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部下に誘われたスイーツビュッフェで、小路を待っていたのは早すぎる元妻との再会だった。カワイイものを前に秘密を守りたい小路と、それを面白がる武林。そのほかにも迷子の子ども、雨の日のおまんじゅう、ケンタと出かけた立体ラテと、小路の「カワイイ」をめぐる日常が次々に描かれる。元妻とのビュッフェ、パグ太郎大作戦、そして大義名分の立体ラテまで、第4話を振り返る。




第4話 元妻と挑むスイーツビュッフェ
第4話は、部下に誘われたスイーツビュッフェで元妻の武林と早くも再会してしまう小路の奮闘から始まり、迷子の子どもとパグ太郎のポシェット、雨の日の小さな出来事、そしてケンタと味わう立体ラテまで、小路の「カワイイ」をめぐる日常がたっぷり詰まった回だった。秘密を守りながらカワイイものを楽しもうとする小路の姿を、場面ごとに振り返っていく。
再会が早すぎる元妻
きっかけは、総務部の部長からペアチケットを2枚もらった部下の提案だった。期間限定でキャラものがそろう話題のビュッフェと聞いて、甘いものは好きだが若い子たちに譲ろうとしていた小路も、みんなで行くことにする。ところが当日、そこに現れたのは元妻の武林だった。小路の心の声は「再会早すぎ」。前回の出張先で、近くに転勤してくると聞かされたばかりだったのだ。
話を聞けば、近くで働き始めた武林が、仕事帰りに元部下の茂科とばったり会い、出張先で小路に会ったことを話したところ、このビュッフェに誘われたのだという。一言くらい連絡をくれと言う小路に、返ってきたのは、連絡しなかったのはそのほうが「面白いと思ったからよ」という答え。この一言で、二人の力関係がよくわかる。
元夫婦とはいえ、相手のペースに振り回される小路の姿がなんともおかしい。会社では頼れる課長なのに、元妻の前では完全に押されっぱなしだ。第3話で趣味のことを打ち明けたばかりだからこそ、武林の側にもからかう余裕が生まれているのかもしれない。
第一回戦と第二回戦
小路は作戦を立てていた。キャラものをあえて外し、少なめに取ることで無難にやり過ごしつつ、女性陣とタイミングをずらす。ところが武林は、そんな小路の皿にかわいいプチシューを差し出して「こういうの好きなんでしょ」。部下の前でそれはやめろと慌てる小路と、要らないならともらってしまう武林。部下たちが感じ取った「にじみ出る元夫婦感」には笑ってしまった。
スイーツのかわいさに気を取られていた小路は、周りが女性ばかりだと気づいて焦る。今はキャラものスイーツ狙いで、目立ちたくない。しかも女性客とやたら目が合う。けれど女性客の側は、イケメンのおじさんを見て、芸能人かと思って避けていただけだった。小路の心配と周りの見え方がまったくかみ合っていないのが、この作品らしい笑いどころだ。
それでも、ずらりと並んだかわいいスイーツを前にすると、小路の心はすぐにとろけてしまう。これらを生み出せるパティシエを「魔法みたいだ」と感心し、ほかの客が写真を撮っていいかと店員に尋ねるのを聞いて、その手があったかと目を輝かせる。「これは資料」と自分に言い聞かせながらスマホを構え、「ケンタ君にも自慢したいし」と本音ものぞかせる。
この目がカメラだったら、まばたき一つで誰にもバレずに撮影できるのに、という小路の妄想も楽しい。カワイイものを好きでいるためには、いつも周りの目を気にしなければならない。その窮屈さを、小路は笑いに変えながら乗り越えているように見えた。
そこへ武林が、かわいいものが好きだとあの子たちに言っていないのかとささやき、自分が言ってきてあげるとまで言い出す。もちろん冗談なのだが、小路にとっては心臓に悪い。武林が自分の分のケーキに手を伸ばしても、小路は「ほっといてくれ」と返すのが精いっぱいだった。
結果は「第2回戦は引き分けといったところか」。誰と戦っているのかと思わずツッコミを入れたくなるが、小路にとってはそれだけ真剣な勝負だったのだろう。選び抜いた「うさちゃんチョコが乗ったプチミルフィーユがおいしかったな」と満足げに振り返る姿は、なんだかんだで楽しんでいたことを物語っていた。
部下の見当違いな推理
帰り道、部下たちは小路と武林の様子に興味津々だ。部下の一人は、課長には特定の人がいると前から確信していたと打ち明ける。お弁当を食べながらスマホを操作する穏やかな表情を見てしまったのだという。そして、その相手が今日わかった、あの表情は元奥さんに向けられたものだったのだと、ひとり納得してしまう。
気をきかせた部下たちは「お邪魔虫は帰りますね」と先に帰ってしまい、残された小路は武林を飲みに誘おうかとまで考える。ところが武林もタクシーを捕まえてあっさり帰っていく。前回とは違う肩透かしに、小路の心はなんとも複雑そうだった。秘密を守るための小さな嘘や隠し事が、思わぬ誤解を生んでいく。その連鎖がこの作品の面白さだと改めて感じた。
迷子とパグ太郎のポシェット
フリーマーケットの迷子
休日、小路は町内会の催しに駆り出され、フリーマーケットの手伝いをすることになる。そこで頼まれたのは、迷子の子どもの面倒を見ることだった。こんな小さな子が知らない男と一緒では怖がるのではないかと心配する小路だったが、その子が着ていたのはパグ太郎のプリントTシャツ。思わぬところで小さな幸せを見つけ、自分も着られたらとうらやましがる小路がかわいい。
