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夢人の夢を守ろうとして、暗闇に包まれた闇の大公国へ迷い込んでしまったテレンス。大獣公爵ジギーに殺されかけた彼を支えたのは、リディアが残した言葉だった。現実では口は悪いが面倒見のいい兄貴分のサヴァナと再会し、二人は手を組んでドリームランドへ向かう。リディアの言葉、サヴァナとの共闘、そしてマゴス卿の支配に打ち勝つテレンスまで、第3話を振り返る。




第3話 闇の大公国とリディアの言葉
第3話「サヴァナ」は、夢人のおじさんの夢を守ろうとしたテレンスが、思いもよらない場所に迷い込んでしまうところから始まる。「あんたの夢を守るために俺はここに来たんだ」と意気込んだものの、たどり着いたのは暗闇に包まれた恐ろしい世界だった。
大獣公爵ジギー
待ち受けていたのは、「私は闇の大公国 大獣公爵 ジギーだ」と名乗る怪物。テレンスはその名前すら知らず、「私を知らないとでも言うのか」とあきれられてしまう。夢人が暗闇を恐れているからこそ、この場所にたどり着いたのだという説明に、ドリームランドの仕組みの奥深さを感じた。
「主のアスモデウスから聞いてないのか」、「こんな初歩的なことも知らんとは」と言われるあたり、テレンスがまだ旅人として右も左も分からない初心者であることが痛いほど伝わってくる。「お前は死ぬのだから」と迫られ、必死に命乞いをする姿は、前回までの頼もしさが嘘のようだった。
それでも、思わぬ助けが入ってテレンスはどうにか命拾いする。たった一晩で闇の大公国の公爵に殺されかけるという出来事は、ドリームランドが決して夢のように甘い場所ではないことを、テレンスにも見ている側にも突きつけていた。夢人の恐怖が形になって現れる世界である以上、その恐怖を糧にする存在がいるのも当然なのかもしれない。旅人として夢人を守ると決めたテレンスにとって、乗り越えるべき壁の高さを思い知らされる冒頭だった。
テレンスはずっと強いよ
暗闇の中でテレンスを支えたのは、リディアが残した言葉だった。「テレンスがみんなから距離を置いて壁を作ってたのは」、「自分を守るため」。そして「テレンスはずっと強いよ」。
「自分を信じれば誰にも負けないよ」、「私はいつもテレンスの味方だからね」という言葉の一つひとつが、テレンスの心の壁を少しずつ溶かしていくようだった。最後に添えられた「これを読んだら電話ちょうだいね」という一言からは、リディアがテレンスとちゃんと話したいと願っていることが伝わってくる。
炎への恐怖を克服して旅人になったテレンスだが、暗闇の前ではまだ震えてしまう。それでも、誰かが自分を信じてくれているという事実が、彼にとって何よりの支えになっている。リディアの存在が、テレンスにとってどれほど大きいのかがよく分かる場面だった。
前回、ノートを持っていかれて絶望していたテレンスにとって、リディアの言葉は思いもよらない贈り物だったはずだ。避けられて悲しかったと打ち明けながらも、テレンスが壁を作っていた理由を理解しようとしてくれる。そのやさしさと芯の強さは、まさにリディアという人物の魅力そのものだと感じた。
サヴァナとの再会
夢人の前では厳禁
現実世界でテレンスが再会したのは、ドリームランドで出会った旅人のサヴァナだった。妹から「テレンスだお兄ちゃんの友達」と紹介され、家族の前で見せるサヴァナの意外な一面が新鮮だ。テレンスはリディアの家での出来事を経て、サヴァナの家を訪ねていた。
ところが、妹の前でうっかりドリームランドの話をしてしまったテレンスは、「夢人の前でドリームランドの話は厳禁だろうが」ときつく叱られる。「この掟を破ったら永久追放だぞ」。旅人の世界には、現実とのあいだに厳しい決まりがあるのだと分かる大事な場面だった。無邪気に遊園地のことかと聞き返す妹の反応がかわいらしい分、秘密を守り続けなければならない旅人の孤独も少しだけ見えた気がする。
それでもテレンスは「俺を鍛えてくれよ」と食い下がる。「お前の子守りをしてる暇なんかねえよ」と一度は突き放すサヴァナだったが、テレンスが一晩で闇の大公国の公爵に殺されかけたと知ると、態度が一変する。
揉め事を引き寄せる磁石
「お前には騒動に巻き込まれる才能がある」、「いいだろう 今夜はついてってやるよ」。さらに「お前は揉め事を引き寄せる 磁石みたいなやつだ」と続け、ランクを上げるチャンスだと笑う。
みんなの夢を守りたいテレンスと、強い相手と戦いたいサヴァナ。目的はまったく違うのに、「お前は正義の味方になって俺は強い奴と殴り合いだ」という割り切り方で手を組むのが、いかにもサヴァナらしい。利害が一致すれば細かいことは気にしない、その潔さが気持ちいい。口は悪いけれど面倒見がよく、兄貴分としての魅力がたっぷり詰まった場面だった。
妹の前では面倒見のいい兄の顔を見せるサヴァナが、ドリームランドでは誰よりも好戦的なファイターになる。その二面性が、彼というキャラクターに奥行きを与えている。テレンスにとっても、旅人の先輩として頼れる存在が現れたことは心強いはずだ。副題にその名前が掲げられているとおり、今回はサヴァナの人柄がたっぷりと描かれた回だった。
