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『ケロロ軍曹☆【完全新作】』第5話は、ケロロ小隊のギロロ伍長がついに日向家へやって来る前半と、夏美が楽しみにしていた体育祭の後半の二本立てだった。日向家の地下を一気に制圧したギロロの襲来、夏美との最初の対決、そしてママの来られない夏美を助けた息の合った二人三脚まで、笑いとちょっといい話が詰まった第5話を場面ごとに振り返っていく。




第5話前半「襲来!赤いアイツ」
日向家を見張る赤い影
『ケロロ軍曹☆【完全新作】』第5話の前半「襲来!赤いアイツ」は、日向家の人々を遠くからじっと観察する赤い影の視点で幕を開ける。学校で西澤桃華とおしゃべりする冬樹、部活の試合で大活躍する夏美、そして編集者として漫画家と打ち合わせをするママの秋。一人ずつ調べ上げられていく様子は、まるで軍の調査報告書を読んでいるかのようだ。
冬樹は運動は苦手だが、興味の対象には抜群の観察力と洞察力を発揮する。夏美は運動も勉強も高いレベルで、「表に出さぬ強さを持つ重要危険人物である」と評される。そして秋は、すべての基本能力がこの星で最高水準で、指揮官としてのカリスマ性まで備えた要注意人物。家族のことをよく知る視聴者からすると、どの評価もいちいち的を射ていて笑ってしまう。調査を終えた赤い影は「作戦行動は急務を要す」と動き出す。
秋の打ち合わせの場面では、壁に貼られた漫画のポスターにも思わず目が行く。カエルの出てくる漫画のタイトルに、どこかで見たようなパロディが紛れ込んでいるのもこの作品らしい遊び心だ。日向家の三人を紹介し直すような冒頭は、新シリーズから見始めた人にとっても分かりやすい入り口になっていたと思う。
侵略をすっかり忘れていたケロロ小隊
一方そのころ、日向家の地下ではケロロが自作の歌を熱唱していた。暇を持て余した末にひねり出した渾身の作詞作曲だそうで、聞かされた側からは、なんだか押しつけがましいけどとってもよかったという感想が返ってくる。そのモアがしみじみと「平和ですね」とつぶやいたところで、ようやくケロロたちは自分たちの目的を思い出す。
我々の目的はと問われて、タママは「ペコポン侵略です」、モアは「ペコポン破壊です」と即答。ケロロは、「侵略調査のためペコポンの文化に深く接触しているうち」逆に洗脳されていたのだと青ざめる。ところが反省もつかの間、今日はサメ映画特集だったと思い出してテレビの前へ。この切り替えの早さこそがケロロらしさで、隊長がこれでは侵略が進まないのも当然だと納得してしまった。
ギロロ伍長、日向家の地下を制圧する
古いテレビで名作映画を楽しもうとしたケロロの前に現れたのが、あの赤い影の正体、ケロロ小隊のギロロ伍長だった。「久しぶりだな、ケロロ」。ペコポン人の捕虜になっていたうえに、侵略の気配がまったくないケロロにしびれを切らしてやって来たのだ。「俺がその腐った根性叩き直してやる」、「貴様に隊長を任せたのが間違いだったな」と、昔なじみの隊長に容赦がない。
もちろんモアも黙ってはいない。「おじさまにひどいことをする人は」、「誰であろうと許しません」と立ち向かうが、ギロロはあらかじめトラップを仕掛けていた。「この空間はすでに我が制圧下にある」。戦場を自分に有利に整えておくのが軍人の基本だという言葉どおり、ケロロもタママもモアもあっという間に片づけられてしまう。
目を覚ましたケロロは、ギロロの声を聞いて驚きながらも、いつもの調子で久しぶりの再会を喜ぶ。ギロロは、本隊が撤退したあともケロロが動くのを待っていたが、一向にその気配がないので「痺れを切らしてきてみたら」この有様だったと明かす。敵はわずか3名、速やかに殲滅し、「この施設を占領し」、「我らの拠点とした」うえで本格的な侵略を始めるという。かっこいい、痺れると盛り上がるケロロたちの軽さと、真面目一辺倒のギロロの温度差が楽しい。「これで仲間が3名揃ったわけでありますな」と、小隊が少しずつ集まっていく流れにもわくわくした。
夏美とギロロ、最初の対決
バナナの皮の誘惑
