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『新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP 決勝メンバー決定戦』第3話は、各コートで同時に進む試合がいよいよ熱を帯びていく回。氷帝を支えてきた跡部と忍足の対決が始まり、丸井と木手のD2、真田と徳川のS1にはそれぞれ決着がつく。月と太陽の激突、ただベンチにいたわけじゃない丸井の進化、そして真田の真っ向勝負まで、第3話を振り返っていく。




第3話は月と太陽の激突から
『新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP 決勝メンバー決定戦』第3話は、各コートで同時に進む試合がいよいよ熱を帯びていく回だった。氷帝を支えてきた跡部と忍足の対決、リョーマと千石の駆け引き、丸井と木手が見せた新たなダブルス、そして真田と徳川の真っ向勝負。それぞれのプライドがぶつかり合う一話を、試合ごとに振り返っていく。
そろそろ月が輝いてもええやろ
S2第2試合のコートで向き合ったのは、跡部と忍足だった。俺様に挑んでくるとはどういう風の吹き回しだと言う跡部に、忍足は静かに告げる。「そろそろ月が輝いてもええやろ」。強豪校の部長として、その絶対的なカリスマ性で3年間テニス部を牽引してきた跡部。その圧倒的な存在感の影に隠れがちだが、天才と呼ばれ、誰もが認める実力を秘めた忍足。まさに太陽と月の激突だ。
忍足の消えるサーブに対し、跡部は甘いぜ、「お前の手の内は読めてるぜ」と即座に対応してみせる。同じチームで長く戦ってきたからこそ、互いの技の対処法は知り尽くしている。「太陽はまだ沈まねえ」と言い放つ跡部に、そう簡単に沈んでもろたら困る、上に行かせてもらうでと返す忍足。「沈められるもんなら沈めてみな」。言葉の一つひとつに、二人が積み重ねてきた年月が感じられた。
手の内を知り尽くした相手との試合は、技の威力よりも読み合いが勝負を分ける。どの技を見せ、どの技を温存するのか。互いの癖を知っているからこそ、一球ごとに裏をかき合う緊張感がある。同じ学校で戦ってきた者同士ならではの心理戦が、派手な必殺技の応酬とはまた違う面白さを生んでいた。
言葉ではなくテニスで
部長として前に立ち続けてきた跡部と、その隣で支え続けてきた忍足。二人にしかわからないことが、きっとたくさんある。それを言葉ではなくテニスで伝え合っている、という見方が、この対決の熱さを端的に表していた。仲間であり、ライバルでもある二人が、決勝メンバーの座をかけて初めて本気でぶつかる。その構図だけで、胸が熱くなる。
忍足がここで月が輝いてもいいと言い出したのは、これまで自ら前に出ることを選ばなかった彼にとって、大きな決意の表れなのだろう。支える側にいた者が、初めて主役の座を奪いにいく。影に徹してきた天才が、自分の光で輝こうとする瞬間を、この試合は描こうとしている。跡部がそれをどう受け止めるのか、試合の行方から目が離せない。
跡部にとっても、忍足は特別な存在のはずだ。部長として常に先頭に立ってきた彼が、隣で支えてくれた仲間と全力でぶつかる。それは、これまでの関係を壊すことではなく、互いを一人の選手として認め合うことでもある。太陽が沈まないと言い切れるのは、月の輝きを知っているからこそなのかもしれない。二人の試合は、勝敗以上に、その関係の変化を見届ける戦いになりそうだ。
リョーマと千石の駆け引き
サービスゲームを取られるとはね
もう一つのコートでは、リョーマと千石の試合が進んでいた。まいったな、「サービスゲームを取られるとはね」。リョーマは千石にほとんど何もさせず、ゲームを重ねていく。「まだまだだね」というおなじみの一言も飛び出し、スマッシュの切れ味はフランス戦のときよりさらに増しているという。
それでも千石は、ただでは終わらない。反応が格段に速くなり、伊達に1ゲーム落としたわけじゃないと反撃に転じる。リョーマのツイストスマッシュにも食らいつき、千石らしい運を引き寄せるようなプレーで流れを変えようとする。それを俺にも教えてくんないとねだるリョーマに、それは難しいなと笑う千石。強者同士の余裕と駆け引きが、短いやりとりの中に詰まっていた。
世代の違う二人が、互いの実力を認めながら真剣勝負を楽しんでいる。決勝メンバーの座がかかっているとはいえ、そこには相手を潰すための戦いではなく、互いを高め合う空気がある。この試合の決着も、次の展開に持ち越された。
千石の持ち味は、どんな劣勢でも飄々とした態度を崩さないところにある。ゲームを落としても焦らず、相手のリズムを少しずつ崩していく。その粘り強さが、勢いに乗るリョーマにどこまで通用するのか。実力だけでなく、しぶとさと運も武器にする千石のテニスは、見ていて飽きることがない。
一方のリョーマも、フランス戦を経てさらに一段階強くなっているのが伝わってくる。年上の相手にも物おじせず、自分のペースで試合を運ぶ姿は、まさに主人公の貫禄だ。それでいて、相手の技に素直に興味を示すところに、テニスを心から楽しむリョーマらしさがのぞく。勝ちにこだわりながらも、強い相手との出会いを楽しむ。その姿勢こそが、彼を成長させ続けているのだろう。
