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決勝メンバー決定戦の第2試合は、残るダブルス2の行方に注目が集まる。天衣無縫を纏った金太郎は、大曲と組んで幸村と柳のペアに挑むが、同じ中学で戦ってきた二人の連携に押されていく。追い込まれた金太郎の頭に浮かんだのは、テニスを教えてくれたおばあちゃんとの約束だった。メダノレの秘密、お杉ばあちゃんとの約束、そしてダブルス2の決着まで、第6話を振り返る。




第6話「やられたらやり返せ」
第6話「やられたらやり返せ」は、スペイン代表の側に潜む謎と、ダブルス2の決着を描いた回だった。メダノレの秘密を探るスペインの選手たち、幸村と柳のペアに押される金太郎と大曲、そして金太郎がテニスを始めるきっかけになった一人のおばあちゃんとの思い出。サブタイトルの言葉が、金太郎の原点そのものだったとわかる第6話を振り返っていく。
スペインの双子とメダノレ
冒頭は、テニスの練習をしている双子の少年たちの場面から始まる。声をかけたのは、スペイン代表の高校生たちだった。少年たちが打ち明けたのは、「僕たち双子だから一人じゃ何もできないって思われてる」という悩み。「いつかどっちかが試合で優勝して」、「みんなを見返してやりたいんだ」。
そこで高校生たちがすすめたのが、二人で戦うダブルスだった。「ダブルスなら今までアウトだった打球もインになる」、「練習してたショットも立派な武器になるよ」。双子だからこそ組めるペアがある、という発想の転換がやさしい。そして少年たちは、少し前に長い髪のお兄ちゃんがテニスを教えてくれたこと、そのお兄ちゃんがメダノレと名乗っていたことを話す。けれど気になるのは、「次の日も来てくれたんだけどなんか違う人みたいなんだ」という一言だった。
一方そのころ、フリオはマルスを呼び止めていた。「ロドリゴの顔にあざを作ったのはお前だろ」。誰かから聞いたわけではなく、「あれは遠距離から放たれたボールの跡だ」、「スペイン代表でもマルスだけだろ」とあざの形から見抜いてしまう。さらに「越前リョーガを守ったんだろ」と理由まで言い当てたうえで、罰として言い渡したのが「これから俺の仲良しメニューだ」。相手を責めるだけで終わらせず、仲直りの形に持っていくところに、フリオという選手の人柄がにじんでいた。
アントニオもまた、「相手の微妙な表情から考えていることが全てわかる」、「君の感情認識力にかなうものはいない」とフリオを評する。その力でフリオが気づいたのが、メダノレの違和感だった。「今日のメダノレは 昨日のメダノレとは違う性格だった」。
メダノレは二人いる
なぜそこまでメダノレの秘密を探るのか。そう問われたフリオの答えはまっすぐだった。「だが、あいつの顔がたまにどこか申し訳なさそうに見えてな」、「俺たちに話したいことがあるなら聞いてやりたいだろ」、「だって俺たちはみんな友達なんだから」。詮索ではなく、仲間として手を差し伸べたいという気持ちが伝わってくる。そこに「自ら見ず知らずの双子に声をかけたのも気になる」という疑問も重なっていく。
そして、双子から聞き出した答えはこちらの予想を超えていた。二重人格ではないかという推測に返ってきたのは、「メダノレは二人いるよ」という言葉。性格が日によって違うのは、そもそも別の人物だったからなのか。スペイン代表の中心にいる選手に、とんでもない秘密が隠されていそうな気配が漂い始めた。
幸村と柳の連携
場面はダブルス2へ戻る。シングルス3とダブルス1の勝者が決まり、残るはこの試合だけ。「これが奴にとっての最後のチャンスじゃ」という言葉が示すとおり、第3試合の開始時間をそろえたのには理由があった。
試合は、幸村と柳のペアが主導権を握っていた。「天衣無縫は俺にはもう効かないよ」。金太郎の天衣無縫を幸村が封じ込め、その守りを攻撃の形に変えていくのが柳。「そういや奴ら 同じ中学校だったな」、「いいコンビネーションしてやがるぜ」という声のとおり、同じ中学で戦ってきた二人の息はぴったりだった。
金太郎の強さそのものは本物だ。「テニスを始めて たった半年間で天衣無縫の極みに達した金太郎」。野生の勘に加え、スピードもパワーも格段に上がっている。それでも「規格外のテニスで」、「自陣に来たボールを全て一人で打ち返してはいるが」、「圧倒的経験不足は否めない」。要するに、「二人を相手にすることに慣れていないということ」。一人で何でも返せてしまうからこそ、二人で戦うことを知らない。金太郎の才能と弱点が、同じところから生まれているのがおもしろい。
一人で走り回る金太郎に、大曲の「勘弁しろし おめえ一人でやられてんだろうが」。スコアは幸村と柳のペアのリードで進み、四天宝寺の先輩からは「けど 金ちゃん ここで負けたら 試合に出ることすらできへんね」と現実を突きつけられる。追い込まれた金太郎の頭に浮かんだのが、テニスと出会ったころの記憶だった。
お杉ばあちゃんとの約束
テニスを始める前の金太郎は、助っ人を頼まれれば何でもこなし、たこ焼きをもらって喜んでいる少年だった。そんな金太郎を呼び止めたのが、眼鏡のおばあちゃん。何でもできると言う金太郎をテニスに誘い、「悔しかったら返してみ」。ところが金太郎は、ボールに触れることすらできない。「あの金太郎さんがボールに触ることすらできない」。
