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第3期の幕開けとなる第25話の副題は「郡長」。カナレ郡長となったアルスは、新しいランベルクの領主にミレイユを指名する。人の上に立つのはどんな人かと問われたアルスの答えは「信じることができる人ではないでしょうか」。正反対のザットとブラッハムを組ませ、ムーシャの才能をシャーロットに託し、減税と土地の分配でカナレを愛する場所にする計画を進める。信じて任せる統治が、ここから始まる。




第3期の幕開け、副題は「郡長」
第3期1話目にあたる第25話の副題は「郡長」。公式あらすじは「カナレ郡長となったアルスは新たな仲間たちを迎え、カナレをよりよい領地にするためにとある計画を進めていた。そして、新しいランベルクの領主にある人物を指名するが――。」と、指名の行方を言い切らずに結んでいる(出典: TVアニメ『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる 第3期』第25話あらすじ/ブシロード プレスリリース)。
ランベルクの領主から、カナレの郡長へ
冒頭では、ミーシアン州の継承戦争の経緯と、アルスが鑑定スキルで仲間を集めてきた歩みが振り返られる。トーマスを破った功績で、アルスは「カナレ郡長」に取り立てられた。小さなランベルク領の当主だった少年が、より大きな土地を任される立場になって第3期が始まる。副題の「郡長」は、アルスの新しい肩書きそのものだ。
「身分も男女も問わない」人材募集
カナレの街では、さっそく人材募集の声が響く。「アルス様は身分も男女も問わない」。生まれや立場ではなく才能で人を選ぶ、というアルスのやり方は、郡長になっても変わっていない。この募集で採用された二人が、この回の前半を引っ張っていく。
新しいランベルクの領主
カナレに引っ越したアルスは、家臣たちを集めて大事な話を切り出す。
「新しい領主はミレイユさんにお願いしたいです」
アルスは「この中の一人にランベルクの領主をお願いしようと思うんです」と話し、「新しい領主はミレイユさんにお願いしたいです」と指名する。理由は「軍事にも政治にも精通してますし」「適任だと思うんです」。
普段の生活ぶりを知る家臣からは不安の声も出るが、アルスは「なんだかんだでしっかり仕事してくれますし」「領民との関係も良好ですから」「今回の戦では何度も助けられました」と続ける。ふだんの気ままな姿ではなく、いざという時の働きを見て任せるところに、アルスの人の見方が出ている。ミレイユは「返事はちょっと待ってくれない」と、その場での即答は避けた。
ミレイユを手元に置いておけば、アルス自身はずっと楽だったはずだ。それでも一番大切な故郷を任せる相手に選んだのは、それだけ信頼しているからにほかならない。ロセルの師匠であり、数々の戦で作戦を支えてきたミレイユを手放すことは、郡長になったばかりのアルスにとって小さくない決断だった。
「人の上に立つ人間ってどういうやつだと思う?」
後日、ミレイユはアルスに答えを持ってくる。「誰かがやるべきことだし」と前置きしたうえで、「人の上に立つ人間ってどういうやつだと思う」と問いかける。挙げたのは「強い人」「魅力的な人」「戦略が上手い人」。そして、アルスはそのどれにも当てはまらないけれど、上に立つべくして立ったと思っている、と続ける。
アルスの答えは「信じることができる人ではないでしょうか」だった。「正直ミレイユさんがそばにいてくれれば」「僕らは道を間違うことはないでしょう」「でもだからこそ一番大切なランベルクをお任せしたいんです」。一番頼れる人をそばに置くのではなく、一番大切な場所に送り出す。信じて任せることこそ、アルスの考える上に立つ人の条件だった。
師匠と弟子の別れ
ミレイユが領主になれば、弟子のロセルとは離れ離れになる。ロセルは「まだ教えてもらってないことだってたくさん」と引き止めかけるが、ミレイユは「君はこの間私の作戦を超えてみせたじゃない」「もう私がそばにいなくても成長できる」と送り出す。
ロセルは「賢くてすごい軍師になって」「アルス様の役に立てるように頑張る」と誓い、「師匠も代官の仕事」「頑張ってね」と返す。ミレイユの答えは「任せて」「めちゃくちゃ発展させちゃうよ」。師匠の作戦を超えたことが、離れても大丈夫だという何よりの証明になっている。別れの場面なのに湿っぽくならず、互いの成長を信じ合う形で締めくくられるのが心地よい。
正反対の二人と、緊張する魔法使い
人材募集で採用された二人は、どちらもすぐには馴染まない。
「こんなバカの部下になるなんて我慢できません」
一人目は、賞金稼ぎや傭兵として各地を渡り歩いてきたザット。少数精鋭部隊の副隊長に任命されたが、「悪いが、俺は辞めさせてもらいます」と言い出す。理由は「こんなバカの部下になるなんて我慢できません」。隊長のブラッハムの部下になるのが嫌だったのだ。
そこでアルスは、ブラッハムとの手合わせを提案する。「こんな頭の悪い奴に俺が負けるはずがないだろう」と挑んだザットだったが、結果は「俺の勝ち」。「強い」と驚くザットに、アルスは「たった数ヶ月でブラッハムさんは格段に強くなりました」と伝える。