そこへ夏美が帰宅する。ギロロはすでに家の中に数多くのトラップを仕掛けていて、直接手を下さずとも自滅を待つのみだと言い放つ。日向家は自分をかくまってくれている恩人だと止めるケロロに、ギロロは「知ったことか」、「ペコポン人は全員敵だ」と取り合わない。
夏美に危険を知らせようと走り出したケロロだったが、廊下に落ちていたのは一枚の皮。「これってバナナの皮」、昔の映画で笑いのスパイスとして使われる古典ギャグの王道だと分かった瞬間、ケロロの心は揺れ始める。「間違いない黄色いし」、今は踏んでいる場合じゃないと分かっていながら「くそっ 踏みたい」。夏美を助けに行く途中で、芸人魂との葛藤が始まってしまうのがおかしくてたまらない。
結局ケロロはギロロに行動パターンを見抜かれ、あえなく脱落。面目ないと謝るケロロに、本当にないと返される流れまで含めて、ケロロのダメっぷりがきれいに決まった場面だった。バナナの皮一枚でここまで笑わせてくれるのは、ケロロというキャラクターの強さだと思う。
ペコポン人の女ソルジャー
ギロロのトラップと銃撃が夏美に襲いかかるが、夏美は一歩も引かない。事情を察すると「なるほどね 要するに問題児ってわけね」と言い捨て、家を散らかすなと怒りながらギロロを圧倒していく。冒頭の調査で重要危険人物とされていたのは伊達ではなく、歴戦の兵士であるギロロが押されていく姿は痛快だった。
敗れたギロロは「どうやら敵の力を見誤っていたようだ」と認め、夏美をペコポン人の女ソルジャーと呼ぶ。敵として本気でぶつかったからこそ、相手の強さを素直に認める潔さがギロロらしい。冒頭では照準越しに観察していただけの夏美と、正面から向き合ったことで、ギロロの見え方が変わっていくのが面白かった。
帰ってきた冬樹は、ケロロの友達が来たと聞いて会いたがるが、ギロロは家の中にはいないとのこと。ペコポン人などと一緒に住めるものかと言いつつ、庭に陣取ることにしたらしい。「また一名日向家の住人が増えた」、「すでに家主の意向は関係ないのだなと」冬樹がうすら寒さを感じるナレーションで締めくくられるのも、この作品らしいオチだった。
第5話後半「第五十九回吉祥学園大体育祭」
号砲は敵襲の合図ではなかった
後半「第五十九回吉祥学園大体育祭」は、青空に響く号砲から始まる。敵襲と勘違いしたケロロ小隊は第1級防衛態勢に移り、窓を閉め、食料を確保し、「停電に備えてロウソクロウソク」と大騒ぎ。鉄壁の要塞が完成したところで、冬樹にあっさり「花火だよ」と告げられる。「近くの小学校で運動会があるんだ」。
運動会とは何かと聞かれた冬樹の説明は、みんなで競って勝者と敗者を決める学校行事。「戦のようなものでありますか」と受け取るケロロたちの解釈も面白いが、それ以上に響くのが冬樹の本音だ。もうすぐ自分の中学校も運動会で、「たまんないよ運動音痴の身としてはさ」。「だったらオカルト大会もやらなきゃ不公平だ」という無茶な主張に、「宇宙人も即座に理解を示した」というナレーションが入るのには声を出して笑った。
練習に誘う夏美にも、「休みの日ぐらい運動のない世界にいさせてよ」とつれない冬樹。運動が得意な姉と苦手な弟という対比が、この運動会回の土台になっている。
ママと走る親子二人三脚
一方の夏美は、運動会を心から楽しみにしていた。忙しいママが今年は来てくれるうえに、親子二人三脚に一緒に出場するのだ。「夏美の足手まといにならないよう頑張るね」と笑う秋に、夏美のテンションは上がりっぱなし。トイレ掃除をサボったケロロに文句を言いながらも、ちゃっかり代わりにやっておいてあげるあたりにも、浮かれぶりがにじんでいる。
「ママが来る、ママが来る」、「何年ぶりだろう、運動会に来てくれるの」、「ママにいいとこ見せるんだ」。普段は強気な夏美が、ママのこととなるとこんなに素直にはしゃぐのかと、見ていて頬がゆるんだ。ところが運動会の前日、秋は午前中どうしても会社に行かなくてはならなくなり、終わり次第急いで行くと謝ることに。仕事だから仕方ないと笑ってみせる夏美の姿が、かえって切なかった。
ケロロの作戦は恩を売ること
