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親友のエリンから、編入生のキャロラインがヘンリーやフィリップたちに次々と接触していることを聞いたピア。傷ついたエリンは、ついに王立アカデミーを休学して領地へ帰ってしまう。そんなある日、学内でキャロラインを目撃したピアは、彼女についてある疑念を持つ。親友との別れ、キャロラインの影、そしてルーファスとの初デートまで、第5話を振り返る。




第5話 親友エリンとの別れ
打ち明けられた悩み
第5話「弱気な悪役と強気なヒロイン」は、元気のないエリンがピアに悩みを打ち明ける場面から始まる。2か月前にアカデミーへ編入生がやってきて、ヘンリーが「その編入生と いい雰囲気になってしまって」いるという。編入生の名はキャロライン。ピアが恐れ続けてきた乙女ゲームのヒロインが、ついに物語の表舞台に現れた。
明るく快活なエリンが「本当にあざとくて吐き気がする」とまで言い、すぐに「もう自分で自分が嫌になる」と落ち込んでしまう姿が痛々しい。「そんなわけない」と即座に否定するピアの言葉には、親友を思う気持ちがまっすぐに表れていた。
エリンは「私ねヘンリーとキャロラインが相思相愛ならば」、「身を引こうと思ったのよ」と打ち明ける。ところがキャロラインは、ヘンリーだけでなく年下のジェレミー、ガイ先生、さらにはフィリップ殿下にまで近づいているらしい。相手を本気で想っているわけではないのかもしれない。その事実が、エリンの心をいっそう深く傷つけていた。
愛する人の幸せを願って身を引こうとまで考えていたエリンにとって、相手が誰にでも同じように近づいているという現実は、悲しみ以上に悔しさを残したはずだ。人を悪く言ってしまった自分を責めるエリンの優しさが、かえって胸に刺さった。
休学するエリン
傷心のエリンは「私しばらく休学して領地に戻るわ」、「少しヘンリーと距離を置きたいの」と決める。「お手紙送ってもいい」と寂しさをこらえるピアに、エリンは「私たちの二の舞にならないように」と言い残してアカデミーを去っていった。
誰もいなくなった教室の席が、エリンの不在を静かに物語る。前回、エリンを大好きなたった一人の親友と呼んでいたピアにとって、この別れはあまりにも重い。「エリンの力になりたい」、「大事な親友のために少しでもできることから」と、弱気なピアが自分から動き出そうとする決意に胸が熱くなった。
キャロラインの影
変わってしまったヘンリー
ピアはまず、ヘンリーの様子を確かめようと声をかける。ところが返ってきたのは「ピアちゃんには関係ないだろ」という冷たい言葉だった。エリンが剣の腕をひけらかすと不満を並べ、「キャロラインみたいに女らしくしてろって」とまで言い放つ。かつてエリンを太陽のような明るさで包んでいたヘンリーとは、まるで別人のようだ。
エリンはただヘンリーと同じ場所にいたくて剣の努力を重ねてきただけなのに、その想いはまったく届いていない。「もう弁当はいらないってあいつに伝えといて」と立ち去るヘンリーの背中に、ピアは「こんなにも彼女による攻略が進んでいたなんて」と愕然とする。人の心をここまで変えてしまう力に、ゲームの強制力という言葉が頭をよぎった。
ヘンリーに悪気がないように見えるのが、かえってやるせない。以前の無邪気さが消え、苛立ちを隠そうともしない態度は、本人の意思というより何か大きな流れに押し流されているようにも映る。ピアが恐れてきたゲームの筋書きが、目の前で現実になりつつあった。
イベントクリア
その後ピアが目撃したのは、ジェレミーを励ますキャロラインの姿だった。父親のようになれと期待をかけられて苦しむジェレミーに、「お父様のようになる必要などないの」、「あなたには息抜きが必要だわ」と寄り添う。相手が一番欲しい言葉を、迷いなく差し出していく手際のよさが際立っていた。
ところが一人になったキャロラインは、「これで木漏れ日の下でのイベントクリアよね」、「次はガイ先生にも会っておくか」とつぶやく。ゲームのイベントを把握し、攻略対象の居場所まで知っている。ピアの頭に浮かんだのは「私と同じ転生者ってこと」という疑念だった。
もしキャロラインが転生者なら、「彼女は攻略のための選択肢を 決して間違えないはずだもの」。国外追放の可能性がさらに高まったと考えたピアは、遠い国で一人で生きていく力を本気で身につけようとするが、「でも現在の貯金は300万ゴールド」、「全く足りないわ」。深刻なのにどこか現実的な計算が、いかにもピアらしかった。
自分の未来を守る手立てをまず考えてしまうのは、弱気なピアの悪い癖でもあり、前世で傷ついた経験から身についた用心深さでもあるのだろう。誰かに頼るより先に一人で生きていく道を探してしまう姿が、少し切なくもあった。
初めてのデート
劇場での出会い
落ち込むピアのもとに現れたのはルーファスだった。具合を心配したうえで、「デートしようピア」、「私のためにおしゃれしてくれる」と誘い出す。着飾ったピアを「若木の妖精のようでとても綺麗だ」とほめ、聞けば宰相である父に「父上にたまにはデートしてこいと言われたんだ」という。ピアを元気づけたいという気持ちが、言葉の端々からあふれていた。