「うまくいけばバランスの取れたいいコンビになる」
アルスの狙いは最初から二人の組み合わせにあった。「お二人は正反対のタイプですが」「うまくいけばバランスの取れたいいコンビになると思うんです」。ザットは「わかりました 副隊長を務めましょう」と受け入れる。
あとでアルスは、「ブラッハムさんの統率の潜在能力は」リーツを超えるほどだと明かし、「頭も切れて経験もあるザットさんが補ってあげれば」「いつか天下の大将軍になってくれるでしょう」と語る。足りないところを責めるのではなく、足りないところを補える相手と組ませる。鑑定スキルで見えた才能を、組み合わせで伸ばそうとしている。
「緊張するなら的は見るな」
もう一人の採用者はムーシャ。もともと事務志望で面接に来ていたが、鑑定で魔法の才能が見つかった。ところが本番に弱く、的を前にすると呪文を忘れてしまう。そこへシャーロットが「緊張するなら的は見るな」「目を閉じてもいい」「まずは自分の心に集中するんだ」と声をかける。
言われた通りにやってみたムーシャは、見事に魔法を放ってみせる。アルスは「シャーロットさんが最初に魔法を使った時」「僕すごく感動したんです」「今同じことを感じてます」と語り、二人がタッグを組めば「ミーシアン1の魔法部隊になるでしょうね」と期待を寄せる。かつて才能を見いだされたシャーロットが、今度は新しい才能の背中を押す側に回っている。
リシアとの領地経営
郡長の仕事は、戦いや人選だけではない。リシアとともに、アルスは膨大な書類とも向き合っていく。
「挑戦に失敗はつきものです」
ランベルクのメイド長からは、手紙が届く。アルスが支援を決めた研究者シンの研究費用で「ローベントの家計は火の車」、財政担当のクランツは「毎日顔を真っ赤にして」シンを追い回しているという。それでもアルスは追加の予算を組むことを決める。
「挑戦に失敗はつきものです」「でも失敗して得た技術が将来僕らの暮らしを便利にしてくれると思っています」。目先の赤字より、失敗の先にある技術を見ているのがアルスらしい。リシアの「アルス様は変わりませんね」に、アルスが身長の話で返し、「存じ上げております」「秘密です」とかわされるやりとりもほほえましい。
「ちょっとは休んだらどうだ」
仕事が山積みになり、食事も机で済ませるアルスを、シャーロットは「忙しくしすぎじゃないか」「ちょっとは休んだらどうだ」と心配する。アルスは「心配してくれてるんですか」と返し、話は進めている「例の計画」へと移っていく。
カナレを愛する場所に
アルスはシャーロットを誘って、カナレの街に出る。
「原因は戦争です」
にぎわう街の裏で、貧しい人の数が増えている。アルスは「これはルメイル様の統治のせいではありません」「原因は戦争です」と説明する。戦に人手を取られて農地を維持できなくなった農民が土地を手放し、職を求めて街に集まってくる。「このままでは税収も減るし貧富の差が広がって治安が悪くなる」「戦に勝っていてもこれではダメです」。
そこで打ち出すのが、生活に関わる税金の大きな減税と、貧しい人たちに土地を与え、「平常時は農業を」「戦争時は兵士として出兵してもらう」という策だった。勝っている戦の陰で広がる貧しさに目を向け、減税と土地の分配で根っこから立て直そうとしている。一時的に歳入は減っても、生産力が上がれば将来は増える見込みだという。
「カナレの地を愛する場所にするんです」
アルスはシャーロットに「何のために戦ってますか」と問いかける。「あとは孤児院の子供たちのためかな」という答えに、「僕もシャーロットさんも守るものがあるから頑張れるんです」と応じる。そして「土地を持ち人並みの生活をして」「誇りを持てるようになれば」、ここで暮らす人も頑張れるはずだと語る。
「初めてカナレを訪れた時」「弱い立場の人たちがちゃんと生活できる領地を作りたいと思いました」。その答えが「カナレの地を愛する場所にするんです」だった。守るものがあるから人は頑張れる。だから領民にも守りたい土地を持ってもらう、という考え方が、計画の芯になっている。シャーロットは「最高の計画じゃん」と喜びつつ、「でもさすがに食卓はみんなで囲むべきだぞ」と釘を刺すのを忘れない。
まとめと考察
第25話は、郡長になったアルスが、人を選び、組ませ、任せる回だった。
信じて任せる、という統治
ミレイユをランベルクに送り出し、ザットをブラッハムと組ませ、ムーシャをシャーロットに託す。アルスの統治は、自分で全部を抱えるのではなく、信じられる人に任せるところから始まっている。ミレイユへの答え「信じることができる人」は、そのまま第3期のアルスの方針を言い表している。
領地を愛する理由をつくる
減税と土地の分配という計画は、戦に勝つための策ではなく、人がその土地を愛せるようにするための策だった。守るものがある人は強い、というアルスの信念が、一人の家臣から領民全体にまで広げられようとしている。回の終わりには、サイツ州が八万の兵でカナレに攻め込んでいるという知らせが届く。新しい体制が整ったばかりのカナレが、どう動くのかに注目したい。




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