けれど子どもは泣き出してしまう。「泣くな泣くな泣いてくれるな」と焦る小路は、子どもが好きそうなものを探して会場を回り、パグ太郎のポシェットを見つける。プリントTシャツを着ているくらいなのだから、これでなんとかなるかもしれない。小路が名付けたパグ太郎大作戦の始まりだ。
ポシェットを見せた途端、子どもは泣きやんで目を輝かせる。長年愛され続けてきたキャラクターの力に、小路も心の中で拍手を送る。ふだんは隠しているパグ太郎への愛が、ここでは迷子の子どもを笑顔にするために役立った。好きなものの力を、誰かのために使えた瞬間だった。
おじさんからのプレゼント
ポシェットを200円で買った小路は、「それはおじさんからのプレゼントだよ」と子どもに手渡す。やがて母親が見つかり、代金を払おうとする母親に、小路は「私からのプレゼントです」と答える。本当は自分用に欲しいくらいだという心の声が、いかにも小路らしい。
その直後、知らない男から子どもにプレゼントなんて不審すぎたかと慌てるのも小路らしいところだ。けれど母親は笑顔でお礼を言ってくれる。カワイイもの好きを隠し続けてきた小路にとって、その好きな気持ちがまっすぐ誰かに届いた経験は、きっと大きな意味を持つはずだ。
子どもの頃、好きなものを笑われて自分で否定してしまった小路が、今度は好きなものを通じて小さな子を助ける。過去の自分を少しずつ取り戻していくような、温かいエピソードだった。
雨の日の小さな幸せ
ケンタの小さな寂しさ
一方のケンタは、最近小路に会えていないことを気にしていた。同じビルで働いていても、デザインの仕事は時間がきっちり決まっているわけではない。新しく買ったスタンプを送ってみようかと迷いながらも、大した用もないのに通知がうるさいと思われないか、声が大きいと言われてしまったしと、あれこれ考えてしまう。
頻繁に会いたいわけではないけれど、またカワイイもの好きの仲間とランチやショップめぐりに行けたらいい。あの楽しさを知ってしまったからこそ、寂しさを感じてしまう。ケンタのこの気持ちは、第3話で初めて同志を見つけた小路の喜びと、ちょうど裏表になっている。仲間ができたことの嬉しさは、小路だけのものではなかったのだ。
ひよこのおまんじゅうとパグ太郎タオル
雨が続く会社では、部下たちと湿気やカビの話題で盛り上がる。小路は洗濯物が気になるくらいで、雨の日ならではのグッズも出るから「雨は嫌いじゃない」のだという。経理部からのお土産は、ひよこの形をしたおまんじゅう。味はもちろん、この形でひとときのなごみまで提供してくれると、小路は大事に取っておくことにする。
ところが会社で食べ忘れ、家に帰ってかばんから出てきたおまんじゅうは、すっかり形が変わっていた。ゆっくり楽しもうと大切にしたばかりに、かわいい姿を失ってしまう。それでも味はおいしかったという小路の切ない報告に、思わず同情してしまった。
洗濯物が乾かず、タオルが足りなくなった家では、小路がしまい込んでいたパグ太郎のフェイスタオルを見つける。使うべきか、真純の前で使ったら変に思われないか、洗濯して干したら青空にパグ太郎がはためいてしまう。独身男の家にこれはありなのかと悩む小路の葛藤が、とても細かくておかしい。
結局、真純が使っていないタオルを見つけてきてくれたおかげで、パグ太郎タオルはまたしまわれることになる。真純は小路の趣味を知らないまま、なにげなく小路を救ってしまう。この甥と叔父の微妙な距離感も、作品の魅力のひとつだと思う。
第4話のまとめ考察
立体ラテは仕事のため
最後は、部下が見せてくれた立体ラテの写真から始まる。すぐ近くのビルのコーヒー店で、その日によって形が違うのだという。もし行くことがあれば写真を撮ってきてほしいと頼まれた小路は、これを口実にケンタを誘う。「全力で仕事を上げてきました」と駆けつけたケンタが、まだ終わっていないと付け加えるあたりに、どれだけ会いたかったかが表れていた。
小路は「連絡したのは二人にとって有益な情報だと思ったからなんだ」と言い、部下に頼まれたからだと言い訳をする。ケンタもデザインの参考に仕方なく、と乗っかる。マシュマロを追加できると聞けば、「おじさん これ仕事ですから」と背中を押し合う。大義名分を手に入れた二人が、堂々とカワイイものを楽しむ姿は見ていて本当に幸せそうだった。
振り返ってみると、第4話はカワイイものを楽しむための口実と、その先にある本当の気持ちが描かれた回だった。ビュッフェでは資料という言い訳、フリーマーケットでは迷子のためという理由、立体ラテでは部下の頼みとデザインの参考。小路はいつも何かしらの理由を探しながら、カワイイものに近づいていく。
けれど迷子の子にポシェットを手渡したとき、小路の好きな気持ちは言い訳ぬきで誰かを笑顔にしていた。そしてケンタという同志がいれば、口実を一緒に作って楽しむこともできる。元妻の武林には理解してもらえなかった趣味が、少しずつ人とのつながりを生み始めている。小路がいつか言い訳なしでカワイイものを好きだと言える日が来るのか、その変化をこれからも見守りたい。




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