夏美の落ち込みにいち早く気づいたのはケロロだった。「夏美殿は落ち込んでいたであります」。ママの不参加は、二人三脚で戦果を望めなくなったということで、「これほど軍人にとって辛いことはあるまい」。ここまでは優しい話に聞こえるが、ケロロの狙いはあくまで「恩を売るんでありますよ」。今後の活動のためにも敵を懐柔しておいて損はないという、いかにもケロロらしい計算だ。
さっそくモアを相手に二人三脚の練習が始まる。「二人三脚って幸せな気持ちになります」とうっとりするモアと、体格差がありすぎてまるでかみ合わないケロロ。ペコポン侵略のための第一歩と言いながら、やっていることは運動会の練習そのものというギャップが楽しい。
合図とともに走り出すと、ケロロはモアの勢いにまったくついていけない。それでも負けるかと張り合うケロロと、「はいおじさま」と健気に応えるモアの温度差が楽しい。本人たちは大真面目なのだから、見ている側はずっと笑いっぱなしだった。
体育祭当日の大騒動
冬樹のかけっこと桃華の願い
迎えた体育祭当日。運動が苦手なのは冬樹だけではなかった。「運動は苦手ですわ」と心の中でつぶやく桃華は、「どうか日向くんが見てませんように」と祈りながらハードルに挑む。ところが冬樹の声援を受けた途端、別人格の桃華が顔を出し、前を走る相手を一気に抜き去ってしまう。冬樹に褒められて舞い上がる桃華がかわいらしかった。
夏美の圧倒的な速さに、周りの生徒たちは弟の冬樹にも期待を寄せる。「これだから針のむしろだ」とこぼす冬樹の気持ちは、運動が苦手な人なら誰でも分かるはずだ。ところが冬樹の徒競走では、なぜか周りの走者が次々と落とし穴に消えていく。「私の財力があれば、あなたはいつでも一等賞です」という言葉で、すべてが桃華の仕業だと分かるのがこの作品らしい。
ペコポン人スーツの誤算
ケロロは、ペコポン人に変装するためのスーツで二人三脚に乗り込む作戦だった。上空からスーツごと射出され、「もう楽勝でありま」と言いかけたところでトラブル発生。どうやらスーツの寸法を間違えていたらしく、ケロロは計画どおりに夏美のもとへ向かえない。
一方、会場では親子二人三脚の集合がかかり、ママの来ない夏美は棄権を申し出ようとしていた。張り切って準備したケロロの作戦が、肝心なところで空回りしてしまうのがなんとももどかしい。
ギロロと夏美、息の合った二人三脚
そこに現れたのが、スーツ姿で人間に紛れたギロロだった。「戦果を上げたいんだろ」、「共に戦ってやる」。なんであんたなんかと戸惑う夏美に、「さっさとヒモをよこせ」、「棄権するよりはマシだろ」とぶっきらぼうに差し出された手。前半で本気でぶつかり合った二人が、今度は肩を並べて走ることになる。
走り出した二人は、周りがあぜんとするほどのコンビネーションでぶっちぎり。「私を誰だと思ってんの」という一言とともに、「学園新記録です」のアナウンスが響く。やがて遅れて駆けつけた秋を囲んで、「ママ来ないから二人三脚出ないかと思ったよ」という声も聞こえてくる。名乗りもせずに手を貸しただけのギロロの不器用さが、なんともギロロらしかった。
そして最後に、寸法違いのスーツで遅れて現れたケロロが会場に乱入。「全身タイツ男が運動会に乱入した動画がネットでバズる」うえに、「夏美ちゃんにめちゃくちゃ怒られる」という結末まできっちり用意されているのが最高だった。
第5話のまとめ考察
敵として出会い、味方として走った二人
第5話は、ギロロ伍長の登場と、彼が夏美と初めて向き合う姿を前後半で描いた回だった。前半では侵略の邪魔をする敵として正面からぶつかり、後半では夏美の願いをかなえるために黙って手を貸す。同じ二人の関係が、たった一話の中でここまで変わっていくのが見事だった。
真面目で不器用で、口では侵略を語りながら、困っている相手を放っておけない。新シリーズのギロロは、初登場の回からそんな魅力をしっかり見せてくれた。恩を売るつもりが空回りしたケロロとの対比も含めて、ケロロ小隊の面々がそれぞれの個性で日向家に関わっていく楽しさがよく伝わってくる。小隊のメンバーがそろい始めたことで、日向家の騒がしい日常がこれからどう広がっていくのか楽しみだ。




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