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界王星で悟空を退けたビルスは、スーパーサイヤ人ゴッドを探して地球へやってくる。折しも地球では、ブルマの誕生パーティーの真っ最中だった。破壊神の機嫌を損ねまいとするベジータの奮闘もむなしく、ひとつのプリンをきっかけに地球は破壊の危機にさらされる。ブルマの誕生パーティー、プリンをめぐる騒動、そしてベジータの怒りまで、第3話を振り返る。




第3話 破壊神がやってきた誕生パーティー
第3話「破壊神地球へ」は、界王星で悟空を退けたビルスが、スーパーサイヤ人ゴッドを探して地球に降り立つ回だった。舞台はブルマの誕生パーティー。破壊神の機嫌を損ねまいと必死のベジータ、プリンをめぐる騒動、そして怒りを爆発させたベジータの猛攻。地球の運命がじゃんけん一つに託されるまでの第3話を振り返っていく。
界王星で目覚めた悟空
界王星で目を覚ました悟空は、本当にすごい、「あんな奴がいるなんて」と、負けたばかりなのにどこか嬉しそうだ。ビルスが口にしたスーパーサイヤ人ゴッドについても、修行でなれるものなのかと気になって仕方がない様子。界王に呆れられても、強い相手を前にした悟空のわくわくは止まらない。
界王はすでに地球のベジータに知らせを送っていた。けれど地球が危ないと知った悟空がじっとしていられるはずもなく、急いで地球に戻ろうとして界王に止められる。超サイヤ人3でも歯が立たなかった相手に、それでもまだ戦うつもりでいるところが、いかにも悟空らしかった。
悟空にとってビルスは、地球を脅かす脅威である以上に、まだ見ぬ高みを見せてくれた存在なのだろう。敗北すら次の修行への動機に変えてしまう前向きさは、何度見ても気持ちがいい。
それにしても、ビルスの名前を聞いて真っ先にベジータとの合体まで考えてしまうあたり、悟空の頭の中はどうやって勝つかでいっぱいだ。界王が心配するのも当然だが、この無鉄砲さこそが、悟空を何度も限界の先へ押し上げてきた原動力なのだろう。
ベジータの記憶に残る破壊神
一方のベジータは、「あのカカロットがたったの二発で」という知らせに衝撃を受ける。破壊神という名前を、どこかで聞いたことがある。その記憶をたどった先にあったのは、幼いころに見た光景だった。父であるベジータ王が、ビルスの前でなすすべもなく屈辱を味わわされていたのだ。
誇り高いサイヤ人の王子であるベジータにとって、父が手も足も出なかった相手という記憶は、何よりも恐ろしいものだったはずだ。プライドの塊のようなベジータが、ビルスを前にして完全に低姿勢になる。その理由が、この回想でしっかりと描かれていた。
しかもビルスは、そのベジータに向かってスーパーサイヤ人ゴッドという名前に聞き覚えはないかと尋ねる。知らないとわかると、ビルスの関心はすぐに別のところへ移ってしまう。破壊神にとっては、サイヤ人の王子でさえ情報を聞き出す相手の一人にすぎないのだ。その軽い扱いが、かえってビルスの底知れなさを際立たせていた。
ブルマの誕生日と破壊神
ベジータのお友達のビルスさん
パーティー会場に現れたビルスとウイスを、ブルマは「みんな注目」とベジータのお友達として紹介する。「今日は私の誕生日なの」、「お二人とも歓迎するわよ」。相手が破壊神だとは知らないブルマの明るさと、隣で冷や汗をかくベジータの温度差が、序盤の大きな笑いどころになっていた。
機嫌さえ損ねなければ危害は加えてこない。それだけが頼みの綱だ。たこ焼きの中に一つだけわさびたっぷりの大当たりが混ざっている仕掛けや、景品にお城や飛行機まであるというビンゴ大会など、ブルマのパーティーは相変わらずのスケールだ。ドラゴンボールを狙うピラフ一味までまぎれ込んでいて、にぎやかさは最高潮だった。
破壊神が来ていることを知っているのは、ほんの一部だけ。何も知らない仲間たちが楽しそうにパーティーを満喫するほど、ベジータの胃が痛くなっていく。この緊張とのんきさのギャップこそが、この回の面白さだと思う。
ベジータがこれほど必死になるのは、ビルスの恐ろしさを本当に理解しているのが自分だけだからだ。誰にも相談できず、パーティーを壊さないように、それでいて破壊神の機嫌を損ねないように立ち回る。王子らしからぬ低姿勢も、家族と地球を守るための精いっぱいの戦い方だったのだと思う。
プリンという名の地雷
ビルスはスーパーサイヤ人ゴッドを見つけられず、心当たりもない。お腹もふくれてきたし、帰って昼寝でもしようかとつぶやくビルスに、ベジータは心の中でとっとと帰れと願う。ところが、悟空との関係を聞かれたベジータは、話をそらそうとして「プリンというデザート」を勧めてしまう。実に滑らかで美味だと聞いたビルスは、すっかり興味を示してしまった。
けれどプリンは売り切れていて、最後に残っていたのはブウの手元だった。丁寧に分けてほしいと頼まれても、ブウは「やだ全部俺のだぞ」と譲らない。遠い星から来たから今を逃せば次はいつ食べられるかわからないと説明されても、「俺は強い」、「だからいっぱい食べる」とまったく聞く耳を持たない。