悪夢猫の逆襲
フェリックスと悪夢猫のドン
その夜のドリームランドで、テレンスを待ち構えていたのは悪夢猫のフェリックスだった。「やっと見つけたぜ」と現れたフェリックスは、前回の屈辱を晴らそうと、悪夢猫のドンでありマゴス卿の右腕でもある大物を連れてくる。
遅れてやってきたサヴァナも、悪夢猫のドンと激しくぶつかり合う。さらにテレンスは、現実でスマホに起こされてしまい、戦いの途中でドリームランドから消えてしまう。夢の世界で戦う以上、現実の出来事に左右されてしまうという弱点が、ここでもはっきり描かれていた。
「やっとあいつに復讐できそうだったのにー」と悔しがるフェリックスの前には、アスモデウスの国から来たネイルまで姿を現す。「新たな火の使い手を探してる」。炎を操るテレンスの存在が、すでに大きな勢力から狙われていることを感じさせる、緊張感のある場面だった。テレンスが戦いの場にいなかったことが、かえって彼を守る結果になったようにも見える。ネイルという人物が何を考えているのか、まだ底が見えないのも不気味だ。
すっぽかされた約束
テレンスを起こした電話は、リディアからの誘いだった。会いに行くのが怖いテレンスに、サヴァナは「気楽に行け」と背中を押す。「おい、相手はリディアだぞ」、「憧れの君だ」と慌てるテレンスの姿は、ドリームランドでの戦いとは打って変わって等身大の高校生そのものだ。
サヴァナは、もし振られたら「切り替えろ」、「くよくよしてねえで次に進むんだよ」と励ます。テレンスは「俺はリディアとずっと一緒にいたいんだ」と本音を口にし、「よし、行ってくる」と出かけていく。ところが、待ち合わせの場所にリディアは現れなかった。「すっぽかされた」と肩を落とすテレンスの姿が切ない。
夢の世界では命がけの戦いに挑めるのに、好きな相手に会いに行くことには足がすくんでしまう。そんなテレンスの不器用さが、なんとも愛おしい。サヴァナの励ましも含めて、二人の友情が少しずつ深まっていく様子が伝わってくる場面だった。リディアが現れなかった本当の理由が何なのか、気になって仕方がない。
第3話のまとめ考察
マゴス卿の支配に打ち勝つ
再びドリームランドへ向かったテレンスとサヴァナは、マゴス卿の城に乗り込む。悪夢猫のドンが「お前らを殴りたくないが」と漏らした言葉から、彼もまたマゴス卿の爪で印をつけられ、「操り人形のように」支配されていたことが明かされる。
テレンスは「操り人形を使うんじゃねえ」と叫び、黒幕を引きずり出す。しかし、マゴス卿の印はテレンス自身にも刻まれ、「友達を始末しろ」と命じられてしまう。印をつけられた者は意思を奪われ、言いなりになるしかない。悪夢猫のドンほどの強者でさえ逆らえなかった力を前に、テレンスが友達に手をかけてしまうのではないかと、思わず息をのんだ。
それでもテレンスは屈しなかった。「何があっても絶対」奴隷にはならないという強い意志が、マゴス卿の支配を打ち破る。「彼はマゴスの支配に勝った」という言葉どおり、リディアが信じてくれたテレンスの本当の強さが、ここではっきりと形になった。
支配される恐怖に屈せず、自分の意思を貫き通す。その姿は、暗闇の前で震えていた冒頭のテレンスとはまるで別人のようだった。誰かに信じてもらえることが、人をここまで強くするのだと感じさせてくれる、胸の熱くなる場面だった。
強くなれ、サヴァナ
支配から解き放たれた悪夢猫のドンは、借りができたと口にし、「これからは 彼に何かあったときは 絶対駆けつける」と約束する。そしてサヴァナに向けた「お前は強い だがもっと強くなれ」という言葉は、ライバルとしての敬意に満ちていた。
操られていたとはいえ、敵として立ちはだかった相手が、支配から解き放たれた途端に義理堅い一面を見せる。悪夢猫の側にも、それぞれの事情や誇りがあるのだと分かったことで、ドリームランドの勢力図がぐっと立体的になった。「また拳を交えようぜ」という一言には、殴り合いでしか通じ合えない者同士の、不器用な友情のようなものがにじんでいた。
第3話は、サヴァナという頼れる兄貴分を得たテレンスが、旅人として一歩成長する回だった。暗闇に怯えていた冒頭から、マゴス卿の支配に打ち勝つ結末まで、テレンスの心の変化が丁寧に描かれている。その支えになったのは、リディアの言葉と、口は悪いけれど見捨てないサヴァナの存在だった。
一方で、最後には火の使い手であるテレンスを必ず見つけ出すという不穏な言葉も響く。「誰も運命から逃れられない」。アスモデウスという大きな存在の影が、テレンスの旅に少しずつ迫ってきているのを感じた。リディアとのすれ違いの行方も含めて、目が離せない展開が続いている。
夢の中での成長と、現実でのすれ違い。その二つが同時に描かれることで、テレンスという主人公の姿がより立体的に見えてくる。ドリームランドで強くなっていく彼が、現実のリディアとの関係でもいつか一歩を踏み出せる日が来るのか、これからの物語を見守りたい。




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