投げ出しかけた金太郎に向けられたのが、「逃げるんか」、そして「やられたら、やり返す」という言葉だった。そのおばあちゃんの正体は、「お杉ばあちゃんはダブルスでウィンブルドン優勝を果たした伝説の女子テニスプレーヤーや」。「テニスなんか嫌いや言うとるやろ」と言いながら毎日のように挑み続ける金太郎の姿は、まさにやられたらやり返す日々そのものだった。
そして、ある日の報告。「四天宝寺中のテニス部に入ることにしたんや」、「テニスが大好きになってもうてん」、「日本一のテニスプレーヤーになったる」、「ばあちゃんからもろた、このラケットでな」。あれほど嫌いだと言っていたテニスを、大好きだと言えるようになった金太郎。その変化を見守ったお杉ばあちゃんの存在が、金太郎のテニスの土台になっていたのだとわかり、じんわりと温かい気持ちになった。
回想から戻った金太郎の「日本一のテニスプレーヤーになるってばあちゃんと約束したんや」に、「世界一じゃねえの」と返される場面もいい。「せや、世界一や」と目標を言い直す金太郎の素直さが、そのまま次のプレーへの力になっていく。
大曲の二刀流
流れを変えたのは大曲だった。「勝手に一人で戦って 勝手に一人でピンチになってんじゃねえよ」。二刀流の大曲の守備範囲の広さとトリッキーさに対して、立海のペアは打つ前の予備動作から方向を読もうとする。「だが直前の予備動作で撃つ方向さえ予測できれば」、「読めない打球ではない」。それに返したのが「読ませねえよ」の一言だった。
「こちらの動きを見てからフォアとバックを使い分けられては」、「攻略は格段に難しい」。さらに大曲は「まずはおめえたちの判断力を削り取ってやんよ」と相手の判断そのものを狙っていく。「俺たちよりもダブルス経験が一枚も二枚も上手だ」という評価のとおり、ここで高校生の経験値がはっきりと効いてきた。
大曲と組むことで、金太郎も変わり始める。「金太郎までもが徐々にダブルスに目覚めてきている」。四天宝寺の先輩の「せや金ちゃん、ダブルスは呼吸や」、「パワーだけやない、新しい可能性が生まれるはずや」という言葉も、金太郎の成長を後押ししていた。
柳のデータと最後の一球
それでも柳は黙っていない。「データは揃った」、「ダブルスでの弱点は あらかた算出できた」。「しかしダブルスは弱いほころびを突き崩すゲーム」、「俺たちが勝たせてもらいます」。幸村と柳が一直線に並んで構え、どこに打っても返される状況を作り出す場面は、立ちはだかる壁のような迫力があった。
迷いを振り切って打ち込んだ最後の一球で、ゲームセット。スコアは7-5、大曲と遠山のペアの勝利だった。試合のあと、大曲は「ダブルスはシングルスよりも判断を早くしねえと置いてかれんだよ」と金太郎に教える。それに「まあ 勝ったからええやんな」、「二刀流のアンちゃん 次も頼むって」と返す金太郎は相変わらずだが、その明るさにも救われる。
負けた側も、「二人がかりで天衣無縫の遠山を抑える作戦だったが」、「やはり高校生相手だと一筋縄ではいかないな」と冷静に振り返る。中学生ペアとしての完成度を見せた幸村と柳、経験で上回った大曲、そしてダブルスを少しずつ覚えていく金太郎。誰か一人の力ではなく、ペアとしての成熟が勝負を分けた試合だった。
そろった第3試合
ダブルス2の決着で、第3試合が一斉に始まる。「奴はこの1年で強くなった」、「だが義にこだわる優しさは」、「時として致命的な弱点になる」。デュークはお頭から最後の壁になってほしいと頼まれ、「徳川君にも負けるわけにはいきません」と応える。別のコートでは跡部との再戦、そして越前と不二の「あの雨の日の決着を」という因縁の対戦も始まろうとしていた。
第6話のまとめ考察
やられたらやり返す、の意味
第6話を通して見えてきたのは、サブタイトルの言葉が持つ二つの意味だった。一つは、お杉ばあちゃんにやられ続けても毎日挑み続けた、金太郎の負けず嫌いな原点。もう一つは、一人で背負い込んでいた金太郎が、大曲と組むことで二人で戦うことを覚え、幸村と柳のペアにやり返した今の姿だ。ダブルスでウィンブルドンを制したおばあちゃんにテニスを教わった金太郎が、ダブルスで一つ壁を越えるという流れは、とてもきれいにつながっていた。
スペイン代表の側でも、双子の少年たちにダブルスをすすめる場面があったのが印象的だった。一人ではできないと言われてきた双子と、一人で何でもこなしてきた金太郎。立場は正反対なのに、二人で戦うことで新しい力が生まれるという点で、同じテーマを違う角度から描いていたように思う。
そしてメダノレの謎。メダノレは二人いるという言葉が本当なら、スペイン代表はまだ何かを隠していることになる。フリオが友達として手を差し伸べようとしているのも、その秘密の重さを感じ取っているからなのだろう。ダブルス2の熱い決着と、第3試合の幕開け、そしてスペイン側の謎。いくつもの物語が同時に動き始めた第6話だった。




























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