置を知るよい機会になったはずだ。
ユングの誘いと魔法のマッチ
そこへユングが現れ、二人にある提案をする。一緒にドリームランド中を回り、完全な地図を作った最初の旅人になろう、と。けれどテレンスの答えは「パス」。ドリームランドのことは知りたいけれど、「自分の力でやりたい」のだという。氷の旅人も同じく誘いを断り、一人で旅立っていった。
伝説の元旅人からの誘いを、あっさり断ってしまうテレンスの姿勢は痛快だった。誰かに導かれるのではなく、自分の目でドリームランドを見て回りたい。その気持ちは、現実でなかなか一歩を踏み出せないテレンスが、夢の中では自分の意思で道を選ぼうとしている表れでもあるのだろう。断られて慌てるユングの様子にも、どこか愛嬌があった。
それでもユングは、テレンスの質問に丁寧に答えてくれる。昼間に描いていた場所は、リディアの夢の中だった。誰かのことを考えながら眠るか、相手が自分のことを考えながら眠ると、その人の夢に入れるのだという。そして火をうまく扱えないテレンスに、能力を増幅する「魔法のマッチ100本」を手渡す。
好きな人の夢に入れるという仕組みは、ロマンチックでありながら少し危うさも感じさせる。相手の心の中をのぞき見るようなものだからだ。テレンスがこの能力をどう使っていくのか、そしてリディアとの関係にどう影響していくのかも、今後の見どころになりそうだ。
リディアが自分の夢を見ていた。それはつまり、ノートを見てもリディアが自分を嫌いになっていない証拠だ。そう大喜びするテレンスは、ユングの話をほとんど聞いていない。せっかくの魔法のマッチにもピンとこない様子が、なんともテレンスらしかった。
ユングにとっては一大事の話をしているのに、テレンスの頭の中はリディアのことでいっぱい。このすれ違いがおかしくて、思わず笑ってしまった。どんなに不思議な世界に足を踏み入れても、テレンスはやはり恋に悩む普通の高校生なのだ。
第2話のまとめ考察
ニティの夢を守るために
翌日、ノートのことをはっきりさせたいテレンスに、ニティは「ごちゃごちゃ考えてないで話しかけなよ」と背中を押す。けれどテレンスが選んだのは、リディアが寝ている間に部屋へ忍び込んでノートを取り返すという、とんでもない作戦だった。思い切りのよさと不器用さが同居したテレンスの行動に、ついつい笑ってしまう。
ストーリーにいいねが450個もついたとはしゃぐ声など、学園パートの何気ない会話も楽しい。夢の世界の壮大さと、教室のありふれた日常。その対比が、テレンスが二つの世界を行き来していることを実感させてくれる。
そしてその夜、テレンスはニティの夢に入り込む。そこへ再び現れた悪夢猫は、無邪気に遊ぶ幸せそうな女の子は最高の獲物だと言い放つ。「今ニティの夢を邪魔する奴は俺が許さねぇ」。親友の夢を守るために立ち向かうテレンスの姿は、前の晩よりずっと頼もしく見えた。
前の晩は悪夢猫に手も足も出なかったテレンスが、守りたい相手ができたことで逃げずに立ち向かう。力の差は変わらなくても、戦う理由を見つけたことで心の強さが変わったのだ。ニティがいつもテレンスを支えてくれる親友だからこそ、その夢を壊させるわけにはいかなかったのだろう。
そこに割って入ったのが、悪夢猫を倒して序列を上げようとするサヴァナだった。自分の身も守れないのになぜ戦ったのかと問われ、テレンスは答える。「人の夢を壊す権利は誰にもない」、「夢でしか幸せになれない人もいるんだ」。
序列を上げるために戦うサヴァナと、夢人を守るために戦うテレンス。同じ旅人でありながら、戦う理由はまるで正反対だ。サヴァナの言葉は乱暴だが、どこか面倒見のよさも感じさせる。口が悪くケンカっ早いけれど、テレンスを放っておけない兄貴分のような存在になっていきそうな予感がした。
自分の使命は自分で決めろ
サヴァナは「自分の使命は自分で決めろ」と言い、「ドリームランドは夢を叶える場所だ」と語る。彼の夢はランキングのトップに立つこと。旅人はすぐに序列をつけられ、新入りはみんなベビーリーグから始まる。1年経てばメジャーリーグへ、そして最強の旅人50人が属するスペシャルリーグこそが真の目標なのだという。
ランキングという分かりやすい目標を掲げるサヴァナの考え方も、決して間違いではない。強くなければ守りたいものも守れないからだ。テレンスとサヴァナ、それぞれの夢の形がぶつかり合うことで、旅人とは何かという問いがより鮮明になっていく。
けれどテレンスは、そういうものには興味がないと言い切る。ドリームランドは悩みを忘れさせてくれる、現実では叶わない幸せをくれる場所。だからこそ、「この能力で他の夢人を全員守る」、「俺はそういう旅人になりたい」。第1話で火への恐怖を乗り越えたテレンスが、今度は自分の旅人としての生き方を見つけた瞬間だった。
振り返ってみると、第2話はテレンスが旅人としての自分の道を選ぶ回だった。ユングの誘いを断り、ランキングにも背を向け、夢人を守るという自分だけの使命を掲げる。その一方で、ラストには火の支配者アスモデウスが、忠誠を誓わずに動き回る新たな火の使い手を連れてこいと命じる。自分の道を選んだテレンスの前に、どんな試練が待ち受けているのか。ドリームランドの広がりとともに、物語がますます面白くなっていきそうだ。
火への恐怖を克服して旅人になったテレンスにとって、ドリームランドは自分の弱さを乗り越えた証のような場所だ。だからこそ、同じように夢の中で幸せを感じている夢人たちを守りたいという気持ちが自然に生まれたのだろう。母を失った悲しみを知るテレンスだからこそ見つけられた、優しい使命だと思う。




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