向かった劇場で、ルーファスは「私を見て 私のことだけ考えて」、「頭を空っぽにして楽しもう」とピアの手を引く。ところがピアにとってそこは、「マジキャロのメインルートのイベントが発生する場所だ」。キャロラインの姿を見つけて動揺するピアに、ルーファスは「私はあの女と顔を合わせたことも」、「会話したこともない」と言い切り、「昔も今もこれから先もピアだけだ」と安心させる。
ピアが打ち明けた「器の小さな女のやきもちのようなものです」という本音に、「嬉しいことこの上ないね」と返すルーファス。弱気なピアが初めて見せた独占欲を、心から喜んでいるのが伝わってくる。
ところが、ピアが一人になった隙に「美しいレディー お一人ですか」と声をかけてきた男がいた。「そんな男は放っておいて 私と楽しく過ごしませんか」と誘う相手を、駆けつけたルーファスが追い払う。指輪がないことを突かれても、「彼女のネックレスを見るがいい」。相手は「すでに家宝を身につけさせているということか」と引き下がるが、「婚約の間は何が起こるか分からないよね」と不穏な言葉を残していった。男の名はマリウス・ベアード。ルーファスが警戒する相手が、また一人増えた。
婚約者がいると知りながら平然と口説きにかかるあたり、マリウスもまた一筋縄ではいかない人物のようだ。キャロラインだけでなく、ピア自身に関心を寄せる男まで現れたことで、二人の周りはますます騒がしくなっていきそうだ。
酔ったピア
観劇の最中も「暗いから誰にも見えないさ」、「私はピアを見てるから」と甘い言葉を重ねるルーファスに、「集中できません」と困るピア。気づけばピアは、知らないうちに酒の入った飲み物ですっかり酔っていた。「ぜーんぜん酔ってなどいませんよ」と言い張っても、「酔っ払いに限ってそう言うんだ」とあっさり見抜かれる。
酔ったピアは「ヘンリーのアホのせいで」と本音をこぼし、ルーファスまで「それには賛同するが」と乗ってしまうのがおかしい。「ピアの魅力をひとたび知れば」、「離れられるわけがないのだから」、「信じて待っていたらいい」という慰めの言葉は、エリンとの再会を信じるピアの支えになったはずだ。
さらに酔いの勢いで、ピアは「キャロラインもシナリオを知ってるってことです」と転生者の疑いまで打ち明けてしまう。予言のことだと受け取ったルーファスは、「今までの倍の警戒態勢を敷き」と決意を新たにする。そして上演中から続いた口づけの理由を問われると、「ゆえに牽制だ」、「ピアが誰のものか分かりやすく知らしめる」と答えたうえで、「好きなんて言葉では足りないほどに」と想いを重ねた。
ピアの「大大大好きです」に「ピア私を殺す気か」と崩れ落ちそうになるルーファスと、「赤ずきんの悪い狼みたい」と無邪気に笑うピア。普段は弱気なピアが、酔った勢いで強気に想いをぶつける姿がとにかくかわいらしく、この回いちばんの見どころだった。翌日には何も覚えていないというのも、またピアらしいオチだ。
第5話のまとめ考察
転生者かもしれないヒロイン
翌日のピアは「最後の方の記憶が」ないまま、「なんでだろう すごく幸せな気分」と首をかしげる。キャロラインの姿に落ち込んでいたはずなのに、ルーファスと過ごした夜が心を軽くしてくれたのだろう。
一方で、物語の不穏さは確実に増している。攻略対象を次々と虜にしていくキャロラインは、ゲームの展開をなぞるだけでなく、イベントの場所や時間まで把握して動いている。もし本当に転生者なら、ピアと同じ知識を持ちながら、まったく逆の目的のためにそれを使っていることになる。同じ前世の記憶を持つ者同士が、正反対の立場でぶつかるかもしれない構図に、ぐっと緊張感が高まった。
揺るがない婚約者
そんな中でも、ルーファスの愛情だけは少しも揺らがない。キャロラインを前にしても「ピアだけだ」と言い切り、ピアの言葉を信じて警戒を強める。ゲームの強制力に怯えるピアにとって、これほど心強い味方はいないだろう。副題にある強気なヒロインがキャロラインだとすれば、弱気な悪役であるピアを支えているのは、間違いなくルーファスの揺るぎない想いだ。
そして最後、ルーファスに「やっと会えたね」と親しげに呼びかける声が響く。ついに物語の中心へと踏み込んできたヒロインに、ルーファスはどう向き合うのか。エリンの悲しみとヘンリーの変貌、そしてピアの決意が重なり合い、物語は大きく動き始めた。
弱気なまま守られるだけだったピアが、親友のために自分から動き、酔った勢いとはいえ素直な想いを口にした。小さな一歩かもしれないが、その変化こそがキャロラインという強敵に立ち向かう力になっていくのだと信じたい。
親友を失った悲しみと、ヒロインの登場という不安。重い出来事が重なった回だったが、最後にピアが幸せな気分で目覚められたことに救われた。エリンが笑顔で戻ってこられる日まで、ピアとルーファスがこの甘くも頼もしい関係を守り抜けるのか、見届けていきたい。





































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