丸井と木手の進化
ただベンチにいたわけじゃない
D2では、丸井と木手のペアが種ヶ島と白石を相手に粘りを見せていた。丸井はワンダーキャッスルを序盤だけでなく長時間続け、木手の出番がほとんどないほどだ。疲れたら下がってもらってもいいんですよと言う木手に、こっから先はお前に一球も渡さねえよと返す丸井。その裏には、日本代表に選ばれてからずっと出番がなかった時間があった。
けれど、「ただベンチにいたわけじゃない」。ワンダーキャッスルの可能性を広げるため、課題だった持久力に取り組んできた。門限を破って街中のコートで打ち込みを続け、一試合で二人分、いや三人分戦えるくらいの持久力を目指して。いつか必ず来る自分の出番を信じて、自分を高め続けたのだ。周りに隠れて努力を続ける丸井を、仲間がそっと気づかう回想の場面も温かかった。対戦相手の側から上がった「尊敬するわ」という声に、思わずうなずいてしまった。
沖縄式二刀流
白石がパワー全振りのスタイルに切り替えてワンダーキャッスルを真正面から崩しにかかると、丸井と木手は新たな武器を繰り出す。木手が縮地法で影のように動き、丸井を二刀流に見せる。名付けて沖縄式二刀流、シーサー。大曲先輩のような二刀流は誰しもそうやすやすとできないが、丸井がそのアイデアをくれたのだと木手は言う。城壁が鉄壁の布陣になったと、対戦相手も舌を巻く。
それでも、まだ完成途中の技には隙があった。じわじわと押し込まれ、木手が前に出ようとしたとき、丸井は最後までやらせてくれと頼み込む。お前が言ったんだぜ、自信をなくしてた俺にみっともないって、まだ今の俺はみっともねえ、こっからなんだよ。「これはダブルス」だと念を押していた木手も、最後は徹底的に影になると腹をくくる。結果は種ヶ島と白石の勝利。それでも「悔いはないぜ」、「最高のダブルスだったぜ」と笑う丸井の姿は、負けてなお爽やかだった。
試合に出られない時間をどう過ごすか。それは、代表に選ばれた選手たちが直面するもう一つの戦いだ。丸井は腐ることなく、自分の武器を磨き続けた。そして木手は、その努力を見抜いたうえで、あえてもう一度ペアを組んだ。互いの覚悟を信じ合えるペアだからこそ、負けても最高のダブルスと言える。この二人の物語は、決定戦の中でも特に心に残るものになった。試合後、本当の相棒が見に来てくれていると声をかけられる場面も含めて、丸井の周りにいる仲間たちの温かさが感じられる締めくくりだった。悔しさを抱えながらも笑顔で次へ向かう丸井の姿を、これからも応援したくなる。
第3話のまとめ考察
真田の真っ向勝負
S1の真田と徳川の試合も、決着の時を迎えていた。真田は技を3度曲げることにこだわるあまり、自分本来のテニスを見失っていた。俺はこれまでどんなスタイルの相手であっても、真っ向勝負でねじ伏せてきた。そのことに気づいた真田に、「自分のテニスと真っ向から向き合え」という声が飛ぶ。真田はこれまでのテニスのすべてを駆使し、ついに3度目の変化を可能にする。
けれど、変化の角度が大きいことが逆に仇となり、アウトが増えていく。徳川は三度目の変化のほんのわずかな角度の甘さも見逃さずに返し、勝利をつかんだ。「強いな」、今の日本ナンバーワンと戦いたかった、と頭を下げる真田。その真っ向テニスを確かに見届けたという言葉が送られる。最後まで揺るがない姿勢、「見事だ」。負けてもなお相手に敬意を払う真田の姿に、勝敗を超えた美しさがあった。
第3話は、負けた者たちの姿がとりわけ印象に残る回だった。丸井と木手、真田。勝てなかったけれど、それぞれが何かをつかみ、悔いのない戦いを見せた。勝敗だけでは測れない価値を、この作品は試合ごとに丁寧に描いている。決勝メンバー決定戦という残酷な舞台だからこそ、一人ひとりの覚悟がまぶしく映るのだろう。
真田にとって、3度曲げる技へのこだわりは、スペイン戦で勝つための覚悟そのものだった。だが、こだわりすぎた結果、自分の持ち味を見失ってしまう。その迷いから抜け出し、真っ向勝負という原点に立ち返ったことは、負けてもなお大きな収穫だったはずだ。技を極めることと、自分らしさを貫くこと。その両立の難しさが、真田の試合からはっきりと伝わってきた。
続く戦いの行方
跡部と忍足、リョーマと千石の試合はまだ続き、別のコートでは仁王の試合も始まろうとしている。それぞれのコートで、選手たちは未来を勝ち取るために、今の自分を存分にぶつけ合う。太陽と月がともに輝き続けるために、どちらがより強い輝きを見せるのか。決勝メンバーの座をかけた戦いの行方を、じっくりと見届けたい。どの試合にも、それぞれの選手の物語が詰まっている。
振り返ると、この回はどの試合にも、相手を認めるまなざしがあった。手の内を知る仲間への挑戦、年の離れた強者への好奇心、努力を見抜いた相棒への信頼、そして日本一の実力者への敬意。ライバルを倒すべき敵ではなく、自分を高めてくれる存在として見ているからこそ、この作品の試合はいつも熱く、どこか清々しいのだと改めて感じた。
















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