この態度が、ビルスの逆鱗に触れた。ブウを吹き飛ばしたビルスは、「僕は心の広い神様だ」と言いながら、どうしても我慢できないものが一つだけあると語る。然るべき敬意を払えない連中の無神経さ。スーパーサイヤ人ゴッドも見つからず、プリンも食べられなかったビルスは、ついに地球を破壊して帰ると言い出してしまう。
プリンひとつで地球が滅びかける。言葉にすると馬鹿馬鹿しいのに、破壊神の気まぐれがどれほど恐ろしいかがよく伝わってくる展開だった。食べたことのないプリンの味を、甘みは、香りは、食感はと矢継ぎ早に問い詰め、「僕は初めてだったんだぞ」と訴えるビルスの姿には、恐ろしさと同時にどこか子どもっぽいかわいげも感じてしまった。
破壊神は気まぐれで、刺激を与えないことしか対処のしようがないと、第2話で界王神たちは語っていた。その言葉どおり、ほんの小さな行き違いが地球全体の危機に直結してしまう。理屈の通じない相手と向き合うことの怖さが、コミカルな場面の裏にしっかりと流れていた。
ベジータの怒り
俺のブルマに
地球と自分たちが存在する意味はもうなくなった、と言い放つビルス。そこに割って入ったのは、ほかでもないブルマだった。いい加減にしてとビルスに詰め寄り、「私の大事な誕生パーティーを台無しにしないでよね」。相手が誰であろうと物おじしないブルマの強さは、まさに本領発揮といったところだ。
ところが、ビルスはそのブルマに手を上げてしまう。これまで必死に頭を下げ続けていたベジータの中で、何かが切れた。「俺のブルマに」、「何しやがる」。恐怖も、王子としての体面も、すべてを振り払って、ベジータはビルスに真正面から挑みかかる。
どれだけ恐ろしい相手でも、大切な人を傷つけられて黙っていられるほど、ベジータは冷めた男ではない。かつては誇りのためだけに戦っていた王子が、今は家族のために拳を握る。その変化が、この一言に凝縮されていた。
「破壊神だとふざけるのもいい加減にしやがれ」、「粉々になりやがれ」。怒りに燃えるベジータの猛攻は、この回いちばんの見せ場だった。父を屈辱に追い込んだ相手を前に、あれほど怯えていたベジータが、愛する人のためなら迷わず立ち向かう。ベジータという人物の成長を、これほどわかりやすく示す場面はないだろう。
それでも、ビルスの言葉は残酷だった。「一割くらい本気を出したのはね」久しぶりだったと言い、北の界王のところにいたサイヤ人よりは楽しめたと付け加える。ベジータの全力の怒りも、破壊神にとってはほんの少し楽しめた程度にすぎない。圧倒的な力の差が、改めて突きつけられた。
ただ、ベジータの戦いは決して無駄ではなかったはずだ。ブルマのために迷わず立ち向かったその姿は、誇り高い王子が守るべきものを見つけたことの何よりの証だ。力の差がどれほど大きくても、引けない理由があるときに立ち上がれる。それこそがベジータの本当の強さなのだと感じた。
第3話のまとめ考察
地球の運命を決めるじゃんけん
いよいよ地球を破壊すると宣言したビルスだったが、そこで思い直す。「やっぱり破壊するのはもったいないかな」、「この地球という星の食事は最高だったものね」。まだまだおいしいものがいっぱいあると聞かされ、ビルスは心が広い神様らしく、チャンスを与えてあげようと言い出す。
指名されたのは、ウーロンだった。プリンを分けてくれなかったブウと同じ種族だよね、という理由に、ウーロンは「ち、違うよ、誤解だよ」と慌てて否定する。けれどビルスが持ちかけたのは、じゃんけん勝負。ウーロンが勝てばこのまま帰るが、ビルスが勝てば地球は破壊する。嫌なら今すぐ破壊するだけだというのだから、断る選択肢はない。
ここで仲間たちが口々にウーロンを励ますのも微笑ましい。ここは一か八かやるしかないと背中を押され、ウーロンは覚悟を決める。戦いではまったく歯が立たない相手に、勝負の方法がじゃんけんなら誰にでも勝ち目がある。破壊神が差し出したチャンスは、気まぐれでありながら、意外なほど公平でもあった。
「地球の歴史始まって以来の最も重要なジャンケンだぜ」。仲間たちの声援を背に、ウーロンは地球の命運を背負ってじゃんけんに挑む。全宇宙でもトップクラスの存在が、地球の命運をじゃんけんで決める。このスケールの大きさと緊張感のなさの組み合わせが、ドラゴンボールらしい味わいだと思う。
振り返ってみると、第3話は破壊神の恐ろしさと気まぐれさ、そしてベジータの愛が描かれた回だった。プリンひとつで地球を滅ぼしかけるビルスの気まぐれ、ブルマのために恐怖を振り払ったベジータの怒り、そして地球の運命を託されたじゃんけん。笑いと緊張が絶妙なバランスで混ざり合った、にぎやかな一話だった。
悟空が手も足も出なかった相手に、今度はベジータが挑み、やはり届かなかった。スーパーサイヤ人ゴッドとは何なのか、ビルスを止められる存在は現れるのか。界王星でじっとしていられない悟空の思いも含めて、破壊神をめぐる物語はますます目が離せなくなってきた。
次に破壊神の前に立つのは誰なのか、期待は高まるばかりだ。




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